種類別の対策ガイド

アライグマの駆除・対策ガイド

庭や家の被害、自治体の制度について調べたい。

アライグマは北米から中米を原産とするアライグマ科の中型哺乳類です。国立環境研究所の侵入生物データベースによると、頭胴長は40〜60cm、尾長は20〜40cm、体重は4〜10kgほどで、目の周りの黒いマスク模様と黒い輪のある尾が目印になります。国内では1962年に愛知県の飼育施設から逃げ出した個体が野生化の始まりとされ、その後、ペットとして飼われていた個体が逃げたり放されたりして各地に広がりました。環境省の防除の手引き(2025年改訂版)は、沖縄県を除く全国に定着しつつあるとしています。

住宅で問題になるのは、屋根裏や壁のすき間をねぐらや出産の場所にされることです。木登りが得意で、前足を手のように使って柱や建物のそばの立木を伝い、軒の傷んだ部分や床下の通風口などから入り込みます。侵入された場所では糞尿による汚れや天井のシミが生じ、壁の中で断熱材を巣の材料にされることもあります。食べ物は幅広く、スイカ、トウモロコシ、ブドウなどの果実や野菜のほか、魚やカエルなどの小動物も食べる雑食性です。

活動は夜が中心ですが、昼間に動くこともあります。出産は春で、農林水産省のマニュアルでは4月中旬がピーク、子は6月上旬ごろから外で活動を始め、秋まで母親と行動するとされています。メスは冬に住宅地へ移る傾向があり、冬は家屋侵入など農地以外からの被害報告が増えるとも書かれています。食べ物と休める場所がそろう家や庭ほど居つかれやすいため、餌になる物の管理と侵入口の点検が対策の出発点になります。

アライグマの被害を見分ける手がかり

手がかり特徴と確認のしかた
足跡前足・後ろ足とも指が5本で長く、人の子どもの手形のような跡になります。かかとまで地面につけて歩き、左右の足跡が横に並ぶのが特徴です。タヌキは指が4本、ハクビシンは5本でも指の跡が丸く独立しています。
爪痕・前足の汚れ柱を登るときの爪痕が残ることがあり、袋をかけたブドウなどには前足で触れた汚れが付きます。農林水産省のマニュアルはハクビシンが肉球を押し付けて登り柱や雨どいに足跡を残す例を示していますが、環境省の手引きはハクビシンやネコなども同様の爪痕を残すことがあるとしているため、爪痕だけで決めつけないようにします。
フン太めで両端の形がほぼ同じフンを、場所を決めずに残す傾向があります。屋根裏で見つかることもあり、果実の種が混じる場合があります。決まった場所に積み重ねるタヌキのため糞とは残り方が異なりますが、食べ物や時期で形や色は変わります。
天井のシミ・物音屋根裏に入られると、物音や天井のシミで気づくことがあります。農林水産省のマニュアルは、アライグマの糞尿のシミは壁に沿って現れ、ハクビシンではぽつんと一か所に現れる例を写真で示しています。
食害スイカは上部に直径5〜6cmほどの穴を開け、前足で中身だけをくり抜いて食べます。トウモロコシは根元から倒して実をきれいに食べ、果樹では実を取るときに枝を折ることがあります。
姿(顔と尾)目の周りの黒いマスク模様に加え、眉間の黒い筋、白く目立つヒゲ、しま模様の尾が目印です。タヌキは尾にしま模様がなく、足がほぼ黒く、ヒゲも黒くて目立ちません。

法律・制度上の注意

アライグマは外来生物法の特定外来生物で、飼うこと、保管すること、生きたまま運ぶこと、野外に放すこと、譲り渡すことが原則として禁止されています。捕獲についても鳥獣保護管理法の対象で、被害があっても自由には捕まえられません。捕獲できるのは、都道府県や市町村が外来生物法に基づいて行う防除に従事者として参加する場合や、鳥獣保護管理法の捕獲許可を受けた場合などです。狩猟免許がなくても、自治体の講習を受けた住民が箱わなによる捕獲に関われる地域があるため、まず市区町村の担当課に手続きを確認してください。

自分でできる対策

  • 収穫しない柿などの果実や、畑に捨てた野菜・果物の残りを片付け、餌になる物を敷地に残さないようにします。
  • 床下の通風口、軒の傷んだ部分、瓦屋根のすき間、増築部分の継ぎ目を外から点検し、穴やすき間の位置を写真で記録します。
  • 侵入口をふさぐときは、中に動物がいないことを確かめたうえで、金属の網や板など丈夫な材料を使います。樹脂のネットや薄い合板は壊されるおそれがあります。
  • フンや汚れを片付けるときは手袋を着けて素手で触れないようにし、作業後は手をよく洗います。
  • 姿や足跡を見た日時と場所、被害の内容を記録し、市区町村の担当課へ具体的に伝えられるようにしておきます。

相談を考える目安

  • 屋根裏や壁の中の物音が続く、天井のシミが広がるなど、建物の中に入られている様子があるとき。
  • 春から夏にかけて、屋根裏や壁の中で出産や子育てをしているおそれがあるとき。
  • 侵入口が屋根や軒など高い所にあり、自分では安全に確認や補修ができないとき。
  • 捕獲を希望するとき。無許可では捕獲できないため、市区町村の担当課か、許可や防除の手続きに対応できる専門業者に相談します。

アライグマのよくある質問

アライグマは自分で捕まえてよいですか?わなに免許や許可は必要ですか?
許可や手続きなしに捕まえることはできません。アライグマは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲には許可を受けるか、外来生物法に基づく自治体の防除に従事者として参加するなどの手続きが必要です。狩猟免許がなくても、自治体の講習を受けて箱わなを扱える地域があります。特定外来生物のため、捕まえた個体を生きたまま運ぶことや、別の場所に放すことも規制されています。
アライグマとタヌキ、ハクビシンの違いは何ですか?
尾と顔で見分けます。アライグマは尾に黒いしま模様があり、眉間の黒い筋と白いヒゲが目立ちます。タヌキは尾が短くてしま模様がなく、足が黒っぽい動物です。ハクビシンは顔の中央に白い線があり、しま模様のない長い尾を持ちます。足跡はアライグマとハクビシンが5本指、タヌキが4本指です。
アライグマは屋根裏にどこから入りますか?
農林水産省のマニュアルでは、地面に近い床下の通風口と、軒の壊れた部分、瓦屋根のすき間、増築部分の継ぎ目といった建物の上部が狙われやすいとされています。小さな穴を壊して広げることもあるため、目で見て分かる穴は早めに補修の対象にします。
アライグマの駆除は市役所に相談できますか?
相談できます。アライグマは都道府県や市町村が外来生物法に基づく防除を行っている地域があり、捕獲おりの設置などに対応する自治体があります。ただし内容は地域で異なり、たとえば京都市は屋外におりを設置して捕獲する一方、屋根裏からの追い出しは住民自身で行うよう案内しています。お住まいの市区町村の担当課に確認してください。
アライグマにはどんな感染症の心配がありますか?
環境省の手引きは、狂犬病、レプトスピラ症、アライグマ回虫症、マダニが関わる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などを注意が必要な病気として挙げています。国内で感染した狂犬病の発症例は1957年以降なく、アライグマ回虫も2002年10月までのデータでは国内の野生個体で寄生例が確認されていない(動物園の飼育個体では確認例あり)とされていますが、素手で触れない、フンを直接扱わないことが基本です。かまれたり引っかかれたりした場合は医療機関に相談してください。

参考(確認日:2026年10月2日):国立環境研究所|侵入生物データベース・アライグマ、環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)、環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」、農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)、京都市|野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集 PDF(2026年4月)

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