アライグマとタヌキの違いは、まずしっぽの縞で見分ける

農林水産省の中型獣類マニュアルは、アライグマの尾を長めで輪のような縞が並ぶもの、タヌキの尾を短めでふさふさして縞がないものとして整理しています。環境省九州地方環境事務所のパンフレットも、外見で見分ける最大のポイントを尾の縞模様としています。顔がよく似て見えても、尾が見えれば候補を大きく絞れます。

防犯カメラの白黒映像では、影が縞のように見えることもあります。一コマだけを強く拡大せず、前後の映像で尾の模様が続いて見えるか確かめます。尾が塀の陰に隠れていたなら、縞が「ない」ではなく、尾を「見られなかった」としてください。

アライグマの尾は、縞が5〜7本ほど並ぶ

農林水産省の資料では、アライグマの尾の縞は5〜7本で、並び方は個体ごとに少しずつ違うとされています。本数を数えて判定する必要はなく、尾の根元から先まで縞が続いて見えるかを確かめます。体色はグレーやブラウンなど幅があるため、色だけで決めないでください。

タヌキの尾は、縞がなくふさふさしている

タヌキの尾には縞模様がなく、仙台市八木山動物公園の見分け方講座は、単色かまだらで丸みのある尾と説明しています。尾の縁に黒い毛が出ることもありますが、縞が並んでいなければアライグマの特徴とは異なります。尾の先だけが黒く見える写真でも、縞があるかを見直します。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編、平成30年3月・PDF)

読者の疑問

顔が黒かったので、アライグマですよね?

比較ガイド

タヌキも目の周りが黒く見えるため、顔の黒さだけでは決められません。尾の縞や目の間の黒い筋、耳の縁の色まで確認できなければ、アライグマとタヌキの両方を候補に残して相談してください。

顔・耳・ひげで比べる。目の間の黒い筋と耳の縁がポイント

顔の違いで見やすいのは、目と目の間の黒い縦の筋です。仙台市八木山動物公園の見分け方講座は、タヌキには目の間に黒い筋がなく、アライグマにはあると説明しています。熊本市のアライグマ対策のページも、見分けの手がかりとして、目と目の間の黒いすじと耳のふちの色を挙げています。

目の周りが黒いのは、どちらも同じ

どちらの動物も目の周りが黒く、仮面をつけたような顔に見えます。新潟市のタヌキの説明でも、目の周りや足が黒っぽいと書かれています。そのため、目の周りが黒いことは決め手になりません。農林水産省の資料は、アライグマのマスク模様は大きく幅広く、眉間にも黒い筋が通る点を挙げています。

耳とひげの色も見る

アライグマは耳が大きく、白い縁取りが目立ち、ひげも白くて目立ちます。タヌキは耳が丸くて左右が離れており、ひげは黒くて目立たず、熊本市のページでは耳のふちが黒いとされています。夜間の映像では色が分かりにくいため、耳の縁やひげの色まで判別できない場合は、無理に決めず候補を残します。

参考:仙台市八木山動物公園|タヌキシリーズ(2)見分け方講座

足の色・歩き方・体の大きさの違い

足の色も手がかりになります。環境省九州地方環境事務所のパンフレットは、タヌキは脚が黒く、アライグマは全体に灰色の体色で脚も灰色であると説明しています。農林水産省の資料では、アライグマの足は白い部分が多く、タヌキの足はほぼ全体が黒いとされています。足元が写っていれば、尾が見えない映像でも補助的な材料になります。

歩き方にも差があり、アライグマはかかとまで地面につけ、タヌキはつま先だけをつけて歩くとされます。ただし、動画の角度や草の高さで足元が隠れることも多く、これだけでの判断は難しいでしょう。体の大きさは、資料に示された頭胴長がアライグマで41〜60cm、タヌキで50〜60cmと重なっているため、大きさは決め手になりません。

参考:環境省九州地方環境事務所|アライグマ防除のパンフレット(足跡の見分け方と足跡トラップ、平成25年3月、PDF)

アライグマとタヌキの違いを一覧表で確認する

下表は、公的な資料に書かれた特徴を、写真や映像に当てはめやすい形に並べたものです。すべてが一致する必要はなく、見えた部分が複数そろうかを確認します。見えない部分は空欄のままで構いません。特徴が一致しても不鮮明な部分が多ければ、候補の絞り込みにとどめます。顔を見ようと近づいたり、餌で呼び寄せたりする必要はありません。

アライグマとタヌキの違いを一覧表で確認する:確認項目
見る部分アライグマの手がかりタヌキの手がかり
尾長めで、輪のような縞が5〜7本ほど並ぶ短めでふさふさし、縞模様がない
顔目の周りのマスク模様が大きく、眉間に黒い筋がある目の周りは黒いが、目の間に黒い縦筋がない
耳・ひげ耳が大きく白い縁取り。ひげは白く目立つ耳は丸く縁が黒い。ひげは黒く目立たない
足白や灰色の部分が多い。かかとまで地面につけて歩くほぼ全体が黒い。つま先で歩く
体色グレーやブラウンなど幅がある全体に茶色っぽく、肩から前足にかけてたすき状に黒い毛が入る
足跡5本の指がはっきり分かれ、人の手形に似る4本指で、犬に似る
判断を保留する例顔だけの暗い写真尾が草や壁で見えない映像

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編、平成30年3月・PDF)

足跡とフンで見分ける。5本指か4本指か、ため糞をするか

足跡は、見つけたときに写真を残しやすい手がかりです。農林水産省の資料では、アライグマの足跡は指が長く5本がはっきり分かれて人の手形に似ており、爪の跡が残ることが多いとされています。タヌキは4本指で犬に似た足跡で、こちらも爪の跡が付くことが多いと説明されています。撮り方や見分けの限界は アライグマの足跡の見分け方 にまとめています。

フンにも違いがあります。同じ資料では、アライグマは決まった場所に溜めるフン(ため糞)をしないとされ、タヌキは畑や竹林、庭などに比較的大きなため糞をするとされます。新潟市のタヌキの説明でも、決まった場所にフンをする習性があると書かれています。庭の一角にフンが集中していれば、タヌキの手がかりの一つです。ただしフンの形は食べた物で変わるため、これだけで種類は決まりません。

資料には、足跡や糞の形はあくまで目安で、食害の跡やセンサーカメラの映像も合わせて総合的に判断するとも書かれています。ある動物の痕跡を見つけたことで、背後にいる別の動物を見逃すおそれがあるという注意もあります。一つの痕跡で断定せず、複数の痕跡をそろえて相談しましょう。

足跡とフンで見分ける。5本指か4本指か、ため糞をするか:確認項目
痕跡アライグマの目安タヌキの目安
足跡の指5本が分かれ、指が長い。人の手形に似る4本指で犬に似る
爪の跡残ることが多い付くことが多い
前足の足跡の大きさ長さ5.5cm・幅6cm程度長さ4cm・幅3cm程度
フンため糞はしない。泥状から固形まで食べた物で変わる庭や畑などに比較的大きなため糞をする。色は比較的黒い
記録のしかた足跡は踏まずに真上から、大きさの分かる物を添えて撮るフンは素手で触らず、場所と周りの状況を撮る

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ(中型獣類編、平成30年3月・PDF)

ハクビシン・アナグマ・ネコと見間違えやすい動物

アライグマとタヌキのほかに、ハクビシン、アナグマ、ネコと見間違えるケースがあります。熊本市のページには、アライグマの情報として寄せられた映像に、タヌキやアナグマ、ネコが写っていた事例が紹介されています。尾に縞がある個体もいるネコは、体型や目の周りの黒い部分が異なると説明されています。

農林水産省の資料では、アナグマは鼻先から目、耳元に向けて黒い線が入り、顔から上半身にかけて白っぽく、ずんぐりとして足が短いと整理されています。ハクビシンは鼻から頭頂にかけて顔の中央に白い線があり、尾は長く縞模様がありません。4種を並べた表は アライグマ・タヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方 で確認でき、タヌキとアナグマの比較は アナグマとタヌキの見分け方 にあります。

参考:熊本市|アライグマ(特定外来生物)対策について

屋根にいた、庭にいた、だけでは種類を決めない

発見場所は動物の名前を決める条件というより、被害の調査先を選ぶ材料です。庭を横切っただけなら、まず餌となる物が出ていないかを見直します。屋根の同じ位置へ何度も向かうなら、その付近の隙間や室内側の痕跡を調べる相談になります。

熊本市のページは、アライグマが森林や農耕地、住宅地など幅広い環境で暮らし、家屋や寺社の屋根裏もよく利用するとしています。新潟市は、タヌキが住宅の床下などに入り込んで居着くケースを紹介しています。どちらも建物に入ることがあるため、「屋根裏ならアライグマ、床下ならタヌキ」と決めつけず、痕跡や映像で確かめます。庭での目撃後の動き方は アライグマを庭や家で見かけたら と タヌキが庭に来るとき にそれぞれまとめています。

「アライグマらしい姿を庭で見た日」と「天井の音を聞いた日」が同じでも、必ず同じ動物が原因とは限りません。外で見た移動経路と、建物内の変化がつながるかを確認します。庭の一枚の写真だけを根拠に、屋根全面の工事が必要と決めないようにしましょう。

ごみの散乱、池の魚の被害、農作物の食害など、実際に困っている内容も分けます。「写真の動物が原因かを調べたい」と伝えると、種類の確認と、被害箇所の調査を混同せず進められます。庭の果実や菜園の被害は 庭にアライグマらしき動物 も参考になります。

参考:新潟市|タヌキによる生活環境被害

捕まえてから見分ける方法は選ばない。法律の違いと相談先

見分けがつかないからといって、捕獲器にかけて確かめる方法は取れません。アライグマとタヌキでは適用される制度が違いますが、どちらの場合も、見分けるためだけに捕まえることは勧められません。まず、見たことを記録して自治体の窓口へ相談します。タヌキの場合に業者へ頼める作業と許可の確認点はタヌキ・アナグマの駆除は業者に頼めるかで整理しています。

アライグマは、外来生物法の特定外来生物

環境省の案内では、特定外来生物は飼育・保管・運搬、輸入、野外へ放つことなどが原則禁止されています。野外で捕まえた個体を持ち帰ること(運搬)は禁止され、その場ですぐ放すことは規制の対象外とされています。環境省九州地方環境事務所のパンフレットは、アライグマの姿や足跡を見たら市町村の役場へ連絡するよう案内しています。

タヌキは、鳥獣保護管理法で許可なく捕獲できない

大阪市は、被害の防止を目的とする捕獲を含め、野生鳥獣の捕獲には許可が必要だと案内しています。タヌキなら庭で自由に捕まえて別の場所へ移せる、と考えないでください。毛が抜けたタヌキはダニによる疥癬の可能性があると新潟市が説明しており、触れたり保護しようとせず見守り、犬や猫との接触に注意するよう案内しています。

捕獲器を借りる場合は、設置前に条件を確認する

堺市では、アライグマによる被害について市への相談と捕獲器の貸し出しを案内しています。これは大阪府の防除計画に基づく堺市の例で、対象はアライグマです。生活環境被害と農作物被害で相談窓口が分かれているため、担当課を確認します。目的の動物以外が入ったときの連絡先や、捕獲後の扱いも設置前に聞き、見分けのつかない動物を自分で取り出したり移動させたりしないでください。

参考:環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」