アライグマ・タヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方は、尾→顔→耳とひげ→体つきの順

アライグマとハクビシンは、在来のタヌキやアナグマと顔の特徴が似ているため、見間違えられることがよくあります。東京都は、全身の特徴を理解すれば区別できるとしています。顔の黒いマスクや白い線から入ると迷いやすいので、まず尾、次に顔、耳とひげ、体つきの順で見ます。

次の表は、環境省の手引きと東京都の資料の記載を中心に並べ、タヌキの黒いバンドは農林水産省のマニュアルから補ったものです。体の大きさは資料によって数値が違うため、目安にとどめ、見分けの順番には使いません。夜の短い目撃では、尾と体つきだけでも手がかりになります。

アライグマ・タヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方は、尾→顔→耳とひげ→体つきの順:確認項目
見る点アライグマハクビシンタヌキアナグマ
尾長く、黒いリング状の縞が5〜7本長く、縞はない太くふさふさして、縞はない(20cm以下)短くて太く、長い毛に覆われる。縞はない
顔眉間に黒い筋。目の周りのマスク模様が大きい顔の中央に白い線がある目の周りの黒いマスク模様。背中から前足にかけて黒いバンドマスク模様は鼻から耳へ細長く、鼻筋は白っぽい。顔は鼻づらにかけて細長い
耳・ひげ耳は大きく白い縁取り。ひげは白く目立つ顔の大きさに比べて耳が大きい耳は丸い。ひげは黒く目立たない耳は小さく目立たない
体つき・足全体に白っぽく、足は白い部分が多い足は短く体全体が細長い。足は黒っぽい部分が多い全体に茶色っぽく、足はほぼ全体が黒いずんぐりして丸っこく、足は短い。足は黒い部分が多い
胴長の目安(東京都)60cmくらい50〜60cmくらい45〜55cmくらい50〜60cmくらい

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

読者の疑問

アライグマとタヌキの一番簡単な見分け方は何ですか?

比較ガイド

尾です。アライグマは黒いリング状の縞が5〜7本ある長い尾、タヌキは縞のない太くふさふさした尾です。福岡市や帯広市の案内も、尾の縞を最大の特徴としています。歩き方も違い、アライグマはかかとまで付けて歩きます。

顔が似て迷いやすい組み合わせ|アライグマとタヌキ、ハクビシンとアナグマ、イタチ

見分けで迷うのは、顔の模様が似ている組み合わせです。それぞれ、迷いを減らす手がかりが公的資料にあります。

アライグマとタヌキは、尾と歩き方で分ける

どちらも目の周りが黒く見えます。福岡市や帯広市の案内は、アライグマをタヌキなどと見分ける最大の特徴を、尾の縞としています。歩き方も違い、アライグマはかかとまで地面に付けて歩き、足跡が人の手に似ます。タヌキはつま先だけで歩き、足跡は花の模様に似ます。詳しい比べ方はアライグマとタヌキの違いにまとめています。

ハクビシンとアナグマは、尾の長さで分ける

どちらも鼻筋が白く見えます。農林水産省は、アナグマは頭部が白く目の下に黒い模様があるため、鼻筋が白い点でハクビシンに間違われることが多いと説明しています。世田谷区は、特に幼獣は似るため、区別は尻尾の長さだとしています。ハクビシンは頭から胴体と同じくらいの長い尾、アナグマは短く太い尾です。比べ方はアナグマとタヌキの見分け方やハクビシンとアライグマの見分け方でも整理しています。

細長い影を見たときは、イタチも候補にする

夜に細長い影を見た場合は、イタチも候補になります。国立環境研究所によると、ニホンイタチの頭胴長は雄が27〜37cm、雌が16〜25cmで、体重は雄が290〜650g、雌が115〜175gです。ハクビシンの成獣は体重2.0〜5.5kg(東京都)なので、4種に比べてかなり小さい動物です。額から鼻にかけて濃い褐色の斑紋があるとされ、白い線が目立つハクビシンとの違いはイタチとハクビシンはどう違う?で扱っています。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・ニホンイタチ

足跡・フン・鳴き声の早見表|公的資料で確認できた範囲

足跡やフンは、動物が去ったあとも残るため手がかりになります。ただし、公的資料も、爪痕やフンだけで種類を決められるとはしていません。環境省の手引きは、木造建築の柱の爪痕を、ハクビシン、イタチ類、猫も残すことがあると注記しています。表の「確認できず」は、今回開いた資料に記載がなかったことを示し、「ない」という意味ではありません。

足跡の見つけ方と撮り方は、アライグマの足跡は5本指?にあります。声については、ハクビシンとアライグマの記事で、公的資料に載っている聞こえ方と、決めつけない理由を扱っています。

足跡・フン・鳴き声の早見表|公的資料で確認できた範囲:確認項目
項目アライグマハクビシンタヌキアナグマ
足跡の指5本の指がはっきり分かれ、人の手に似る。爪の跡が明瞭5本。爪の跡は不明瞭。丸い指で、肉球が分厚い4本。全体に丸く猫に似るが、爪の跡は明瞭5本。長く鋭い爪が目立つ
フン・痕跡糞は直径2〜3cm、長さ5〜18cm程度で断片に分かれ、骨や昆虫の羽、種子が混じる(農林水産省)種が混じった棒状(5〜15cmくらい)で、天井裏に堆積する(町田市)ため糞を生活エリアの境界に作り、掃除しても繰り返される(農林水産省)直径5cm程度の小さな穴が点々とあれば、餌探しの痕跡の可能性(農林水産省)
鳴き声天井裏から「クルルル」「キュッキュッ」など甲高い鳥のような声(久留米市)「にゃ〜」「ぎゃ〜」。主に幼獣が発するとされる(世田谷区)確認できず確認できず
登る・掘る木登りが得意で、前足を手のように使う木登りが得意で、電線も渡る。分厚い肉球で柱を登る登るのは得意ではなく、掘る・破る被害が中心穴掘りが得意。慣れれば金網柵を登り、60cmのトタン柵を越えた例もある

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 特定外来生物編(アライグマ、ヌートリア、キョン、マングース、タイワンリス、平成21年度作成)

屋根裏に上がるか、穴を掘るか|行動と被害の場所から絞る

種類を絞る強い手がかりは、被害の場所です。屋根裏や天井裏に入って、足音や糞尿の被害を出すのは、主にアライグマとハクビシンです。農林水産省は、アライグマが神社仏閣や人家の屋根裏、壁の隙間で休息や子育てをするとし、ハクビシンも樹洞や家屋の天井裏をねぐらや出産・子育ての場に使うと説明しています。ハクビシンは6cm×12cmの隙間があれば侵入でき、夏は涼しい床下、気温が下がると暖かい天井裏を日中の休憩場所にするとされます。

タヌキは、神社仏閣や空き家の床下、キツネやアナグマが掘った古い巣穴を休息場所にします。アナグマは林の斜面などに複数の巣穴を掘る動物で、世田谷区は、軒下に穴を掘って棲みつくのはアナグマの可能性があるとしています。「登れない動物」と決めつけるのは危険だと農林水産省は注意しており、慣れた個体は柵を乗り越えます。次の一覧は、資料の記載をもとにした当記事の整理で、決め手ではありません。

  • 天井裏の大きな足音や天井のシミ:アライグマ・ハクビシンを候補にする(イタチやネズミも合わせて考える)
  • 床下や空き家の下の出入り:タヌキも候補に加える
  • 庭や軒下の穴、地面の掘り返し:アナグマ・タヌキなど、掘る動物を候補にする
  • 果樹の枝先や電線の上の移動:ハクビシンを候補にする
  • 柱や幹の爪痕:アライグマを疑うが、ハクビシン・イタチ類・猫も残すため決めつけない

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

夜間に一瞬見ただけのときの記録方法|全身が写らなくても残せること

夜に庭や屋根の上で一瞬だけ見たときは、種類を決めず、見えた特徴をそのまま残します。浜松市は、写真などによる確実な情報収集を求めており、松戸市も、箱わなの設置にはアライグマと分かる写真や動画が必要としています。全身が写らなくても、尾だけ、足元だけ、歩き方だけでも手がかりになります。

暗くて尾が見えなかったなら、「不明」のままでかまいません。高松市は、アライグマは人を捕食対象としていない動物で、追い詰めたり脅かしたりしなければ人に危害を加える可能性は限りなく低いとして、静かにその場を離れるよう案内しています。一方、福岡市は、突発的な遭遇による咬傷事故があるとして、近づかないよう呼びかけています。撮影のために近づかないでください。

  • 尾:縞が見えたか、長いか短いか、太いか細いか
  • 顔:黒いマスク、顔の中央の白い線、鼻筋の色
  • 大きさ:塀やフェンス、近くの物と比べて、どのくらいか
  • 歩き方:かかとまで付けて歩く、つま先で歩く、走り方、進んだ方向
  • 動き:柱や木を登った、地面を掘った、電線を渡った
  • 時刻、場所、見えていた時間の長さ、複数頭か
  • 足跡やフンは触らず、定規や硬貨など大きさが分かる物と一緒に撮る

参考:浜松市|アライグマ(防除・捕獲従事者制度)

法律上の扱いの違い|特定外来生物・狩猟鳥獣・許可の考え方

法律の面で最も大きな違いは、アライグマだけが外来生物法の特定外来生物であることです。東京都は、アライグマは特定外来生物に指定され、ハクビシンは指定されていないと整理しています。特定外来生物は、飼育・保管・運搬が原則として禁止され、生きたまま運んだり、遠くへ放したりできません(環境省)。タヌキとアナグマは在来種で、特定外来生物ではありません。

環境省の狩猟鳥獣の一覧には、この4種とイタチ(雄)、シベリアイタチが入っています。ただし、狩猟鳥獣だから自由に捕れるわけではありません。狩猟は、免許と登録を受け、狩猟期間に法定の猟法で行うものです。家や庭の被害対策としての捕獲は別に許可が必要で(環境省の捕獲許可制度の説明)、種類が分かっても、手続きなしに捕獲できない点は同じです。イタチは、市町村長の捕獲許可が必要と案内する自治体があります(大阪府)。

法律上の扱いの違い|特定外来生物・狩猟鳥獣・許可の考え方:確認項目
種類特定外来生物か狩猟鳥獣か家や庭の被害対策での捕獲生きたままの運搬
アライグマ指定されている(2005年)狩猟鳥獣許可、または自治体の防除の従事者としての手続きが先に必要原則禁止
ハクビシン指定されていない狩猟鳥獣許可が先に必要外来生物法による運搬の禁止はない。許可条件や自治体の指示に従う
タヌキ在来種で、指定なし狩猟鳥獣許可が先に必要同上
アナグマ在来種で、指定なし狩猟鳥獣許可が先に必要同上

参考:東京都環境局|外来種対策マニュアル「アライグマ・ハクビシンについて」(PDF)

種類ごとの相談先と次に読む記事

種類の見当がついたら、相談先と次に読む記事を選びます。京都市のQ&Aは、アライグマは外来生物法に基づいて市が捕獲檻で対応する一方、イタチ・タヌキ・コウモリは行政による捕獲や駆除を行わず、自分で対処するか業者に依頼する案内です。種類によって「市が動く」「動かない」が変わるため、見分けは相談の入口になります。

参考:京都市|野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集 PDF(2026年4月)