アライグマは特定外来生物|外来生物法で禁止される行為

アライグマは、外来生物法が施行された2005年に特定外来生物に指定されました(環境省の手引き)。指定されると、飼育・栽培・保管・運搬(法律では「飼養等」といいます)、輸入、野外へ放つこと、許可を持たない人への譲渡し・引渡し、販売が原則として禁止されます(環境省)。例外は、学術研究、展示、教育などの目的で、逃げ出さない施設を整えて許可を受けた場合と、法律に基づく防除として行う場合などに限られます。

「飼養等」に運搬が含まれるため、見つけたアライグマを生きたまま運ぶことも、許可なくはできません。環境省のQ&Aは、不用意に捕まえず、まずその場所の管理者や行政機関に相談するよう勧めています。

アライグマは特定外来生物|外来生物法で禁止される行為:確認項目
禁止される行為具体的な場面の例根拠条文
飼養等(飼育・栽培・保管・運搬)ペットとして飼う。捕まえた個体を自宅や車で預かる、運ぶ外来生物法第4条
輸入海外から持ち込む外来生物法第7条
譲渡し・譲受け・引渡し・引取り人にあげる、売る、もらう、引き取る外来生物法第8条
放出等(野外へ放つ)飼えなくなった個体を逃がす。捕まえて運び、別の場所で放す外来生物法第9条

参考:環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」

読者の疑問

アライグマの駆除は、許可なしでできますか?

比較ガイド

わなでの捕獲や殺処分は、許可か、防除の従事者としての位置づけが先に必要です。侵入口を塞ぐ、餌や生ごみを管理するといった、捕獲に当たらない対策は許可なしでできます。まず市区町村の窓口に相談してください。

捕獲に関わる二つの制度|外来生物法の防除と鳥獣保護管理法の許可

アライグマの捕獲の根拠になる法律は、外来生物法と鳥獣保護管理法の二つです。環境省の手引きによると、捕獲するには、鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲か、外来生物法に基づく防除のどちらかを選べます。どちらも、狩猟免許を持たない一般の人を捕獲従事者にでき、手続きとしての違いはそれほど大きくないと説明されています。業者がこの二つの手続きをどう説明するかの確かめ方は、アライグマ駆除業者を比べる基準でまとめています。

わなにハクビシンやタヌキなど、ほかの動物がかかることもあります。手引きは、すぐに放せば捕獲の許可は要らないが、殺処分する場合は、その動物について鳥獣保護管理法の許可が必要だと説明しています。貸出わななどの場合は、自治体の指示に従います。ハクビシンの制度は ハクビシン駆除の法律 で整理しています。

外来生物法に基づく防除

外来生物法の防除は、都道府県が防除の内容を公示して行う方法、市町村が防除実施計画について国の確認を受けて行う方法(都道府県と共同なら、公示に市町村名を載せれば足ります)、民間事業者や個人が国の認定を受けて行う方法があります。法の条文(第18条)は、国と地方公共団体以外の者が、主務大臣の認定を受けて防除を行えると定めています。確認・認定を受けると、捕獲した個体を防除に必要な範囲で一時保管したり、生きたまま運んだりでき、鳥獣保護管理法の捕獲許可は要らなくなります(環境省のQ&A)。

鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲・狩猟

鳥獣保護管理法は、鳥獣や鳥類の卵の捕獲・殺傷を原則として禁止し(第8条)、被害防止などの目的で許可を受けた場合に認めています(第9条)。許可の権限は、国指定鳥獣保護区内などは環境大臣、それ以外は都道府県知事で、多くの都道府県では一部を市町村長に移譲していると、環境省は説明しています。許可の期間は最長1年以内で、数量を決めて申請します(手引き)。アライグマは、環境省が示す狩猟鳥獣(獣類20種類)の一つです。狩猟として行う場合は、狩猟免許と狩猟者登録が必要で、期間は10月15日から翌年4月15日までです(北海道は9月15日から)。

捕獲に関わる二つの制度|外来生物法の防除と鳥獣保護管理法の許可:確認項目
比べる点外来生物法に基づく防除鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲
目的特定外来生物の被害防止。被害が出る前の予防的な捕獲や、地域からの排除も含めた計画的な防除鳥獣による生活環境・農林水産業・生態系の被害防止など。外来の鳥獣は、被害が出る前でも申請できる
手続き都道府県は公示、市町村は国の確認、民間事業者や個人は国の認定。防除実施計画に基づく被害を受けた人、またはその依頼を受けた人が、許可権者に捕獲許可を申請する
免許のない人適切な捕獲と安全の知識・技術があると認められれば、わなの設置から捕獲、運搬まで従事できる原則、わなの設置や止めさしはできない(見回りや餌の設置は可)。捕獲個体を適切に処分でき、住宅などの建物内や農地などの被害を防ぐために土地所有者が小型の箱わなで自ら捕獲する場合は、申請できる
期間・数量複数年の計画期間で、捕獲数量の上限なし最長1年以内で、数量を決めて申請する
捕獲個体の運搬・保管防除に必要な範囲で、生きたまま運搬・一時保管ができる処分のための一時的な保管・運搬ができる

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

個人が許可なくできること・できないこと|行為別の表

迷いやすいのは、どこまでが「対策」で、どこからが「捕獲」なのかです。鳥獣保護管理法が規制するのは鳥獣の捕獲と殺傷(法律では「捕獲等」)で、侵入口を塞ぐ、餌を管理するなど、動物に手を触れない対策は、許可の対象になる行為ではありません。環境省のQ&Aも、防除に許可が必要かという問いに、哺乳類の捕獲は、防除の確認・認定の従事者でなければ、鳥獣保護管理法の許可が必要になる場合があると答えています。

許可なしで進めてよい対策

市区町村の案内で、まず勧められている対策です。個人が進めてよい範囲として、次のようなものがあります。

  • 餌を与えない。生ごみ・ペットフード・落ちた果実を外に置かない(神戸市・札幌市)
  • 屋根に届く庭木の枝を剪定する。物置や車庫を閉める(札幌市)
  • 侵入口になるすき間を金網などで塞ぐ(屋根裏に動物が残っていないと確認できてから)
  • 家庭菜園を電気柵や防護ネットで守る(札幌市)
  • 見かけても近づかず、自治体に連絡する

許可・認定・従事者の手続きが先になる行為

箱わななどで捕獲する、捕獲した個体を殺処分する、個体を生きたまま運ぶ・預かるといった行為は、許可、防除の確認・認定の従事者、または狩猟免許と登録のいずれかが先に必要です。札幌市は、無許可で捕獲されたアライグマは引き取れないとして、捕獲の前に必ず市へ相談するよう案内しています。外置きの餌の管理など、許可なしでできる対策は 外置きの餌とアライグマ にあります。

個人が許可なくできること・できないこと|行為別の表:確認項目
行為許可なしで可能か根拠・補足
近づかない、触らない、餌を与えない可能法令上の手続きは不要。自治体も餌やりをしないよう案内している
庭木の剪定、生ごみ・ペットフードの管理可能捕獲・殺傷に当たらない対策
侵入口の封鎖、電気柵・防護ネットの設置可能捕獲・殺傷に当たらない。中にいる状態では塞がない
箱わななどで捕獲する不可(許可、防除の従事者、または狩猟免許と登録が必要)鳥獣保護管理法第8条・第9条、外来生物法の防除。免許の要否は設置場所で変わる
捕獲した個体を殺処分する不可(許可や従事者の位置づけがある人のみ)できる限り苦痛を与えない方法が必要。札幌市は処分を原則許可取得者としつつ、困難なときは市の委託業者が引き取る。横浜市は市の契約業者が回収する
捕獲した個体を車などで運ぶ・預かる不可(防除の範囲内か、捕獲許可を受けて処分のために一時的に保管・運搬する場合に限られる)外来生物法第4条(運搬・保管)。手引きの表による
自宅で飼う、保護して育てる不可外来生物法第4条。新たに愛がん目的では許可されない
別の場所へ運んで放す不可運搬(第4条)と放出(第9条)
毒餌・毒薬・爆発物で駆除する不可鳥獣保護管理法第36条(危険猟法の禁止)。例外は第37条の環境大臣の許可などに限られる

参考:環境省|日本の外来種対策「防除に関するQ&A」

資格・免許が関わる場面|狩猟免許と防除の従事者

アライグマ駆除に、特定の国家資格が一律に求められるわけではありません。今回確認した法令と公的資料の範囲では、方法と場所によって、狩猟免許、捕獲許可、防除の従事者としての位置づけのどれが要るかが変わる、という整理になっています。

狩猟として捕獲する場合は、狩猟免許(わなを使うならわな猟免許)と狩猟者登録が必要です(鳥獣保護管理法第39条・第55条)。許可捕獲や外来生物法の防除では、狩猟免許のない一般の人も従事者にできると手引きは説明していますが、許可捕獲では、免許のない人は原則としてわなの設置や止めさしができず、見回りや餌の設置を担う形です。例外として、捕獲個体を適切に処分でき、住宅などの建物内や農地の被害を防ぐために土地所有者が小型の箱わなで自ら捕獲する場合は、免許がなくても許可の申請ができます。町田市の資料(2021年時点)も、箱わなでの捕獲許可には原則としてわな猟免許が必要で、住宅内の被害などでは例外があると説明しています。

札幌市の例|設置場所で免許の要否が変わる

札幌市は、自分でわなを設置するときは、まず有害鳥獣捕獲許可が必要と案内しています。垣根や柵で囲まれた自宅の敷地内なら、市の許可があればわな免許は不要ですが、市民農園のように柵で囲まれていない場所では、許可に加えてわな猟免許が必要です。

防除の従事者と、業者に頼むとき

外来生物法の防除では、自治体の防除実施計画に基づく従事者や、国の認定を受けた団体の従事者が捕獲を行います。手引きによると、狩猟免許がなくても、適切な捕獲と安全の知識・技術があると認められる人は従事者に含められ(従事者台帳の作成が必要)、講習会を開いて従事者を育てることが勧められています。届出や講習の具体的な条件は自治体ごとに違うため、箱わなの貸出や従事者の条件は、お住まいの市区町村で確認してください。業者に頼む場合は、どの許可・認定の位置づけで捕獲するのかを説明してもらい、複数の業者から見積もりを取ることを、町田市の資料(2021年時点)が勧めています。

参考:札幌市|アライグマについて

アライグマは飼える?保護してよい?|新たに飼うことはできない

特定外来生物を新たに飼うことは、ペット(愛がん目的)としては許可されません。環境省のQ&Aによると、許可の対象は学術研究、展示、教育などに限られ、逃げ出さないための特定飼養等施設も必要です。規制される前から飼っていた個体は、許可を取った場合に限って飼い続けられますが、繁殖はさせられず、人にあげたり売ったりもできません。

飼いきれなくなっても、逃がすことはできません。環境省は、逃がせば生態系への被害につながり、処罰の対象になるとして、許可を受けて飼う人の責任で最後まで飼うよう求めています。1970年代後半のペットブームで大量に輸入され、成長すると粗暴になって捨てられたり逃げ出したりしたことが、野生化の原因の一つだと、手引きは説明しています。

弱っている個体や、親からはぐれたように見える子を「保護」するために連れ帰ることも、運搬と保管に当たります。厚生労働省も、野生動物の家庭での飼育や野外での接触は避けるよう呼びかけています。見つけたときは、触らず、市区町村に連絡してください。親子を見かけたときの確認は アライグマの親子を見かけたら にあります。

参考:環境省|日本の外来種対策「外来生物法に関するQ&A」

違反したときの罰則|条文で確認

罰則は、2026年10月3日に確認したe-Gov法令検索の条文によるものです。現在の条文では、かつての「懲役」が「拘禁刑」と書かれています(自治体のページには「懲役」の表記が残っているものもあります)。外来生物法の第32条・第33条は、拘禁刑と罰金を併せて科すこともできると定めています。

鳥獣保護管理法の第83条には、無許可の捕獲などの未遂を罰する規定や、犯罪に使った物や捕獲した鳥獣の没収の規定もあります。個人の場合の罰則だけを見て判断せず、迷ったら、捕獲や運搬をせずに窓口へ相談してください。

違反したときの罰則|条文で確認:確認項目
違反となる行為根拠条文罰則(個人の場合)
許可なく特定外来生物を飼養等する(ペット目的、保管、運搬など)外来生物法第4条(罰則は第33条)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。販売・頒布の目的は第32条で、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
許可を持たない人への譲渡し・引渡しなど外来生物法第8条(罰則は第33条)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。販売・頒布は第32条で、3年以下または300万円以下
特定外来生物を野外に放つ外来生物法第9条(罰則は第32条)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
許可も狩猟者登録もなくアライグマを捕獲・殺傷する(狩猟期間や狩猟できる区域の外での捕獲を含む)鳥獣保護管理法第8条・第55条(罰則は第83条第1項第2号・第6号。アライグマは狩猟鳥獣のため)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。札幌市も、無許可捕獲はこの範囲で処罰されることがあると案内
毒薬・劇薬・爆発物を使う猟法で捕獲する鳥獣保護管理法第36条(罰則は第83条)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

手続きの相談先|市区町村・都道府県・地方環境事務所

最初の相談先は、市区町村のアライグマ担当窓口です。東京都は、被害にあったときは、まず各区市町の環境部署や清掃部署へ問い合わせるよう案内しています。捕獲許可の権限は都道府県知事にあり、多くの都道府県では一部を市町村長に移譲しているため、申請先も地域で違います(環境省)。外来生物法の具体的な手続きや、野外で見つけた外来生物についての問い合わせ先として、環境省は地方環境事務所などを案内しています。自治体・専門業者・便利屋など依頼先ごとの違いは、害獣駆除の依頼先6つの違いで比べています。

札幌市は、市に箱わなの設置を依頼する方法、自分で許可を受けて設置する方法、業者に依頼する方法の三つを案内しています。横浜市は、捕獲許可と従事者証の申請と、捕獲した個体の回収の連絡先を、別に案内しています。屋根裏の被害の進め方は 屋根裏のアライグマ駆除の流れ に、費用の見方は アライグマ駆除の費用・相場 にあります。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要