屋根裏の藁・綿・小枝・紙は何の巣?巣材と動物の対応表

巣の主が分からないときは、巣材を先に見ます。大阪市立自然史博物館の解説では、鳥の巣材は植物質が最もよく使われ、枯葉、枯草、枝、樹皮、根、綿など植物のほとんどあらゆる部分が使われるとされています。羽毛や獣毛、クモの糸のような動物質も使われます。

ネズミは、大阪市旭区の案内で、紙や布などを集めただけの巣を作り、たんすの衣類を巣にすることもあるとされています。環境省のアライグマ防除の手引きは、アライグマが外壁と内壁の間で断熱材を巣材にしてねぐらを作ることがあると記載しています。下の表は、こうした記述をもとに、巣材と動物の対応をまとめたものです。表は目安で、巣材だけで動物を決めず、場所とフン・かじり跡も合わせて見ます。

ハチが出入りしているときは、巣に近づかないでください。屋根裏の蜂の巣は蜂の巣が屋根裏にあるとき。出入り口の確認と駆除・封鎖の順序で扱っています。

屋根裏の藁・綿・小枝・紙は何の巣?巣材と動物の対応表:確認項目
見つけた巣材・形考えられる動物公的資料の記述一緒に見ること
枯れ草・枯れ葉・綿・羽毛などを集めた巣スズメなどの小鳥鳥の巣材は植物質が最も多い(大阪市立自然史博物館)。スズメは建築物や電柱のすき間に、枯れ草やセロハンなどの人工物を運んで営巣する卵・ヒナの有無、親鳥の出入り
小枝を組んだ皿状の巣ハト(キジバト・ドバト)キジバトは平均125本の枝で巣を作った例がある(京都での調査)。ドバトは雨の降り込まない棚状の場所に巣を作る(大阪市)ベランダの隅、室外機の下や裏、フンの量
軒先や壁面に取り付けられた巣ツバメ類日本で壁に巣を取り付ける鳥として、ツバメ類が挙げられている(大阪市立自然史博物館)卵やヒナの有無、下に落ちるフンの位置
細かくかみ砕かれた紙・布・ビニル・包装紙ネズミ紙や布を集めた巣を作り、衣類を巣にすることもある(大阪市旭区)近くのフン、かじり跡、黒いこすれ跡
綿状の断熱材が引き出されている、へこんでいるアライグマなどの中型獣アライグマは外壁と内壁の間で断熱材を巣材にしてねぐらを作ることがある(環境省)フンや尿のにおい、足跡、天井のシミ

参考:大阪市立自然史博物館|鳥の巣についての基礎知識

読者の疑問

屋根裏に藁があるのは、何の巣ですか?

比較ガイド

藁や枯れ草、小枝が多ければ鳥(スズメやハトなど)の可能性があり、紙や布を細かくかみ砕いたものならネズミの可能性があります。見つけた場所と、フンやかじり跡の有無も合わせて見ます。

巣が置かれた場所で見分ける|軒先・換気口・天井裏の奥・壁の中

巣材が同じように見えても、置かれた場所で候補は絞れます。大阪市立自然史博物館は、鳥の巣場所を地中、樹上、樹洞、すき間、棚、壁などに分け、人工建造物のすき間や棚、壁も使われると説明しています。下の三つの場所ごとに、見当のつけ方を整理します。

軒先・外壁まわり・ベランダ

壁に巣を取り付ける日本の鳥には、ツバメ類が挙げられています。ベランダのハトについて、大阪市は、雨の降り込まない棚状の場所を好み、人の出入りが少ないベランダの隅やエアコン室外機の下や裏に巣を作りやすいと案内しています。ベランダや軒先は外から見えやすいため、近づきすぎずに写真で記録しやすい場所です。

換気口・屋根のすき間・戸袋

スズメは建築物のすき間に枯れ草などを運び込んで巣を作ります。ヤモリの卵も、国立環境研究所が戸袋や壁のすき間、天井裏に産み付けられるとしており、すき間には鳥の巣以外の小さな卵もあります。見えないすき間の奥へ手を入れて確かめるのは避けます。

天井裏の奥・壁の中

東京都の「都民のためのねずみ防除読本」は、ビルの中のクマネズミが天井裏、壁の中、冷蔵庫など電気機器の裏に巣を作ると説明しています。アライグマは外壁と内壁の間の断熱材を使う例が環境省の手引きにあります。点検口から見える範囲に藁や枯れ草がなく、紙や布、断熱材が乱れている場合は、鳥よりネズミや中型獣を先に考えます。

参考:東京都保健医療局|都民のためのねずみ防除読本(令和7年12月)

屋根裏で卵を見つけたとき:鳥・ヘビ・ヤモリの見分けと、触らない理由

屋根裏や軒で卵を見つけたら、持ち上げたり割ったりせず、離れた位置から写真を撮ります。環境省は、鳥獣保護管理法で鳥類の卵は、狩猟による場合を除いて原則として捕獲、殺傷、採取が禁止されており、被害などがある場合に環境大臣または都道府県知事の許可で認められると説明しています。許可の窓口は自治体で異なるため、撤去を考える前に市町村や都道府県の担当課へ確認します。

大阪市立自然史博物館は、ほとんどすべての鳥が巣に卵を産んで繁殖するとし、繁殖中の巣は、近づきすぎるだけでも親鳥が巣を放棄することがあると書いています。見つけた卵に近づいて確かめるより、数と大きさ、巣材の有無を写真から読み取るほうが安全です。

鳥のほかに、ヤモリやヘビの卵の可能性もあります。ヤモリの卵は小さく、数が少ないのが特徴です。見分けの手がかりは次の表のとおりです。ヤモリについては天井裏にヤモリはいる?音とフンをコウモリ・ネズミと見分ける確認方法でも扱っています。

屋根裏で卵を見つけたとき:鳥・ヘビ・ヤモリの見分けと、触らない理由:確認項目
候補見つかる状況数・大きさ・時期の記載資料
鳥(スズメ・ハトなど)巣の中に産まれ、枯れ草や小枝などの巣材が周りにある数や大きさは種類で異なる。ドバトは卵が16〜18日でかえる大阪市立自然史博物館、大阪市
ヤモリ戸袋、壁のすき間、天井裏などに産み付けられる1回に2個。長径13〜15mm、短径9〜9.5mm。産卵期は5月上旬から7月下旬国立環境研究所
ヘビ(アオダイショウ)家屋に侵入することがある7〜8月に4〜17個を産む国立環境研究所

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

鳥の巣は撤去できる?卵・ヒナの有無と時期、法律上の注意

鳥の巣を撤去できるかどうかは、中に卵やヒナがいるかで分かれます。大阪府は、樹木の剪定や施設の管理などで鳥の巣を撤去する場合、巣の中を確認してから行うよう案内しています。ここで確認するのは、あくまで離れて見る範囲までです。

卵やヒナがいないとき

大阪府は、巣の中に卵やヒナがいない場合は、巣を撤去することは可能と案内しています。巣を作らせたくない場所には、あらかじめ鳥が入れないようにする対策を求めています。ただし、大阪市立自然史博物館によれば、キジバトやサギ類、ツバメ類のように古巣を再び使う鳥もいます。撤去したあとも、同じ場所に巣を作られないよう、すき間の対策を併せて考えます。スズメの巣はスズメが屋根のすき間に巣を作ったら。巣立ちの確認と補修の順序、ハトの巣作りの初期はハトが小枝を運んでいる。巣作りの初期に確認したい場所で、手順を確認できます。

卵やヒナがいるとき

大阪府は、巣の中に卵やヒナがいる場合は撤去できず、撤去で卵やヒナを損傷・殺傷することが明白なときは、許可を得ていなければ法に抵触するおそれがあるとして、巣立ちまで見守り、巣立ち後に撤去するよう案内しています。大阪市もドバトについて、卵やヒナがあるときは巣立ってから巣材を取り除くよう案内し、迷惑でも卵やヒナを捕ってはいけないとしています。被害が減らない場合は、有害鳥獣の捕獲許可について自治体の窓口に相談します。

巣立ちまでの期間と繁殖期の目安

ヒナが巣にいる期間は鳥の種類で違います。大阪府はツバメのヒナは約2週間で巣立つとし、大阪市はドバトの卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つ、繁殖期は早春から初冬まで何度もあると説明しています。大阪市立自然史博物館の解説では、スズメの繁殖期は3〜8月頃です。春から夏だけでなく、秋まで確認が必要な鳥もいます。

鳥の巣は撤去できる?卵・ヒナの有無と時期、法律上の注意:確認項目
鳥繁殖期・巣立ちの目安巣を見つけやすい場所資料
ドバト早春から初冬まで何度も繁殖。卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つベランダの隅、室外機の下や裏、雨の降り込まない棚状の場所大阪市
ツバメヒナは約2週間で巣立つ軒先、店先などの壁面大阪府
スズメ繁殖期は3〜8月頃建築物や電柱などのすき間大阪市立自然史博物館

参考:大阪府|野鳥が巣を作ったときの対応

ネズミの巣と子ネズミを見つけたときの確認

環境省は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣として、いえねずみ類3種(一般にドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ)は鳥獣保護管理法の対象から外されていると説明しています。鳥の巣や卵とは法律上の扱いが異なります。ただし、それは巣や子ネズミを素手で扱ってよいという意味ではありません。

東京都の読本は、ねずみ由来の感染症が、人が咬まれたりねずみの体に触れたりして直接感染する場合と、フンや尿で汚れた水や食品から経口的に感染する場合があると説明しています。巣材の紙や布にもフンや尿が付いている可能性を考え、素手で崩さず、掃いたり吸ったりもしません。

ネズミの巣かどうかの見分け

紙や布が細かく裂かれて集まり、近くにフンやかじり跡、黒いこすれ跡があれば、ネズミの巣の可能性が高まります。たんすや引き出しの衣類が巣にされることもあるため、屋根裏だけでなく、収納の奥も見ます。細かく裂かれた紙や布の見分けは細かく裂かれた紙や布はネズミの巣?巣材と子ネズミを見つけたときで確認できます。

子ネズミを見つけたとき

小さな個体が見える、巣が動く、奥から鳴き声がするときは、それ以上巣に近づかず、家具や荷物を動かしません。つかんで外へ出したり別の場所へ運んだりせず、位置と状況の写真を撮って調査担当者に伝えます。子ネズミのいる巣は使用中の可能性が高く、侵入口の封鎖や清掃の段取りを調査担当者と決めてから動かします。

参考:大阪市旭区|ネズミ対策について

断熱材が巣材にされたときの補修の相談

環境省のアライグマ防除の手引きは、壁の隙間で見つかった幼獣の写真とともに、アライグマが外壁と内壁の間で断熱材を巣材にしてねぐらを作ることがあると記載し、屋根裏にたまった糞尿による汚損も被害として示しています。断熱材が引き出された、へこんだ、においがあるといった状態は、巣材にされた可能性があります。断熱材を戻す前に、動物の種類と侵入口を確認します。

アライグマは特定外来生物に指定されており、環境省は、特定外来生物の飼育・保管・運搬と、野外へ放つことが原則禁止されていると説明しています。幼獣を見つけても、保護して運んだり、別の場所へ放したりせず、自治体の担当課へ連絡します。

断熱材の補修は、動物を追い出して侵入口を封鎖したあとの工程です。汚れた断熱材を交換するのか、どの範囲まで取り出せるのかは、調査と見積もりで確認します。質問の整理は害獣に汚された断熱材は交換が必要?写真と見積もりの確認方法と害獣対策で断熱材を戻すとき。厚さ・つなぎ目・換気の復旧を確認するが参考になります。

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

見つけたあとの流れ:動かす前の分岐と相談先

巣らしいものを見つけたときの流れを、動かす前の分岐としてまとめます。下の表は、本文の内容をもとにした考え方の整理です。迷ったときは、巣に手を触れずに、写真と記録を持って相談先に連絡します。鳥の巣の法律上の扱いは巣に卵やヒナがある。撤去を頼む前に管理者と自治体へ確認したいこと、ハトの巣は鳩の駆除と法律。違法になる行為と許可が必要な場面の線引きにも詳しくあります。

見つけたあとの流れ:動かす前の分岐と相談先:確認項目
見つけたものまずすること次の相談先
卵やヒナがある鳥の巣触らず写真を撮り、巣立ちまで待つ。撤去しない賃貸なら管理者、市町村の鳥獣担当課
卵やヒナがない鳥の巣離れて確認し、写真を残してから、管理者や自治体に確認する管理者、調査・補修を頼む業者
子ネズミやネズミの巣触らず、位置と範囲を写真で記録する調査を頼む業者、自治体の衛生担当課
断熱材が巣材にされた跡動物の種類と侵入口の確認を先にする。断熱材は動かさない調査・封鎖・補修を頼む業者
種類の分からない卵や巣触らず、数・大きさ・場所を記録する市町村の担当課、調査を頼む業者