福岡県の害獣・害虫の相談先は、動物の種類と被害の場所で決まる

福岡県には、県・市町村・保健所・消費生活センターという複数の窓口があり、同じ「害獣」でも相談先が変わります。大きく分けると、野生の鳥獣は捕獲に許可が必要なため鳥獣の担当課、ハチやゴキブリのような衛生害虫は市の区役所や環境担当課、相談センター、業者との契約は消費生活センターが入口になります。電話をかける前に、何が、どこで、いつ起きているかを一言で言えるようにしておくと、担当につながりやすくなります。

福岡市、北九州市、久留米市の公式案内では、害獣や害虫の駆除そのものは土地や建物の所有者・管理者が行い、市は行わないとされています。市の窓口は、制度の説明、許可や貸出の受付、情報提供が中心です。ただしアライグマだけは、市が箱わなを貸し出したり委託業者が捕獲したりする仕組みがあります。民有地の駆除は民間の業者に依頼する前提で、窓口を選びましょう。

福岡県の害獣・害虫の相談先は、動物の種類と被害の場所で決まる:確認項目
困りごと最初の窓口補足
アライグマの防除計画・外来生物の制度福岡県 自然環境課 野生生物係県の計画に45市町村が参加(2026年9月4日時点)
生活被害・農林業被害で鳥獣を捕獲したいお住まいの市町村の鳥獣担当部署有害鳥獣捕獲の許可は市町村が窓口
狩猟(わな猟など)を始めたい管轄の県農林事務所(狩猟の担当課)狩猟免許と狩猟者登録が必要
ハチ・衛生害虫の相談福岡市は区役所の生活環境課、北九州市は衛生害虫相談センター、久留米市は環境保全課市によって窓口が違う
ツマアカスズメバチらしきハチを見つけた発見した市町村、または県の保健福祉環境事務所駆除は業者に依頼し費用は自己負担
駆除業者との契約・料金のトラブル福岡県消費生活センターや市の消費生活窓口契約書や見積書を手元に用意

参考:福岡県|野生鳥獣を捕獲するには

読者の疑問

福岡県に害獣の相談を一括で受ける窓口はありますか。

比較ガイド

県の公式案内を見るかぎり、害獣全般を一括で受ける窓口は示されていません。アライグマ防除や鳥獣保護の枠組みは県の自然環境課、生活被害の捕獲許可は市町村、ハチなどは市の窓口と、種類と場所で分かれています。

福岡県が担当するのは、アライグマ防除の計画づくりと広域対応

福岡県は、2023年4月に改正外来生物法が施行されたことを受け、専門家による委員会の意見をもとに、アライグマを優先して防除する種に選びました。県の案内によると、アライグマは2004年度に初めて確認されて以降、2022年度までに50の市町村で生息が確認され、発見件数や農産物被害は年々増加する傾向にあります。

県のアライグマ防除実施計画は、福岡県全域を防除区域とし、期間は2024年3月25日から2029年3月31日まで、原則として箱わなで捕獲して適切に処分する内容です。県の連絡先一覧には、2026年9月4日時点で45の市町村が計画に参加していると示されています。住んでいる市町村が参加しているかどうかで、登録の窓口が変わるため、最初に確認しておきます。

県のページが示す被害予防は、餌を与えない、ねぐらをつくらせない、侵入口をふさぐといった、住民や農業者が行う取り組みが中心です。県が個々の住宅の駆除を行うとは書かれていないため、屋根裏の被害は民間の業者を含めて考えます。

参考:福岡県|福岡県アライグマ防除実施計画について

野生鳥獣の捕獲には許可が必要で、生活被害の許可窓口は市町村

鳥獣の相談で最初に押さえたいのは、捕獲に許可が要るかどうかと、その許可をどこが出すかです。福岡県の案内をもとに、原則と例外、窓口の分かれ方、ネズミの扱いの三つに分けて整理します。

原則禁止と、許可・狩猟という例外

福岡県のページでは、野生鳥獣は鳥獣保護管理法により原則として捕獲や殺傷が禁止され、鳥類の卵の採取も禁止されていると説明されています。例外は、許可を受けた場合や狩猟を行う場合などで、生活環境や農林水産物への被害を理由にした有害鳥獣捕獲も、許可を受ければ行えます。許可がないままわなを置いたり、巣や卵に手を出したりしないことが、出発点です。

窓口は目的ごとに分かれている

有害鳥獣捕獲の許可は各市町村、学術研究の許可は県庁の自然環境課野生生物係、個体数調整の許可は県の農林事務所、希少鳥獣などの許可は九州地方環境事務所と、目的ごとに窓口が違います。「ハトがフンをして困る」「アナグマが庭に穴を掘る」といった生活被害は市町村の許可になるため、お住まいの市町村の鳥獣担当部署に問い合わせます。ハトやカラスの巣の扱いは、福岡市のハト・カラスの巣と撤去の手続きでまとめています。

ネズミ3種と狩猟の扱い

県のページは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種には鳥獣保護管理法が適用されず、いつでも捕獲できると説明しています。種類の違いは家ネズミ3種の比較で確認できます。一方、アライグマやハクビシンなどの狩猟鳥獣を狩猟として捕獲するには、狩猟免許と狩猟者登録が必要で、狩猟の窓口は地域ごとの農林事務所です。

参考:福岡県|野生鳥獣を捕獲するには

アライグマの箱わなは市ごとに条件が違う|福岡市・北九州市・久留米市

箱わなを借りるまでの手続きは市によって異なります。福岡市は県計画に基づく防除従事者の登録、北九州市は鳥獣保護管理法に基づく有害鳥獣捕獲の許可申請、久留米市は市の捕獲従事者の登録が入口です。なお、県の計画参加市町村の一覧(2026年9月4日時点)に福岡市と北九州市は載っていますが、久留米市は載っていません。2026年10月時点の各市の公式案内を、下の表に並べました。

各市の案内はいずれも、箱わなの見回りや餌の交換を借りた人が行うことを前提にしています。捕獲後は、福岡市と久留米市は市への連絡と回収、北九州市は自分で処分できない場合に市へ連絡して処分を任せる流れです。福岡市と北九州市は、設置場所を自己所有地または管理地に限っています。条件の詳細は、福岡市のアライグマ箱わな貸出と委託捕獲と、久留米市の登録制わな貸出と担当窓口で解説しています。

アライグマの箱わなは市ごとに条件が違う|福岡市・北九州市・久留米市:確認項目
市箱わなを使うための手続き貸出の目安相談窓口
福岡市県計画に基づく防除従事者の登録。登録不要の委託業者による捕獲もある原則2週間・1基・無料環境局 自然共生課
北九州市有害鳥獣捕獲の許可申請。許可証は申請後2週間以内の発行と案内1か月以内・1基・無料(農林事業者は最大5基)鳥獣被害対策課(農林事業者は農政事務所)
久留米市市の捕獲従事者の登録(わな猟免許か講習会の受講)原則1基・原則1か月・無料環境保全課と各総合支所

参考:福岡県|アライグマ防除計画参加市町村の連絡先一覧(令和8年9月4日時点)

ハチ・衛生害虫は市の窓口に相談し、駆除は業者に頼む

ハチの巣については、福岡市東区の区役所と北九州市はいずれも、駆除を行わないと案内しています。福岡市東区のハチの相談ページは、区役所ではハチやハチの巣の駆除を行っておらず、敷地内に巣ができたら早めの駆除をお願いするとしたうえで、種類が分からないときは区役所に尋ねるよう案内しています。北九州市は、巣の駆除や費用の助成を行わず、相談は衛生害虫相談センターが受けるとしています。

久留米市は、害虫の駆除や消毒は土地や建物の所有者・管理者の責任で行うことになっており、スズメバチを見つけたら自分で駆除しようとせず専門業者に依頼するよう案内しています。ハチの種類ごとの特徴や、北九州市のセンターの使い方は、北九州市のハチの巣駆除の窓口で詳しく扱っています。

福岡県内で確認された特定外来生物のツマアカスズメバチについて、県のページは、2015年9月の北九州市、2022年の福岡市・久山町・篠栗町での確認を掲載しています。見つけた場合は、発見した市町村か県の保健福祉環境事務所に連絡します。県の保健福祉環境事務所(粕屋・糸島などは保健福祉事務所)は、所管区域ごとにくらしの衛生などの業務を行っており、県のページは駆除を業者に頼む場合の費用は自己負担としています。

参考:福岡市東区|ハチの相談

業者の探し方と、契約・料金のトラブルは消費生活センターへ

県の消費者向けニュースに、久留米市の消費生活センターが紹介した相談事例があります。天井裏にアライグマがいて、慌ててインターネットで業者を探し、夜遅くに追い出しと消毒をしてもらったところ、出張費・作業費・薬剤費などで30万円を請求された、という内容です。助言は、緊急でも作業の前に金額を尋ねること、納得できない金額なら理由を聞き、それでも納得できなければ断ること、余裕があれば複数社から見積りを取ることでした。

業者の探し方として、福岡県ペストコントロール協会を案内する自治体があります。北九州市のアライグマのページは、市から特定の業者を紹介できないとしたうえで、自分で探すか、県内の有害鳥獣駆除業者で組織するこの協会を案内しています。久留米市の鳥類被害のページも、業者を紹介してほしいという相談には協会を案内しています。久留米市の資料は、この協会を県内の害虫駆除・消毒の専門業者の多くが会員になっている団体と説明していますが、会員だからといって料金や作業内容が同じとは限りません。見積書の項目は見積書に書かれる項目の見方、複数社の比べ方は見積りの比べ方を参考にしてください。

契約や料金で困ったときは、福岡県消費生活センター、または市の消費生活相談窓口に相談できます。県のセンターは、トラブルを代わりに解決する窓口ではなく、自主交渉の方法や解決策を助言する窓口だと案内しています。相談前に契約書や見積書、広告などの書類をそろえておくと、状況を整理しやすくなります。北九州市は、2026年4月以降は戸畑窓口以外に相談員が常駐せず、来所による相談には事前の電話予約が必要と案内しています。

参考:福岡県|ホットな消費者ニュース 2020年11月号

相談前に整理しておく情報と、賃貸・集合住宅の連絡先

どの窓口でも、聞かれる内容はほぼ共通しています。被害が出ている場所の住所、庭・屋根裏・ごみ置き場・畑などの具体的な場所、見た動物や虫の特徴、始まった時期、足跡やフンなどの痕跡、すでに試した対策です。動物を見ていないときは、見ていないことをそのまま伝えます。写真は、普段の生活の中で安全に撮れる範囲で十分です。

賃貸住宅や集合住宅では、専有部分と共用部分のどちらに被害があるかで連絡先が変わります。ベランダや共用廊下、屋根、外壁などは管理会社や管理組合が窓口になることが多いため、業者を呼ぶ前に連絡してください。賃貸で害獣・害虫に気づいたときの連絡の順番と、分譲マンションの共用部の相談先も参考になります。

動物に近づいたり、巣を自分で落としたり、卵やヒナのいる巣に手を出したりするのは避けてください。咬まれた、刺された、強い悪臭で体調が悪いといった場合は、害虫駆除の窓口ではなく、医療機関や保健所などの公的な相談先に連絡します。