ハクビシン駆除は市役所・区役所に頼める?自治体ごとに3つの型がある

2026年10月3日に開いた自治体の公式ページを大きく分けると、区市が委託した専門業者を派遣して箱わなを置く型、箱わなの貸出までを行う型、捕獲許可の案内が中心で自治体としては捕獲しない型の3つがありました。

背景には法律があります。環境省は、野生の鳥獣の捕獲や殺傷を原則として禁止し、生活環境や農林水産業への被害がある場合などに、都道府県知事らの許可を受けて捕獲できると説明しています。多くの都道府県では、許可の権限の一部が市町村長に移されているため、市区町村の窓口は許可を出す役所であると同時に、防除事業を行う役所にもなります。

東京都の例では、都が2013年に防除実施計画を定め、区市町と連携して捕獲を進めています。都の案内では、計画に参加する自治体は50に増え、全53自治体のうち51がアライグマ・ハクビシン対策に取り組んでいます(令和8年4月現在)。被害があるときは、まず各区市町の環境部署や清掃部署などへ問い合わせるよう案内されています。

参考:東京都環境局|東京都のアライグマ・ハクビシンの被害及び対策の状況について

読者の疑問

市役所に電話すれば、ハクビシンを駆除してもらえますか?

比較ガイド

自治体で異なります。江東区や世田谷区のように委託業者が箱わなを置く例、千葉市や名古屋市のように貸出までの例、水戸市のようにハクビシンの捕獲は行わず許可を案内する例があります。

市役所・区役所が行うこと、行わないこと

公式ページを並べると、自治体が受け持つ作業と住宅側が受け持つ作業の線引きは、ほぼ同じ位置にありました。箱わなの設置・回収と、捕獲された個体の引取りは自治体の事業に含まれる例が多く、侵入口を塞ぐ工事、ふん尿の撤去、清掃・消毒は住宅側に残る、という形です。

文京区のページは、事業の内容を庭などの屋外への箱わなの設置と餌の交換に限り、捕獲以外の侵入口の遮断作業やクリーニングなどは行わないと明記しています。多摩市も、屋内や屋根裏への捕獲器の設置と追い出し作業は行わないとして、民間業者への相談を案内しています。

市役所・区役所が行うこと、行わないこと:確認項目
作業自治体の事業で扱われるか公式ページの記載(2026年10月3日確認)
箱わなの設置・回収、捕獲個体の引取り自治体による(設置する例、貸出のみの例、行わない例)江東区・世田谷区は委託業者が設置・回収。千葉市・名古屋市は貸出。水戸市はハクビシンの捕獲を市では行わないと案内
捕獲許可の申請の受付窓口になる自治体が多い名古屋市は捕獲許可と箱の貸出の2つの申請を求める。水戸市は許可の条件を案内
毎日の見回り、餌の用意住宅側江東区・世田谷区は毎日の見回りと週1回程度の餌の付け替えを求め、餌代は申請者の負担
屋根裏・天井裏への設置、追い出し自治体による足立区は屋根裏・天井裏・床下も設置場所に挙げる。多摩市は屋内・屋根裏への設置と追い出しを行わない
侵入口の封鎖・修繕工事住宅側(助成がある区市もある)江東区は利用者の責務とする。足立区は費用を自己負担とし、別に最大10万円の助成制度がある
ふん尿の撤去、清掃・消毒住宅側江東区・足立区は利用者の対応とする。熊谷市は補助の対象経費に含める

参考:文京区|アライグマやハクビシンの被害を防ぐために

自治体の対応の型を実例で比べる(2026年10月3日時点の掲載)

次の表は、型の違う8つの区市の公式ページを、2026年10月3日に開いて確認した内容で、ページに表示された更新日も添えました。制度は年度ごとに変わり、予算が尽きれば受付が終わることもあるため、お住まいの自治体の最新のページで確かめてください。

委託業者が箱わなを置く型(江東区・世田谷区・足立区・多摩市)

東京の区では、区が専門業者に委託して、被害のある建物へ業者を派遣し、箱わなを置く例が目立ちます。江東区は現地調査で侵入の痕跡を確認できた場合に捕獲器を置き、確認できなければ終了します。世田谷区は、職員の聞き取りで該当すると分かれば、目撃していなくても対象とするとQ&Aで答えています。

足立区は屋根裏・天井裏・床下にも置けるとしますが、世田谷区は、天井裏は見回りと餌の交換が難しく、回収時に動物が暴れて危険なため、ほとんどの場合は屋外の侵入経路沿いに置くと説明しています。同じ区の事業でも、屋根裏に置くかどうかは現場の判断になります。

箱わなの貸出が中心の型(千葉市・名古屋市)

千葉市は、委託事業者が箱ワナを自宅へ届けて貸し出し、見回りは1日1回以上とされています。捕獲した動物には直接手で触れず、市へ連絡する流れです。詳しい流れは千葉市の箱ワナ貸出の流れと対象外の作業で読めます。

名古屋市は、捕獲許可の申請と箱の貸出の申請という2つが必要で、貸出期間は2か月です。運搬、管理、餌の入れ替えは申請者の自己責任とされ、捕獲された場合は市が回収します。自分で動く範囲が広い型です。

許可の案内が中心の型と、年度の途中で終わる型(水戸市・横浜市)

水戸市のよくある質問は、ハクビシンなどの駆除や捕獲は市では行っていないと答え、追い払いと出入り口の封鎖を勧めています。一方で、2026年4月更新の許可のページは、特定外来生物のアライグマは市で捕獲と駆除を行うとしており、動物の種類で窓口の対応が変わります。詳しくは水戸市のハクビシン・アライグマ対策で整理しています。

横浜市は、屋根裏などに侵入する被害に限って専門業者による箱わなの設置と回収を行う事業を案内していますが、確認した時点では予算の上限に達したため今年度の事業を終了していました。設置期間は1人2週間まで、年に1度限りで、庭に出る、庭の魚や野菜が食べられるといった被害は対象外です。

自治体の対応の型を実例で比べる(2026年10月3日時点の掲載):確認項目
自治体(ページの更新日表示)対応の型自治体が行うこと申請者側の条件・役割
江東区(2026年3月27日)委託業者の派遣現地調査で侵入の痕跡を確認すると捕獲器を設置。捕獲個体は業者が引取り毎日の見回りと、週1回程度の餌の付け替え。設置は2週間(延長で最大3週間)。同じ建築物は同一年度に原則1回
世田谷区(2026年10月2日)委託業者の派遣侵入経路などに捕獲器を設置。聞き取りで該当すると分かれば目撃なしでも対象立会い、毎日の見回り。設置は原則1週間、延長で最長4週間。公立施設・都営住宅・UR・店舗・社宅などは対象外
足立区(2026年9月1日)委託業者の派遣(屋内も可)屋外と、屋根裏・天井裏・床下に設置(構造上できない場合あり)。費用は無料立会い、毎日の見回り、餌代。設置は原則2週間で、利用回数の制限はなくその都度申請
多摩市(2025年12月4日)委託業者の派遣(屋外のみ)屋外の平地に捕獲器を設置・回収。屋内・屋根裏への設置と追い出しは行わない同一敷地で1基まで。餌の用意と費用は依頼者。空き地・農作地・事業収入のある物件は対象外
千葉市(2025年7月31日)箱ワナの貸出委託事業者が自宅へ届け、捕獲後に回収原則1か月の貸出。1日1回以上の見回り。捕獲したら市へ連絡し、直接触れない
名古屋市(2026年5月22日)箱の貸出(許可申請とセット)捕獲箱を2か月貸し出す。捕獲された場合は市が回収捕獲許可と貸出の2つの申請が必要。運搬・管理・餌の入れ替えは申請者の自己責任
横浜市(2026年9月16日)屋根裏侵入に限る箱わな設置(予算上限で終了)専門業者が設置・回収。1人2週間まで。確認時点では今年度の事業は終了庭に出る、庭の魚や野菜の被害は対象外。個人の捕獲は許可証・従事者証を受け、市契約の業者が回収
水戸市(許可ページ2026年4月15日、ハクビシンのFAQ2022年7月21日)許可の案内が中心ハクビシンの駆除・捕獲は市では行わず、許可申請を案内。アライグマは市が捕獲・駆除許可は狩猟免許の保有者が基本。免許がない場合は、住宅などの建物内の被害を防ぐ目的で小型の箱わな等を使う場合などに限る

参考:江東区|ハクビシン・アライグマ対策事業について

対応を受けられる条件|家屋への侵入・被害の確認・対象外の建物

多くの公式ページに共通する条件は、実際の被害があること、被害の動物が対象の種類であること、申請者が建物の所有者か管理者であること、見回りができることの4点でした。電話の前に、自分の状況がどれに当たるかを確かめておくと、話が早く進みます。

被害の確認と、鳴き声だけで対象になるか

江東区は、足音や鳴き声による騒音、ふん尿による汚損、建物の破損などを生活環境被害に挙げる一方、「見かけた」だけで実害がない場合は対象外としています。足音などの騒音被害だけなら、申請書に被害状況を書けば写真は省けると案内しています。

文京区は、家屋に侵入されてふん尿の被害がある、または庭の果樹に被害があることを要件にし、庭や道路で見かける、鳴き声が聞こえるだけでは対象にならないと書いています。同じ東京の区でも、鳴き声の扱いは異なるため、居住地の窓口で確かめます。

対象外になる建物と、申請できる人

世田谷区は、公立施設、都営住宅、住宅供給公社やURの賃貸住宅、店舗・工場・事務所、社宅・学生寮、私立の学校を対象外としています。足立区は、申請者を所有者または管理者とし、マンションなら管理会社か管理組合と案内しています。借りている住宅で被害に気づいたときは、先に管理側へ連絡しておくと話が進みます。詳しくは賃貸で害獣被害が起きたときを確認してください。

  • 被害があるか(足音・鳴き声、ふん尿、破損、庭の果実など)と、対象の建物の種類
  • 申請できる人が所有者か管理者か、賃貸なら管理会社・貸主の同意が要るか
  • 毎日の見回り、立会い、餌の付け替えができるか、できない日の代わりの人
  • 年度内の利用回数と設置期間、年度末や予算上限で受付が止まっていないか

参考:世田谷区|ハクビシン・アライグマ対策

ハクビシン駆除の補助金・助成は?探し方と、見つからないときの代替

「ハクビシン駆除 補助金」で探すと、市区によって中身がまるで違うことが分かります。業者へ支払う費用の一部を補助する例、侵入口の封鎖工事に助成する例、捕獲した人への報償金、そして箱わな事業を無料で行う例があり、確認できた4例を表にまとめました。

共通する注意は、着手前の申請が要る例が多いことです。山形市は交付決定の通知より前に実施したものを対象外とし、足立区は工事契約の前に申請するよう案内しています。また、熊谷市は予算額に達した時点で受付を終え、山形市は令和8年度分が上限に達して受付終了と表示していました。

自治体の補助金を探す手順

まず、住所地の市区町村のサイトで、「ハクビシン 補助」「有害鳥獣 補助金」「防除 助成」のように複数の語で検索します。見つからないときは、環境・保健・農政のどの課が野生動物を担当しているかを代表電話で聞き、その課に補助制度の有無を尋ねます。サイトに載せていない自治体もあるため、問い合わせて初めて分かることがあります。

補助制度があると分かったら、対象の業者の条件、対象経費(調査・追い出し・捕獲・清掃・封鎖のどこまでか)、申請の時期の3点を確認します。熊谷市と山形市の制度は熊谷市のアライグマ・ハクビシン防除補助金、山形市のハクビシン駆除補助で詳しく読めます。

補助金がないときの代替

補助金がなくても、江東区や足立区のように、箱わなの設置を無料で行う事業があれば、捕獲の費用は抑えられます。封鎖と清掃は住宅側に残るため、見積書の内訳を分けて読み、複数の業者から取り比べます。手順は害獣駆除の相見積もりの比べ方に整理してあります。

ハクビシン駆除の補助金・助成は?探し方と、見つからないときの代替:確認項目
自治体(確認日2026年10月3日)種類公式ページに載っていた内容気をつける点
熊谷市(2026年4月1日更新)業者への費用の補助補助率2分の1、上限5万円。対象は埼玉県ペストコントロール協会会員名簿の業者による現地調査、追い出し、捕獲・処分、清掃・消毒、侵入口封鎖令和9年3月31日までの申請で、受付順に審査し予算額で終了。防除は同一年度内に完了する必要
山形市(令和8年7月31日更新)捕獲費の補助有害鳥獣駆除業者への捕獲依頼の費用の2分の1、上限1万5千円。捕獲できなかった場合も対象交付決定の通知前に実施したものは対象外。令和8年度分は上限に達し受付終了と表示
足立区(2026年4月1日更新)侵入口閉塞工事の助成最大10万円(消費税相当額を除く)。申請から6か月以内に区の捕獲事業を利用し、屋内への侵入口が確認された人が対象工事契約の前に窓口で申請。年度内1回。日本ペストコントロール協会会員の事業者の工事に限る
いわき市(2026年4月1日更新)捕獲者への報償金1頭4,500円。許可または狩猟で適法に捕獲し、清掃センターで焼却処分したハクビシンが対象。令和8年度は500頭まで対象は猟友会会員や許可を受けた捕獲者で、住民の駆除費用の補助ではない

参考:熊谷市|熊谷市アライグマ・ハクビシン防除補助金のご案内

担当課の探し方と、電話で伝える情報

ハクビシンの相談先は、自治体によって名前が違います。確認したページでは、環境保全課(江東区、世田谷区、千葉市、水戸市)、環境課の美化啓発係(練馬区)、保健所の動物愛護係(足立区)、環境政策課(多摩市、熊谷市)、都市農業課(名古屋市)、環境活動事業課(横浜市)、鳥獣被害対策課(山形市)と、さまざまです。

サイト内の検索で「ハクビシン」「野生動物」「有害鳥獣」「箱わな」を試し、出てこなければ代表電話に「ハクビシンの被害の相談先の課を教えてください」と伝えます。東京都は、まず各区市町の環境部署や清掃部署などへ、と案内しています。最初の電話で伝える内容は、次のとおり決めておくと話が早く進みます。

  • 住所と、建物の所有者か管理者か賃借人か(賃貸なら管理会社の連絡先)
  • 被害の種類と始まった時期(足音の時間帯、天井のシミ、フン、庭の果実など)
  • 写真と日時のメモ(音だけの場合は聞こえた時刻と場所)
  • すでに行った対策(忌避剤、封鎖、業者の調査)と、動物を見たかどうか
  • 見回りと立会いができる人の有無と、連絡のつく時間帯

参考:東京都環境局|被害を防ぐために(アライグマ・ハクビシン)

役所の対応のあとに住宅側で必要な作業|封鎖・清掃・修理

箱わなで1頭捕まっても、侵入口が開いていれば別の個体が入るおそれが残ります。農林水産省の中型獣類編は、屋根裏や壁のすき間を使うアライグマやハクビシンは建物への依存度が高いと述べ、侵入防止対策を進めて休息場所の選択肢を減らせば被害の軽減につながると説明しています。横浜市も、追い出しに成功しても侵入口をそのままにすると再び侵入されるおそれがあるとしています。

封鎖を始める前に、農林水産省は中に動物がいないことの確認を求めています。材料は金属や板など丈夫なものとし、樹脂ネットや薄い合板は破られるおそれがあるとしています。高所の屋根や軒の作業は、転落や見落としの危険があるため、無理をせず専門業者に任せる選択肢もあります。

  • 封鎖は、侵入口の確認、中に動物がいないことの確認、材料と固定方法の決定の順に進める。工程の順番は、追い出し・封鎖・清掃の順に工程表で確かめる
  • ふん尿、断熱材、天井板の汚れは、清掃・消毒・交換のどこまでを誰が行うかを決め、見積書の項目に分けて書いてもらう
  • 賃貸や分譲マンションでは、外壁や屋根の工事の発注者と費用の負担者を、先に管理側と決めておく

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

自治体で足りないとき、業者へ頼む前に確認すること

自治体の事業が受けられない、受付が終わった、屋根裏には対応しないといった場合は、民間の業者へ相談します。国民生活センターは、害虫・害獣駆除サービスの相談が増えており、インターネット上の格安料金と実際の請求がかけ離れる例や、不安をあおって契約を急かす例、複数の見積もりを比べる時間を与えない例があると注意を呼びかけています。

町田市の資料は、住宅の害獣を駆除する専門業者は許可などの手続きを取っているため、法律に違反せず対象の動物を捕獲できる、と説明し、1社だけでは金額の高い安いが判断しにくいため複数の見積もりを勧めています。ただし資料は2021年3月時点のもので、依頼前に許可の取り方と、封鎖・清掃の範囲を業者に確かめます。

参考:国民生活センター|害虫・害獣駆除のトラブルにご注意