無許可の捕獲は違法|報奨金を目当てに罠を置く前に

アライグマ駆除の報奨金は、誰でも自由に捕まえて受け取れる制度ではありません。環境省は、野生の鳥獣は狩猟の場合を除いて原則として捕獲・殺傷が禁止されていて、被害がある場合に許可を受けて捕獲できると説明しています。アライグマは特定外来生物ですが、それだけで誰でも捕獲できるわけではありません。鳥獣保護管理法の条文では、違反に対して1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(旧表記の「懲役」が残るページもありますが、現在の条文は拘禁刑です)。

報奨金の対象から外れる条件も、公式ページに書かれています。栃木市は、無許可や許可期間外での捕獲、狩猟での捕獲は報償金の支給対象外としています。札幌市は、無許可で捕獲されたアライグマは引き取れないと案内します。いわき市は許可や従事者証を提示して搬入する仕組みで、春日市は従事者証の交付を受けた人が市の指定場所へ自分で搬入する仕組みです。報奨金を目的とした罠は、手続きを済ませてから置くものと考えてください。

住宅の被害で困っている人が実際に使えるのは、報奨金より、自治体の箱わな貸出や、委託業者による設置・回収、費用の補助であることが目立ちます。アライグマの箱罠は免許が必要?とアライグマ駆除の法律と許可で、許可と免許の違いを確認できます。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

アライグマを捕まえれば、誰でも報奨金をもらえますか?

比較ガイド

もらえません。野生鳥獣の捕獲は原則として許可が必要で、公式ページの例では、許可証や従事者証を持つ人、または市から貸出を受けた人などが対象です。無許可や許可期間外の捕獲は、対象外とする自治体もあります。

報奨金(捕獲報償金)とは何か|国の交付金との関係

報奨金(報償金)は、捕獲した頭数に応じて、自治体が捕獲者に支払うお金です。環境省の手引きは、アライグマの捕獲促進策として、1頭ごとに報奨金が支払われる場合があるとし、生息密度が高い地域では効果を発揮するものの、密度が下がって捕獲の労力に見合わなくなると意欲が下がり、効果には限界があると指摘しています。

財源には、国の交付金が使われる例があります。手引きの北海道新十津川町の事例では、報奨金制度に鳥獣被害防止総合対策交付金や多面的機能支払交付金が活用されました。農林水産省の資料(令和8年度版)によると、鳥獣被害防止総合対策交付金は、市町村が作る被害防止計画にもとづく取組を支援するもので、捕獲活動経費を頭数払いで支援する枠があり、獣の区分ごとに上限の単価が決められています。資料の金額表にアライグマの名前は出てこず、国が全国共通のアライグマ報奨金を直接支払う制度は確認できませんでした。実際の金額や対象は、市町村の要綱で決まります。

報奨金、補助金、貸出は、お金や物の流れがそれぞれ別の制度です。誰が何を受け取るのかを、次の表で整理します。

報奨金(捕獲報償金)とは何か|国の交付金との関係:確認項目
種類何に対して支払う・提供するか受け取る・使う人公式ページの例
報奨金(捕獲報償金)捕獲した頭数許可・従事者証などで適法に捕獲した人堺市、栃木市、春日市、いわき市
費用の補助金業者への支払いの一部被害を受けた住民熊谷市(防除補助金)
貸出・設置(現物の支援)箱わなの貸出、設置・回収被害を受けた住民(条件あり)船橋市、名古屋市、札幌市

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

対象者と条件|許可・従事者証・搬入・証拠の写真

公式ページを読むと、報奨金の条件には共通点があります。まず、捕獲の資格です。春日市は、外来生物法にもとづくアライグマ防除の従事者証の交付を受けた人、いわき市は福島県猟友会員で防除従事者として捕獲した人か、鳥獣捕獲等許可を受けた人、栃木市は市の捕獲許可を得た人を対象にします。堺市は、市から箱わなの貸出を受け、市内の農地で生きたアライグマを捕獲した人です。

次に、捕獲したあとの手続きです。春日市は、市の指定場所へ自分で搬入できることを求め、捕獲写真と口座の分かるものを提出します。いわき市は、清掃センターで頭数の確認を受けて計量伝票を受け取り、写真を添えて請求します。栃木市は、止め刺し・処分まで行ったあと、個体にマーキングして写真を撮り、捕獲報告書を提出します。堺市は、捕獲したアライグマの入った箱わなを市に提出します。いずれも予算の範囲内での交付で、春日市は事前の相談を求め、いわき市の令和8年度の対象は500頭です。

不正請求への対策も、公式ページに出てきます。いわき市は、他の自治体で不正請求の事案があったとして頭数の確認を厳格にしており、頭部と尻尾の数が確認できない状態で搬入すると交付できないことがあるとしています。堺市の要綱には、虚偽の報告などで報奨金を受けたときは返還を命じる定めがあります。写真や伝票の取り方は、あとで困らないよう事前に聞いておきます。

免許や許可がない人は、どう関わるか

許可や従事者証がない人は、報奨金の対象になりません。埼玉県は、県の計画にもとづいて捕獲する場合に限り、県や市町村の研修を受けて、市町村で従事者登録をすれば、狩猟免許がなくてもアライグマの捕獲に従事できると案内しています(令和8年度の研修日程は県のページに掲載)。ただし、この制度ではアライグマ以外の動物は捕獲できず、ハクビシンなども含めた有害捕獲は、原則としてわな猟免許を取得し、有害鳥獣捕獲許可を受ける必要があります。

参考:いわき市|令和8年度 いわき市アライグマ捕獲報償金交付制度について

自治体の実例を比べる|金額・対象・申請(2026年10月3日確認)

公式ページに掲載された報奨金の例を、確認日付きでまとめました。金額と条件は予算や年度で変わるため、申請の前に、最新の案内を必ず確認してください。表の自治体は、制度のある例として選んだもので、おすすめや順位ではありません。

埼玉県は、県の計画にもとづくアライグマ捕獲従事者の研修を県が開いていますが、報償金の有無や金額は市町村ごとに確認が必要です。埼玉県内では、最新の公式ページで報償金の記載を確認できた例がなく、表には載せていません。

千葉県の船橋市と愛知県の名古屋市の公式ページ(アライグマの箱わな貸出)には、確認した範囲で報奨金の記載がなく、無料の貸出と回収が中心でした。同じ県でも、報奨金の有無は市町村ごとに違います。県単位で一律に決まっている制度ではないため、住んでいる市町村の案内を探します。

自治体の実例を比べる|金額・対象・申請(2026年10月3日確認):確認項目
自治体金額(公式掲載)対象者・条件申請・提出の方法ページの更新日
堺市(大阪府)1頭2,000円市から箱わなの貸出を受けた人が、市内の農地で生きたアライグマを捕獲した場合捕獲したアライグマが入った箱わなを市へ提出。その年度の3月31日までに報告書を提出2026年3月19日(要綱は2024年7月1日)
栃木市1頭3,000円市の捕獲許可を得て、止め刺し・処分まで行った場合。無許可・許可期間外・狩猟は対象外マーキングと写真を添えて捕獲報告書を提出。四半期ごとに振込2025年12月16日
春日市(福岡県)1頭3,000円外来生物法にもとづく従事者証の交付を受け、市内で捕獲して市の指定場所へ自分で搬入できる人環境課で申請書と活動報告書、捕獲写真、口座情報を提出。予算に限りがあり事前に相談令和8年10月1日
いわき市(福島県)1頭4,500円(令和8年度の対象は500頭)福島県猟友会員で防除従事者として捕獲した人、または鳥獣捕獲等許可を受けた人清掃センターに搬入して計量伝票を受け取り、写真を添えて請求書を提出2026年4月1日

参考:春日市|アライグマ捕獲報償金

一般の住宅被害で使える制度か|箱わな貸出・補助との違い

屋根裏のフンや物音で困っている住民は、多くの場合、報奨金を受け取る立場ではありません。報奨金は捕獲する人への支払いで、被害を受けた人が使うのは、箱わなの貸出や設置、費用の補助です。次の表に、公式ページの例を比べました(2026年10月3日確認)。

船橋市の案内は、設置と撤去、捕獲した個体の回収を市が委託した業者が行い、猫やタヌキなど対象外の動物はその場で放すとしています。熊谷市の補助は、現地調査、追い出し、捕獲・処分、清掃・消毒、侵入口封鎖が対象です。いずれも、被害を受けた人の負担を軽くするための制度で、捕獲頭数に応じた報奨金ではありません。費用の全体像はアライグマ駆除の費用・相場、補助金の探し方は害獣駆除の補助金・助成金にまとめています。

屋根裏の被害で別に必要になる作業

屋根裏への侵入では、報奨金の対象となる捕獲だけでなく、侵入口の封鎖や清掃が必要になります。札幌市は、わなの管理が難しい場合や、屋根裏のフンの清掃・消毒を希望する場合は、民間の専門業者へ相談するよう案内しています(自己負担)。アライグマ駆除は市役所・保健所に頼める?で、自治体が対応する範囲を型別に比べられます。

一般の住宅被害で使える制度か|箱わな貸出・補助との違い:確認項目
支援の型自治体(更新日)使える人・条件対象になる作業・注意
市の委託業者が設置・回収船橋市(2026年8月19日)自宅など敷地内の庭。写真の添付が必須無料。設置期間は最大8週間。屋根裏の侵入への対応や追い払いはしない。令和8年度は新規設置を優先
捕獲箱の貸出と市の回収名古屋市(2026年5月22日)町内会長や、近隣3世帯の同意を得た人、農業者など。捕獲許可の申請も必要貸出は2か月。捕獲された場合は市が回収する
委託業者の設置と、毎日の見回り札幌市(2026年3月31日)自宅の敷地内最長4週間、年2回まで。毎日の見回りと餌の準備は依頼者。年間の受付数に上限
業者費用の補助熊谷市(2026年4月1日)被害を受けた市内の家屋に居住する市民など補助率2分の1、上限5万円。埼玉県ペストコントロール協会会員名簿の業者の施工が対象。予算に達した時点で受付終了

参考:船橋市|アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)

報奨金の探し方と問い合わせ先

制度の名前は、自治体によって違います。堺市は「有害鳥獣被害防止報奨金」、春日市といわき市は「捕獲報償金」、栃木市は「報償金」と呼んでいます。「市名 アライグマ 報奨金」だけでなく、「市名 有害鳥獣 捕獲報償金 要綱」「市名 アライグマ 防除 従事者」でも探してみてください。堺市は要綱を公開しており、対象者と金額を条文で確認できます。

窓口は、被害の種類で分かれる場合があります。堺市は、農作物被害は農水産課、生活環境被害は環境共生課に分けて案内しています。いわき市は環境企画課、春日市は環境課、栃木市は農林整備課獣害対策係が窓口です。農林水産省の交付金の資料も、まずは被害防止計画を策定する市町村に相談するよう案内しています。

  • 対象者(許可、従事者証、わな猟免許のどれが必要か)
  • 対象になる捕獲の場所(農地か、住宅の敷地か、市内全域か)
  • 搬入先と受付時間、休日の扱い
  • 申請の期限(年度末か、四半期ごとか)と、予算の上限
  • 証拠の取り方(写真、計量伝票、マーキングなど)
  • 支給対象外になる場合(無許可、許可期間外、狩猟など)

参考:堺市|アライグマによる農作物被害対策について(2026年3月19日更新)

業者に頼むとき、報奨金や補助とどう関わるか

民間の業者に屋根裏の調査や捕獲、封鎖、清掃を頼む場合、報奨金の対象になるかは制度ごとに違います。今回確認した例では、報奨金の対象は、許可や従事者証を持つ捕獲者でした。柏市は、自分で用意したわなにかかったアライグマは回収せず、自分で探した業者に自費で駆除を依頼するよう案内しています。熊谷市のように、業者への支払いの一部を補助する制度は、報奨金とは別の窓口と条件です。屋根裏の調査や封鎖、清掃の費用は、屋根裏の害獣駆除費用の内訳で項目別にまとめています。

業者に頼む前に、見積もりで何が含まれるのかと、自治体の補助の対象かを確認すると、費用の見通しが立てやすくなります。アライグマ駆除業者の選び方で、捕獲手続き、封鎖、清掃で比べる基準を整理しています。報奨金は1頭あたり数千円の例が確認できる程度で、業者費用の穴埋めを前提にするのは現実的ではありません。

参考:柏市|アライグマにお困りの方