害獣駆除の法律と対象|鳥獣保護管理法の基本と許可が必要な行為

「害獣」という言葉は、今回確認した鳥獣保護管理法と外来生物法の条文には出てきません。法律が使うのは「鳥獣」や「特定外来生物」で、鳥獣保護管理法は、鳥獣を鳥類または哺乳類に属する野生動物と定義しています(2条1項)。そのため、ゴキブリやシロアリ、ハチなどの昆虫、ヘビなどの爬虫類は、この法律の対象となる鳥獣には当たりません。

同法8条は、鳥獣と鳥類の卵を、捕獲、殺傷、採取、損傷してはならないと定めています。環境省の捕獲許可制度の説明では、狩猟による捕獲を除き、原則として捕獲等が禁止され、生態系や農林水産業への被害がある場合や学術研究の必要性がある場合などに、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できるとされています。家屋への被害が出ている動物でも、許可なく自分で捕まえてよいわけではありません。狩猟鳥獣は、免許と登録による狩猟でも捕獲できます。垣や柵で囲まれた住宅の敷地内で銃器を使わずに狩猟鳥獣を捕獲する場合に免許と登録を要しない規定もありますが(11条1項2号ロ)、狩猟期間中で、鳥獣保護区などを除く区域に限られ、禁止猟法などの制限も適用されます。内容は2026年10月3日時点で確認した条文と資料に基づきます。

「有害鳥獣捕獲」とは

自治体の案内では、被害を防ぐための許可捕獲を有害鳥獣捕獲と呼んでいます。東京都や大阪市は、生活環境、農林水産業、生態系に被害が生じているか、そのおそれがある場合に、被害の防止や軽減を図るために行うものとし、原則として被害防除対策によっても被害が防止できないときに許可を申請する、と説明しています。

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

読者の疑問

害獣駆除に資格や許可は必要ですか?

比較ガイド

方法によります。野生の鳥獣の捕獲や殺傷には、許可か狩猟の手続きが必要です。餌やごみの管理、侵入口の封鎖など捕獲しない対策は許可を要しません。家ネズミ3種は鳥獣保護管理法の対象外です。

家ネズミ3種は法律の対象外?法の対象外になる動物の確認

鳥獣保護管理法80条は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣などを、環境省令で定めて法の適用から外しています。施行規則78条の表に載っているのは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種です。環境省も、平成14年の改正でネズミ・モグラ類が鳥獣に含まれたうえで、いえねずみ類3種は対象外と説明しています。

ここで気をつけたいのは、「ネズミなら何でも対象外」ではない点です。大阪市も、法の対象にならないのはネズミ類3種と一部の海棲哺乳類と案内しており、野山にいるネズミなど、3種以外は対象に含まれます。3種かどうかはネズミ3種の見分け方と違いで確認できます。対象外であっても、薬剤は製品表示に従い、子どもやペットの誤食を防ぐ必要があります。殺鼠剤と捕獲器の選び方も参考にしてください。

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則

動物別の早見表|害獣駆除の法律・許可・できること

次の表は、環境省の狩猟鳥獣の一覧、特定外来生物の一覧、法令の条文をもとに、当サイトが動物ごとにまとめた早見表です。地域によって許可の窓口や運用が異なるため、実際の手続きは自治体で確認してください。動物別の対応は、イタチかもしれない動物の確認、コウモリが出入りしているときの対策、アライグマを見かけたときの相談と記録(大阪の例)で詳しく扱っています。

動物別の早見表|害獣駆除の法律・許可・できること:確認項目
動物主な法律狩猟鳥獣か許可なくできること・できないこと
ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ鳥獣保護管理法の対象外(80条)対象外同法の許可は不要。薬剤・器具は製品表示と注意事項に従う
コウモリ類鳥獣保護管理法狩猟鳥獣ではない捕獲・殺傷は許可が必要。侵入口の封鎖や環境の見直しは、取り残さないよう注意して行う
イタチ類鳥獣保護管理法イタチは雄のみ、シベリアイタチは狩猟鳥獣捕獲は狩猟または許可が必要。メスのイタチは狩猟もできない
アライグマ外来生物法+鳥獣保護管理法狩猟鳥獣飼育、生きたままの運搬などは原則禁止。捕獲は防除の従事者、許可、狩猟のいずれか
ハクビシン鳥獣保護管理法(特定外来生物の一覧には載っていない)狩猟鳥獣捕獲は狩猟または許可が必要
タヌキ・アナグマ鳥獣保護管理法狩猟鳥獣捕獲は狩猟または許可が必要
ヌートリア・クリハラリス・キョン外来生物法+鳥獣保護管理法ヌートリアとクリハラリスは狩猟鳥獣、キョンは狩猟鳥獣ではない飼育・運搬などは原則禁止。捕獲は防除の従事者か許可、狩猟(キョンを除く)
イノシシ・ニホンジカ鳥獣保護管理法狩猟鳥獣捕獲は狩猟または許可が必要。接近や追い回しは危険
カラス・ムクドリ・スズメ・キジバト鳥獣保護管理法狩猟鳥獣(ヒナと卵は狩猟の対象外)成鳥の捕獲は狩猟か許可。卵とヒナのいる巣は、許可が必要
ドバト・ツバメなど他の野鳥鳥獣保護管理法狩猟鳥獣の46種に含まれない捕獲や卵の採取は許可が必要。巣の撤去は事前に自治体へ確認

参考:環境省|狩猟制度の概要(狩猟鳥獣)

外来生物法で禁止されていること|アライグマの運搬・飼育・放獣

外来生物法では、特定外来生物について、飼育、栽培、保管、運搬(まとめて飼養等)、輸入、野外へ放つ・植える・まくこと、許可のない相手への譲渡しや引渡し、販売が原則禁止されています。環境省の特定外来生物等一覧には、アライグマ、ヌートリア、クリハラリス(タイワンリス)、アメリカミンク、キョンなどが載っています。一方で、ハクビシンはこの一覧に見当たりませんでした。

環境省は、特定外来生物を野外で捕まえた場合、持って帰ること(運搬)は禁止されるが、その場ですぐに放すことは規制の対象にならないと説明しています。ただし、アライグマのような特定外来生物は、自治体が防除を進める対象です。捕獲した後の扱いは自治体の制度ごとに決まっているため、自分の判断で運んだり、別の場所で放したり、飼ったりしないでください。川西市も、アライグマの飼育、放獣、生きたままでの移動は外来生物法で禁止されていると案内しています。

外来生物法で禁止されていること|アライグマの運搬・飼育・放獣:確認項目
行為外来生物法の条文罰則(個人)
飼養等(飼育・保管・運搬など)4条1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科(販売や頒布の目的なら3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科)
輸入、飼養等に係る個体の野外への放出7条・9条3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(拘禁刑と罰金の併科もある)
許可のない相手への譲渡し・引渡し・引取り8条1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、または併科(販売や頒布なら3年以下・300万円以下)

参考:e-Gov法令検索(デジタル庁)|特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律

許可なくできる害獣対策|追い出し・侵入口の封鎖・環境の見直し

環境省は、鳥獣保護管理法の概要の中で、地域の取り組みとして、未収穫の作物や生ごみなどの適切な管理と、鳥獣の追い払いの徹底などによって、鳥獣を誘引しないようにすることを挙げています。捕獲や殺傷に当たらない対策は、餌になるものを減らし、巣を作りやすい場所をなくし、すき間を塞ぐといった環境側の見直しです。

コウモリについて浜松市は、捕獲することが困難なうえ許可が必要になると案内し、出入り口を塞ぐときは建物内にコウモリが取り残されないよう注意することを求めています。取り残すと閉じ込めて死なせてしまい、死体が臭気や害虫の発生源になるためです。傷つけずに離れてもらう方法が捕獲に当たるかを環境省が示した資料は確認できなかったため、迷う場合は自治体へ問い合わせてください。

法律上、してはいけないこと

次の行為は、許可や手続きなしに行うと法律に触れるおそれがあります。わなの設置方法や薬剤の使い方は、この記事では扱いません。

  • 許可や狩猟の手続きなしに野生の鳥獣を捕獲、殺傷する。卵を採ったり傷つけたりする
  • 毒薬、劇薬、爆発物を使って鳥獣を捕獲する(危険猟法の禁止、法36条)
  • 囲いのある土地や作物のある土地で、占有者の承諾なしに捕獲する(法17条)
  • 特定外来生物を飼う、生きたまま運ぶ、別の場所へ放す

参考:環境省|鳥獣保護管理法の概要

許可の申請先と罰則|無許可で捕獲するとどうなるか

鳥獣保護管理法9条の許可は、国指定鳥獣保護区内や希少鳥獣の捕獲などでは環境大臣、それ以外は都道府県知事が出します。環境省は、多くの都道府県で、地方自治法の規定や鳥獣被害防止特措法6条に基づき、許可権限の一部を市町村長に移していると説明しています。許可の基準は都道府県の鳥獣保護管理事業計画で定められているため、窓口と必要書類は都道府県や市町村に確認してください。

東京都は、申請書、理由書、捕獲する場所の図面、捕獲方法の図面などの提出を求めています。大阪市は、大阪府から権限が移され、市が許可できる鳥獣を一覧で示し、許可申請の手数料は無料としています。罰則は、狩猟鳥獣以外の鳥獣を許可なく捕獲した場合が、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(83条1項1号)。狩猟鳥獣でも、狩猟できる区域や期間の外で許可なく捕獲すれば、同じ罰則の対象です(同項2号)。検索で見かける「コウモリ 駆除 逮捕」は、この刑罰の定めに関わる話で、実際の運用は個別の事案によります。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

害獣駆除の担当省庁は?環境省・農林水産省・厚生労働省・消費者庁の役割

害獣対策は、被害の種類ごとに担当が分かれています。相談の入口は多くの場合、市区町村と都道府県の窓口です。省庁の役割を押さえると、どの情報を見ればよいかが分かります。

害獣駆除の担当省庁は?環境省・農林水産省・厚生労働省・消費者庁の役割:確認項目
省庁主な役割(確認できた範囲)個人が関わる場面
環境省鳥獣保護管理法と外来生物法の所管。狩猟制度、捕獲許可制度、特定外来生物の指定と防除の考え方を示す捕獲の要否、特定外来生物の扱いを調べるとき
農林水産省鳥獣被害防止特措法に基づき、市町村が中心の被害防止の取り組みを支援農作物被害や、市町村の被害防止計画を調べるとき
厚生労働省建築物衛生法に基づき、大臣や厚生労働省令が定める事項を担う。同法4条の建築物環境衛生管理基準は、ねずみ、昆虫等の防除を含む大規模な建物の管理者が防除の基準を確認するとき
消費者庁特定商取引法の所管。消費者ホットライン188の案内駆除業者との契約や請求でトラブルになったとき

参考:農林水産省|鳥獣被害対策コーナー

業者に頼むときに法律面で確認すること

捕獲を伴う作業を業者に頼む場合は、どの動物が対象で、許可や従事者証が必要か、誰が申請するかを先に聞いておくと安心です。業者選びの質問全般は害獣駆除業者の選び方と7つの質問に、卵やヒナのある巣は巣に卵やヒナがあるときの確認先にまとめています。

自分で箱わななどを使えるかを調べたいときは、害獣の罠に資格は必要?狩猟免許・捕獲許可・講習の違いで、狩猟免許、捕獲許可、自治体の従事者の違いを整理しています。業者から「許可は不要」とだけ説明された場合は、動物の種類と作業内容を示して、根拠を書面で尋ねてください。

  • 対象の動物名と、その動物に必要な許可の有無
  • 許可や従事者証が必要な場合、誰が申請し、どの自治体に出すか
  • 捕獲後の個体の扱い(処分、引取り)を誰が行うか
  • 封鎖工事だけの作業と、捕獲を伴う作業が、見積書で分かれているか