アライグマのフンの特徴|大きさ・形・内容物

農林水産省の特定外来生物編(平成21年度作成)は、アライグマの糞について、雑食のため食べた物によって形が変わると説明しています。糞の直径は2〜3cm程度、長さは5〜18cm程度で、いくつかの断片に分かれていることも多く、道路沿いや石の上など目立つところに糞をすることが多い、とされています。

細かく噛まずに食べるため、糞の中には動物の骨や昆虫の羽、種子などの断片が含まれる、とも書かれています。農林水産省の中型獣類編(令和6年3月)は、糞の形と見つかる場所から獣種を絞る図を載せたうえで、糞は時期や食べ物によって色や形が変わり、図がすべての条件に当てはまるわけではないと注記しています。

大きさと形

公的資料の数値は、直径2〜3cm、長さ5〜18cmという幅のある範囲です。断片に分かれることがあるため、1つの塊ではなく、数個が連なって見つかることがあります。写真を撮るときは、定規や硬貨など大きさの分かるものを横に添えると、相談先に伝わりやすくなります。

中身と色は、食べ物で変わる

果実や農作物を食べた時期と、動物質を多く食べた時期とで、色も中身も変わります。環境省の手引きは、アライグマは夏には動物質を、秋には植物質を多く食べる傾向があると説明しています。見た目の特徴は目安にとどめ、種類を決める材料にしないでください。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 特定外来生物編(アライグマ、ヌートリア、キョン、マングース、タイワンリス、平成21年度作成)

読者の疑問

アライグマのフンは、猫やタヌキと見分けられますか?

比較ガイド

フンだけでは断定できません。農林水産省は直径2〜3cm、長さ5〜18cm程度で骨や種子が混じるとしますが、食べ物で形が変わります。見つかった場所や足跡・爪痕と合わせて見てください。

フンがたまる場所|屋根裏・雨どい・目立つ場所と「ため糞」の扱い

ため糞は、同じ場所に繰り返し排泄してたまった糞のことです。公的資料で確認できたのは、屋根裏にたまった糞尿、雨どいやベランダの一角にまとまった糞、道路沿いや石の上の糞といった記載です。ただし、アライグマの「ため糞」という習性を、国の資料が一般的に説明しているわけではありません。ため糞という習性を明記している資料として確認できたのは、ハクビシンについての横浜市の説明と、タヌキについての農林水産省の説明です。

環境省の手引きは、アライグマが屋根裏などに侵入して繁殖することがあり、侵入された場所では糞尿による汚損が発生し、屋根裏にたまった糞尿による汚れの写真を載せています。東京都は、雨どいやベランダの一角にまとまって何かの糞がある、屋根裏で大きな音がする、天井にシミができたという項目を、アライグマやハクビシンが侵入していたり住みついていたりする可能性の目安に挙げています。

「マーキング」と言われる行動について

農林水産省は、タヌキのため糞を生活エリアの境界を示すものと説明し、掃除してもすぐ作られるとしています。一方、アライグマについては、明確なナワバリはないが、個体ごとにある程度決まった行動域を持つと書いています。アライグマのフンを縄張りを示すマーキングとして説明した公的資料は、今回確認できませんでした。タヌキの説明を、そのままアライグマにあてはめないでください。

フンがたまる場所|屋根裏・雨どい・目立つ場所と「ため糞」の扱い:確認項目
見つかる場所公的資料の記載見方
屋根裏・天井裏アライグマが屋根裏に入ると糞尿による汚損が生じる(環境省)。ハクビシンはねぐらで排泄し、糞尿が積もって天井板が落ちた例もある(農林水産省)天井のシミや、点検口から見える汚れの写真を残す。屋根裏へは入らない
雨どい・ベランダの一角まとまった糞を、侵入や住みつきの可能性がある項目に挙げる(東京都)位置と広さを写真に残す。動物の種類は決めない
道路沿い・石の上など目立つ場所アライグマは目立つところに糞をすることが多い(農林水産省・平成21年度作成)庭では、塀の上、石、コンクリートの上を確認する
竹林・防草シートの上などの庭や農地タヌキのため糞の例が写真で示され、生活エリアの境界に作られるとされる(農林水産省)同じ場所に繰り返し出るかを、日付つきで記録する

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

アライグマ・ハクビシン・タヌキ・猫のフンの違い(比較表)

フンの見分けは、公的資料でも決定打とはされていません。町田市の資料は、庭の動物の糞が猫か野生動物かを見分けるとき、果物の種が混じっていたり、果物の甘い香りがしたりすればハクビシンの可能性が高いとしつつ、混じっていない場合は判別が難しくなるとしています。次の表は、資料にある記載を並べたもので、「確認できず」は、今回確認した資料に記載がなかったことを示します。

足跡と爪痕を含めた見分けは、ハクビシンとアライグマの見分け方、アライグマとタヌキの違いで整理しています。ベランダや屋根裏でフンを見つけたときの最初の確認は、動物を決めずに写真と場所を記録するところから始めます。

アライグマ・ハクビシン・タヌキ・猫のフンの違い(比較表):確認項目
比べる点アライグマハクビシンタヌキ猫・ネズミ(参考)
大きさ・形直径2〜3cm、長さ5〜18cm程度。断片に分かれることも(農林水産省)種が混じった棒状で、長さ5〜15cmくらいの例(町田市)確認できずネズミは細長い米粒状で長さ1cmくらい(町田市)。猫の糞は、ハクビシンの糞と似るとされる(世田谷区)
中身動物の骨、昆虫の羽、種子など(農林水産省)柿の種や銀杏の殻などが混ざる(世田谷区Q&A)。果物の種や甘い香り(町田市)確認できず確認できず
場所の癖道路沿い・石の上など目立つ場所に多い。屋根裏にも糞尿がたまる(農林水産省・環境省)同じ場所に繰り返し糞をする(ため糞)。天井裏にたまる(横浜市・町田市)ため糞は生活エリアの境界に作られ、掃除してもすぐ作られる(農林水産省)確認できず
注意時期や食べ物で色や形が変わる(農林水産省)同上同上天井裏のフンは、ネズミとハクビシンで大きさが違う(町田市)

参考:町田市|アライグマ・ハクビシンに気をつけましょう(天井裏の糞、PDF)

フンに触る前の注意|寄生虫・細菌

アライグマのフンは、素手で触らないことが基本です。世田谷区は、野生動物は目に見えない寄生虫や人に感染する病原体を持っていることがあるため、素手で触らず、ペットを近づけないよう呼びかけています。農林水産省も、糞尿の処理では、寄生虫の虫卵などが付着している可能性を挙げています。

公的資料が挙げる病原体

環境省の手引きは、アライグマに関する主な人獣共通感染症として、レプトスピラ症、アライグマ回虫症、アライグマ糞線虫症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などを挙げています。レプトスピラは、感染した動物の尿や、尿に汚染された水、土壌から、皮膚や粘膜の傷などを通じて人に感染します。アライグマ回虫症は、糞とともに出た虫卵が人の口に入って起こり、手引きは、日本の野生のアライグマでは寄生例が確認されていない(2002年10月までのデータ)、一方で動物園の飼育個体では確認があると説明しています。

厚生労働省のハンドブックは、アライグマ回虫症を、日本では患者発生の報告がない感染症に分類しています。アライグマ糞線虫症は、手引きによると、和歌山県で捕獲された個体の約3割で確認された事例があり、皮膚の発疹や腸管の寄生を起こすとされます。SFTSについては、アライグマが糞便中にウイルスを排出する可能性が指摘されています。リスクを大きく見すぎず、小さく見すぎず、触らないという対応につなげてください。

触る前に確認すること

農林水産省の中型獣類編は、手袋を着用して肌を露出しない服装とし、糞尿、血液、唾液などに直接触れないことが第一で、作業に使った衣類や機材は洗浄・消毒するよう求めています。マダニへの注意として、屋外での作業のあとはすぐに入浴して全身を洗い、衣服を替えることも挙げています。体調に変化があるときは、動物のフンを扱ったことを伝えて、医療機関や保健所に相談してください。

  • 素手では触らない。ペットや子どもを、フンのある場所へ近づけない
  • 動かす・掃く・洗い流す前に、場所と状態を写真で残す
  • 触った手で顔や口に触れず、石けんと流水で洗う
  • 屋根裏・床下など、足場が悪く暗い場所には入らない

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

片付けと消毒を頼む範囲

片づけを自分で行うか、頼むかの線引きは、公的資料が一律に決めているわけではありません。ここでは当記事の整理として、場所と量で目安を表にしました。屋内の狭い場所、屋根裏、断熱材に染みた汚れは、自分で扱う範囲を超えると考えてください。屋根裏の清掃や断熱材の交換を含む費用は、屋根裏の害獣駆除費用の内訳で項目別にまとめています。

自治体の箱わな事業を利用する場合でも、片づけは住宅側に残る例が多くあります。江東区はふん尿の撤去、清掃・消毒を利用者の対応とし、足立区も、糞尿撤去と雑菌消毒を利用者が行うとしています。熊谷市は、天井裏の排泄物の清掃と薬剤による消毒を、補助の対象経費に含めています。見積もりの範囲は害獣清掃の見積書を比べる確認票で確認できます。

片付けと消毒を頼む範囲:確認項目
見つかった場所考え方の目安(当記事の整理)理由
庭・ベランダ・玄関先の少量屋外で量が少なければ、防護して自分で扱うことも考えられる。処分は自治体のごみの出し方を確認する風通しがあり、足場も安定している。ただし、素手で触らない
物置・車庫・縁の下など狭い場所広がっている、においが強いときは、調査とあわせて業者へ相談する狭く暗い場所で、道具や換気が足りない。動物が残っているおそれもある
屋根裏・天井裏・床下・断熱材自分では触らず、調査と清掃を業者に依頼する足場が悪く、汚染範囲が見えにくい。断熱材や天井板の交換が必要な場合もある
  • 見積書では、フンの回収、清掃、消毒、消臭、断熱材などの交換が、別の項目になっているか確認する
  • 汚染が広い場合は、断熱材の交換が必要かどうかも、写真つきで説明してもらう

参考:江東区|ハクビシン・アライグマ対策事業について

フン以外の痕跡(足跡・爪痕)との照合

フンだけで決めずに、足跡や爪痕と照らし合わせます。東京都の見分け方の資料は、アライグマは指が5本で爪が長く、足跡の爪あとは明瞭、ハクビシンは指が5本で爪あとは不明瞭、タヌキは足跡の指が4本で全体に丸く、猫に似るが爪あとは明瞭と整理しています。農林水産省の特定外来生物編は、アライグマは歩くときに踵まで地面につくため、前後に長い足跡になり、人の手形に似る、としています。

爪痕について、環境省の手引きは、アライグマが木造建築に入るときに柱に爪を立てて登り降りするため爪痕が残るとしつつ、ハクビシン、イタチ類、猫も同様の爪痕を残すことがあると書いています。爪痕だけでは種類を決められません。足跡の撮り方と限界は、アライグマの足跡は5本指?にまとめています。

  • 足跡:指の数、爪あとの有無、大きさを、定規を添えて写真に残す
  • 爪痕:柱や壁の位置と高さ、数を記録する(ハクビシン・イタチ類・猫も残すことがある)
  • 音:夜の足音や声の時刻を記録する。声はアライグマの鳴き声の記載例も参照する

参考:東京都環境局|アライグマ・ハクビシン等の見分け方(PDF)

自治体へ連絡するときに伝えること

アライグマは特定外来生物で、環境省の手引きによると、2023年の外来生物法の改正で、市町村には被害の防止に必要な措置を講じるよう努める責務が生じています。東京都は、アライグマ・ハクビシンの被害にあったときは、まず各区市町の環境部署や清掃部署などへ問い合わせるよう案内しています。窓口の名前と対応の範囲は自治体で違うため、ハクビシン駆除を市役所・区役所に頼めるかに実例の比較をまとめました。

電話では、フンの場所と量、見つけた日、大きさの目安、他の痕跡(足跡、爪痕、夜の音、天井のシミ)、触っていないこと、すでに行った対策を伝えます。写真があれば、聞き取りが短く済みます。現物を集めて持ち込む前に、写真で足りるかを窓口に確かめ、まずは触らずに撮った写真と記録を用意します。

  • フンの場所(屋根裏、ベランダ、庭など)と、見つけた日、量の目安
  • 定規を添えた写真(全体、近景)と、周囲の足跡・爪痕・シミの写真
  • 夜の足音や声の記録(時刻、続いた長さ)
  • 触っていないこと、ペットや子どもの出入り、すでに行った対策

参考:東京都環境局|被害を防ぐために(アライグマ・ハクビシン)