冬に屋根裏で音を出す動物と、動物ごとの冬の過ごし方
冬の天井裏の音は、「寒いから動物が入ってきた」と一言では説明できません。公的な資料では、ネズミは秋から冬に食欲が増える時期とされ、コウモリは冬眠し、アライグマは1〜3月に交尾期を迎えるなど、動物ごとに冬の事情が違います。冬に音がする理由も、動物によって別々です。
建物の天井裏や屋根裏は、農林水産省のマニュアルで、アライグマやハクビシンが休息や子育てに使う場所として挙げられています。冬に建物へ近づく動物が増える理由として、外の餌が減る、暖かい場所を探すといった説明をよく見かけますが、この記事で使った公的資料には、そう断定する記述は見当たりませんでした。そのため、表には資料に書かれた事実だけを載せ、推測は区別して書きます。
動物の名前が分からなくても、時間帯・音・痕跡を記録すれば候補は絞れます。まず天井裏で音がするとき最初にできることを読み、下の表で、どの動物の冬の動きが当てはまるかを見てください。
| 動物 | 冬の時期について資料に書かれていること | 冬の確認の目安 |
|---|---|---|
| ネズミ | さいたま市は、1.5cm程度の隙間があれば通り抜けられると案内し、秋から冬はネズミの食欲が増える時期としています | 夜の足音、食品や電線のかじり跡、壁際の汚れを記録し、小さな隙間も外周から確認する |
| コウモリ(アブラコウモリ) | 前橋市は、活動期間は春から秋で、冬は11月頃から4月頃まで冬眠するとし、生息場所に屋根裏、戸袋、換気口を挙げています | 冬は音が少なくても、冬眠中の個体が残っている可能性がある。フンや汚れの位置を記録する |
| アライグマ | 国立環境研究所は、1〜3月に交尾し、4〜6月に出産するとし、巣は木のうろ、岩穴、人家などと記載しています。農水省は、休息や子育てを屋根裏や壁の隙間で行うと説明しています | 交尾期から出産期へ向かう時期。夜間の足音や屋根裏の汚れを記録し、自分で捕まえようとしない |
| ハクビシン | 農水省は、夜行性で昼間は建物内で休息し、特定の繁殖時期はなく年間を通じて繁殖すると説明しています | 冬も建物を休息に使う可能性がある。昼から夕方の物音も時刻つきで記録する |
| タヌキ | 農水省は、繁殖は2月頃から始まり、休息場は建物の床下や空き家などを使うと説明しています | 床下の物音や、同じ場所に残る「ため糞」を記録する。床下には無理に入らない |
| アナグマ | 農水省は、冬季に穴ごもりをし、関東では12月中旬から2月中旬の約2か月は見られなくなると説明しています。九州南部など温暖な地域では穴ごもりは見られません | 冬に姿が見えなくても、庭や斜面の巣穴の位置を写真に残す |
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル【総合対策編】令和5年3月版 第2章 鳥獣被害対策の基本的な考え方(PDF)
冬に天井裏から音がするのは何の動物ですか?
音だけで種類は決められません。冬もネズミが出入りする可能性があり、アライグマは1〜3月が交尾期、ハクビシンは年間を通じて繁殖します。コウモリは冬眠して音が少ない場合があります。時間帯と音を記録して相談します。
冬のネズミ対策|秋から冬に確認したい侵入口と食べ物
さいたま市は、ネズミ対策の基本は、侵入経路をなくし、餌になるものを管理して生活しにくい環境をつくる「環境的防除」だと案内しています。どの種類のネズミにも効果があり、住居に入ったネズミを駆除するときも、まずこの対策から始めるとよいとされています。冬は窓や換気口を閉める季節ですが、外周の点検は明るい日中のうちに行えます。
侵入口は1.5cmの隙間から確認する
同市は、ネズミは1.5cm程度の隙間があれば通り抜けられるため、住居の周辺や内部を点検して、侵入口や生活場所になっている箇所を調べるよう案内しています。配管の貫通部、換気口、軒の取り合いは、指が入る程度の隙間でも見落とさないようにします。金網で直す前の相談の仕方は防鼠金網ですき間を直す前ににまとめています。
- 外壁を通る配管やエアコン配管のまわりに、すき間や破れがないか
- 換気口や通気口の網が外れていないか、錆びていないか
- 軒や屋根の取り合いに、指が入る程度の穴や欠けがないか
食べ物の管理と、薬剤を使う時期の考え方
ネズミの餌になりそうなものを適切に保管すると、殺そ剤を使う場合にも有効だと、さいたま市は説明しています。同市は、殺そ剤の設置は、ネズミの食欲が増える時期であることと、死骸が腐りにくい季節であることから、秋から冬の間がよいとしています。
ただし、薬剤は製品表示の使用方法に従い、子どもやペットの誤食、死骸の回収方法を先に決めておく必要があります。天井裏の動物がネズミと確認できていない段階で薬剤を使うのは避けます。選び方は殺鼠剤と捕獲器、どう選ぶ?で比較しています。
冬眠中のコウモリや穴ごもりの動物を閉じ込めない注意
冬は、いるはずの動物が見えなくなる季節でもあります。見えないことと、いないことは別なので、封鎖の判断では「中に動物が残っていないか」を最優先に確認します。野生鳥獣を勝手に捕獲することは法律で禁止されているため、追い出しや封鎖を考えるときも、自治体の案内を先に確認してください。
コウモリは冬眠の前後に封鎖しない
前橋市は、アブラコウモリの冬の冬眠を11月頃から4月頃とし、屋根裏、戸袋、換気口、軒下、瓦の下などを生息場所に挙げています。浜松市は、コウモリの捕獲には許可が必要で、侵入口の封鎖は、まだ飛べない幼獣のいる6〜8月や、冬眠前後の時期を避けて行うよう案内しています。
封鎖時に家の中にコウモリが取り残されると、閉じ込めて死なせてしまい、死体が臭気や害虫の発生源になると同市は注意しています。時期を暦だけで決めず、コウモリ対策の時期の考え方で、出入りの記録から判断してください。
春の出産・子育てを見越して、冬のうちに相談する
前橋市はコウモリの出産期を初夏(7月頃)としており、幼獣のいる時期は封鎖を避ける時期にあたります。冬のうちに出入りの場所と侵入口を記録しておけば、封鎖の時期を専門の担当者と落ち着いて決められます。
アライグマは巣に人家を使うことがあり、春には出産と子育ての時期を迎えます。特定外来生物なので、生きたまま運んだり、別の場所で放したりできません。冬のうちに屋根裏の気配に気づいたら、自分で捕まえようとせず、アライグマを庭や家で見かけたときで相談先と記録の準備を確認してください。
冬に出る害虫|チャバネゴキブリ・屋内のダニ・越冬するカメムシ
冬の害虫対策は、害獣とは別の確認が必要です。寒さに弱い虫は減る一方で、暖房のある室内や、冬を越すために建物へ入った虫は、冬も見つかります。次の表は、自治体の資料に書かれた冬の事情と、最初に確認する場所をまとめたものです。
チャバネゴキブリについて、千葉市は、自然状態では越冬できないが、暖房設備のあるビルなどでは1年中生息すると説明しています。冷蔵庫の裏や厨房機器のまわりなど、暖かい場所の確認はチャバネゴキブリが冷蔵庫や厨房の近くにで詳しく見られます。
カメムシは、堺市が、10〜11月ごろに越冬場所を探して屋内に侵入すると案内しています。冬に室内で見つけた場合は、秋のうちに入った個体が出てきた可能性もあります。潰さずに、ガムテープや紙でそっと捕まえるよう同市は勧めています。
| 害虫 | 冬に見つかる理由(自治体の資料の記載) | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| チャバネゴキブリ | 寒さに弱いが、暖房の普及により冬期の成育も可能になった。暖房設備のある建物では1年中生息する | 冷蔵庫まわり、厨房機器、電気機器など暖かい場所の隙間と、見つけた時刻 |
| 屋内のダニ | 千葉市は、相対湿度が70%以上になるとダニが繁殖しやすく、湿度が高い家ではダニの餌になるカビも生えやすいと案内している。室内の相対湿度は50〜60%が理想とされる | 暖房と加湿で上がった室内の湿度、結露、寝具やカーペットの掃除の頻度 |
| カメムシ | 10〜11月ごろに越冬場所を探して屋内に侵入することがある。2〜3mmの隙間があれば入る | 窓まわり、網戸、換気口の隙間。秋に外干しした洗濯物の取り込み前の確認 |
冬の天井裏の音・においを記録する方法
冬は、暖房の音、給湯設備、配管の動く音など、動物以外の音も増えます。記録は「いつ・どこで・どんな音か」に、そのとき動いていた設備を足して残すと、後で調査を頼むときに役立ちます。1週間分を同じ形式で書くと、同じ時刻に繰り返す音かどうかが見えます。
詳しい書き方は夜間の天井の音を記録するにあります。昼間に聞こえる音は設備の音とも照合し、においは強さと時間帯を残してください。音の記録中に、天井裏へ入って確かめようとしないことも大切です。
| 記録項目 | 書くこと | 冬ならではの確認点 |
|---|---|---|
| 日付と時刻 | 音が聞こえた時刻と続いた長さ | 就寝後、明け方、昼間に分ける。昼の音は設備の音と見比べる |
| 音の種類 | 走る、引きずる、かじる、羽ばたく、鳴くなど | 冬眠中のコウモリは音が少ないため、音がないこと自体も記録する |
| 場所 | 部屋と方角、天井・壁・床下の別 | 同じ場所で続くか、移動するか |
| 動いていた設備 | 暖房、換気扇、給湯器、エアコンの運転状況 | 運転の開始や停止と、音の出入りが重なるか |
| におい | 強さ、種類、気づいた時間帯 | 窓を閉める季節で換気が減るため、同じ場所で続くか |
| 痕跡 | フン、汚れ、かじり跡の写真(触らない) | 同じ位置・同じ構図で日付つきで残す |
雪や凍結のあとに、外周から点検する場所
雪や氷が屋根から落ちたあとや、雪が解けたあとは、雨どい、軒先、換気口の網、外壁との取り合いに傷みが出ていないかを、地上から目視で確認します。屋根に上がっての雪下ろしや点検は転落の危険が高いため、自分では行わず、必要なら管理者や専門の事業者に任せてください。
傷みが見つかっても、すき間の大きさだけで動物の種類は決められません。自治体の資料に載る目安は、カメムシが2〜3mm、コウモリが1cm程度、ネズミが1.5cm程度です。写真で場所と大きさを記録して、調査の担当者に渡します。軒や屋根のすき間の見方は軒や屋根のすき間を地上から確認にまとめています。
| 動物・虫 | 通れる隙間の目安(資料の記載) | 出典の自治体 |
|---|---|---|
| カメムシ | 2〜3mm程度 | 堺市 |
| コウモリ | 1cm程度 | 浜松市 |
| ネズミ | 1.5cm程度 | さいたま市 |
冬に調査・封鎖を頼むときの確認事項
冬は動物の動きが読みにくいため、調査や封鎖を頼むときは、何をいつまでにどう確認するかを先に聞きます。自治体の資料でも、封鎖は動物の時期を考えて行うよう案内されています。次の表は、問い合わせのときに使える確認項目です。
見積もりの前に害獣の現地調査を頼む前にで、伝える内容と用意するものを整理しておくと、冬の短い日中でも調査がスムーズに進みます。
| 確認事項 | 聞くこと | 冬に確認する理由 |
|---|---|---|
| 動物の種類と根拠 | 何の動物と考えるか、音・フン・痕跡のどれから判断したか | 冬は音が少ない動物がいて、種類で対応が変わる |
| 封鎖の時期 | 冬眠中や子育ての可能性をどう調べるか。封鎖前に動物が残っていないことをどう確認するか | 浜松市は冬眠前後と幼獣のいる時期の封鎖を避けるよう案内し、取り残すと死体が臭気や害虫の発生源になると注意している |
| 法令の扱い | 捕獲が必要な場合に、許可や手続きをだれがどう取るか | 野生鳥獣の捕獲は原則として許可が必要。アライグマなど特定外来生物は運搬や放出にも規制がある |
| 点検の範囲 | 屋根裏だけか、外周・床下・換気口まで見るか | 冬は雪や凍結の傷みも外周から確認できる |
| 再訪と保証 | 春先の再点検の有無と、封鎖後に新しい音が出たときの連絡先 | 冬眠明けや出産期に状況が変わるため |
| 見積もりの内訳 | 調査・封鎖・清掃を分けて書くか | 工事の範囲と、追加が出たときの扱いを確認するため |
年末年始の不在時の点検と連絡体制
帰省や旅行で数日家を空ける年末年始は、音や臭い、フンの変化に気づく人がいなくなります。出発前に外周の状態を写真に残し、戻ったときに何を確認するかを決めておくと、変化を見つけやすくなります。長く不在にする家や空き家では、空き家の害獣点検の見回り記録の考え方が使えます。
出発前にすること
出発前は、傷みやすい食品や生ごみを残さないことと、外周の状態を日付つきで撮影することが基本です。連絡先も、同居しない家族や管理会社に伝えておきます。
- 外周の配管まわり、換気口、軒下を日付つきで撮影する
- 傷みやすい食品や生ごみを残さず、ペットフードは密閉して保管する
- 管理会社や家族に、不在期間と連絡先を伝える
戻ったあとに確認すること
戻ったら、玄関に入った直後の音やにおいを確かめ、出発前の写真と見比べます。異変があっても、屋根裏や床下に入って確かめる必要はなく、場所と状態を記録して相談します。
- 玄関に入った直後の、においと音を確認する
- 出発前の外周の写真と見比べて、変化や破損がないか調べる
- フンや汚れは触らず、位置と日付を写真に残して相談する






