アライグマ駆除は市役所に頼める?法律上の位置づけと、自治体で差が出る理由

アライグマは外来生物法の特定外来生物です。環境省の手引きによると、2023年の法改正で、都道府県には被害防止に必要な措置を講じる責務、市町村には講じるよう努める責務が生じました。市役所に相談できる根拠はここにありますが、実際にどこまで行うかは、各自治体の防除計画や、地域の実状、予算・人員の状況で決まると手引きも説明しています。

野生の鳥獣の捕獲は、原則として許可が必要です(鳥獣保護管理法)。自治体が捕獲を行うときは防除計画に基づく枠組みを使い、市民が自分で行う場合は、許可や従事者の手続きが先になります。手続きの詳細はアライグマの箱罠に免許は必要?にまとめました。

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

読者の疑問

アライグマ駆除は、市役所に頼めますか?

比較ガイド

自治体によって違います。委託業者が箱わなを設置する市、箱わなを貸し出す市、農地の被害だけを扱う市、相談の案内にとどまる市があります。まず市区町村の窓口に、被害の場所と種類を伝えて、どの型に当たるかを聞いてください。

市役所ができること・できないこと|捕獲・貸出・回収と、封鎖・清掃

公式ページを読み比べると、市が担う作業は「屋外での捕獲に関わる部分」に寄っています。逆に、建物の中に入られたあとの封鎖や清掃は、利用者側に残る作業として書かれる例が目立ちます。

市や区が行うことの例

確認できた作業は、被害の聞き取りと現地の確認、箱わなの設置または貸出、捕獲された個体の回収や処分、目撃情報の受付です。板橋区は箱わなの設置から処分まで区が費用を負担するとし、町田市は調査、わな設置、捕獲・駆除の費用を無料としています。札幌市は、捕獲後の処分を自分で行うのが難しい場合に、市の委託業者が無料で引き取る案内をしています。

対象外とされやすい作業

板橋区は進入路を塞ぐ施工とふん尿の撤去・清掃・消毒を、町田市は消毒や穴ふさぎを、利用者の自己負担としています。一宮市は、追い払い、屋根裏などへの檻の設置、家屋への侵入防止の施工、防腐処理、消毒を行っていないと明記しています。

  • 侵入口の封鎖(板橋区・町田市・一宮市)
  • ふん尿の清掃・消毒(板橋区・町田市・一宮市の記載。札幌市は民間業者へ案内)
  • 屋根裏や室内への箱わな設置(柏市・一宮市は対象外、藤沢市は屋外の地面のみ)
  • 自分で用意したわなにかかった個体の回収(柏市は回収せず、札幌市は無許可の捕獲を引き取れない)

参考:板橋区|アライグマ(特定外来生物)の被害について

自治体の対応を5つの型で比べる表(2026年10月3日に確認した公式ページ)

次の表は、2026年10月3日に開いた公式ページの記載を、対応の型に分けたものです。同じ型でも条件は違い、更新日の古いページは現在の運用と異なる可能性があります。型の名前は読みやすくするための当サイトの整理で、自治体が使っている区分ではありません。

自治体の対応を5つの型で比べる表(2026年10月3日に確認した公式ページ):確認項目
型公式ページの実例(更新日の表示)自治体が担うこと利用者・民間に残ること
型1 市・区が委託業者で捕獲板橋区(2026年6月30日)、町田市(2026年4月1日)、柏市(2026年9月21日)委託業者が箱わなを設置・回収。板橋区は設置から処分まで区が費用を負担、町田市は調査から駆除まで無料毎日の見回りと餌の用意、捕獲時の連絡(板橋区・町田市)。封鎖・清掃・消毒は自己負担。柏市は市では受け付けず、委託事業者へ直接連絡し、設置は自宅敷地の屋外のみ
型2 箱わなを貸し出す札幌市(2026年3月31日)、浜松市(2026年8月5日)、福岡市(2026年7月24日)、藤沢市(2026年4月1日)箱わなの貸出と、捕獲個体の回収。浜松市と福岡市は従事者の登録が必要で、どちらも講習の受講が前提設置場所の確保、毎日の見回り、餌、返却。許可の要否は自治体で違う
型3 農業被害の農地だけ貸し出す一宮市(2026年5月7日)農業被害があり、対策しても防げない農地への捕獲檻の貸出と処分住宅地の庭や屋根裏の生活被害は対象外で、専門業者へ。追い払い、家屋への施工、消毒も行わない
型4 相談・目撃情報の受付と案内帯広市(Q&A、更新日の表示なし)、高松市(2023年11月27日更新の表示)目撃情報の受付と、農業被害・捕獲許可の窓口の案内(帯広市)。高松市は農作物被害を農林水産課で受け、防除実施計画に基づく防除を行う家屋に侵入・住み着いた場合は民間の害獣駆除業者へ(帯広市・高松市)。自分で捕獲するには狩猟免許と許可が必要(帯広市)
型5 動物の種類で対応が分かれる京都市(Q&A、2026年4月)アライグマは外来生物法に基づき捕獲檻で対応。屋根裏は追い出しを各自で行うイタチ・タヌキ・コウモリ・ネズミは行政による捕獲・駆除を行わず、自分で対処するか業者へ

参考:町田市|アライグマ・ハクビシン防除事業

保健所と環境・農林部局のどこが担当か|窓口の例

「アライグマ駆除 保健所」と検索する人は多いのですが、今回開いた公式ページでは、保健所が駆除を行うと書かれた例は確認できませんでした。確認できたのは、保健所を所管する部局が窓口になる例(川崎市は健康福祉局の動物愛護センター)と、保健所は相談止まりで、野生鳥獣の捕獲は環境管理事務所や市の担当課へ案内する例(埼玉県)です。

窓口の名前は自治体で違うため、まず市区町村の代表窓口に「アライグマの被害はどの課ですか」と聞くのが近道です。ハクビシンも同じ窓口で扱うか、対応が違うかは、ハクビシン駆除は市役所・区役所に頼める?で比べています。

保健所と環境・農林部局のどこが担当か|窓口の例:確認項目
自治体(ページの更新表示)公式ページに書かれた窓口補足
埼玉県(草加保健所のページ、2026年9月10日掲載)野生鳥獣の捕獲は環境管理事務所。アライグマは各市の担当課保健所は衛生害虫の簡易的な鑑別や駆除方法の相談を受け、駆除は行っていない。ハクビシンは一部を除き、各自治体では駆除・捕獲を行っていない
川崎市(FAQ、2024年6月17日更新)健康福祉局保健医療政策部の動物愛護センターアライグマ・ハクビシン等による生活環境被害は、委託業者が庭先に檻を仕掛ける。それ以外の野生動物の駆除は行っていない
横浜市(FAQ、2026年9月8日更新)アライグマ・ハクビシンはみどり環境局環境活動事業課ネズミの相談は、各区福祉保健センターの生活衛生課
千葉市(2025年7月16日更新)生活被害は環境保全課自然保護対策室、農作物被害は農業経営支援課どちらか判断に迷うときは農業経営支援課
福岡市(2026年7月24日更新)環境局の自然共生課農業被害は農林水産局の担当へ
帯広市(Q&A)目撃情報は環境課、農業被害は農村振興課家屋に侵入された場合は民間の害獣駆除業者

参考:埼玉県草加保健所|野生動物や衛生害虫を駆除したい

生活被害と農作物被害で窓口が分かれる例

千葉市は生活被害を環境保全課自然保護対策室、農作物被害を農業経営支援課とし、福岡市は農業被害を箱わな貸出の対象外として農林水産局へ案内しています。松戸市と柏市も、畑や田の被害は農政課へ相談するよう案内しています。一宮市は、箱わなの貸出を農業振興課が扱う一方、捕獲許可の申請は環境政策課に案内しています。

家庭菜園や庭の果樹の扱いは、自治体で違います。福岡市は家庭菜園の野菜や果物の被害を生活環境への被害の例に挙げ、柏市は農地の被害から家庭菜園を除いています。迷うときは、千葉市のように「判断に迷う場合の窓口」が決まっている例もあるため、被害の写真を用意して電話し、どの課かを聞いてください。生活被害と農作物被害で窓口が分かれる関西の例は、堺市のアライグマ被害はどこへ相談?で確認できます。

参考:千葉市|ハクビシン・アライグマ・イノシシ等でお困りの方

相談の前に用意すること|目撃・被害・写真

町田市は、果実やコイ・メダカが食べられる被害、フンの被害は、現地調査までに痕跡が消える場合があるため、可能なら鮮明な写真を撮っておくよう案内しています。松戸市は、箱わなの設置にアライグマと分かる写真や動画を必要としています。見分けに自信がないときは、アライグマ・タヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方の尾と顔の見方で撮影します。

  • 見た日時、場所、昼か夜か、何頭か(親子らしいか)
  • 被害の種類と場所(庭の果実、池の魚、屋根裏の足音、フンなど)
  • 写真や動画(尾の縞が見える全身、足跡、爪痕、フンの位置。触らずに撮る)
  • 建物と土地の所有関係(所有者か賃借人か。町田市は所有者の承諾を条件にしている)
  • すでに行った対策(餌の撤去、すき間の確認など)と、触っていないこと
  • 毎日見回れるか、捕獲後に連絡できる時間帯か

参考:松戸市|【特定外来生物】アライグマ捕獲用の箱わな設置について

自治体で対応しない部分を業者へ頼むときの確認

市が担うのは屋外の捕獲までで、封鎖・清掃・消毒は民間に頼む前提の自治体が多いことは、前の表のとおりです。札幌市は、わなの購入や日々の管理が難しい場合や、屋根裏のフン清掃・消毒を希望する場合の相談先として、北海道ペストコントロール協会を案内しています。町田市と一宮市は、複数の業者から見積もりを取り、内容に納得してから契約するよう勧めています。

国民生活センターは、害虫・害獣駆除サービスの相談が全国の消費生活センターで増えているとして、ネットの料金表示と実際の料金がかけ離れている、不安をあおって契約を急がせる、複数見積もりを比べる時間を与えないといった問題を挙げています。極端に安い価格を示すサイトに注意すること、困ったら消費者ホットライン188へ相談することも助言しています。費用の見方は、アライグマ駆除の費用に整理しています。

  • 作業を「捕獲」「封鎖」「清掃・消毒」「再発時の対応」に分け、書面で範囲を出してもらう
  • 捕獲を伴う場合は、許可や認定の位置づけを説明してもらう
  • ネットの料金表示と、見積書の総額に差がないかを確認する
  • 契約を急かされたら、その場で決めず、消費生活センター(188)へ相談する

参考:国民生活センター|害虫・害獣駆除のトラブルにご注意

市別の詳しい案内|関西の既存記事から型の違いを見る

お住まいが関西なら、市ごとの条件を個別に整理した記事があります。この記事の型の違いが分かる例を挙げます。他の市は、表の型を目安に、窓口で貸出や許可の条件を聞いてください。