害獣の罠に資格は必要?三つの仕組みの違い

環境省の説明では、野生の鳥獣は狩猟による場合を除いて原則として捕獲が禁止され、被害があるときなどは環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できます。わなを使う場面は、狩猟、許可捕獲、外来生物法に基づく防除の三つに分かれ、それぞれ必要な免許や手続きが違います。

「資格」という言葉で一括りにされがちですが、狩猟免許は都道府県の試験に合格して得る免許、捕獲許可は個別の捕獲について出る許可、講習は自治体が従事者に求める研修で、性格が異なります。次の表で比べてください。

害獣の罠に資格は必要?三つの仕組みの違い:確認項目
項目狩猟(狩猟免許)許可捕獲(捕獲許可)自治体の防除(従事者・講習)
根拠鳥獣保護管理法の狩猟制度鳥獣保護管理法の許可(9条)外来生物法の防除(都道府県・市町村の計画)
対象狩猟鳥獣46種(鳥類のヒナと卵を除く)狩猟鳥獣以外も含む鳥獣と卵特定外来生物(アライグマ、ヌートリア、キョンなど)
免許・講習わな猟免許と、毎年の狩猟者登録が必要許可が必要。免許を持たない人は、原則としてわなの設置ができない(例外あり)免許がなくても、知識と技術が認められ従事者になれる。自治体の講習を受ける例がある
時期狩猟期間のみ(北海道以外は原則11月15日から2月15日。都道府県で延長・短縮あり)許可された期間(手引きでは最長1年以内の例)計画の期間。自治体が定める
申請先都道府県(免許・登録)都道府県知事等(市町村に移譲されている場合あり)都道府県または市町村(従事者証の発行)

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

害獣駆除で罠を使うのに、資格は必要ですか?

比較ガイド

狩猟として行うならわな猟免許と登録、被害防止の許可捕獲なら捕獲許可、外来生物の防除なら自治体の従事者としての講習、と仕組みが分かれます。原則として、許可や免許などの手続きなしに捕獲することはできません。

狩猟免許の種類とわな猟免許|害獣駆除の罠に免許は必要か

狩猟免許は、網猟免許、わな猟免許、第一種銃猟免許、第二種銃猟免許の4種類に分かれ、都道府県知事が実施する試験に合格して取得します。鳥獣保護管理法39条は、わなを使う猟法で狩猟鳥獣を捕獲するには、わな猟免許が必要と定めています(許可を受けて行う場合などを除く)。わな猟免許で使えるわなは、くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわなです。

ただし、囲いわなのうち、農業者または林業者が事業に対する被害を防止する目的で設置するものは、免許の対象から除かれています。免許の取得には年齢の条件もあり、わな猟免許は18歳未満では受けられません(40条)。東京都の例では、試験は知識、適性、技能の順に行われ、事前の申請が必要とされています。日程や会場は、住所地の都道府県に確認してください。

狩猟者登録と狩猟期間

免許を取っただけでは狩猟はできず、狩猟をする都道府県に狩猟者登録をして、狩猟税を納める必要があります。登録の有効期間は、10月15日(北海道は9月15日)から翌年4月15日までです(55条)。実際に狩猟できる期間は、規則で、北海道以外は11月15日から翌年2月15日などに短縮されており、都道府県によって延長や短縮もあるため、登録する都道府県で確認してください。

狩猟免許の種類とわな猟免許|害獣駆除の罠に免許は必要か:確認項目
狩猟免許の種類使用できる猟具害獣対策での関係
わな猟免許くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわな箱わななどで狩猟をするときに必要。許可捕獲では免許の扱いが別に定められる
網猟免許むそう網、はり網、つき網、なげ網網を使う猟の免許。箱わなを使う猟とは別の免許
第一種・第二種銃猟免許装薬銃、空気銃銃器を使う狩猟の免許。住居が集合している地域での銃猟は禁止されている

参考:環境省|狩猟制度の概要(狩猟鳥獣)

狩猟と許可捕獲の違い|被害防止で捕獲したいとき

環境省は、狩猟を、狩猟期間に法定猟法で狩猟鳥獣を捕獲することと定義し、許可捕獲は法で定める目的で許可を受けて行う捕獲と整理しています。狩猟では免許の取得と毎年度の登録が必要で、時期は狩猟期間に限られます。許可捕獲では申請が必要で、許可された期間であれば年中行うことができ、捕獲の方法は問わないが、危険猟法には制限があります。

では、免許のない人が許可を取れば自分でわなを置けるのでしょうか。環境省のアライグマ防除の手引き(2025年改訂版)は、鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲では、狩猟免許を持たない人は原則としてわなの設置や止めさしを実施できず、見回りや餌の設置は可能と整理しています。例外として、捕獲個体を適切に処分でき、住宅等の建物内や農地等での被害を防ぐ目的で、土地の所有者自らが小型の箱わなで捕獲するときは、免許がなくても許可を申請できるとしています。

条文と手引きの読み分け

39条3項のただし書は、許可を受けて行う捕獲と、11条1項2号(イを除く)に当たる捕獲を、免許の対象から除いています。一方で、環境省の手引きは、許可捕獲での免許非所持者の扱いを、上記のように別に整理しています。どの範囲で自分が行えるかは、許可の条件と自治体の運用で決まるため、許可申請の窓口で作業の範囲を確認してください。許可の申請先と必要書類は、都道府県や市町村の案内で確認できます。

囲まれた住宅の敷地内で狩猟鳥獣を捕獲する場合の規定

鳥獣保護管理法11条1項2号ロは、垣や柵などで囲まれた住宅の敷地内で、銃器を使わずに狩猟鳥獣を捕獲することを、狩猟期間中で、鳥獣保護区や休猟区などを除く区域に限って、許可なしに認めています。この場合は、39条3項と55条1項のただし書により、狩猟免許と狩猟者登録も要しません。ただし対象は狩猟鳥獣に限られ、コウモリなど狩猟鳥獣でない動物や、鳥類のヒナと卵は含まれません。鳥類をわなで捕獲する方法は禁止猟法に当たるなど、猟法の制限もそのまま適用されます。

アライグマのような特定外来生物は、捕獲した後に生きたまま運ぶことや飼うことが外来生物法で禁止されているため、捕獲後の扱いを自分で決めることはできません。環境省は、都道府県によっては捕獲が禁止または制限されている狩猟鳥獣があるとも案内しています。この規定に当たるかどうかは自己判断せず、区域、期間、捕獲後の扱いを都道府県や市町村の担当課に確認してください。

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

外来生物の防除で講習を受けた人が従事できる仕組み(自治体の実例)

外来生物法に基づく防除では、都道府県が公示する防除や、市町村が主務大臣の確認を受けた防除の従事者になれます。環境省の手引きは、この防除について、適切な捕獲と安全に関する知識と技術を有すると認められる者は、狩猟免許を持たない一般市民でも、わなや餌の設置から捕獲、運搬までの一連の作業を行えるとしています。また、アライグマの防除は2024年11月時点で全国の21都道府県、435市町村で実施されています。

千葉県の第3次キョン防除実施計画(令和8年3月)は、原則として狩猟免許を持つ人が従事するが、知識と技術が認められる人は免許がなくても従事者に含められ、その場合は県や市町村の従事者講習会を受けるものとしています。次の表は、各自治体の案内の一部を、2026年10月時点の掲載として並べたものです。制度は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村で確認してください。

外来生物の防除で講習を受けた人が従事できる仕組み(自治体の実例):確認項目
自治体対象動物仕組みの要点確認する点
千葉県(第3次キョン防除実施計画)キョン県や市町村が従事者証を発行。免許のない人は従事者講習会を受ける従事者証の携帯、猟具への標識、原則1日1回の巡視
奈良市アライグマ捕獲檻の貸出。個人は2週間、自治会は最大2か月。市が処分に伺う在庫と予約、開庁日のみの貸出・返却、近づかない注意
奈良市イタチ等捕獲器の貸出時に、従事者証の発行手続きが必要貸出数は1基、期間は2週間、在庫の確認
川西市アライグマ・ヌートリア市が猟友会の協力を得て箱わなで捕獲。他の動物は捕獲できない捕獲依頼書の提出、対象動物かどうか

参考:千葉県|第3次千葉県キョン防除実施計画(令和8年3月・PDF)

自宅敷地で箱罠を使う前に確認する順番

自宅の庭や屋根裏で箱わなを使いたいときは、動物の特定から順に確認します。奈良市の捕獲檻の貸出や、川西市の捕獲依頼(猟友会の協力による箱わなでの捕獲)のように、自治体が器具や手続きを用意している場合があるため、器具を買う前に窓口へ相談するのが近道です。アライグマの見分けと相談はアライグマを庭や家で見かけたときの相談(大阪の例)にまとめています。

借家や借地で使うときは、土地や建物の管理者の承諾が欠かせません。鳥獣保護管理法17条は、垣やさくで囲まれた土地や作物のある土地で捕獲等をするには、あらかじめ土地の占有者の承諾を得なければならないと定めています。賃貸住宅の場合は、賃貸で害獣被害が起きたとき業者を呼ぶ前に管理会社へ伝えることを先に確認してください。

  • 1.動物の特定:どの動物の被害か。狩猟鳥獣か、特定外来生物かを環境省の一覧で確認する
  • 2.自治体の貸出・防除制度:市区町村の担当課に、貸出や従事者の制度があるかを聞く
  • 3.許可:許可が必要か、被害者本人と依頼を受けた人のどちらが申請するかを確認する
  • 4.免許:自分でわなを設置するなら、わな猟免許が必要か、許可の条件で免許が求められるかを確認する
  • 5.設置場所の承諾:自分の敷地か、借家・借地か、近隣へ影響しないかを確認する
  • 6.捕獲後の扱い:回収・処分を誰が行うか、運搬や放獣が禁止されていないかを確認する

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

動物別の違い|アライグマ・ハクビシン・アナグマ・イノシシ・キョン

動物によって、狩猟鳥獣か、特定外来生物か、自治体が貸出や防除の対象にしているかが変わります。次の表は、環境省の狩猟鳥獣の一覧と特定外来生物の一覧、手引きや計画を踏まえた目安です。アナグマが疑われる庭の穴は、アナグマが疑われる庭の穴の整理で確認できます。

動物別の違い|アライグマ・ハクビシン・アナグマ・イノシシ・キョン:確認項目
動物狩猟鳥獣か特定外来生物か資格・手続きの目安
アライグマ狩猟鳥獣特定外来生物自治体の防除の従事者(講習)、許可捕獲、狩猟のいずれか。生きたままの運搬・飼育は禁止
ハクビシン狩猟鳥獣特定外来生物の一覧には載っていない許可捕獲か狩猟。自治体の捕獲や貸出の対象外のことがある(川西市の箱わなによる捕獲はアライグマとヌートリアのみ)
アナグマ狩猟鳥獣いいえ許可捕獲か狩猟。自治体の貸出対象かを窓口で確認する
イノシシ狩猟鳥獣いいえ狩猟(わな猟免許など)か許可捕獲。大型で危険なため、自治体や猟友会の対応を確認する
キョン狩猟鳥獣ではない(狩猟の対象にならない)特定外来生物防除の従事者(千葉県の例では講習)か許可捕獲。狩猟免許は原則だが、認められれば免許なしでも従事できる

参考:環境省|特定外来生物等一覧

無許可で捕獲した場合の罰則とやってはいけないこと

許可も狩猟の手続きもなく野生の鳥獣を捕獲すると、罰則の対象になります。鳥獣保護管理法83条は、狩猟鳥獣以外の鳥獣を許可なく捕獲したとき、狩猟鳥獣でも狩猟できる区域や期間の外で許可なく捕獲したとき、登録を受けずに狩猟をしたときを、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金としています。犯罪に使った物や、その捕獲した鳥獣は没収されることがあります。

ほかにも、占有者の承諾なく捕獲した場合は50万円以下の罰金(85条)、許可を受けた者が必要な表示をしないでわなを使えば30万円以下の罰金(86条)の定めがあります。特定外来生物を生きたまま運ぶなどの飼養等には、外来生物法33条で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の定めがあります。毒薬や劇薬を使う猟法は危険猟法として禁止されています。

  • 許可なく、または狩猟の手続きをせずに、野生の鳥獣を捕獲する
  • 標的以外の動物がかかったとき、許可や自治体の指示を確認せずに処分する
  • 特定外来生物を、生きたまま持ち帰る、運ぶ、飼う
  • 他人の土地や借家・借地に、承諾なく設置する

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

自治体の貸出制度の探し方と、相談のときに伝えること

農林水産省は、市町村が中心となって鳥獣被害防止の取り組みを進めることを支援しています。貸出制度は、市町村の農政課、環境課、鳥獣担当などが窓口になることが多く、自治体のページで「アライグマ 捕獲檻 貸出」のように、市区町村名と動物名で探すと見つかります。奈良市のように、購入した捕獲檻を設置する場合に位置図つきの申出書を求める例もあります。

相談では、動物の種類(分からなければ写真や痕跡の記録)、被害の場所と内容、土地の所有者と占有者、設置を考えている場所を伝えると話が早く進みます。市の制度の詳細は、奈良市のアライグマ捕獲檻の貸出と返却、川西市のアライグマ箱わなの相談、奈良市のイタチ等の捕獲器と従事者証で扱っています。制度がない、対象外の動物、建物の内部への侵入には、害獣駆除の法律と許可の早見表を踏まえて業者へ相談してください。

参考:農林水産省|鳥獣被害対策コーナー