屋根裏の足音が人の気配に感じられるとき|最初に確かめる安全の分かれ道

屋根裏の足音が「人が歩いているよう」に聞こえたときは、動物の種類を考える前に、人が入り込んでいる可能性を切り分けます。足音のほかに、人の話し声、物を動かす音、懐中電灯のような光、玄関や窓の施錠の異変、点検口のふたのずれなどがあれば、人の可能性を疑います。一つでも当てはまる、あるいは不安が強いときは、屋根裏をのぞいたり確かめに上がったりせず、家族の安全を優先してください。

警察庁は、事件や事故に関する緊急通報は110番、生活の安全に関わる悩みごとや困りごとなど緊急でない相談は、最寄りの警察署への連絡か#9110を利用するよう案内しています。目の前で人が侵入している疑いが強いときは110番、気配はあるが事件かどうか分からないときは、#9110や最寄りの警察署に状況を伝えて相談します。

人の可能性を疑う手がかりと、そのときの動き

次のような手がかりが重なるときは、動物の可能性より先に、人の可能性を前提に動きます。判断に迷うときは、家族の在宅状況を確認してから、同じ部屋に集まって連絡するのが安全です。

  • 足音に加えて、人の声、物を動かす音、光が見える。
  • 玄関・窓の施錠や、点検口のふたに、普段と違う状態がある。
  • 家族やペットの動きを確認しても、説明のつかない足音である。
  • 当てはまるときは、屋根裏に上がらず、家族と同じ部屋に集まって110番か#9110で状況を伝える。

人の気配がなく、動物かもしれないとき

人の気配の手がかりがなく、決まった時間帯に足音が繰り返されるなら、動物や建物の音を疑います。ここから先は、足音の主を決めるための確認です。急いで屋根裏に上がる必要はなく、音の記録と、天井や外壁の痕跡の確認から始めます。

参考:警察庁|ご意見、各種相談・情報提供等(110番と#9110の使い分け)

読者の疑問

屋根裏の足音が人かどうかは、どう見分けますか?

比較ガイド

足音だけでは見分けられません。人の声、物を動かす音、光、施錠や点検口の異変があるときは、屋根裏に上がらず110番か#9110に連絡します。手がかりがなく、同じ時間帯に繰り返すなら、動物や建物の音として記録します。

大きな足音を出す動物の候補と体の大きさの比較

足音が重いと感じるときは、体の大きさが手がかりの一つになります。次の表は、屋根裏や天井裏に関わる動物の体の大きさと家との関わりを、資料の記載で並べたものです。体重は動物の種類ごとの代表的な値で、個体差があり、足音の大きさそのものを示す数値ではありません。

ネズミはハクビシンなどよりずっと小さい動物ですが、日本ペストコントロール協会は、夜間に天井裏や壁の中をうるさく走り回ると説明しています。「音が大きい=大型の動物」と決めつけず、フンや痕跡で確かめます。飼い猫や野良猫が入り込む可能性もありますが、体の大きさを示す資料を今回は確認していないため、表には載せていません。

大きな足音を出す動物の候補と体の大きさの比較:確認項目
動物体の大きさ(資料の記載)屋根裏・天井裏との関わり法律上の扱い・相談先
ハクビシン体重3〜4kg程度(農林水産省)ねぐらや子育てに家屋の天井裏を使い、足音や子の鳴き声が騒音として報告されている。6cm×12cmのすき間があれば入れる(農林水産省)許可なく捕獲することは鳥獣保護管理法で禁止(世田谷区)
アライグマ頭胴長41〜60cm、体重4〜10kg(環境省九州地方環境事務所)休息や子育てを人家の屋根裏や壁のすき間で行う。夜間が中心だが昼間も活動する(農林水産省)特定外来生物。生きたままの運搬、飼養、野外に放すことが原則禁止(環境省)
タヌキ尾まで含めて50〜70cm、体重は平均4kg程度(農林水産省)休息場所は建築物の床下や、他の動物が掘った古い巣穴。登ることは得意でない(農林水産省)野生鳥獣として、捕獲には許可が必要(環境省)
テンツシマテンの例で、オス1.5kg前後・メス1kg前後(農林水産省)中山間地域では、家屋の屋根裏や物置を使うことがある(農林水産省)野生鳥獣として、捕獲には許可が必要(環境省)
ネズミ(クマネズミ)体長18〜22cm、体重120〜200g(大阪府)夜間、天井裏や壁内をうるさく走り回る(日本ペストコントロール協会)相談先は自治体の生活衛生の窓口。例として横浜市は、区福祉保健センターの生活衛生課を案内

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

足音の重さ・歩き方・時間帯から分かること

音の聞こえ方を、重さ、歩き方、時間帯、季節に分けてメモすると、候補を絞りやすくなります。横浜市は、天井裏に住みつく主な動物として、アライグマ、ハクビシン、ネズミが市内で確認されていると案内しています。農林水産省のマニュアルによると、ハクビシンは活動が夜間に偏り、アライグマは夜間が中心で昼間も活動し、タヌキも主に夜間ですが昼間にも活動します。

同じ動物でも、天井の構造や断熱材の厚さで、聞こえ方は変わります。1回の聞こえ方で決めず、数日分を夜間の天井の音を記録する方法でそろえてから、候補を照らします。

足音の重さ・歩き方・時間帯から分かること:確認項目
聞こえ方考えられる候補一緒に確認すること
夜に、同じくらいの速さで移動する重い足音が、何日も続くハクビシン、アライグマ天井のシミ、フン、屋外の足跡。夜間の足音の記録を残す
春から初夏に、足音のほかに子どもの声のような鳴き声が混じるアライグマ、ハクビシン農林水産省によると、アライグマは4月中旬が出産のピークで、子が野外活動を始めるのは6月上旬。ハクビシンはほぼ一年を通して繁殖する
昼間にも、同じ足音がするアライグマ、タヌキ、鳥、設備、建材昼間も活動する動物がいるため、時間帯だけでは決められない。設備の運転時間と照らす
冬の乾燥した時期や、天井裏と室内の温度差が大きい時間帯に、ミシミシと木がきしむ音が続く家鳴り(建材の動き)動物のフン、シミ、足跡が見つからないか。次の章で詳しく扱う

参考:横浜市|天井裏から動物の足音がする。

屋根の上の音と屋根裏の音の聞き分け

屋根の上を歩く音と、天井の内側(屋根裏)を歩く音は、同じ足音でも意味が違います。屋根の上なら動物が通過しているだけのこともあり、屋根裏なら、すき間から入り込んでいる可能性があります。農林水産省のマニュアルは、ハクビシンが雨どいのようなつるつるした柱でも登れ、電線も渡ると説明しています。世田谷区も、ハクビシンやアライグマが木や屋根など高所を伝って移動し、外壁の継ぎ目、縁の下、通風口、屋根付近の小さなすき間から屋内へ入ると案内しています。

屋根の上の様子の詳しい見方は、屋根を歩くハクビシンらしき動物。通過と屋根裏への侵入を分けるにまとめています。ここでは、屋根に上がらずにできる聞き分けの手順だけを示します。

  • 音がした位置を、室内の2か所以上で確認して、同じ場所で繰り返すかをメモする。
  • 足音が屋根の端から端へ移動して消えるのか、一か所で止まってその周りで続くのかを書き留める。どちらか一方だけで居場所を決めつけず、調査を頼むときの材料にする。
  • 家族に屋外から見上げてもらい、音がした時刻に屋根や電線に動物の姿がないか確認する。見る側も、屋根や高所には上らない。
  • 屋根の上の音と屋根裏の音の区別がつかないときは、無理に決めず、記録を調査へ渡す。

参考:世田谷区|ハクビシン・アライグマ対策

家鳴りや設備の音との違い|人が歩くように聞こえる建物の音

住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の相談事例に、新築木造住宅で、冬になると1階天井付近からミシミシと木がきしむような音がするという相談があります。建築士の助言として、木材の乾燥によるきしみ音の可能性があり、特に冬の乾燥時や、天井裏の温度と室内の温度差が大きいときに、数年にわたり大きな音がすることがあると紹介されています。その場合は構造的な不具合ではなく、木材の自然な性質の可能性もあり、様子を見てもよいという助言でした。

同じ事例の弁護士の助言は、原因調査を希望するなら天井などに穴をあける方法が考えられ、不具合が見つかれば調査と復旧の費用は施工業者の負担になるのが通常だが、できれば調査の前に費用負担を合意しておくよう伝えています。家鳴りが疑われても、建物に不安があるときは、施工した事業者に原因調査を頼む道があります。

家鳴り(建材の音)かもしれない手がかり

家鳴りの可能性を考えるときは、動物の痕跡が見つからないことと、住まいるダイヤルの事例が挙げる冬の乾燥時や、天井裏と室内の温度差が大きいときに音が集中しているかが手がかりになります。ただし、これは目安で、動物がいないことを保証するものではありません。記録を続け、シミやフンなどの痕跡が出てきたら、動物の可能性に戻って考えます。

  • 天井のシミ、フン、足跡、においなど、動物の痕跡が見つからない。
  • 冬の乾燥時や、天井裏と室内の温度差が大きいときに音が集中する。

設備の音かもしれないとき

給湯器、換気扇、エアコンなどの設備の運転に合わせて鳴る音も、足音に聞こえることがあります。設備の運転時間と音の時刻を照らす方法は、昼の天井音は設備とも照合するにまとめています。運転を無理に止めて確かめるのではなく、時刻をそろえて記録します。

参考:住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)|新築木造住宅の天井付近から異常音が発生している(専門家相談事例)

中型の動物がいるときに確かめる痕跡|ためフン・天井のシミ・侵入口

足音が動物だった場合は、足音以外にも、天井やその周りに痕跡が残ります。農林水産省のマニュアルは、家屋被害の特定に、柱や雨どいの足跡、ガラスの爪痕、糞尿のシミの出方を挙げています。世田谷区は、被害として、夜間の騒音、家屋の破損、糞尿による悪臭、天井のしみ、糞尿の蓄積や建築材の劣化による損壊を挙げ、天井が抜けることもあると説明しています。

世田谷区は、野生動物は目に見えない寄生虫や、人に感染する病原体を持つことがあるため、ペットに近づけない、素手で触らないなどの注意を呼びかけています。痕跡を見つけても、フンや汚れに触れずに写真だけを撮ります。

中型の動物がいるときに確かめる痕跡|ためフン・天井のシミ・侵入口:確認項目
痕跡見る場所資料の記載
天井のシミ天井板や壁際農林水産省は、アライグマは壁に沿って、ハクビシンはポツンと現れる糞尿のシミを例に挙げる
ためフン・堆積したフン天井裏、屋外の決まった場所ハクビシンはねぐら内で排泄し、糞尿が堆積して天井板が落ちた事例がある。タヌキはためフンを生活エリアの境界に作る(農林水産省)
侵入口軒、屋根と壁のすき間、通風口、外壁の継ぎ目、配管周りハクビシンは6cm×12cmのすき間があれば入れる(農林水産省)。世田谷区は外壁の継ぎ目、縁の下、通風口、屋根付近を挙げる
足跡・爪痕雨どい、柱、ガラスハクビシンは柱と雨どいの足跡、アライグマは柱とガラスの爪痕が例に挙げられている(農林水産省)
  • 足跡の見方は、害獣の足跡の見分け方で動物別に比べられる。
  • 侵入口の場所は、ハクビシンは屋根裏にどこから入る?で確認の順番を整理している。
  • 同じ場所にたまるフンと天井のシミは、フンが利用中のものか、シミが動物被害か漏水かを分けて見る必要がある。素手で触らず、写真だけを撮って記録する。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

自分で天井裏に上がらずに調査を頼む準備と、捕獲に関する法律

足音の原因を確かめるために、自分で天井裏へ上がるのは勧めません。東京都のねずみ防除指針は、天井裏や高所など危険な場所の作業は専門業者に依頼した方がよい場合もあると説明しています。農林水産省のマニュアルは、ハクビシンの糞尿が堆積して天井板が落ちた事例を紹介しており、天井板が体重を支えられる状態とは限りません。

足音の主が野生の動物だった場合は、自分で捕まえる前に、法律の線引きを確認します。環境省は、鳥獣は狩猟の場合を除いて原則として捕獲や殺傷が禁止され、被害防止のための捕獲には環境大臣または都道府県知事の許可が必要で、多くの都道府県では権限の一部を市町村長に移譲していると説明しています。アライグマは特定外来生物で、生きたままの運搬、飼養、野外に放すことが原則禁止されています。

調査を頼むときは、夜間の音の記録、天井のシミや侵入口の写真、点検口の有無を渡します。点検口がない場合は、天井裏を調べる点検口がないときの考え方が参考になります。横浜市のように、アライグマとハクビシンは捕獲された個体の回収・処分を市が行い、ネズミの相談は区福祉保健センターの生活衛生課が受けるなど、動物ごとに窓口が分かれる自治体もあるため、お住まいの自治体の案内も確認します。

  • 音の記録(日付・時刻・音の種類・聞こえた位置)。
  • 天井のシミやにおい、軒や換気口の出入りの跡の写真。
  • 点検口の位置と、普段開けているかどうか。
  • 建物の種類、築年数、最近の屋根や外壁の工事。
  • 自治体の窓口に問い合わせた内容と、案内された先。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 2) 窓口対応の実践例(PDF)