ハクビシンの足跡の特徴|5本指・丸い掌・目立たない爪跡

農林水産省の中型獣類マニュアルは、ハクビシンの前肢・後肢がともに丸形の5本指で、分厚い肉球を持つと説明しています。爪は小さく、柱などを登るときも爪を引っかけず、肉球を押し付けて挟むように上り下りするとされています。同じ資料の足跡のフローチャートでは、指の数が5本で、指が独立して丸く、掌の中心のパッド(足底球)が円形の跡をハクビシンの側に分けています。東京都環境局の見分け方も、ハクビシンは指が5本で爪跡が不明瞭と整理しています。

筑波大学菅平高原実験所のアニマルトラッキング資料は、ハクビシンの前足の跡を長さ約5cm、幅約4cmで、人が指を曲げて押し付けたような独特の形と説明しています。後足は大きいものの、歩くときは足先だけを着くため、前足と似た跡になるとされています。長い尻尾の跡がつくことがあり、歩幅は40〜50cm、肩幅が広く寄り道をするため、ふらふらと歩く並びになるとも書かれています。寸法は一つの資料の目安なので、個体や地面の状態で変わる前提で読んでください。

一つの跡の形と、続く跡の並びは、分けて見ると整理しやすくなります。筑波大学の資料は、一つの足がつけた跡を「足痕」、一連の跡を「足跡」と区別しています。この記事ではどちらも足跡と書き、指・掌・爪の形と、歩幅・尻尾の跡などの並びを別々に確認します。

ハクビシンの足跡の特徴|5本指・丸い掌・目立たない爪跡:確認項目
見るところ資料にある特徴見るときの注意
指の数前後とも5本(農林水産省、東京都環境局)泥や粉が浅いと指が欠ける。欠けた跡を頭の中で補って5本と数えない
指と掌の形指が独立して丸く、掌のパッドは円形(農林水産省のフローチャート)パッドが半月形なら、アナグマやテンなど別の候補になる
爪跡不明瞭(東京都環境局)爪跡がはっきり出る場合は、アライグマやタヌキなども候補に残す
大きさ前足は長さ約5cm、幅約4cm(筑波大学の資料)一つの資料の目安。定規を添えて実寸を残す
並び方歩幅40〜50cm、ふらふら歩き、尻尾の跡がつくことがある(筑波大学の資料)一つだけの跡では並びが分からない。続く跡も撮る

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編 2-7 獣種の見分け方・足跡と糞のフローチャート(PDF)

読者の疑問

ハクビシンの足跡は何本指ですか?

比較ガイド

前足・後足とも5本指です。農林水産省の資料は、ハクビシンの足を丸形の5本指で分厚い肉球があると説明し、足跡のフローチャートでは、指が独立して丸く、掌の中心のパッドが円形の跡をハクビシンの側に置いています。泥が浅いと指が欠けるため、複数の跡で確かめます。

ハクビシンとタヌキ・アライグマ・猫・イタチの足跡の違い

足跡の見分けは、指の数、爪跡の有無、掌のパッドの形、大きさ、並び方の順に絞ると迷いにくくなります。次の小見出しで動物ごとの分かれ目を説明し、最後の表にハクビシンを含む6種類をまとめます。表は候補を絞る道具で、1つの足跡から動物を断定するものではありません。

タヌキ・猫との違い|指の数と爪痕で分ける

東京都環境局の見分け方は、タヌキの足跡を、指が4本で全体に丸く、猫に似ているが爪痕は明瞭と説明しています。ハクビシンは5本指で爪跡が不明瞭なので、指の数と爪痕の有無が分かれ目になります。猫について筑波大学の資料は、タヌキとよく似ているが爪痕がなく、歩くときは前後の跡が重なってジグザグに続き、足跡は専ら人家の近くにつくと説明しています。庭先の丸い跡は、猫の可能性を最初に残しておくと取り違えが減ります。

アライグマとの違い|指の長さと爪跡

農林水産省のフローチャートでは、同じ5本指でも指が長く、左右の足が横に並ぶ跡はアライグマの側に進みます。東京都環境局も、アライグマは指が5本で爪が長く、足跡の爪跡は明瞭と並べています。柱に残る跡についても、農林水産省の資料は、アライグマは爪痕、ハクビシンは足跡の例を載せています。細い線の引っかき傷が目立つのか、丸い足の跡が目立つのかが手がかりになります。アライグマ側の撮り方と限界は、アライグマの足跡は5本指?泥の跡を見つけたときの撮り方と見分けの限界にまとめています。

イタチとの違い|大きさと跳ねるような並び

筑波大学の資料は、イタチの足跡を約2.5cm四方、跡の間隔を約30cmとし、爪痕が鋭く、前足がそろった上に後足が少しかかる、跳ねるような並びになると説明しています。ハクビシンの前足約5cmと比べると、かなり小さい点が分かれ目です。家の周りで小さな跡が点々と続くなら、イタチも候補に残ります。顔や体つき、家の痕跡の比べ方は、イタチとハクビシンはどう違う?顔・体つきと家の痕跡を照らし合わせるで扱っています。

ハクビシンとタヌキ・アライグマ・猫・イタチの足跡の違い:確認項目
動物指と掌の形爪跡大きさ・並びの目安
ハクビシン5本指。指が独立して丸く、パッドは円形不明瞭前足は長さ約5cm・幅約4cm。歩幅40〜50cm、尻尾の跡がつくことがある
タヌキ4本指。全体に丸く、指球の間が開いて扇形明瞭ジグザグに続く。猫に似た丸い跡
アライグマ5本指。指が長く、左右の足が横に並ぶ明瞭(爪が長い)今回の資料に実寸の記載はなく、指の長さと並びで分ける
猫タヌキによく似た丸い跡なし前後の跡が重なりジグザグに続く。人家の近くに多い
イタチ資料に指の数の記載はなく、小さな跡鋭い爪痕が出ることがある約2.5cm四方、間隔は約30cm。前足がそろう跳ねる並び
アナグマ5本指。パッドは半月形(農林水産省)爪が長い(東京都環境局)農林水産省のフローチャートで、大きさ5cm以上の側

参考:筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所|アニマルトラッキング(足跡・糞の見分け方、2020年4月初版、PDF)

足跡が残りやすい場所|雨どい・外壁・ベランダ・車の点検表

農林水産省のマニュアルは、家屋の被害の例として、柱や雨どいに残されたハクビシンの足跡の写真を載せています。ハクビシンは細い電線の上も移動でき、雨どいのようなつるつるした素材の柱でも登れると説明されています。足跡が残るかどうかは、表面のほこりや泥、水気の状態で決まるため、通り道のどこにでも残るわけではありません。

東京都環境局は、雨どいやベランダの一角にまとまって何かのフンがある場合を、侵入や住みつきを疑う目安の例に挙げています。足跡を探すときは、フンや食べ跡が出やすい場所と重なる範囲を、地上や室内から見える所に絞って点検します。屋根の上や雨どいの先を確かめるために、登る必要はありません。

足跡が屋根や軒の方向へ続いているときの見方は、ハクビシンは屋根裏にどこから入る?侵入口の場所と確認の順番で詳しく扱っています。

足跡が残りやすい場所|雨どい・外壁・ベランダ・車の点検表:確認項目
場所見るポイント撮るときの注意
雨どい・竪どい雨どいに残った足跡の例が農林水産省の資料にある。下から上へ続く丸い跡がないか地上から見える範囲だけを撮る。登って確認しない
外壁・柱・窓まわり柱に残った足跡の例が農林水産省の資料にある。引っかき傷なら爪痕で、アライグマなど別の候補も考える壁面にスマートフォンのライトを斜めに当てると跡の影が出る。手でこすらない
ベランダの床・手すりフンや食べ跡が同じ範囲にあるかを一緒に見る(東京都環境局)掃除や水洗いの前に撮る。フンは素手で触らない
駐車中の車の屋根・ボンネット公的資料に例は見当たらない。ほこりが薄く乗った面は足の跡が残るかもしれないが、猫の跡も多い洗車の前に撮る。車体に触れず、離れた位置から全景と接写を撮る
庭の土・泥・濡れ縁雨上がりの湿った土は形が残りやすい。続く跡の並びを見る雨や水やりで崩れる前に撮る。跡を踏まない
床下の通風口まわりの地面農林水産省は、侵入は地上近くの床下と軒など上部が狙われ、床下は通風口からが最も多いとしている床下へ潜ったり手を入れたりしない。地上から全景と接写を撮る

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編 2-2 ハクビシン(PDF)

スケールを入れた足跡の写真の撮り方

足跡の写真は、後から別の人が見ても大きさと位置が分かることが大切です。全景、中距離、接写の3段階で撮り、接写には定規など大きさが分かる物を入れます。雨や露、風で形が崩れやすいため、見つけたその場で撮り、撮影日時と天気を控えます。

撮る順番とスケールの置き方

最初に、足跡の並びと近くの壁や雨どい、庭木が入る全景を撮ります。次に数歩ぶんの並びが入る中距離を撮り、最後に一つの跡を真上から接写します。定規は跡を踏まない縁に、跡と同じ面へ置きます。置けない場所では無理をせず、タイルの目地やブロックなど、後から寸法を測れる物を一緒に写します。

  • 全景:足跡の並びと、近くの壁・雨どい・庭木が入る位置から1枚
  • 中距離:数歩ぶんの並びが入る位置から1枚。歩幅の目安になる
  • 接写:一つの跡を真上から。定規など大きさが分かる物を縁に置く
  • 斜めから:スマートフォンのライトを低い角度から当て、凹凸の影を出す
  • 記録:撮影の日時、天気、場所の名前をメモに残す

足跡を見つけたあとに避けたいこと

足跡を見つけたあとの行動で、跡を壊したり、新たな問題を作ったりすることがあります。次の行為は避けます。

  • 跡を踏んで確かめる、水でぬらして形を出す
  • 餌を置いて足跡を取りに来させる(新たに食べ物を与えることになる)
  • 屋根や雨どいに登って近くから撮る(転落の危険がある)
  • フンや足跡の土を素手で触る

足跡トラップとセンサーカメラという確認方法

農林水産省は、痕跡で判断がつかないときや、いま生息しているかを確かめたいときの方法として、足跡トラップとセンサーカメラを挙げています。足跡トラップは、ベニヤ板やトタン板、石灰などを通りそうな場所に置いて足跡をはっきり記録する方法で、センサーカメラは動物が通ると自動で記録します。餌で誘う方法ではありませんが、粉をまく方法はペットや子どもが触れる場所では向かないため、家庭で試すなら、通り道に向けたカメラのほうが扱いやすいでしょう。設置は自分の敷地内に限ります。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編 3-3 被害軽減のための捕獲(被害確認・生息確認)(PDF)

足跡から移動経路を推定するときの注意

足跡は、動物がそこを歩いたことを示しますが、どこから建物に入ったかまでは示しません。農林水産省のマニュアルは、ハクビシンは立体的な移動が得意で、細い電線の上も移動でき、6cm×12cmの隙間があれば侵入できると説明しています。同じマニュアルの環境整備の章は、中型獣類の侵入は地上近くの床下と軒など上部が狙われ、上部は軒の破損部分、瓦屋根の隙間、増築した継ぎ目などが多いとしています。地面の足跡が壁際で途切れていても、その先を空中の経路や隙間が引き継いでいる可能性が残ります。

足跡から移動経路を推定するときの注意:確認項目
足跡の位置考えられる通り道追加で見るもの
雨どいや柱を下から上へ続く跡雨どいや柱を登った経路軒や屋根との接続部(地上から見える範囲)
塀や物置の上に点々と続く跡塀や物置から軒や屋根へ移る経路近くの枝や軒先との距離
庭の地面から壁際で途切れる跡壁際の隙間、木の枝、電線へ移った可能性通風口や配管まわり、頭上の枝と電線
軒下や縁の下の入口近くの跡軒の破損部分や床下の通風口から出入りした経路(農林水産省)通風口の破損や軒のすき間。近づきすぎず、地上から全景と接写を撮る
  • 足跡が途切れた先を「ここから入った」と決めない。電線、木の枝、塀の上は跡が残りにくい通り道です
  • 向きは一つの跡では決めにくい。続く跡の並びや、尻尾の跡で見ます
  • 新旧は分からない。雨や露、風でも形が変わるため、日付つきで同じ場所を撮ります
  • 隙間は想像より小さい。足跡の近くの軒、換気口、配管の周りを地上から見ます
  • 屋根の上や雨どいの先へは登らない。調べる範囲は地上と室内から見える所までです

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編 3-1 環境整備(生息環境管理)(PDF)

足跡・ためフン・食べ跡を合わせた判断

足跡だけで種類を決めず、ためフン、食べ跡、音、天井のシミを合わせて、同じ動物を指すかを見ます。農林水産省の糞のフローチャートは、ハクビシンのフンを片側の先端が細くなるタイプに分けています。同じ資料の本文は、ハクビシンがねぐらの中で排泄するため糞尿が堆積し、天井板が落ちる被害にまで発展した例を挙げています。フンの色や形は時期や食べ物で変わるため、フローがすべての条件に当てはまるわけではないとも注記されています。

世田谷区のQ&Aは、ハクビシンのフンは猫や犬のものと似ているが、柿の種や銀杏の殻などが混ざることがあると説明しています。足跡が猫に近い丸い形でも、近くの果実の食べ跡やフンの中身が合えば、ハクビシンの候補が強まります。反対に、爪痕がはっきりした足跡が重なる場合は、アライグマなど別の候補も残します。同じ場所に繰り返し残るフンは同じ場所にたまるフンはハクビシン?ためフンと利用中の場所を確認する、庭の果実の食べ跡はハクビシンに庭の果実を食べられる。食害の確認と取り残しを減らす手順で扱っています。

農林水産省は、ハクビシンにはノミやダニが付いており、それらが媒介する病気や、ハクビシン自体や糞尿を経由して伝わる感染症があるため、過度な接近に注意が必要としています。フンや足跡の近くで作業するときは素手で触らず、体調に不安があるときは医療機関や自治体の相談窓口へ相談してください。

足跡・ためフン・食べ跡を合わせた判断:確認項目
手がかりハクビシンで資料が挙げる特徴組み合わせるときの分かれ目
足跡5本指、パッドは円形、爪跡は不明瞭(農林水産省・東京都環境局)爪跡が明瞭で指が長ければアライグマ。4本指で爪痕があればタヌキ
フンの置き場所ねぐらの中で排泄し、天井裏に堆積する(農林水産省)。雨どいやベランダの一角にまとまってある例(東京都環境局)同じ場所に繰り返し増えるなら、利用中の場所の可能性がある
フンの中身猫や犬のフンに似るが、柿の種や銀杏の殻が混ざる(世田谷区)中身は写真で記録する。素手で触らない
果実・野菜の食べ跡みかん・ナシは枝先近くで実をお尻から食べ、上部が枝先に残る。ぶどう・トマトは皮だけ吐き出す。とうもろこしは薄皮が軸に残り、子どもが食べたように見える(農林水産省)落花生の被害は、土を掘らないハクビシンよりタヌキやアナグマの可能性が高い(農林水産省)
天井のシミ・夜の音糞尿のシミがポツンと現れる例、足音や子の鳴き声(農林水産省)壁に沿ってシミが出る例はアライグマ側(農林水産省)。雨漏りとの区別も必要

参考:世田谷区|ハクビシン・アライグマに関するQ&A(PDF、2026年8月付)

足跡の写真を持って調査を頼むとき|相談前にそろえる資料

足跡の写真だけで動物の種類が確定するとは限りません。写真は、現地調査の担当者が確認する場所と時期を絞る材料として使います。日時と場所、一緒に見つかったフンや食べ跡、夜の音の時間帯を添えると、調査で何を確かめればよいかが伝わります。

調査を頼む場合の範囲の考え方は、「現地調査・見積もり無料」はどこまで?予約前の5つの質問にまとめています。足跡を見つけたからといって、急いで決める必要はありません。

  • 撮影日時と天気、足跡のあった場所(庭・ベランダ・外壁など)
  • 全景・中距離・接写の写真(定規入り)
  • 同じ場所のフン、食べ跡、柱や雨どいの汚れの写真
  • 夜間の音を聞いた日時と、どの部屋の上で聞こえたか
  • これまでに行った対策(忌避剤、ライト、片付けなど)と、その日付