アライグマの箱罠に免許は必要?「誰の枠で捕獲するか」で変わる

アライグマは外来生物法の特定外来生物で、野生の鳥獣として鳥獣保護管理法の対象でもあります。環境省の手引きは、捕獲の根拠を、外来生物法に基づく防除と、鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲(狩猟以外)の二つに整理しています。どちらも、狩猟免許を持たない一般の人を捕獲従事者にできるとされており、免許がなければ箱罠を使えないとは限りません。

ただし、免許が要らないのは、自治体が防除の従事者として認めた場合や、許可の条件を満たした場合に限られます。下の表は三つの枠を並べたものです。窓口に相談するときは、自分がどの枠に当たるかを先に尋ねると、必要な手続きをまとめて聞けます。

アライグマの箱罠に免許は必要?「誰の枠で捕獲するか」で変わる:確認項目
捕獲の枠わな猟免許主な手続き覚えておく条件
自治体の防除に従事者として参加(外来生物法)なくても従事できる。適切な捕獲と安全の知識・技術があると認められた人で、従事者台帳が作られる自治体への登録、講習(浜松市はオンライン講習の受講が必須で、受けられない人向けの講習会も案内している)アライグマだけが対象。設置は自分の所有地や管理地などに限る例がある(浜松市)
自分で許可を受けて捕獲(鳥獣保護管理法の許可捕獲)原則として、わなの設置には必要。例外として、住宅の建物内や農地の被害を防ぐために土地所有者自らが小型の箱わなで捕獲する場合は、免許がなくても許可を申請できる(手引き)許可権者(都道府県知事、一部は市町村長)への申請。許可の期間は最長で1年以内区域・期間・方法は許可証で決まる。札幌市は、囲まれた自宅敷地内なら市の許可でわな免許は不要、囲まれていない場所は免許も必要と案内
狩猟として捕獲(鳥獣保護管理法の狩猟)必要(箱わなはわな猟免許の対象)狩猟者登録をして、狩猟期間内に、法定の猟法で行うアライグマは狩猟鳥獣。区域や猟法に法令上の制限がある(環境省)

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

読者の疑問

アライグマの箱罠を設置するには、狩猟免許が必要ですか?

比較ガイド

必ずしも必要ではありません。自治体の防除に従事者として登録して使う制度では、免許なしで借りられる例があります(浜松市)。自分で捕獲許可を受ける場合は原則わな猟免許が要りますが、札幌市は囲まれた自宅敷地内なら市の許可で免許は不要としています。まず窓口で確認してください。

箱罠を置く前の手続き|免許・許可・従事者登録・講習を確認する順番

環境省の手引きは、わなの設置が法令に基づく正当なものであることを示す表示を求めています。つまり、設置の前に「どの制度で置くのか」が決まっていることが前提です。自治体の貸出では、申請や講習のあとに設置する流れで、先に罠だけ手配しても使えないことがあります。

屋根裏や室内に入り込まれている場合は、箱罠を置く前に、屋外用のわなが対象かを確認します。藤沢市は屋外の地面に限り、柏市は建物の屋根裏や室内への設置を断っています。痕跡の撮り方はアライグマの足跡の見つけ方と撮り方にまとめています。

  • 被害の場所と内容を整理し、写真を残す。松戸市は、箱わなの設置にアライグマと分かる写真や動画が必要としている
  • 市区町村の担当窓口に電話し、生活被害と農作物被害のどちらの窓口かを確認する
  • 貸出制度の有無と、免許・許可・従事者登録・講習のどれが要るかを聞く(宇都宮市は許可申請も必要、東近江市は市の貸出わななら許可申請は不要)
  • 置く場所が自分の所有地か管理地かを確認する。借家や共有部分は、所有者の承諾が先になる(町田市は、所有者自身か所有者から承諾を得た人を対象としている)
  • 毎日見回れる日程か、捕獲後に連絡できる時間帯かを確認する

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

アライグマの箱わな貸出の条件を比べる表(2026年10月3日に確認した公式ページ)

次の表は、2026年10月3日に開いた各市の公式ページの記載です。更新日は各ページに表示されていたもので、制度は年度や在庫で変わるため、申し込む前に窓口で現在の条件を確かめてください。「許可・登録」の列は、公式ページに利用者側の手続きとして書かれていた内容だけを載せ、書かれていないものは「記載なし」としています。

並べると、貸出期間は2週間から3か月まで幅があり、見回りは毎日(毎朝)と明記する例が多く見られます。許可の扱いも、市の貸出わなに含まれる例と、別に申請が必要な例に分かれます。わなの貸出が無料でも、餌や手袋などは利用者負担とする例が目立ちます。高槻市の貸出の流れは高槻市のアライグマ捕獲器の貸出で詳しく扱っています。

アライグマの箱わな貸出の条件を比べる表(2026年10月3日に確認した公式ページ):確認項目
自治体(ページの更新表示)貸出期間・回数許可・登録見回り・捕獲後
札幌市(2026年3月31日)最長4週間、年2回まで。年間の受付数に上限市の委託業者が自宅敷地に設置する制度。自分で設置するなら有害鳥獣捕獲許可が必要毎日の見回りと餌の準備・交換は依頼者。ペット等が入ったら速やかに放す
浜松市(2026年8月5日)原則1か月捕獲従事者に登録し、オンライン講習を受ける。狩猟免許は不要。アライグマのみ対象最低1日1回見回る。アライグマ以外は直ちに放獣。引取は平日のみで、休日前はわなを作動させない
福岡市(2026年7月24日)原則2週間、1基防除従事者の登録が必要(農業被害は対象外)。登録なしで頼める委託業者の捕獲もある毎日の見回りと餌の補充。土日祝日やその前日、年末年始は扉を閉める
東近江市(令和8年4月15日)最長1か月。延長は最大3か月で、1か月単位の再申請市の貸出箱罠なら捕獲許可の申請は不要毎日見回る。捕獲した外来獣は箱罠に入れたまま返却。外来獣以外は借用者が対応
宇都宮市(令和7年6月3日)3か月(農作物の生産・販売者は1年)、1世帯1基まで有害鳥獣捕獲許可の申請が必要捕獲個体は市の委託業者が無料で回収。見回りの回数は記載なし
高槻市(2026年3月27日)原則2か月市の貸出捕獲器の許可は記載なし。自己所有の捕獲器は捕獲許可が必要設置は市の委託事業者で、立会いが必須。借主が目視で確認(毎日が望ましい)。ヌートリアは市が回収
藤沢市(2026年4月1日)2か月、年度内1回許可・登録の記載なし。設置時の立会いが必要毎朝確認。屋外の地面のみ。土日祝日・年末年始などは扉を閉める。ネコやネズミはその場で放す

参考:札幌市|アライグマについて

自作や購入した罠を使うとき|市の貸出わなとの違い

ホームセンターなどで買った箱罠や、自作の罠をそのまま置く前に、市の貸出制度との違いを押さえます。同じ「箱罠」でも、市が用意したわなは自治体の防除や許可の枠の中にあり、自分で用意したわなは、自分で許可の枠に入れる必要があります。

自分で用意した罠は、許可と回収の取り決めが別になる

高槻市は、自己所有の捕獲器でアライグマを捕獲する場合は、特定外来生物かどうかにかかわらず、鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可をあらかじめ受ける必要があると案内しています。柏市は、自分で用意したわなにかかった場合は市では回収せず、自分で探した業者に自費で駆除を頼む扱いです。札幌市も、無許可で捕獲されたアライグマは引き取れないとして、捕獲の前に必ず市へ相談するよう求めています。

市の貸出と自分の器材で、許可の確認や捕獲後の処理を誰が担うかが変わる例は、生駒市のアライグマ檻の記事で確認できます。罠を買ってから相談するのでは遅いため、購入の前に窓口へ聞きます。

自作の罠は、公的資料で可否を確認できなかった

「アライグマ 罠 自作」で検索する人は多いのですが、自作そのものの可否を定めた公的な記載は、今回開いた資料では確認できませんでした。確認できたのは、札幌市が許可申請に、使用する箱わなの図面(外観・寸法が分かるもの)を求めていることと、環境省の狩猟制度の説明で、爆発物・劇薬・毒薬を使う猟法や、人の生命・身体に重大な危害を及ぼすおそれのあるわなが禁止されていることです。作り方はここでは扱いません。

  • 許可が要るか、申請先はどこか
  • 箱わなの図面や仕様の提出を求められるか
  • 免許が要るか(設置場所で変わる)
  • かかった個体を回収してもらえるか、誰が処理するのか

参考:高槻市|<特定外来生物>アライグマの捕獲にご協力ください

設置場所と餌の考え方|自治体・環境省の資料に書かれた範囲

設置場所と餌は気になる点ですが、個人が自由に決める部分は小さく、貸出や許可の条件が先に決めています。このサイトでは、餌の種類、仕掛け方、入らないときの調整などの手順は載せません。窓口や設置業者の説明に従うのが基本です。

設置場所|自治体が示す条件の例

環境省の手引きは、設置場所の選び方として、被害や移動経路との関係に加え、作業の安全性、見回りの効率、捕獲された動物が直射日光や浸水にさらされないことへの配慮を挙げています。各市の案内では、次のように、敷地や管理の条件として示されています。

  • 札幌市・福岡市・藤沢市・柏市は、自宅や自己所有地・管理地の敷地内が前提(藤沢市は屋外の地面、柏市は屋根裏・室内・空き家・道路などを不可とする)
  • 浜松市は、人の通る場所や見回りが困難な場所には設置せず、所有地以外では管理者の承諾を得るとしている
  • 東近江市は、安全な場所に設置して、毎日見回るなど責任を持って管理できる人に貸し出すとしている

餌|環境省の手引きが求める配慮

餌について環境省の手引きは、箱わなには猫など他の動物が入る場合があるため、地域の状況に応じて工夫すること、他の鳥獣を引き寄せて被害の遠因にならないよう配慮することを求めています。公式ページでは、餌は利用者が用意して費用も負担する例が多く、使い方は貸出時の説明に従う形です。

餌をまく前に見直したいのは、庭の果実や、外に置いたペットフードなど、もともとの誘引源です。外置きの餌とアライグマに、飼育を保ちながら食べ残しを管理する考え方をまとめています。

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

毎日の見回りと標識の表示|法令に基づく設置だと分かるようにする

捕獲された動物がわなの中で衰弱したり死亡したりしないよう、環境省の手引きは、原則として1日1回のわな見回りが必要としています。浜松市は最低1日1回、藤沢市は毎朝の確認を条件にしています。捕獲された動物を直射日光や高温にさらさない配慮として、手引きは箱わなにカバーをかけることを挙げていますが、千葉市は、ブルーシートや毛布をかけると動物が中に引き込んでわなの故障の原因になることがあると注意しています。かけ方は貸出時の説明に従ってください。

わなには標識の表示も求められます。手引きによると、外来生物法に基づく防除では、法に基づく防除に使うわなであること、対象の種類、実施者の住所・氏名・電話番号などの連絡先を見やすい場所に明記します。鳥獣保護管理法に基づく捕獲では、許可を受けた者の住所・氏名、許可の有効期間、許可証の番号、捕獲しようとする鳥獣の種類などが項目です。どの表示をどう付けるかは貸出や許可の条件で決まるため、窓口で確認します。

  • 休日や連休の前後は、わなの扱いを窓口の指示どおりにする(福岡市は土日祝日やその前日、藤沢市は土日祝日や年末年始に扉を閉める。浜松市は休日前や連休に作動させない)
  • 捕獲を確認したら、動物に触れず、決められた連絡先へ連絡する。受付時間を借りるときに聞いておく(浜松市は平日の午後2時まで)
  • わなの故障や紛失は、すぐに貸出元へ連絡する(千葉市は直ちに環境保全課へ)

参考:環境省|アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除、2025年改訂版)

猫やタヌキなど別の動物がかかったとき|自治体の案内を比べる

箱罠には、アライグマ以外の動物が入ることがあります。環境省の手引きは、ハクビシンやタヌキなどが入ることがよくあるとしたうえで、直ちに放せば捕獲の許可は不要だが、殺処分などをする場合はその動物について鳥獣保護管理法の許可が必要だと説明し、アライグマ以外が入った場合の対応は、あらかじめ市町村が定めて従事者に周知しておくべきだとしています。実際の案内は次の表のとおり自治体で違い、貸出元の指示が優先です。

放す動物にも爪や歯があります。千葉市は、捕獲された動物に直接手で触れず、移動や処分もしないよう注意しています。放し方に不安があるときは自分で判断せず、貸出元へ電話で確認してください。タヌキやアナグマなのか迷うときは、アライグマ・タヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方で尾と顔の見方を確認できます。

猫やタヌキなど別の動物がかかったとき|自治体の案内を比べる:確認項目
自治体アライグマ以外が入ったときの案内(公式ページの記載)
札幌市ペット等が誤って捕獲された場合は、速やかに放す
浜松市直ちに放獣する。ヌートリアとクリハラリスは環境政策課へ連絡する
千葉市ネコ、タヌキ、アナグマ等は速やかに解放する。動物に直接手で触れない
藤沢市ネコやネズミが誤って入った場合は、その場で放す
高槻市ヌートリアは市が回収する。それ以外は許可外の捕獲のため、借主が放獣する
町田市市の防除事業では、アライグマ・ハクビシン以外が捕獲された場合は敷地内に解放することに同意して申し込む
東近江市外来獣(アライグマ・ハクビシン・ヌートリア)以外は借用者が対応する

参考:千葉市|【生活被害】ハクビシン・アライグマ用の箱ワナの貸出制度

捕まえたアライグマは自分で運ばず連絡する|生きたままの運搬は禁止

アライグマは特定外来生物なので、生きたまま運ぶことは外来生物法の「運搬」に当たり、原則として禁止されています。環境省は、野外で捕まえた特定外来生物を持ち帰ることは運搬に当たる一方、その場ですぐに放すことは規制の対象にならないと説明しています。手引きも、捕獲個体の個人的な持ち帰りや野外への放置がないようにするとしています。

借りた箱わなに入ったアライグマは、わなごと貸出元や委託業者が引き取る仕組みが、各市の案内に共通しています。連絡先と受付時間は自治体ごとに違い、浜松市は平日午後2時までの受付で、時間帯によって翌日の回収になります。福岡市の回収は平日のみです。自分の車で運ぶ、遠くで放す、動物病院や知人に預けるといった対応は、運搬や保管に当たるため行いません。

参考:環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」

箱罠だけで終わらせない|侵入口と餌の管理、屋根裏は別の相談

農林水産省の中型獣類のマニュアルは、対策の優先順位として、食べさせない、安心して休めない環境づくりを先に置き、捕獲の優先順位は低くなると整理しています。餌場や休み場所をそのままにして捕獲だけを進めても、効果は上がりにくいという考え方です。

箱わなの貸出で自治体が担うのは、屋外での捕獲が中心です。板橋区は進入路を塞ぐ施工とふん尿の撤去・清掃・消毒を、町田市は消毒や穴ふさぎを、利用者の自己負担としています。一宮市は、屋根裏などへの檻の設置や家屋への施工、消毒を行っていません。屋根裏に入られている場合の分担は、アライグマ駆除は市役所・保健所に頼める?で自治体の対応の型を比べています。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)