種類別の対策ガイド

イノシシの駆除・対策ガイド

住宅地での遭遇時の安全確保と、庭・畑の被害対策を知りたい。

イノシシは植物を中心に食べる雑食性の大型の野生動物です。農林水産省のマニュアルによると、現在は北海道を除く46都府県で生息が確認されており、1978年から2020年にかけて分布域は1.9倍に広がりました。年1回、平均4〜5頭の子を産む多産な動物で、集落周辺に休耕地などの暮らしやすい環境が増えたことが、個体数の増加と分布の拡大に関係していると考えられています。

被害は、イネやイモ類、タケノコなどの食害と、田畑や庭の掘り起こしが中心です。鼻は犬並みに鋭い嗅覚を持ち、土を掘ったり障害物を動かしたりするのにも使われます。稲刈り後のひこばえ、収穫後の野菜くず、管理されていない柿などは、人が被害と感じなくても野生鳥獣には餌になり、マニュアルはこれを無意識の餌付けと呼んで、被害の温床になると指摘しています。

本来は用心深く臆病で、人に出会うとイノシシの方から逃げることが多いとされます。ただし兵庫県は、発情期(晩秋から冬)や分娩後で攻撃的になっているときや、至近距離で突然出会ったときは注意が必要で、餌付けなどで人に慣れると餌を求めて襲ってくることがあると呼びかけています。住宅地では、捕まえることよりも、出会ったときの安全確保と、餌場を作らないことが先になります。

イノシシの被害を見分ける手がかり

手がかり特徴と確認のしかた
足跡蹄の跡が残り、シカの足跡に比べて全体に丸みがあります。地面が柔らかいと後ろ側に副蹄の跡が付く点が、副蹄の跡が付かないシカとの違いです。足跡だけで決めず、他の痕跡と合わせて判断します。
掘り起こし鼻で土を掘って餌を探すため、畑や草地に掘り起こした跡が残ります。タケノコ、クリ、ドングリなどの食べ跡が近くで見つかることもあります。
フン新しいフンは固まった形をしていますが、時間がたつと乾燥し、シカのフンのようにばらばらに崩れることがあります。餌や乾き具合で形が変わるため、足跡などと合わせて確認します。
泥の跡ヌタ場と呼ばれるぬかるみで泥浴びをする習性があります。通り道の木の幹や下草に、体の泥をこすりつけた跡が残っていないかを見ます。
けもの道と柵のすき間草地や林の中に、繰り返し通ってできた道が付きます。柵は上を越えるより下をくぐろうとする傾向があり、成獣は20センチ程度のすき間をくぐり抜けるとされるため、柵の下部を確認します。

法律・制度上の注意

イノシシは野生鳥獣で、鳥獣保護管理法の対象です。同法では、許可を受けた場合や、狩猟免許を持ち狩猟者登録をした人が狩猟期間に狩猟をする場合などを除き、捕獲は禁止されています。被害を防ぐために捕獲するには許可が必要で、一般的には、都道府県知事から権限を移された市町村長の許可を受けて行います。箱わなや囲いわなを設置して捕獲する場合は、一般にわな猟免許も必要です。農林水産省のマニュアルは、同法に違反して捕獲すると刑事処分や狩猟免許の取消などの行政処分の対象になると説明しています。無許可でわなを仕掛けたり毒餌を置いたりせず、まず市町村の鳥獣担当窓口へ相談してください。

自分でできる対策

  • 生ごみは収集日の朝に出し、袋の口を結んでネットをかけます。家庭菜園や田畑の周りに、野菜くずや収穫の残りを放置しません。
  • 収穫しない柿などの果樹や、稲刈り後のひこばえなど、餌になる物を地域ぐるみで減らします。ウリ坊を含め、イノシシに餌を与えません。
  • 畑を守る柵は、下からくぐられないことを優先します。金網やワイヤーメッシュは下部の傷みを補修し、電気柵は電線の間隔を20センチ以下にして2〜3段張るのが適しているとされています。設置は製品の説明に従います。
  • 柵は設置後の見回りと補修を続けます。光、音、においを使う資材は慣れが生じ、置くだけでイノシシが来なくなる資材は見つかっていないと、農林水産省のマニュアルは説明しています。
  • 山際を歩くときは鈴などの音で、夜は懐中電灯の光で人の存在を知らせます。足跡や掘り起こしを見つけた場所と日時は記録しておきます。

相談を考える目安

  • 住宅地や通学路でイノシシを見かけた場合は、近づかずに市町村の鳥獣担当窓口へ連絡する。
  • けが人が出た、人に向かってくるなど差し迫った危険がある場合は、警察や救急へ通報する。
  • 田畑や庭の掘り起こし、食害が繰り返され、柵の設置や捕獲を検討したい。
  • 近所で餌付けやごみの放置があり、イノシシが人を恐れずに出没するようになっている。

イノシシのよくある質問

イノシシに出会ったときの対処法は?
刺激せず、慌てずにゆっくり後ずさりして離れます。兵庫県は、急に走り出したり背中を見せたりせず、棒を振り上げる、物を投げるといった行為をしないよう呼びかけています。近づいてくる場合は、建物や車の中など、イノシシから人が見えない場所へ避難します。ウリ坊の近くには母イノシシがいる可能性が高いため、近づかないでください。
イノシシは夜行性ですか?
夜だけ活動する動物ではありません。農林水産省のマニュアルは、イノシシは昼夜を問わず餌を求めて活動し、本来は警戒心が強く人前に姿を現さないと説明しています。神戸市も、人を避けて行動するため街中への出没は夜間が多くなるとしています。夜に出るから夜行性と考えず、昼間でも草深い場所には入り込まないようにします。
イノシシを自分でわなにかけて捕まえてよいですか?
許可なく捕まえることはできません。イノシシは鳥獣保護管理法の対象で、狩猟のほかは許可を受けた捕獲に限られ、箱わなや囲いわなの設置には一般にわな猟免許が必要です。被害があるときは、市町村の鳥獣担当窓口に、有害鳥獣としての捕獲や地域の対策について相談してください。
ライトや音、唐辛子などのにおいはイノシシ対策になりますか?
それだけで防ぐことは難しいとされています。農林水産省のマニュアルは、光・音・においを使う対策は慣れが生じ、効果がないか、あっても一時的で、特ににおいは忌避効果が得られにくいと説明しています。侵入を防ぐ柵と、餌になる物を減らす環境の管理を組み合わせることが基本です。
イノシシ対策の柵は、ワイヤーメッシュと電気柵のどちらがよいですか?
どちらもイノシシ対策に使われており、管理を続けられるかどうかで選びます。農林水産省のマニュアルは、資材選びよりも設置後の維持管理が重要としています。ワイヤーメッシュや金網は下部からの侵入を防ぐ補強が要点で、電気柵は草による漏電への対策が必要になります。

参考(確認日:2026年10月3日):農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 総合対策編(令和5年3月版、PDF)、農林水産省|改訂版 野生鳥獣被害防止マニュアル イノシシ・シカ・サル 実践編(平成26年3月、PDF)、大阪府|イノシシに出会ったら、兵庫県|イノシシによる人身被害防止について、神戸市|イノシシ被害対策

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