イノシシ駆除の補助金は2系統|柵の資材補助と捕獲報償金
『イノシシ 駆除 補助金』と調べると、柵を買う費用への補助、わなの購入や免許取得への補助、捕獲した頭数に応じた報償金が混ざって出てきます。仕組みが違うのは、受け取る人です。柵の資材補助は、農地や菜園を守る人(農業者や団体、市によっては家庭菜園の人)が申請します。報償金は、許可や狩猟登録を受けて捕獲した人が受け取ります。まずは自分がどちらの立場かを決めましょう。
表の金額や条件は、自治体や年度で変わります。この記事の例は2026年10月時点で公式ページに載っていた内容で、受付状況や予算は変わります。補助の探し方の基本は害獣駆除の補助金・助成金の探し方にもまとめています。
| 補助の種類 | お金の使い道 | 受け取る人 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 防護柵の資材補助 | 電気柵、ワイヤーメッシュ柵などの資材購入費 | 農業者、営農団体。市によっては家庭菜園の人 | 購入前の申請や、2〜3戸以上の共同設置が条件の市がある |
| 捕獲報償金(奨励金) | 捕獲1頭ごとの支払い | 許可や狩猟登録を受けて捕獲した人 | 写真などによる捕獲確認が必要で、捕獲していない住民は対象にならない |
| わな・免許の補助 | わなの購入費、わな猟免許の取得費など | 市内に住所や耕作地のある人。市によっては捕獲許可の取得が条件 | 免許・許可の条件と上限額が市ごとに違う |
| 住宅の害獣駆除費の補助 | 業者による駆除や、屋根裏・敷地の対策費 | 自治体の制度ごとに定める | 農地向けのイノシシ補助とは別の制度 |
参考:農林水産省|鳥獣被害防止総合対策交付金の支援内容について(令和8年4月改訂、PDF)
イノシシ駆除の補助金は、誰でももらえますか?
申請すれば受け取れる制度ではありません。柵の資材補助は農業者や団体を対象にする例が目立ち、家庭菜園を含むか、購入前の申請が必要か、予算の枠があるかが市ごとに違います。報償金は許可や登録を受けて捕獲した人への支払いです。
国の交付金と市町村の補助の関係|被害防止計画のある市町村が窓口
国の交付金は、市町村や協議会の取り組みを支えるお金で、住民が国へ直接申請するものではありません。住民が使える補助は、市町村がその交付金や独自の予算で用意した事業です。農林水産省の資料の記載を、読み方と合わせて表にまとめました。
鳥獣被害防止総合対策交付金とは
農林水産省の令和8年度版(令和8年4月)の資料は、この交付金を、市町村が作る被害防止計画に基づく、捕獲、被害防除(柵など)、生息環境管理の取り組みを総合的に支援する制度と説明しています。国から都道府県、地域協議会などへ交付され、補助率は1/2以内等とされています。資料は『まずは被害防止計画を策定する市町村に相談を』と案内しており、住民の窓口は市町村です。
捕獲と柵に関する国の目安
同じ資料では、有害捕獲に係る捕獲活動経費(頭数払い)として、イノシシ・シカの成獣は、ジビエ利用で9千円、焼却処理で8千円、埋設等で7千円の上限単価が示されています。農林水産省と環境省の令和8年のリーフレットは、地域によっては県や市町村の報奨金を上乗せして支援していると説明しています。国の単価はそのまま受け取れる額ではなく、市町村の事業を通じた支払いの上限の目安として読みます。
侵入防止柵の整備は、原則として受益農家が3戸以上であることが要件で、例外は地方農政局長等との協議で認められる場合があります。新規整備では、わななどの捕獲機材の一体的な設置、生息環境管理、適切な維持管理も要件です。1人で自宅の菜園に柵を立てる場合はこの要件から外れやすいため、市町村が独自に設ける補助を見ることになります。
| 項目 | 農林水産省の資料の記載(令和8年4月版) | 読み方 |
|---|---|---|
| 交付の流れ | 国から都道府県、地域協議会などへ交付。補助率は1/2以内等 | 住民の窓口は市町村。被害防止計画の有無を確認する |
| 捕獲活動経費 | イノシシ・シカの成獣は定額で、ジビエ利用9千円、焼却処理8千円、埋設等7千円(1頭あたりの上限単価) | 市町村や県の報奨金が上乗せされる地域もある |
| 侵入防止柵の整備 | 原則、受益農家3戸以上。捕獲機材の一体的な設置、生息環境管理、維持管理が新規整備の要件 | 1人の家庭菜園は市町村独自の補助を見る |
| 捕獲の確認 | 捕獲確認マニュアルに基づき、写真などの書類を提出する | 報償金の申請に写真や報告が求められる理由 |
市の補助制度を比べる|柵・わな・免許で対象が違う5市の掲載
住民向けの補助は、市の公式ページや要綱で条件が公開されています。ここでは関西の2市と、他地域の3市の掲載内容を、対象者、家庭菜園の扱い、補助率と上限、申請のタイミングで並べました。いずれも2026年10月時点で確認した掲載で、年度ごとに変わるため、申請前に自分の市の最新ページを確認してください。
家庭菜園が対象かどうかの読み方
『家庭菜園は対象か』は読み違いやすい点です。太宰府市は家庭菜園を含むとし、宇都宮市は含まないと明記しています。枚方市と岡山市は、農業に従事する人や農業者の団体が前提の書き方です。同じ県内でも市で条件が違うため、他の市の例を自分の市に当てはめないでください。
柵ではなくわなや免許が対象の市もある
宝塚市は、2026年4月15日更新のページで『メニューが変更になりました』と書き、補助対象経費を捕獲器具とわな免許の取得費にしています。宇都宮市は、柵のほかに、捕獲許可を取得している人へのわな購入補助と、わな猟免許の取得補助も載せています。各市の事例は太宰府市のイノシシ対策、丸亀市のイノシシ対策、今治市の補助、岡山市でイノシシを見たらでも解説しています。
| 市(掲載の更新日) | 対象者 | 家庭菜園 | 補助率と上限 | 申請のタイミング |
|---|---|---|---|---|
| 枚方市(大阪府・要綱の最終改正は令和4年12月23日) | 市内に在住する農業に従事する人 | 要綱に記載なし。自ら耕作する市内の農地が対象 | 材料費の2分の1と、1メートル当たり350円で計算した額のいずれか少ない額。上限10万円 | 交付決定の日以後に購入する材料が対象 |
| 宝塚市(兵庫県・2026年4月15日更新) | 捕獲器具は農会等を通じて申請。わな免許は農会長や猟友会支部長の推薦が条件 | 記載なし。柵はこのページの対象経費にない | 対象経費の1/2以内。予算の都合で1/2以下になることがある | 事前調書は原則、事業着手予定日の1か月前まで。事業完了後の申請は不可 |
| 太宰府市(福岡県・2026年4月1日更新) | 市内の農地等で農林産物等を生産する人 | 含む。作付地に設置するものだけが対象で、家屋や敷地の対策は対象外 | 対象経費の1/2。設置地が200平方メートル未満は上限5万円、200平方メートル以上は10万円 | 交付決定通知の前に購入した資材は対象外。見積書と設置予定個所の写真を添える |
| 宇都宮市(栃木県・令和7年6月3日更新) | 市内に耕作地を持つ農業者(個人)または営農団体(構成員3名以上) | 含まない | 個人は経費の1/2以内で上限45,000円。団体は1/2以内か、45,000円に設置者数を掛けた額の低い方 | 購入前申請の記載はページから確認できない。柵は周囲100m以上が要件 |
| 岡山市(2026年9月2日更新) | 原則2戸以上の農業者で組織する団体。難しい場合は相談 | 記載なし。現に耕作されている農地が対象 | 資材購入費の3分の2以内(要領の但し書きに当たるものは3分の1以内) | 交付申請書、着手届、完了届などの様式が用意されている |
捕獲報償金は誰が受け取れる?許可を受けた従事者に限られる理由
岡山市は、鳥獣による農林水産物の被害防止のため、対象鳥獣の捕獲者(補助事業者)に捕獲奨励金を交付しています。対象鳥獣にはイノシシが含まれ、有害捕獲による奨励金と、狩猟捕獲による捕獲促進奨励金に分かれます。申請時期は前者が2月28日まで、後者が3月21日までと掲載されています。受け取るのは捕獲を行った人で、被害を受けた住民ではありません。
宇都宮市は、市独自のイノシシ捕獲報償金を成獣1頭あたり8,000円、幼獣1頭あたり6,000円と掲載し、市委託の収集運搬を依頼した場合は成獣・幼獣とも1頭につき5,000円としています。このページの更新日は令和6年3月8日で、対象者や申請方法は書かれていないため、現在の額と条件は市に確認が必要です。
一般の住民が対象でない理由は、制度の作りから読み取れます。イノシシの捕獲そのものが、許可または狩猟者登録を受けた人にしかできません。さらに、国の交付金の捕獲活動経費は、捕獲確認の書類を前提に頭数ごとに支払われます。報償金を目当てに自分でわなを仕掛けるのではなく、許可の手続きと免許を持つ従事者へ依頼する形になります。
| 例 | 金額・条件の掲載 | 対象になる人 | 申請時期・窓口 |
|---|---|---|---|
| 国の交付金(令和8年4月版) | イノシシ・シカ成獣は、ジビエ利用9千円、焼却処理8千円、埋設等7千円(1頭・上限単価) | 被害防止計画に基づく有害捕獲の活動 | 市町村などの事業を通じて支払われる |
| 宇都宮市(令和6年3月8日更新) | 成獣8,000円、幼獣6,000円。市委託の収集運搬を依頼した場合は5,000円 | ページに対象者の記載なし。同市のわな購入補助は捕獲許可の取得が条件 | 農林生産流通課 |
| 岡山市(2025年11月25日更新) | 奨励金額(上限)は捕獲者や対象鳥獣、申請時期などの条件ごとに設定。対象鳥獣にイノシシを含む | 捕獲者(補助事業者)。有害捕獲と狩猟捕獲で奨励金が分かれる | 有害捕獲は2月28日まで、狩猟捕獲は3月21日まで。各区役所の農林水産振興課 |
参考:岡山市|捕獲奨励金
申請前に確認すること|予算枠・購入前申請・共同設置・書類
補助金の申請は、買い物の順番を間違えると取り返しがつきません。公式ページに共通して書かれている注意を、四つの観点で整理します。
予算の枠と受付状況
宝塚市の公式ページは、補助率が1/2以内であっても、予算の都合で1/2以下になることがあると明記しています。同ページには『メニューが変更になりました』ともあり、対象経費が見直されることが分かります。昨年の記事や知人の話の金額をそのまま当てはめず、今年度の予算と受付期間を市に確認します。
購入前に申請が必要な市がある
太宰府市は、交付決定通知を受け取る前に購入した資材には補助金が交付されないとしています。枚方市の要綱も、交付決定の日以後に購入した材料を対象にしています。宝塚市は、事前に調書を出すよう求め、事業完了後の申請は受け付けないとしています。先に買って領収書で申請する順番は、通らない市があります。
共同設置と維持管理の条件
国の交付金の柵は原則として受益農家3戸以上、岡山市は原則2戸以上の農業者の団体、宇都宮市の営農団体は構成員3名以上と、共同を前提にした制度があります。枚方市は、補助金の決定に、防護柵の維持管理を十分に行う条件を付けると要綱に定めています。柵は付けて終わりではなく、点検や草刈りの担い手を決めておく必要があります。
書類と提出期限
太宰府市は、申請に購入予定資材の見積書と設置予定個所の写真を添え、完了後は領収書の写し(宛名入り)と完了写真を提出するとしています。同市の今年度の実績報告の提出期限は、令和9年1月29日と掲載されています。期限は年度ごとに変わるため、申請の際に市へ確認してください。
- 設置する場所と延長が分かる図や写真
- 購入予定資材の見積書(太宰府市の例)
- 領収書の写しと完了写真(太宰府市の例)
- 土地の権原者の同意(枚方市の要綱が対象行為の条件に挙げる)
住宅の害獣駆除費用の補助とは別の制度|家屋・敷地の対策は対象外の例
太宰府市は、家庭菜園に設置する場合は作付地に設置するものだけを対象とし、家屋や敷地などの被害防止対策として購入された資材は対象外としています。宇都宮市も、防護柵の補助は、市内の耕作地(家庭菜園は含まない)を前提にしています。イノシシ向けの補助は農作物を守る目的の制度で、屋根裏や床下に動物が入った家の駆除費や、侵入口の補修費を支える制度とは別です。
住宅の害獣駆除や侵入口の閉塞に補助を出す自治体もありますが、対象動物、上限額、申請の順序は自治体ごとに違います。業者の見積もりの読み方は害獣駆除の費用は何で変わる?、窓口の考え方はイノシシ駆除は市役所に依頼できる?が参考になります。庭や畑を荒らす段階なのか、建物に被害が及んでいる段階なのかを、最初に市へ伝えると話が早く進みます。
補助金を探す順番と、窓口で聞くこと
探す順番は、住んでいる市町村の農林・鳥獣担当課、市町村ホームページの『有害鳥獣』『被害防止』のページ、被害防止計画の有無の順です。農林水産省と環境省のリーフレットは、国の交付金による支援内容は、お住まいの市町村へ問い合わせるよう案内しています。窓口へ電話するときは、次の点を聞くと、申請の可否が早く分かります。
- イノシシの被害は補助の対象鳥獣に入っているか
- 家庭菜園は対象か。対象なら作付地の部分だけか
- 購入前の申請が必要か。受付はいつからいつまでか
- 今年度の予算の残りと、補助率が下がる可能性
- 共同設置の戸数や、維持管理の条件
- 必要書類(見積書、設置予定個所の写真など)





