十津川村の鳥獣対策は農林課の被害防止計画が軸
十津川村は、鳥獣による農林水産業の被害を防ぐための法律に基づいて、鳥獣被害防止計画を作っています。村のお知らせでは2026年6月24日付の表示で公表されており、計画期間は令和8年度から10年度、対象は村全域です。対象の鳥獣はニホンザル、イノシシ、ニホンジカ、カワウ、ウサギで、担当は農林課です。
この計画は農林業と漁業の被害を主な対象にしていて、住宅のネズミやハチの巣の相談窓口を決めた文書ではありません。畑や山林、庭先にサル・イノシシ・シカが来る場合は計画の仕組みが当てはまりますが、天井裏の物音やハチの巣は別に窓口を確認する必要があります。
参考:十津川村|十津川村鳥獣被害防止計画(計画期間 令和8〜10年度、PDF)
十津川村で鳥獣被害を相談する窓口はどこですか?
村の鳥獣被害防止計画の担当は農林課(農業係)です。被害証明は大字総代、捕獲は猟友会十津川支部という役割分担なので、まず被害の場所と動物を農林課に伝えます。
サル・イノシシ・シカ被害の傾向|村の計画に書かれた内容
計画には、令和6年度の被害の現状が獣種別に載っています。サルは村のほぼ全域にいて、野菜や果樹の被害に加え、人に慣れた個体が住居へ入る例も確認されていると書かれています。果実が熟す夏から秋に被害が出やすいという記述もあります。
イノシシは、春はタケノコ、夏から秋は野菜やいも類、水稲を食べるほか、畦畔や石垣を掘り起こして崩すことがあります。夜間に田畑へ入る例が多いとされています。シカは一年を通じて村の全域で農作物を食べ、杉や桧の苗木、広葉樹、シイタケ原木林の新芽にも被害が出ています。
| 動物 | 計画に書かれた被害の様子 | 令和6年度の被害額(計画の表記) |
|---|---|---|
| ニホンザル | 野菜・果樹の被害。人に慣れた個体の住居侵入。夏から秋に多い | 野菜3,537千円、果樹・その他324千円 |
| イノシシ | タケノコ・野菜・水稲の被害。畦畔や石垣の掘り起こし。夜間の侵入が多い | 野菜・その他2,272千円 |
| ニホンジカ | 通年で村全域の農作物被害。杉・桧の苗木や広葉樹の新芽の食害 | 野菜・その他1,275千円、杉・桧12,114千円 |
| ウサギ | 野菜・水稲の被害。柵の隙間や網を食い破って入る。小型の捕獲檻が有効とされる | 水稲153千円、野菜・その他918千円 |
| カワウ | 放流したアユ・アマゴを食べる被害 | アユ・アマゴ7,396千円 |
サルが敷地や家に近づくとき|電気柵と誘引物の管理
計画は、サルの対策は電気柵でないと効果がなく、ステンレスネット柵と併用した電気柵が効果的だと説明しています。相談に来た人には設置を勧めているとあり、普通の防止柵や、設置と管理が不十分な柵では侵入を許している例が見られるとも述べています。
村は、サルを群れで捕獲できる大型の囲い罠の導入を進めるため、囲い罠を自作する有害鳥獣駆除員へ資材代を助成する方針です。これは捕獲に携わる人向けの支援で、一般の住民が大型の罠を作るという話ではありません。住まいの周りでできるのは、計画にも挙がる放任果樹や農作物の残渣といった誘引物を減らすことです。戸締まりなど住宅側の備えは猿の被害対策も参考になります。
捕獲を頼むときの流れ|大字総代・村長・猟友会
計画によると、有害鳥獣捕獲は村長が大字総代などから被害証明書を受け取り、一般社団法人奈良県猟友会十津川支部へ捕獲を要請する形で進みます。許可の手続きでは、農業者の代表などから出される申請書を受けて村長が許可を出し、許可証と従事者証を交付します。従事者証を受けた捕獲実施者が、十津川支部の9分会で捕獲します。
計画の流れを読むと、捕獲の要請は個人の連絡だけで進むのではなく、集落の総代が出す被害証明書を通る仕組みです。被害の日時、場所、何をされたかを書き留め、写真を安全な範囲で残しておくと、証明書を頼むときに説明しやすくなります。村は被害場所へセンサーカメラを置いて加害動物や侵入経路を調べてきたとも記しており、動物の種類を自分で決めつけない姿勢が大切です。
| 順番 | 計画に書かれた内容 | 読者が準備すること |
|---|---|---|
| 1 被害の確認 | 村長が大字総代などから被害証明書を受け取る | 被害の日時・場所・動物・状況をメモし、総代に伝える |
| 2 捕獲の要請と許可 | 村長が猟友会十津川支部へ要請し、許可証と従事者証を交付する | 許可の申請を自分で出す前に、農林課に窓口を確認する |
| 3 捕獲の実施 | 従事者証を受けた人が、十津川支部の分会で捕獲する | 檻や罠のある場所に近づかず、連絡を受けた時間と場所を守る |
| 4 檻の貸出 | 村が整備した檻を、十津川村有害鳥獣駆除連絡協議会が大字や捕獲実施者の要請に応じて貸し出す | 個人ではなく大字や捕獲実施者を通す仕組みである点を確認する |
自分で罠を仕掛ける前に確認する、捕獲の許可
環境省の説明では、鳥獣は狩猟による場合を除き、原則として捕獲や殺傷ができません。農林水産業などへの被害があるときは、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲でき、多くの都道府県ではその権限の一部が市町村長に移されています。十津川村の計画も、村長が許可を出して許可証と従事者証を交付する形を書いています。
このため、箱わなや囲い罠を買って自分で仕掛ければ解決する、とは考えないでください。許可や免許がない状態での捕獲は勧められません。檻の利用を希望するときは、大字を通した貸出になるのか、捕獲を行う人に任せるのかを農林課に確認しましょう。
電気柵・防止柵の補助|購入費の70%と上限額の引き上げ
計画には、村民が田畑に設置する侵入防止柵や電気柵について、資材購入費の70%を補助していると記されています。電気柵を広げるため、補助金の上限額を令和7年度に7万円から10万円へ引き上げたとも書かれています。対象になる人、面積、申請の時期は計画に載っていないため、購入の前に農林課へ確認してください。
計画は、柵を付けても設置や管理が不十分だと入られると指摘し、住民には日常の見回りや追い払い、放任果樹や残渣の片付けを促しています。既設の柵を電気柵に改修する取り組みも進める方針です。畑の被害を動物の跡から見分けたいときは畑の害獣対策が役に立ちます。
電気柵を付ける場合は、感電事故を防ぐ決まりも必要です。農林水産省は、危険を知らせる表示、適合した電源装置、電源の使用電圧が30ボルト以上で人が容易に立ち入る場所での漏電遮断器、専用の開閉器などを示しています。補助の可否とは別に、購入先や施工者に確認しましょう。
クマの出没と緊急時の連絡体制
計画は、住民の生命や身体に被害が及ぶおそれがあるときの役割も整理しています。村は関係機関との連絡調整と住民への周知、猟友会十津川支部は捕獲、五條警察署と十津川警察庁舎は住民の安全確保を受け持つ形です。村の緊急時の連絡先ページでも、事件や事故の窓口として五條警察署の十津川警察庁舎が挙がっています。
計画には、近年クマの出没も増えているため、緊急時を想定して銃猟免許の取得を進める、という記述もあります。クマや人に近づく動物を見たときは、近づかず、身の危険があるなら警察に連絡してください。家の周りの対策はクマ出没への対策で確認できます。
参考:十津川村|緊急時の連絡先
ハチの巣やネズミは別枠|村のページでは案内を確認できなかった
2026年10月12日に十津川村の公式サイトの暮らしガイドや行政情報を確認した範囲では、ハチの巣の駆除やネズミの相談、補助を案内するページは見つかりませんでした。「ペット・野生動物」のページも、犬の登録、狂犬病予防注射、放し飼いの禁止といった案内が中心です。
家の軒先にハチが巣を作った、天井裏から音がするといった場合は、村が対応すると決めつけずに、まず役場へ相談できるかを確認します。そのうえで民間業者へ頼むなら、現地調査を頼む前に伝えることを整理してから連絡し、見積もりの作業範囲を比べましょう。





