イノシシ駆除は市役所に依頼できる?場面別の連絡先
イノシシの被害や目撃は、市町村の窓口へ相談できます。大阪府は、鳥獣被害に関する相談や有害鳥獣の捕獲の許可に関する事務の一部は、市町村で行っていると案内しています。ただし、窓口の部署は市町村で異なります。大阪府の一覧(令和6年4月現在)では、大阪市は動物管理センター分室、豊中市は環境部の公園みどり推進課など、部署名がまちまちです。大阪府内の市の相談先は、大阪市・堺市・東大阪市の害獣相談先を整理した記事でも確認できます。
神戸市は、街中でイノシシを目撃したり被害に遭ったりした人向けに、午前8時から午後9時まで年中無休で受け付ける鳥獣相談ダイヤルを設け、受けた情報を有害鳥獣の捕獲活動などの被害対策に活用するとしています。一方で、けがをした場合は、すぐに警察(110番)や救急(119番)へ連絡するよう案内しています。窓口に連絡したからといって、すぐに捕獲が始まるとは限りません。
| 場面 | 最初の連絡先 | 伝えること・注意 |
|---|---|---|
| 目撃しただけ(けがや危険はない) | 市町村の農林・鳥獣担当課(神戸市は鳥獣相談ダイヤル) | 場所、時刻、頭数、大きさ、向かった方向。追い払おうと近づかない |
| 庭・畑・農地の被害(掘り返し、食害) | 市町村の農林・農政担当課。農業者向けの捕獲許可手続を案内する市もある(神戸市) | 被害の写真、被害の範囲、土地の持ち主か借り手か。手続は市町村ごとに異なる |
| 襲われそう、けがをした | 警察(110番)、救急(119番) | 安全な場所へ避難する。落ち着いてから市町村にも情報を伝える |
| 死んだイノシシを見つけた | 県や市町村の担当(滋賀県は県の鳥獣対策室または森林整備事務所) | 触らず、場所と状況を伝える。豚熱の検査の対象になる場合がある |
| 住宅の侵入口、柵、補修 | 民間の害獣駆除業者、施工業者 | 建物まわりの補修や柵の施工を相談できる。捕獲は許可や免許が前提 |
参考:神戸市|イノシシ被害対策
イノシシの駆除は、市役所に頼めば無料でやってもらえますか?
費用や対応の範囲は市町村ごとに違い、一律には言えません。市町村の対応は、被害防止計画や被害の状況、地域の捕獲体制で決まり、相談や記録の受付にとどまる場合もあります。まず担当課に、自分の場所が対象かを確認します。
市町村の被害防止計画と鳥獣被害対策実施隊|駆除を担う仕組み
農林水産省は、鳥獣被害防止特措法に基づき、市町村が被害防止計画を作成でき、計画には対象鳥獣、被害の現状、捕獲体制、防護柵の設置、緊急時の連絡体制などを書くと整理しています。計画期間は3年程度が目安です。農林水産省の調査結果の概要では、令和7年4月末時点で、1,525の市町村が計画を作成し、1,266の市町村が鳥獣被害対策実施隊を設置し、隊員は42,950人とされています。
注意したいのは、この計画と実施隊が、農林水産業等への被害を防ぐ法律の仕組みだという点です。計画に何を書くかは市町村が決めるため、対象鳥獣にイノシシを含めるか、住宅地の被害をどう扱うかは、市町村ごとに違います。農林水産省は、市町村が自分のホームページで被害防止計画を公表することも案内しているため、お住まいの市町村が公表しているかを探してみてください。
被害防止計画に書かれること
農林水産省の留意事項は、計画に書く項目として次のようなものを示しています。計画の中身を見ると、その市町村が何を取り組むのかが分かります。
- 対象鳥獣の種類、計画期間、被害の現状と軽減目標
- 捕獲体制と捕獲計画(実施隊の捕獲員、狩猟者団体への委託など)
- 侵入防止柵の整備と管理、緩衝帯の設置、放任果樹の除去などの生息環境管理
- 住民の生命・身体・財産に被害が生じるおそれがある場合の、市町村・都道府県・警察の役割と連絡体制
実施隊・猟友会・警察の役割
実施隊は、被害防止計画に基づいて被害防止施策を担う市町村の組織です。計画には、実施隊のうち対象鳥獣捕獲員の指名・任命の状況を書き、猟友会などの狩猟者団体への委託も、捕獲体制の一つとして書きます。協議会には、市町村、農林漁業団体、猟友会、都道府県の普及指導機関などが入ることがあります。京都府では、福知山市の獣害相談の記事のように、地域の被害対策の相談を市が受ける例もあります。
| 担い手 | 主な役割(農林水産省・環境省の資料) | 個人が頼むとき |
|---|---|---|
| 市町村 | 被害防止計画の作成、相談の受付、捕獲許可の事務(都道府県から権限を移されている場合) | 最初の窓口。対応の範囲は、計画と被害の状況で決まる |
| 鳥獣被害対策実施隊 | 計画に基づく被害防止施策の実施。対象鳥獣捕獲員の指名・任命の状況が、計画に書かれる | 市町村の判断で動くため、窓口は市町村に確認する |
| 猟友会などの狩猟者団体 | 計画に基づく捕獲を、市町村から委託される場合がある | 委託の有無や内容は市町村ごとに異なる |
| 都道府県 | 捕獲許可の基準(鳥獣保護管理事業計画)を定める。許可の権限の一部は、市町村長に移している県が多い | 許可の基準は、都道府県の担当部局に確認する |
| 警察 | 緊急時の連絡先。計画に、緊急時の関係機関として書かれる | 身の危険があるときは110番 |
| 民間の害獣駆除業者 | 建物まわりの補修、防護柵の施工など(捕獲は許可・免許が前提) | 見積もりで、作業の範囲を確認する |
個人の依頼でイノシシの捕獲が行われる条件|被害・土地・わなの設置場所
個人の依頼が捕獲に結びつくかどうかは、法律上の許可の仕組みと、市町村ごとの手続の両方で決まります。まず環境省の整理を見て、次に神戸市の手続を例に、条件の見方を確認します。
捕獲は原則禁止で、許可が前提になる
環境省は、野生鳥獣の捕獲や殺傷は鳥獣保護管理法で原則禁止されており、生態系や農林水産業への被害など法で定める目的で、環境大臣または都道府県知事の許可を受けた場合に限り、例外として認められると説明しています。多くの都道府県は、許可の権限の一部を市町村長に移しています。つまり、個人が自分の判断で捕まえることも、頼まれた人が自由に捕まえることもできず、許可が前提になります。
神戸市の捕獲許可の案内に見る必要書類
神戸市の捕獲許可の案内は、手続きの具体例として参考になります。捕獲には市長の許可が必要で、申請には、捕獲の場所を示す図面、被害の状況が分かる写真、事業地の所有権または使用権を示す書類(被害防止目的で自らの事業地で捕獲する場合)、使用する捕獲用具の構造や設置方法を示す図面、箱わななどを使う場合は狩猟免許の写しを添えます。被害を受けた人が第三者に捕獲を依頼する場合は、捕獲の依頼書も必要です。
個人の依頼が捕獲に結びつく条件の見方
この例から、条件の見方が分かります。被害が写真などで確認できること、わなを置く場所の土地の権利が整っていること、わなの種類と設置場所が決まっていること、捕獲の許可を受け、わななどの猟具を使う場合は捕獲する人が狩猟免許を持っていることです。必要書類や許可の期間は市町村ごとに違い、他人の土地にわなを置く場合の条件もさまざまです。お住まいの市町村で確認してください。
| 項目 | 狩猟 | 許可捕獲(被害防止など) |
|---|---|---|
| 目的・事由 | 事由は問わない | 生態系等の被害防止、特定計画に基づく個体数調整など、法で定める目的 |
| 必要な手続 | 狩猟免許の取得と、毎年度猟期前の登録 | 許可申請(都道府県知事等。市町村長に権限が移されている場合もある) |
| 捕獲できる時期 | 法令で定められた狩猟期間中(鳥獣保護管理法では毎年10月15日〜翌年4月15日、北海道は9月15日から。施行規則で短縮されており、北海道以外の猟区外は11月15日〜翌年2月15日。都道府県が延長・短縮する場合もある) | 許可された期間(年中可能とされている) |
| 方法 | 法定猟法(網・わな猟、銃猟) | 方法は問わないが、危険猟法などには制限がある |
イノシシ駆除に毒餌や無許可の捕獲が使えない理由
「イノシシ 駆除 毒」と検索する人がいますが、毒を使う方法は認められていません。環境省は狩猟制度の説明で、人の身体や生命への危害を防ぐため、爆発物、劇薬、毒薬を使用する猟法や、人の生命・身体に重大な危害を及ぼすおそれがあるわななどを、危険猟法として禁止していると整理しています。許可を受けた捕獲でも、方法は問わないとされる一方で、危険猟法などには制限があります。この記事では、危険な方法の種類や使い方には触れません。
無許可の捕獲も同じです。野生鳥獣の捕獲は原則禁止で、許可を受けるか、狩猟免許と登録のもとで、狩猟期間に法定猟法で行う必要があります。畑に出たイノシシを自分でわなを掛けて捕まえようとすると、法に触れるおそれがあります。わなを使う場合の免許、猟具、設置の条件は、都道府県や市町村の担当課で確認してください。
- 毒餌や薬剤を、畑や庭にまかない
- 免許や許可のないまま、わなを設置しない
- 捕獲が必要だと感じたら、被害の記録を持って市町村へ相談する
民間の害獣駆除業者に頼める範囲と、市町村の対応との違い
住宅の害獣駆除業者に依頼できる内容は、市町村の捕獲対応とは範囲が違います。イノシシ対策では、農林水産省のマニュアルが、侵入防止柵は設置して終わりではなく、効果を継続的に引き出す維持管理が最も重要で、管理の体制やルールを設置の前から決めておくことを勧めています。柵の施工や建物まわりの補修を民間業者に頼む場合は、施工のあとの点検や草刈りなどの維持管理を誰が担うかも、見積もりの段階で確認します。
捕獲そのものは、許可や免許が前提です。神戸市の案内には、民間の駆除業者向けの許可手続の説明があり、令和7年度から許可期間などの一部が見直されています。依頼する側は、業者が必要な許可を持って捕獲するのか、柵や補修だけを請け負うのかを分けて聞くと、作業の範囲がはっきりします。
| 内容 | 市町村の窓口 | 民間の害獣駆除業者 |
|---|---|---|
| 相談の受付 | 目撃・被害の受付、捕獲許可の案内 | 現地調査と見積もりの相談 |
| 捕獲 | 被害防止計画や許可に基づき、実施隊や猟友会などが対応する場合がある(地域差が大きい) | 許可や免許が前提で、対応の可否は業者と地域による |
| 柵・防護 | 防護柵の整備を計画に位置づける市町村がある | 柵の施工、建物まわりの補修 |
| 建物の補修・片付け | 窓口の対象になるかは、自治体による | 補修工事や片付けの見積もり |
市町村に相談するときに伝える情報|場所・時刻・頭数・被害・写真
相談では、状況を短く具体的に伝えると、窓口が対応を判断しやすくなります。神戸市は、受け付けた目撃情報や被害情報を、市が実施する有害鳥獣捕獲活動などの被害対策に活用すると案内しています。神戸市の捕獲許可申請では、被害状況が分かる写真を添える手続もあり、被害の写真は、後から市町村や業者に説明するときにも役立ちます。
写真は、イノシシに近づかず、安全な場所から撮れる範囲にします。庭や畑で見つけたときの動き方は、庭にイノシシが来たらの記事に、住宅地で出会ったときの安全確保は、兵庫の住宅地でイノシシに出会ったらの記事にあります。
- いつ・どこで(時刻、住所、目印)
- 何頭か、大きさ、子連れか
- どんな被害か(掘り返し、食べ跡、柵の破損)と、その写真
- 被害が続いている期間と、これまでに自分で行った対策
- 土地の持ち主か、借りている人か
参考:神戸市|野生鳥獣の捕獲
死んだイノシシを見つけたら|豚熱の監視と連絡
豚熱(CSF)は豚やイノシシの病気で、人に感染することはなく、豚肉を食べて人に感染することも世界的に報告されていないと、農林水産省は説明しています。野生イノシシでは、検査による感染状況の把握(サーベイランス)と捕獲の強化などが対策に挙げられています。このため、自治体によっては、死んだ野生イノシシを見つけたときの連絡を求めています。
滋賀県の案内(2022年7月更新)では、死亡したイノシシには触らず、県の鳥獣対策室(案内の表記は自然環境保全課鳥獣対策室。ページの作成所属は生物多様性保全課鳥獣対策室)または最寄りの県森林整備事務所へ、発見した場所や状況を連絡するよう求め、検査のために採材することがあるとしています。採材後の個体の処分は土地の所有者等に依頼することになり、腐敗が進んだものや交通事故で明らかに死んだものなどは、採材しない場合もあると書かれています。連絡先は都道府県や市町村で違うため、お住まいの地域の案内を確認してください。大阪府内の例ですが、道路・敷地など場所別の連絡先は、大阪で動物の死骸を見つけたときの連絡先の記事にあります。
イノシシ駆除が必要になる前に|餌付けを減らし、被害のきっかけを断つ
「イノシシ 駆除 かわいそう」という疑問には、駆除の位置づけを知ることが助けになります。野生鳥獣の捕獲は原則禁止で、被害防止などの目的で許可を受けた場合の例外として行われます。一方、餌付けされたイノシシは人を恐れなくなり、住宅地を歩き回ったり、人を襲って食べ物を奪おうとしたりすることがあると、神戸市は注意しています。ごみの放置も、結果として餌付けになります。
神戸市は、ごみ出しは指定日と指定時間を守り、前夜からごみやペットの餌を放置しないよう呼びかけています。市のいのしし条例では、東灘区、灘区、中央区の一部でイノシシへの餌付けが禁止されています。大阪府は、家庭菜園や田畑の周りに野菜くずなどを放置しない、ごみは収集日の朝に出すことを案内しています。




