諫早市のイノシシ通報は有害鳥獣対策課。市の対応マニュアルがある
諫早市は、イノシシが住居地域や周辺の農地などに出没し、不安を感じた住民から通報や相談が寄せられていることから、迅速かつ適切に対応するための連絡体制、必要な対策、段階的な対応方法を定めたマニュアルを、市のページで公開しています。対象の場所は、市街地、商業地域、住宅地のほか、学校や公園などの公共施設と、それらに近い河川や農地です。担当は農林水産部の有害鳥獣対策課です。
マニュアルには、野生のサルの出没は地域政策部の環境政策課が対応すると書かれています。イノシシとサルで窓口が違うため、通報のときは何を見たかをはっきり伝えましょう。市の連絡体制では、人身被害が生じるおそれが極めて高い場合に、通報連絡票を作って警察などの関係機関へ速やかに通知し、必要に応じて県の農山村振興課や県央振興局とも情報を共有する、という流れが示されています。
参考:諫早市|イノシシ市街地等出没対応マニュアルを策定(有害鳥獣対策課)
諫早市の住宅地でイノシシを見たら、どこへ連絡しますか?
市のマニュアルでは、有害鳥獣対策課が通報を受け、現地班が確認して対応レベルを決めます。人身被害のおそれが高い場合は、警察などの関係機関にも通知されます。目撃した日時と場所を先にメモしておきましょう。
通報するときに聞かれる内容を、先にメモしておく
マニュアルでは、市民から出没の情報を受けた職員が、通報者、目撃した日時と場所、目撃した個体の種類と状況、被害の有無、捕獲状況の有無、関係機関への連絡の有無などを聞き取ると決められています。通報連絡票には、場所が市街地、住宅地、河川、農地のどれか、大きさ(幼獣、小型、中型、大型)、移動の方向と興奮している様子、人身被害の有無などの欄があります。
電話では、いま目の前にいるのか、少し前に見ただけなのかを最初に言うと、市が判断するレベルに関わります。近づいて確かめたり、写真を撮るために距離を詰めたりする必要はありません。撮れる場合も、安全な建物の中や車の中から撮れる範囲で十分です。
| 聞かれる項目 | 伝えるときの記録の例 |
|---|---|
| いつ・どこで | 目撃した日時と、住所や目印(学校、公園、河川の名前など) |
| 何を見たか | イノシシかどうか、頭数、大きさ(連絡票の区分は幼獣・小型・中型・大型) |
| どんな様子か | 動いた方向、じっとしているか、興奮している様子はあるか |
| 被害や危険 | 人身被害の有無、庭や農地の掘り返し、ごみ置き場の荒れ |
| すでにしたこと | 警察、自治会、猟友会などへ連絡したか |
出没レベル1〜3:通報内容で市の動きが変わる
出没レベルは、有害鳥獣対策課があらかじめ指定した職員で現地班と本部班をつくり、現地班が被害の状況や人身被害の有無、個体の情報、周囲の地理的状況を確認して、本部班が決めます。通報の内容には不確実なものも多いため、現地での確認を踏まえて判断するとされています。
レベル2では、必要に応じて、自治会への注意喚起や、庁内の関係課を通じた学校、保育所、高齢者施設などへの注意喚起も行われます。地域の自治会や施設へ情報が回る仕組みなので、同じ場所への繰り返しの出没は、できるだけ具体的に伝えておく意味があります。
| レベル | 市が想定する状況 | 市の主な対応 |
|---|---|---|
| レベル1(情報収集) | 市街地周辺や集落近くの農地での単発的な出没、1時間以上前の目撃など。人身被害のおそれは低い | 現地確認と情報収集。必要なら周辺住民へ注意喚起。生ごみなど出没の要因があれば撤去を指導 |
| レベル2(注意喚起) | 同じ地域に連日または頻繁に出没し、人身被害のおそれが高い | 広報車や防災行政無線などで周辺へ注意喚起。要因の撤去や防護を指導。必要に応じて追い払い、またはわな等による捕獲 |
| レベル3(緊急対応) | 市街地や集落に1日以上とどまる、人家や施設に侵入・立てこもる、人を攻撃する | 警察へ協力を要請し、注意喚起を徹底。追い払い、または緊急捕獲 |
追い払うか、緊急捕獲か:市の判断目安と住民が避けたいこと
マニュアルは、最優先は人身事故を防ぐことで、いたずらにイノシシを興奮させない、無理に捕獲せず山や森林へ帰すことを優先する、という考え方を示しています。追い払いは、近くに森林があり追い返せる場合が基本です。近くに追い返す森林がない、水路敷や河川敷など適切な逃げ道がない、イノシシがけがをしている、といった場合に緊急捕獲を行うとされています。
追い払いでは、警察と連携して追い払う方向を決め、イノシシの逃げ場を確保し、学校や幼稚園、福祉施設のある方向へ向かわせないよう配慮します。猟友会の協力を得ることもあります。市の別ページは、住民が追い払う行為は他者や自動車の事故につながるため、してはいけないと案内し、動き回るイノシシの捕獲や止め刺しは技術的に不可能だと説明しています。住民が棒や網で対応するのではなく、離れて、通報するのが基本です。
- 追い払おうとして近づく、追いかける
- 背を向けて走り出す、大声を上げる
- 威嚇している様子なのに、さらに距離を詰める
- 姿が見えなくなった直後に、藪をのぞき込む
出没の原因をなくす:生ごみ、収穫残さ、家庭菜園、やぶ
市のページが示す、近づけない工夫は3点です。野菜くずや摘果・落果を田畑に放置しないこと、エサ場や隠れ家になる農地周辺のやぶを定期的に刈り払うこと、電気柵やワイヤーメッシュ柵などの侵入防止を行うことです。マニュアルのレベル2にも、出没の誘因になっている収穫残さ、生ごみ、家庭菜園があれば、自治会や所有者に撤去や防護を指導すると書かれています。
農地に近づくときの注意も示されています。周囲にイノシシがいないか離れた場所から確認し、草や作物が倒されていないか、畔が掘り起こされていないかを見ます。車で近づくなら、クラクションを鳴らして車内から様子を見ます。電気柵を設置している場合は、電牧器のスイッチを切って、逃げ場をつくることも案内されています。庭への出没は、庭にイノシシが来たときの考え方も参考になります。
数字で見る諫早市のイノシシ被害と捕獲の仕組み
市の公表では、令和6年度の有害鳥獣捕獲従事者(猟友会、捕獲隊等)によるイノシシの捕獲は3,218頭でした。農作物被害のうち、イノシシによる分は、被害面積が令和4年度の535aから令和6年度には1,940aへ、被害額も9,063千円から15,825千円へ増えています。水稲、甘藷、みかん、馬鈴薯、カボチャなどの被害が目立つとされています。
捕獲の担い手には、猟友会のほか捕獲隊があります。市は、狩猟免許の取得者がリーダーとなり、地域住民が餌やりや見回りを行って共同で捕獲作業をする制度と説明しており、令和6年度は39地区の301人が参加し、465頭を捕獲しました。免許を持つリーダーを中心にした共同の制度で、住民が個人の判断でわなを仕掛ける仕組みではありません。
| 年度 | イノシシの捕獲数(従事者) | 農作物のイノシシ被害(面積・額) |
|---|---|---|
| 令和4年度(2022年度) | 3,187頭 | 535a・9,063千円 |
| 令和5年度(2023年度) | 2,670頭 | 1,112a・10,407千円 |
| 令和6年度(2024年度) | 3,218頭 | 1,940a・15,825千円 |
賃貸・集合住宅の敷地と、民間業者に頼む前の確認
賃貸住宅や集合住宅の敷地でイノシシが出た場合も、市への通報は居住者ができます。ただ、敷地内のごみ置き場の管理や、庭の果樹の処置は、貸主や管理会社の判断が必要です。出没した日時と掘られた跡の写真を管理会社へ渡し、ふた付きの容器の使用や、落ちた果実の片付けを頼みましょう。庭の掘り返しの記録の取り方は、庭が掘られているときの穴の分布の記録が参考になります。
インターネットで「イノシシ駆除」をうたう民間の業者を探すこともできますが、市のマニュアルは、住宅地などでの捕獲は有害鳥獣捕獲許可に基づき、捕獲従事者の安全を確保して行うとしています。業者に依頼するときは、捕獲を行うのか、柵の設置や清掃だけなのか、捕獲を含むなら許可をどう得るのかを確認します。害獣駆除業者の選び方のように、答えの内容で比べると判断しやすくなります。






