イノシシの足跡の特徴|蹄は4つ、副蹄の跡は柔らかい地面で付く
環境省のガイドラインは、イノシシの蹄は4本あり、第三指と第四指が歩行に使われ、副蹄と呼ばれる第二指と第五指は退化して小さくなっていると説明しています。地面に残る足跡は、歩行に使う2つの主蹄の跡が基本で、副蹄は地面が柔らかいと主蹄の後ろに別の跡として付きます。農林水産省の実践編は、イノシシの足跡はシカの足跡に比べて全体に丸みがかっているのが特徴で、副蹄の跡は残らないことも多いと説明しています。
主蹄の跡と副蹄の跡の見方
富山県の事例集は、イノシシの主蹄の跡はニホンジカやカモシカの足跡と似ていると断ったうえで、泥のような柔らかいところを歩くと特徴的な副蹄の跡が残ると説明しています。水田の泥やマルチの上に、主蹄の後ろへ副蹄の跡が付いた足跡の例も載っています。
逆に、固い地面や乾いた土では副蹄が付かず、主蹄だけの足跡になります。副蹄の跡がないことは『イノシシではない』理由になりません。形だけで決めず、次の順番で見ると整理しやすくなります。
- 地面の柔らかさ(泥か、固い土か)
- 蹄の数と、後ろの副蹄の跡の有無
- 足跡全体の丸み
- 周囲のフン、掘り返し、泥の付着
5本指の足跡の動物とは区別できる
アライグマやハクビシン、アナグマなどは5本指の足跡が付きます。指の数が見えたときは、蹄の動物であるイノシシとは別の動物の可能性が高くなります。アライグマの足跡の撮り方と見分けの限界は、アライグマの足跡は5本指?で確認できます。
参考:環境省|第二種特定鳥獣管理計画作成のためのガイドライン(イノシシ編)改定版(PDF)
イノシシの足跡の特徴は何ですか?
蹄は4つで、歩行に使うのは2つの主蹄です。形はシカに似ますが全体に丸みがあり、泥のような柔らかい地面では主蹄の後ろに副蹄の跡が付きます。足跡だけで獣種は決めず、フンや掘り返しなどとあわせて判断してください。
シカ・カモシカ・タヌキ・アナグマとの違い|足跡とフンを比べる表
足跡だけでは獣種を特定できないことが多いと、農林水産省のマニュアルも注意しています。比べるときは、足跡の指の数、爪痕、フンの形、ため糞の有無を並べて見ます。下の表は、富山県の痕跡事例集と、農林水産省の実践編・総合対策編の記載を、このページで一枚にまとめたものです。寸法は出典に数値が見当たらないため、載せていません。
シカ・カモシカと迷うとき
富山県の事例集は、ニホンジカやカモシカの足跡には副蹄の跡が残らないので識別できるとしています。フンは、ニホンジカが俵状のコロコロしたもので、イノシシは塊状です。ただしイノシシの新鮮なフンは固まっていても、時間がたつと乾燥してシカのフンのようにバラバラに崩れることがあると、農林水産省の実践編は注意しています。フンの形だけで決めないでください。
タヌキ・アナグマと迷うとき
タヌキの足跡は、前足が5本指、後ろ足が4本指でも、どちらも4本指が残り、犬や猫の足跡に似ます。爪痕が残ることがあり、同じ場所で脱糞を繰り返すため糞をする習性があります。アナグマは、短い5本指で前肢のパッドは半月型、長い爪跡が明瞭に残ると農林水産省の資料にあります。足跡と庭の穴で迷うときは、アナグマとタヌキの見分け方も参考になります。
| 動物 | 足跡の目印 | フン・その他の目印 |
|---|---|---|
| イノシシ | 蹄は4つ。主蹄の跡はシカに似るが全体に丸みがある。柔らかい地面では副蹄の跡が付く | 塊状(実践編の図は棒状)。ため糞はしない。乾くと崩れてシカのフンに似ることがある。掘り起こし、ぬたうち、木擦りの泥が残る |
| ニホンジカ・カモシカ | 主蹄の跡のみで、副蹄の跡は残らない | ニホンジカは俵状・粒状のコロコロしたフン。角こすりによる立木被害がある |
| タヌキ | 前足5本・後ろ足4本の指だが、足跡はどちらも4本指。犬や猫に似て、爪痕が残ることがある | ため糞をする。古いフンと新しいフンが混じる |
| アナグマ | 短い5本指。前肢のパッドは半月型で、長い爪跡が明瞭に残る | ため糞をする(実践編の図)。穴を掘ることが得意で、斜面地や竹林などに複数の巣穴を掘る |
イノシシのフンの特徴と、見つけたときの扱い
農林水産省の実践編は、イノシシの新鮮なフンは固まっているが、時間がたつと乾燥して崩れると説明し、図ではため糞をしない動物として棒状のフンを示しています。富山県の事例集は塊状のフンをするとだけ記し、フンを足跡や食害痕と並べて、加害した獣を同定する材料の一つとして扱っています。同定には、食害痕、足跡、糞などの確認が必要で、センサーカメラを使うとより確実に加害鳥獣や侵入経路を特定できるとしています。
フンが見つかる場所について、確認した資料は一か所に決めていません。足跡や掘り返しと同じ畑、畦畔、柵の際で見つけたら、地図や目印と一緒に位置を記録します。フンは素手で触れず、動かさずに、写真で残します。
イノシシが穴を掘る理由と、掘り返し跡の特徴|アナグマ・モグラの跡との違い
イノシシが土を掘り返すのは、地中の食べ物を探す行動と説明されます。環境省のガイドラインは、近畿地方などの研究で、春(5〜6月)はタケノコ、夏から初秋は双子葉植物、秋(10〜3月)は果実(主に堅果類)と根・塊茎の採食比率が高いと紹介しています。農林水産省の実践編は、イノシシの鼻はにおいをかぐだけでなく土を掘ったり障害物を動かしたりするのにも使い、50〜60kgの重さのものを持ち上げて押し動かせると説明しています。
畑・畦畔・柵の裾に残る掘り返し
富山県の事例集は、そばやぶどうの圃場の掘り起こし、じゃがいもやさつまいもでマルチを裂いて塊茎や根を掘り起こす被害、畦畔を掘り起こして雑草の根やミミズ等を食べる被害を挙げています。雪解けが早いと2月頃から畦畔の被害が出ることもあります。柵の裾部を掘り起こして侵入しようとする跡も載っており、柔らかい土の場所や斜面に近い場所は掘り起こされやすいとあります。
アナグマやモグラの跡との見分け
アナグマは穴を掘ることが得意で、斜面地や竹林などに複数の巣穴を掘り、長さが15mに及ぶものもあると農林水産省の資料にあります。イノシシの掘り返しは圃場や畦畔の土をめくり起こした跡として報告されているのに対し、アナグマは地下に続く巣穴を掘る動物と説明されています。
庭の穴の見分けは、アナグマが疑われる庭の穴、モグラかネズミか、庭が掘られているもあわせて読むと整理できます。掘り返しの跡だけで理由や動物を断定せず、穴の数、場所、広がりを写真で残してください。
ぬたうち・木擦り・獣道|泥と通り道の痕跡
富山県の事例集は、水田では食害のほかに、ぬたうちや踏み倒しで被害が大きくなり、イノシシが入った圃場は稲株が泥で汚れ、足跡も残りやすいと説明しています。ぶどうの被害では、袋に土が付いて汚れていることが多く、果実は残さず食べきることが多いため、果実を多く残すニホンザルやカラスと識別しやすいとされています。
イノシシは木に体をこすりつけるため、木の根元付近に泥が付着することがあり、事例集は木擦りの跡として載せています。柵では、侵入された箇所に土が付着していることが多く、ネット柵の後方に獣道が見える例も載っています。農林水産省の実践編は、フィールドサインとして足跡、糞、泥こすりの跡、食痕を挙げ、足跡だけでは獣種を特定できないことが多いので、総合して判断するよう勧めています。
- 稲株や果実の袋が、泥や土で汚れている
- 木の根元付近に泥が付いている
- 柵の裾や電線に、土が付着している
- ネット柵の近くに、獣道が見える
痕跡を見つけたら|写真の撮り方と市町村への伝え方
痕跡は触らず、動かさずに写真を撮ります。後から場所を説明できるように、全景、近景、周りの様子の順に撮り、大きさが分かる物を横に置くと状況が伝わります。足跡は地面が乾く前、雨の前に撮っておくと形が残ります。
連絡先の探し方
神戸市は、街中でイノシシを目撃したり被害に遭ったりした人向けに、鳥獣相談ダイヤル(078-333-4408、午前8時から午後9時、年中無休)を設け、受けた情報を有害鳥獣捕獲などの被害対策に活用すると案内しています。香川県は、市街地でイノシシを見かけたとき、地元の市役所、町役場または県の担当課へ連絡するよう案内しています。専用ダイヤルがない地域は、市町村の鳥獣・農林担当課が窓口になる例が多いため、まずそこへ確認します。
富山県の事例集は、センサーカメラは、お住まいの市町の鳥獣関係部署で借りられる場合があると案内しています。記録した写真と合わせて、貸出の有無も聞いてみてください。
被害の記録を相談に使う
記録は、柵の補強や補助金の相談にも使えます。補助の探し方と金額の例はイノシシ駆除の補助金と報奨金で比べています。次の表の項目を、スマートフォンのメモにそろえておくと、電話で聞かれたときに答えやすくなります。
| 記録する項目 | 書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 場所 | 地図アプリの位置、近くの目印、畑や庭のどの辺りか | 市町村が出没の分布をつかみやすくなる |
| 日時 | 見つけた日時と、前回確認した日 | 新しい痕跡かどうかの判断材料になる |
| 痕跡の種類と数 | 足跡、フン、掘り返し、泥の付着などを種類別に書く | 足跡だけで獣種を決めず、組み合わせて判断するため |
| 写真 | 全景、近景、周りの様子。大きさが分かる物を横に置く | 電話や窓口で状況を説明しやすい |
| 食べられた作物や壊れた柵 | 被害の範囲と、柵の破れや土の付着の位置 | 柵の補強や補助の相談に使える |
新しい痕跡がある場所での安全|藪をのぞき込まない
茨城県は、イノシシは本来臆病でおとなしい性質で、普通は人に出会うと逃げるが、興奮しているとき、発情期(晩秋〜冬)や分娩後で攻撃的になっているとき、至近距離で突然出会ったときは注意が必要と案内しています。新しい足跡や掘り返しが見える場所は、近くにいる可能性を考えて行動します。
香川県は、川やため池、海岸などの堤防沿いの散歩道では、イノシシが草むらで隠れていることがあり、リードを使わずに歩くと犬が追い出す可能性があると注意しています。痕跡を確かめるために茂みへ分け入ったり、犬を放して探させたりせず、道や庭から見える範囲で記録します。うり坊を見かけても、近くに母イノシシがいる可能性があるため近づきません。出会ったときの動き方は兵庫の住宅地でイノシシに出会ったらと庭にイノシシが来たらで確認できます。





