種類別の対策ガイド

ヌートリアの駆除・対策ガイド

水辺や畑の被害、特定外来生物としての扱いと相談先を知りたい。

ヌートリアは南米原産の大型のネズミの仲間で、水辺にすむ草食の動物です。農林水産省のマニュアル(令和6年3月版)によると、成獣は体重4〜5kg程度、頭胴長50cm、尾長45cm程度が普通で、全身は茶褐色、後ろ足には水かきがあり、前歯は前から見ると赤く見えます。国立環境研究所の侵入生物データベースは、毛皮用に飼育されていた個体が第二次大戦中から戦後にかけて逃げたり放されたりしたことを野生化の経緯として挙げています。

被害の中心は農作物です。水田では田植え直後の苗や穂が出る時期の稲が食べられ、夏には休む場所を作るために稲を広く倒すこともあります。畑では多くの野菜が対象になり、用水路に近い田畑ほど被害が大きいとされています。川やため池の土手、田のあぜに巣穴を掘るため、あぜや堤が壊れる被害につながることもあります。水辺から離れて動くことはまれで、木に登るような動きもできないとされるため、住宅では屋根裏ではなく、水路や池に面した庭や家庭菜園で問題になります。

分布は西日本が中心です。農林水産省のマニュアルは静岡県以西の本州と香川県の小豆島を挙げ、国立環境研究所のデータベースは福島、埼玉から中国・四国地方までの19府県を定着地としています。一年を通して繁殖しますが出産は春に多く、活動は夕方と明け方が中心で、日中に姿を見ることもあります。野菜の被害は一年を通じて起こり、巣穴の近くの草が枯れる冬に増えやすいとされています。

ヌートリアの被害を見分ける手がかり

手がかり特徴と確認のしかた
姿(前歯・尾・後ろ足)大きなドブネズミのような体つきで、目と耳が小さく、尾は平たくない円筒形です。前歯がオレンジ色から赤色に見え、後ろ足に水かきがあります。ふだんは水面をゆっくり泳ぎ、危険を感じると潜ります。
足跡湿った土やあぜに残ります。後ろ足は5本指で長さ12cm、幅7cmほどと大きく、水かきの跡が付くこともあります。前足は親指が短いため4本の跡になりやすく、左右の足跡の間に尾を引きずった線が残る点がアライグマなどとの違いです。
フン濃い緑色から黒色で長さ3cmほど、ソーセージに似た形です。巣穴の近くにできるけもの道の周辺でよく見つかります。フンの色や形は食べ物や時期で変わるため、足跡や巣穴と合わせて判断します。
巣穴とけもの道川やため池、用水路の土手に直径20〜30cm、奥行き数mの横穴を掘ります。穴がいくつも並ぶことが多く、周りの草が食べられてなくなり、水辺と行き来するけもの道ができます。
食害水田では田植え直後のやわらかい苗が、侵入してくる側に近い位置から食べられます。畑ではニンジン、ハクサイ、ダイコンなどが被害に遭い、ピーマンやネギ類のようににおいの強い作物は比較的食べられにくいとされています。
似た動物(マスクラット)マスクラットは頭胴長20〜30cmと小型で、尾が縦に平たく、後ろ足に水かきがありません。農林水産省の平成21年度のマニュアルは分布を東京都、千葉県、埼玉県の江戸川周辺に限られるとしており、こちらも特定外来生物です。

法律・制度上の注意

ヌートリアは外来生物法の特定外来生物で、飼うこと、保管すること、生きたまま運ぶこと、野外に放すこと、譲り渡すことが原則として禁止されています。鳥獣保護管理法の対象でもあり、被害があっても許可や狩猟の手続きなしに捕まえたり殺したりすることはできません。捕獲ができるのは、鳥獣保護管理法の捕獲許可を受けた場合、自治体が外来生物法に基づいて行う防除に従事者として加わる場合、狩猟鳥獣として、狩猟免許を取得して狩猟者登録をした人が狩猟期間中に法定猟法で捕獲する場合などです。京都市のように、敷地への侵入など生命や身体への被害のおそれがある場合に相談を受け、捕獲に協力できる住民のもとへ市の委託事業者が捕獲おりを設置する自治体もあるため、まず市区町村の担当課に確認してください。

自分でできる対策

  • 見かけても近づかず、食べ物を与えないようにします。京都市は、伝染病を媒介する可能性があるとして、不用意に近づかず見守るよう案内しています。
  • 田畑や庭の周り、巣穴の周辺の草を刈って見通しをよくします。水辺から畑までの通り道を移動しにくくすると、餌場を減らすことにもつながります。
  • 畑を囲う柵は、かみ破られない金網や板などの材料を選び、支柱をしっかり立てます。農林水産省のマニュアルは、柵の下端をヌートリアが来る外側へ15cmほど折り曲げることを勧め、高さ70cmの柵はほぼ突破されないとしています。
  • 防鳥ネットのような薄い網だけの囲いは簡単にかみ破られるため、波板や金属の網と組み合わせて使います。
  • 足跡、フン、巣穴、食べられた作物を写真に撮り、見た日時と場所を記録して、市区町村の担当課へ具体的に伝えられるようにしておきます。

相談を考える目安

  • 自宅の敷地や畑に繰り返し入り込み、作物や庭の被害が続いているとき。捕獲には手続きが必要なため、市区町村の担当課に相談します。
  • ため池や用水路の土手、田のあぜに巣穴が並び、水漏れや崩れが心配されるとき。施設の管理者や自治体にも早めに知らせます。
  • 農作物の被害が大きいとき。農家の方は、市区町村の農業担当や地域の農業振興の窓口が相談先になります。
  • 箱わなによる捕獲を希望するとき。無許可では捕獲できないため、自治体か、許可や防除の手続きに対応できる専門業者に相談します。

ヌートリアのよくある質問

ヌートリアを見つけたらどうすればよいですか?危険はありますか?
近づかず、餌を与えずに見守るのが基本です。農林水産省のマニュアルは性質を温和としていますが、京都市は伝染病を媒介する可能性があるとして、不用意に近づかないよう呼びかけています。敷地に入り込むなどの被害がある場合は、市区町村の担当課に相談してください。特定外来生物のため、生きたまま持ち帰ることや飼うことはできません。
ヌートリアは自分で駆除してよいですか?箱わなや殺鼠剤は使えますか?
許可や手続きなしに捕獲や殺傷をすることはできません。ヌートリアは鳥獣保護管理法の対象で、箱わなを使う場合も、捕獲許可を受けるか、自治体が外来生物法に基づいて行う防除に従事者として参加するか、わな猟免許を取得し狩猟者登録をして狩猟期間中に捕獲する必要があります。殺鼠剤は製品に表示された対象と使い方の範囲で使うもので、ヌートリアの駆除に転用しないでください。捕まえた個体を生きたまま運ぶことも規制されています。
ヌートリアは何を食べますか?被害に遭いやすい作物は?
基本は草食で、ヨシやマコモなど水辺の植物の茎や根を好みます。農作物では水稲の被害が最も多く、ニンジン、ハクサイ、ダイコン、サツマイモ、スイカなども食べられます。農林水産省のマニュアルによると被害作物は50種に及ぶ一方、ピーマンやネギ類のようににおいの強い作物は被害に遭いにくい傾向があります。
ヌートリアは家の屋根裏に入りますか?
屋根裏に入り込むことは考えにくい動物です。ヌートリアは河川やため池の周辺で暮らし、水辺から離れて活動することはまれで、木に登るような動きもできないとされています。住宅の近くでは、水路や池に面した庭、家庭菜園、土手の巣穴が問題になります。屋根裏の物音は、ネズミやイタチ、アライグマなど別の動物を疑ってください。
ヌートリア対策の柵はどのくらいの高さが必要ですか?
農林水産省のマニュアル(令和6年3月版)は、高さ70cmの柵はほぼ突破されないとしています。ヌートリアは柵をかみ破れないか確かめ、次に引き倒し、下のくぐり抜け、よじ登りの順に試すため、かみ破れない材料、しっかりした支柱、外側へ15cmほど折り曲げた下端の3点が大切です。柵の上端15cmほどを支柱に固定しないでおくと、登ろうとしたときに折れ曲がって落ち、登るのをあきらめやすくなるとも紹介されています。

参考(確認日:2026年10月3日):国立環境研究所|侵入生物データベース・ヌートリア、農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)、農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 特定外来生物編(アライグマ、ヌートリア、キョン、マングース、タイワンリス、平成21年度作成)、環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」、京都市|特定外来生物ヌートリアについて

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調査を頼む前に、確認しておくこと。

被害への対応と建物の工事では、担当や費用の範囲が異なります。種類への対応可否、訪問費、追加作業の条件まで確かめましょう。

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