種類別の対策ガイド
キョンの駆除・対策ガイド
庭の食害や鳴き声、特定外来生物としての相談先を知りたい。
キョンは中国南部や台湾が原産の小型のシカです。国立環境研究所の侵入生物データベースは侵入経路を動物園施設からの逸走とし、茨城県は国内で定着している地域を千葉県(房総半島)と東京都(伊豆大島)としています。茨城県の資料では頭胴長70〜80cm、体高35〜40cm、体重7〜10kgで、千葉県は肩までの高さが40cmほどで中型犬と同じくらいの大きさと説明しています。成獣でもニホンジカの子どものように見えることがあります。
住宅地では、花壇の花や植木、家庭菜園の作物を食べられる被害と、鳴き声への苦情が報告されています。千葉県によると、キョンは森林内や林縁部で主に木の葉やドングリ類を食べて暮らしていますが、近年は住宅地付近にも出没しています。県の第3次防除実施計画では、生活環境被害が確認された市町が、令和2年度の調査の4市から令和7年度の調査では9市町に広がりました。農作物では野菜を中心に、水稲、豆類、イモ類、果樹などに被害が出ています。
増えやすいことも特徴です。一年を通じて繁殖し、早ければ生後半年ほどで妊娠して1頭を産みます。千葉県内の推定生息数(中央値)は平成18年度の約13,300頭から令和6年度には約94,100頭に増え、県中南部の17市町で繁殖が確認されています。茨城県では2026年6月4日時点で確認された個体が6例で、県は侵入の初期段階と考え、目撃情報の提供を呼びかけています。定着していない地域ほど、見かけたときの早い連絡が重要になります。
キョンの被害を見分ける手がかり
| 手がかり | 特徴と確認のしかた |
|---|---|
| 姿と大きさ | 体高は35〜40cmほどで、背は茶褐色、腹は淡褐色です。体はややずんぐりして四肢と尾が短く、オスには12〜15cmほどの角と牙があります。額の黒い模様は、オスが2本の線、メスが菱形の帯です。 |
| 鳴き声 | イヌに似た大きな声で鳴き、ホエジカとも呼ばれます。国立環境研究所は、危険を感じると人の悲鳴に似た警戒声を出すと説明しています。活動するのは早朝、夕方、夜間です。 |
| 食害 | 花壇の花、植木、家庭菜園の作物が食べられます。千葉県では常緑樹のアオキやカクレミノを好み、秋にはシイ・カシ類のドングリも多く食べるとされています。被害に気づいた日時と場所、食べられた植物を記録します。 |
| 顔の特徴 | 目の下に大きな臭腺(眼下腺)があり、目が四つあるように見えることからヨツメジカとも呼ばれます。縄張りを主張するために、分泌物を木の枝などにこすりつける習性があります。 |
| 間違いやすい動物 | 茨城県のリーフレットは、毛が抜けた疥癬のタヌキ、イノシシ、イヌなどを間違いやすい動物に挙げています。ニホンジカのような群れを作らず、ふだんは単独で生活する点も手がかりです。 |
| ヤマビル | 茨城県は、房総半島ではキョンやニホンジカ、イノシシなどにヤマビルが寄生して増え、人家の庭仕事中に吸血されることがあるという情報を紹介しています。マダニなどによる感染症のリスクも被害に挙げられています。 |
法律・制度上の注意
キョンは外来生物法の特定外来生物に指定されており、飼育、保管、生きたままの運搬、輸入、野外へ放つこと、譲渡や販売が原則として禁止されています。捕獲も自由にはできません。千葉県では外来生物法に基づく防除実施計画のもとで県と市町村が捕獲を行い、従事者には従事者証が発行され、鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲の制度も併用されています。茨城県の捕獲褒賞金も、狩猟免許を持ち市町村から有害鳥獣捕獲許可を受けた人が対象です。見つけても自分で捕まえたり連れ帰ったりせず、自治体に連絡します。
自分でできる対策
- 収穫しない野菜や果物を畑や庭に残さず、早めに片づけます。千葉県の計画は、放置された作物や荒れた農地をなくし、キョンを集落に寄せつけない環境づくりが必要だとしています。
- 家庭菜園や花壇を守る方法として防護柵があります。千葉県はイノシシやニホンジカと兼用の柵を効果的に設置する方針を示しています。設置や管理の方法は、市町村の担当課に相談します。
- 見かけた日時、場所、頭数、鳴き声を聞いた時間帯を記録し、できれば離れた場所から写真や動画を撮ります。茨城県は、全身が分かる画像と周囲の背景が入った画像での情報提供を求めています。
- 近づいたり追いかけたりせず、エサになるものを与えません。生きたまま運ぶことは法律で規制されているため、敷地に入り込んだ個体を見つけた場合も触らずに自治体へ連絡します。
相談を考える目安
- 定着が確認されていない地域でキョンらしい動物を見た、または鳴き声を聞いたとき。都道府県や市町村の特定外来生物の担当課に連絡します。
- 花壇や家庭菜園の食害、夜間や早朝の鳴き声が繰り返し続くとき。防除を実施している市町村に被害の状況を伝え、対応を確認します。
- ビニールハウスや敷地の囲いの中に入り込んで出られなくなっているとき。自分で捕まえず、自治体に連絡します。
- 片づけや柵の設置を行っても被害が減らないとき。自治体の支援の有無と、防護柵の施工に対応できる専門業者を確認します。
キョンのよくある質問
- キョンの鳴き声はどんな声?
- イヌに似た大きな声で、ホエジカとも呼ばれます。国立環境研究所の侵入生物データベースは、危険を感じると人の悲鳴に似た警戒声を出すと説明しています。千葉県では、住宅地や別荘地の周辺で鳴き声に対する苦情が報告されています。
- キョンはなぜ日本にいる?なぜ増えた?
- 原産地は中国南部や台湾で、国立環境研究所は動物園施設からの逸走を侵入経路としています。千葉県では1960年から80年代に野外に定着したと考えられています。一年を通じて繁殖し、早ければ生後半年ほどで妊娠するため増えやすく、千葉県内の推定生息数は令和6年度に約94,100頭(中央値)に達しました。
- キョンの駆除に資格は必要?自分で捕まえてよい?
- 自分の判断で捕まえることはできません。千葉県では外来生物法に基づく防除として県や市町村が捕獲を行い、従事するのは原則として狩猟免許を持つ人で、従事者証が発行されます。茨城県の捕獲褒賞金も、狩猟免許を持ち市町村の有害鳥獣捕獲許可を受けた人が対象です。生きたまま運ぶことも規制されています。
- キョンを見つけたらどこに連絡する?報奨金はある?
- 都道府県や市町村の特定外来生物の担当課に連絡します。茨城県は、県内で撮影した写真や動画とともに目撃情報を提供した人と、適法に捕獲した人に褒賞金を交付する制度を設けており、2026年1月作製のリーフレットでは目撃情報が1件2,000円、捕獲が1頭3万円とされています。制度の有無や条件は自治体ごとに異なります。
- キョン対策に柵は使える?
- 千葉県の防除実施計画は、被害を防ぐ方法として防護柵の設置と管理方法の普及を挙げています。被害地全体で効果を出すため、イノシシやニホンジカと兼用の柵を設置する方針です。あわせて、収穫しない野菜や果物の処分、荒れた農地の解消など、キョンを寄せつけない環境づくりが必要とされています。
参考(確認日:2026年10月3日):国立環境研究所|侵入生物データベース・キョン、千葉県|特定外来生物 キョン、千葉県|第3次千葉県キョン防除実施計画、茨城県|キョンについて(掲載リーフレットを含む)、環境省|日本の外来種対策・外来生物法「何が禁止されているの?」
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