カリカリ・カサカサ・トトトの音の違いと記録の仕方

小さく速い音は、「ネズミの音」と最初に決めず、何をしている音かで3つに分けると記録しやすくなります。硬いものを削るような短い連続音なら「カリカリ」「ガリガリ」でかじる動き、紙や乾いたものがこすれる音なら「カサカサ」でこすれる・はう動き、軽くて速い足音なら「トトト」で走る動きに当たります。この分け方はこの記事での整理で、公的な基準があるわけではありません。

日本ペストコントロール協会は、ネズミの害として、食品以外に壁や天井板、電線もかじること、夜間に天井裏や壁の中をうるさく走り回ることを挙げています。東京都のねずみ防除指針は、ネズミが活動するのは家人が留守のときや夜中で、姿を確認しにくいため、音などの証拠(ラットサイン)から活動場所を探すと説明しています。

音を記録するときの書き方

記録は、聞いた直後に、時刻と音の種類と位置を一行で残します。位置は「天井の中央」「壁際」「照明の配線の近く」など、家の中で分かる言い方で十分です。天井に近づいたり、点検口を開けたりせず、部屋の中から聞こえた範囲を書きます。

  • 日付と時刻、音が続いた長さ。
  • 音の種類(カリカリ・カサカサ・トトト・ミシミシ)。
  • 聞こえた位置(天井の中央、壁際、配線の近く、点検口の周りなど)。
  • 天気や気温、エアコン・換気扇の運転状況。
カリカリ・カサカサ・トトトの音の違いと記録の仕方:確認項目
聞こえ方音の元になる動きまず考える候補記録するポイント
カリカリ・ガリガリ(硬い物を削るような短い連続音)かじるネズミ。壁や天井板、電線もかじる(日本ペストコントロール協会)壁際・梁・配線沿いのどこか。音が続く長さ
カサカサ(紙や乾いた物がこすれる音)巣材を運ぶ、はう、体や羽がこすれるネズミ、鳥の巣作り、ヤモリ、虫昼か夜か。繰り返す間隔
トトト・パタパタ(軽く速い足音や羽音)走る、羽ばたくネズミ(夜間に走り回る)、コウモリ(羽音)時間帯。移動する向き
ミシミシ(木がきしむ音)建材の伸び縮み家鳴り(住まいるダイヤルの相談事例)冬の乾燥時や、温度が大きく変わる時間帯か

参考:公益社団法人日本ペストコントロール協会|有害生物情報 ネズミ駆除

読者の疑問

天井からカリカリと聞こえるのは、ネズミですか?

比較ガイド

ネズミは有力な候補ですが、音だけでは決まりません。日本ペストコントロール協会は、ネズミが天井板や電線もかじると説明していますが、コウモリや鳥の巣作り、建材のきしみも候補です。時間帯、季節、フンなどの痕跡を合わせて見ます。

天井の小さな音の候補比較|ネズミ・コウモリ・ヤモリ・虫・鳥・建材

候補を一つに決める前に、資料に書かれていることを一覧にします。表の「音について資料が書いていること」は、音の特徴や活動の時間帯について書かれている範囲で、書かれていない項目は「記載なし」と示しました。

シロアリについて、川崎市のリーフレットは、木材の表面を薄く残して内部を食い荒らし、空洞化させると説明していますが、音の特徴の記載はありませんでした。「虫が原因」と考えるのは、音より先に、羽アリ、蟻道、姿などの別の手がかりがあるときにします。

天井の小さな音の候補比較|ネズミ・コウモリ・ヤモリ・虫・鳥・建材:確認項目
候補音について資料が書いていること時間帯・時期一緒に見つかる痕跡
ネズミ夜間、天井裏や壁の中をうるさく走り回り、天井板や電線もかじる(日本ペストコントロール協会)。侵入したネズミは居住空間より屋根裏などを移動する(大阪市旭区)家人が留守のときや夜中に活動する(東京都)フン、かじり跡、足跡やこすり跡の黒光りした跡(東京都)
コウモリバタバタと飛ぶ羽音や、天井裏でキー・キー鳴く声が生活被害として挙げられている(前橋市)夕暮れに活動し、春から秋が活動期。冬は冬眠する(前橋市)屋根裏・戸袋・換気口・軒下などの生息場所、フン
ヤモリ音の特徴の記載なし。壁や天井にもくっついていられ、クモやハエなどを食べる(環境省)夜行性で、夜に灯りに集まる虫を狙って現れる(環境省)夜に窓や外壁にくっついている姿を見かける(環境省)
虫(ゴキブリ・シロアリなど)音の特徴の記載なし。ゴキブリは日中は狭いすき間にひそみ、夜間に這い出す(日本ペストコントロール協会)ゴキブリは夜間ゴキブリは姿やフン。シロアリは羽アリや蟻道(川崎市)
鳥(スズメ・ムクドリ)スズメは人家の屋根や壁のすき間に巣を作る。ムクドリは戸袋など建物のすき間に巣を作り、鳴き声・悪臭・ダニが問題になる(農林水産省)スズメの繁殖期は3〜9月、ムクドリは4〜7月(農林水産省)巣材、フン、屋外での親鳥の出入り
建材(家鳴り)冬に天井付近からミシミシと木がきしむ音がする相談事例。木材の乾燥によるきしみ音の可能性が示されている(住まいるダイヤル)冬の乾燥時や、天井裏と室内の温度差が大きいとき動物のフンやシミなどの痕跡がない

音がする時間帯と季節で絞り込む方法

同じカリカリでも、聞こえる時間帯と季節で候補が変わります。東京都のねずみ防除指針が、ネズミの活動は家人が留守のときや夜中だと説明するように、夜の音と夕方の音、春から夏だけの音、冬だけの音を分けて記録すると、絞り込みの精度が上がります。次の4つの場面に分けて見ます。

夜中から明け方に続くとき

夜間に天井裏を小さな足音が走り、ときどきカリカリとかじる音が混じるなら、ネズミが第一候補です。大阪市旭区は、ネズミの被害として睡眠の妨害や、配管や配線をかじる被害を挙げています。鳴き声との組み合わせはネズミの鳴き声はどんな音?で、時間帯とフンから見分ける流れを扱っています。

夕方から日没後に聞こえるとき

夕暮れどきに、バタバタという羽音やキー・キーという声が天井裏から聞こえるなら、コウモリの可能性があります。前橋市は、コウモリが夕暮れに活動すると説明し、東京都ペストコントロール協会は、コウモリが出入りしている穴にはフンが堆積し、夜間の出入りが確認できると説明しています。確認の流れは屋根裏のコウモリ|音・フン・侵入口の確認にあります。

春から夏にだけ聞こえるとき

春から夏にだけ続く音は、鳥の営巣やコウモリの繁殖期と重なっているかを考えます。農林水産省によると、スズメの繁殖期は3〜9月で年に1〜3回、ムクドリは4〜7月で年に1〜2回繁殖し、前橋市はコウモリの出産期を初夏(7月頃)としています。卵やヒナがいる巣の撤去は法律上の制限があるため、巣を見つけても急いで取り除きません。

冬の朝晩に聞こえるとき

冬の朝晩に、木がきしむ音が続くなら、家鳴りも候補です。前橋市は、コウモリが11月頃から4月頃まで冬眠すると説明しているため、冬に聞こえる音はコウモリ以外の可能性が高まります。ただし、ほかの候補が消えるわけではないため、フンや食品のかじり跡などの痕跡と合わせて判断します。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 1) 防除の基本(PDF)

配線の近くでかじる音がするときの電気設備の確認

ネズミによる被害は、食品や天井板だけではありません。大阪市旭区は、ネズミの被害として、配管や配線をかじることによる被害を挙げています。NITE(製品評価技術基盤機構)は、小動物や害虫がエアコンやガスふろがまなどの製品の内部に入り、基板に接触してショートしたり、内部配線をかじってショートさせたりする事故が起きていると紹介しています。平成24〜28年度のペット・小動物・害虫による事故78件のうち、約72%にあたる56件が火災に至ったという報告です。

配線の近くでカリカリと音がするとき、ブレーカーが落ちるとき、焦げたようなにおいがするときは、ネズミの駆除より先に、電気設備の点検を考えます。関西電気保安協会のページは、漏電遮断器が切れている場合は屋内配線や電気器具で漏電が起きていると考えられ、原因が分からないときはでんき工事ホームセンターへ相談するよう案内しています。同協会は、定期調査では個別の調査や改修工事の依頼を受けておらず、お近くの工務店や電気工事店、地域の電気工事工業会が運営するでんき工事ホームセンターに頼むよう案内しています。登録調査機関は地域により異なるため、お住まいの地域の窓口を確認します。

  • 配線の近くでかじる音が続く、ブレーカーや漏電遮断器が落ちる、照明がちらつく。使用をやめ、電気工事店へ点検を相談する。天井裏の配線を自分で確かめない。
  • 焦げたにおい、煙、コンセントや器具の熱がある。点検の相談より先に、火災の危険がある状況として扱い、119番を含む緊急の連絡を優先する。
  • 駆除の調査で配線の傷が見つかったときは、その写真を電気工事店に見せる。駆除と電気設備の点検は別の作業として頼む。
  • 駆除と配線の関係は、配線にネズミのかじり跡らしい傷。駆除と電気設備の点検は誰に頼む?で、頼み先の分け方を整理している。

参考:関西電気保安協会|定期調査(個別調査や改修工事は電気工事店へ)

壁の中の音や上階の音との違い

音が天井の中ではなく、壁の中から聞こえるときは、見るべき場所が変わります。東京都のねずみ防除指針は、クマネズミの生息場所として、ビルの内部の高い所、壁の中、天井裏を挙げています。壁の中の音は壁の中からこすれる音。開口前に決めたい調査範囲と復旧のことで、壁を開ける前に決める範囲を扱っています。

マンションなどの集合住宅では、天井の音が、自分の住戸の天井裏ではなく、上階の生活音や共用部の設備の音のこともあります。原因を決めつけず、音の時刻と位置を記録して管理会社に伝えます。管理会社への伝え方は、集合住宅のネズミ。管理会社へ伝える情報と共用部分の調査が参考になります。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 1) 防除の基本(PDF)

音が続くときに調査へ渡す情報

東京都のねずみ防除指針は、ネズミの活動状況を推定する手順として、ラットサインを探し、建物の見取図を作って調査結果を図面上に記録する方法を挙げています。同じ形で、音の記録も間取り図の上に置くと、調査会社や窓口が、見る場所を絞りやすくなります。

録音を残すときは、天井に近づきすぎず、点検口を開けずに、部屋の中から録ります。東京都のねずみ防除指針は、天井裏や高所など危険な場所は専門業者に依頼した方がよい場合もあると説明しているため、天井裏に上がって確かめることはしません。夜間の記録の取り方は夜間の天井の音を記録する方法が参考になります。

音が続くときに調査へ渡す情報:確認項目
記録項目書き方の例調査で役立つ理由
日付と時刻「10月2日 23時40分ごろから30分ほど」夜間か夕方かで、候補が変わる
音の種類カリカリ(かじる)、カサカサ(こすれる)、トトト(走る)、ミシミシ(きしむ)音の動きの種類で、候補を絞れる
聞こえた位置「2階和室の天井、北側の壁寄り」。間取り図に印をつける点検口や侵入口との位置関係が分かる
配線・設備との距離「照明の配線の近く」「エアコン配管の上あたり」電気設備の点検が必要かの判断材料になる
季節・天気・気温「冬の寒い朝」「雨の日の夜」家鳴りとの区別がつきやすくなる
自分でしたこと使った製品、置いた捕獲器、点検口をのぞいた日調査での重複や安全の確認に使える

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 第三部 1) 防除の基本(PDF)