コウモリ駆除で公表されている相談事例|「約8,000円から」の表示が約130万円の契約になった例

国民生活センターは2024年4月24日に、害虫・害獣駆除サービスの相談が増えていると公表しました。2023年度は2022年度同期の約1.5倍で、インターネットで見つけた格安料金の業者に来てもらったところ、表示とかけ離れた高額な料金を示された事例が多いと説明しています。5件の事例のうち1件が、コウモリ駆除です。

2023年9月に受け付けたその相談では、庭にコウモリのフンらしいものがあり、見積もり無料をうたう業者のホームページに、コウモリ駆除は約8,000円からと書かれていました。相見積もりのつもりで連絡しましたが、来訪した業者に、放置すると大変なことになると不安をあおられ、近所でも施工していると足場のある家を案内されました。さらに、近所の足場を移すので安くなると強く勧められ、約130万円で契約しています。

契約のあと、足場のある近所の家に尋ねると、コウモリ駆除の業者など知らないと言われ、うそをつかれたと感じた契約者は、契約から5日目にクーリング・オフを通知しました。解約と足場の撤去を求めている相談です。

国民生活センターが挙げる6つの問題点

同じ資料は、事例に共通する問題点を次の6つに整理しています。コウモリ駆除に限らず、害虫・害獣駆除の相談全体の特徴として読みます。

  • インターネットに載っている料金と、実際の料金が大きく離れている
  • 不安をあおり、契約を急がせる勧誘が行われている
  • 断りにくい状況で作業を進め、代金を請求している
  • 事前に複数の見積もりを取って比べる機会がない
  • 交付される書面に、具体的なサービス内容が書かれていない場合がある
  • クーリング・オフを妨げる例が見られる

この事例を読むときの注意

公表されている事例は匿名で、業者の名前は書かれていません。コウモリ駆除の業者がみな同じ対応をする、という意味でもありません。事例は、広告から契約までのどの段階で何を確かめられたかを考える材料にします。

コウモリ駆除で公表されている相談事例|「約8,000円から」の表示が約130万円の契約になった例:確認項目
段階事例に書かれていたことこの段階で確かめられたこと
広告を見るホームページに、コウモリ駆除は約8,000円からと記載「から」の金額が何の作業の金額か。表示の料金で依頼できるとは限らないと、国民生活センターは注意
連絡・来訪相見積もりのつもりで連絡し、来訪した業者に不安をあおられた見積もりの訪問と、その場での契約は別。契約を迫られたら、持ち帰って比べる
説明を受ける近所でも施工していると足場のある家を案内され、足場を移すので安くなると勧められた近所の施工という説明は、その場で確かめられない。根拠のない値引きの理由は、契約の材料にしない
契約する約130万円で契約書面に、作業内容・数量・価格が書かれているか。「一式」だけではないか
発覚・解約近所に確認すると、業者を知らないと言われた。契約から5日目にクーリング・オフを通知書面を受け取った日から8日以内。書面または電磁的な方法で通知する

参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)

読者の疑問

コウモリ駆除の悪徳業者には、どんな特徴がありますか?

比較ガイド

国民生活センターの事例には、ホームページの「約8,000円から」の表示と大きく違う約130万円の契約、不安をあおる説明、根拠を確かめられない近所の施工の話が出てきます。広告と見積もりの差、契約を急かす説明、書面の内訳の有無を確かめてください。

「全部捕まえて駆除します」は何が問題か|許可のない捕獲・殺傷を前提にした説明

環境省は、野生の鳥獣は狩猟として行う場合を除いて、捕獲や殺傷が原則として禁止されており、被害などがあって環境大臣または都道府県知事の許可を受けたときに認められると案内しています。多くの都道府県では、許可の権限の一部が市町村長に移されています。東京都ペストコントロール協会は、コウモリは鳥獣保護管理法の対象だと説明しています。

浜松市は、コウモリは捕獲が難しい上に捕獲には許可が必要だとして、侵入口の封鎖で対処するよう案内し、市では原則として捕獲や駆除を行っていないとしています。横浜市も、市はコウモリの捕獲や駆除を行わず、捕獲許可の問い合わせは県の窓口へと案内しています。業者の説明に「捕まえる」「全部駆除する」とあっても、許可のない捕獲や殺処分は行えない作業だと、公的な案内から読み取れます。

業者の説明で確かめる3つのこと

見積もりの場で、作業の中身を次の3点に分けて聞きます。答えは見積書や作業内容の欄に書いてもらいます。

  • 作業は、追い出しと侵入口の封鎖が中心か。捕獲を含むのか
  • 捕獲を含むなら、許可は誰の名義で、どの範囲と方法で認められているのか
  • 封鎖の前に、コウモリが建物の中に残っていないことを、どう確かめるのか

許可の説明が出てきたとき

環境省は、捕獲許可の基準として、鳥獣の種類・員数・期間・区域・方法などの要件が定められていると説明しています。「許可を取っているから全部捕獲できる」と言われたときは、誰の名義で、いつからいつまで、どの区域と方法が認められているのかを聞けます。説明できない場合は、その場で決めずに持ち帰ります。法律の全体はコウモリ駆除の法律にまとめています。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

契約を急がせる説明を、確認ポイントに言い換える|脅し・近所の施工・今日だけの値引き

特定商取引法のガイドは、訪問販売で、事実と違うことを告げること、故意に事実を告げないこと、相手を威迫して困惑させることを禁止行為に挙げています。自宅で勧誘を受け、その場で契約した場合などは、訪問販売に当たる可能性があります。個々の説明が違法かどうかは、当サイトでは判断できません。ここでは、事例に出てきたような説明を、その場で確かめる質問に言い換えます。

国民生活センターのアドバイスは、不安をあおったり契約を急かしたりして、他の業者と比べる機会を奪う業者とは契約しない、というものです。この基準は、説明の正誤を見分けなくても、「持ち帰って他社と比べてよいですか」と聞いたときの反応だけで使えます。

「持ち帰ってよいですか」と聞く

見積書を持ち帰り、他社と比べてから返事をしてよいかを聞き、応じてもらえるかを見ます。応じてもらえないときは、その場で契約せず、見積もりを断ります。

高い場所の作業で、足場が必要と言われたとき

東京都ペストコントロール協会は、コウモリが出入りしている隙間が高所のときは、作業に危険が伴うことがあると説明しています。足場や高所作業車が必要になること自体は、あり得ます。確かめるのは、必要な箇所、設置する期間、費用が総額に含まれるかと、その方法が必要な理由です。事例のように足場の話が値引きの理由に使われたときは、根拠を確かめられるかを見ます。

契約を急がせる説明を、確認ポイントに言い換える|脅し・近所の施工・今日だけの値引き:確認項目
業者の説明の例その場で確かめること持ち帰る基準
今やらないと大変なことになる何が、いつまでに、どうなるのか。放置した場合の変化を、現場や写真で示せるか示せないときは、他社の見積もりを取ってから判断する
近所でも施工している、足場が出ている施工先を、あなたが確かめられる形で示せるか確かめられない説明は、値引きの理由にしない
今日契約するなら安くなる割引前と後の金額、割引の条件が、見積書に書かれるか当日限りの条件は、比べる機会を奪うため、契約を見送る
コウモリを全部捕まえて処分する、二度と戻らない許可の有無と範囲。再発したときの保証の対象と条件許可や保証の条件が書面にないときは、契約しない
足場がないと作業できない足場や高所作業が必要な箇所、設置期間、費用が総額に入るか必要性を、別の会社にも聞く

参考:消費者庁|特定商取引法ガイド・訪問販売

見積もりで確認する表|封鎖箇所・足場や高所作業・清掃・保証

コウモリ駆除の見積書で金額を左右するのは、侵入口の封鎖、高所での作業、フンの清掃や消毒、再発したときの保証です。国民生活センターは、契約書面にサービス内容が「一式」とだけ書かれていた事例を挙げ、特定商取引法上の訪問販売に当たる場合は、事業者に契約書面の交付義務があり、役務の種類や数量、価格などを記載する必要があると説明しています。次の表を、見積書の行と照らして使ってください。

東京都ペストコントロール協会は、コウモリが6mmほどのわずかな隙間からも出入りできると説明し、浜松市は1cm程の隙間があれば出入りできると案内しています。封鎖する箇所が少なく見積もられていると、残った隙間から出入りする可能性があるため、箇所の数と位置を写真や図で確認します。各社の公式の表示の読み方は、コウモリ駆除業者ランキングの前にに整理しています。

コウモリ駆除の再発に備えて、保証の対象を確かめる

再発したときの保証は、封鎖した箇所だけが対象なのか、建物全体が対象なのかで、意味が変わります。別の隙間から入ったと言われた場合の確認は、「別の侵入口なので保証対象外」と言われたときにまとめています。保証書は、契約時の説明と照らして、対象・期間・除外条件・連絡先を確認します。

見積もりで確認する表|封鎖箇所・足場や高所作業・清掃・保証:確認項目
見積書で見る項目書かれているべきこと聞き方の例空欄や「一式」のとき
侵入口の封鎖箇所の数と位置、材料、換気を残すか。施工前後の写真「封鎖する場所を写真で見せてください。何か所で、どの材料ですか」箇所数が分かる形に書き直してもらう
追い出し・捕獲追い出しか捕獲か。薬剤や道具を使うなら名称と使う場所。捕獲なら許可の名義と範囲「捕獲しますか。許可は誰が、どの範囲で受けていますか」作業内容の説明を書面にしてもらう
足場・高所作業必要な箇所、設置期間、費用が総額に入るか「足場が必要な場所はどこで、なぜ必要ですか。費用は総額に入りますか」別の業者にも必要性を聞く
清掃・消毒清掃する場所と数量、断熱材の扱い「フンの清掃は、どの範囲を、どれだけ行いますか」範囲を図や写真で示してもらう
保証・再発時対象になる再発の条件、期間、除外条件、連絡先「再発したとき、何を無料で行い、何が対象外ですか」保証書の案を先に見せてもらう

参考:公益社団法人東京都ペストコントロール協会|コウモリの防除

賃貸・マンションでは契約前に管理会社へ連絡する

国民生活センターは、賃貸住宅で害虫が出たときは、事業者へ依頼する前に管理会社や大家へ相談するのも一つの方法だと案内しています。コウモリの出入り口は、外壁や屋根まわり、ベランダの上部など、自分の部屋の外にあることがあります。契約者の判断だけで業者を入れると、費用の負担者や作業の承諾を、あとから調整する必要が出ることがあります。

分譲マンションでは管理組合や管理会社、戸建ての借家では大家に、まず出入りしている場所と、業者に見積もりを頼んでよいかを連絡します。ベランダのフンの掃除と相談の段取りは、マンションのベランダにコウモリで扱っています。

  • 管理会社・大家に伝えること:出入りしている場所、フンの場所、写真、気づいた日時
  • 業者に見積もりを頼む前に、費用を負担する人と、業者を選ぶ人を決める
  • 外壁・屋上・ベランダ上部などの共用部分に触れる作業は、承諾が要るかを確認する

参考:国民生活センター|【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル(2025年3月4日)

金額に疑問があるときの相見積もりの取り方|コウモリ駆除が高いと感じたら

コウモリ駆除が高いと感じたときは、金額が適正かどうかを自分で決める必要はありません。同じ条件で2社以上の見積もりを並べ、差がどこから生じているかを見ます。国民生活センターの資料には、契約のあとに別の業者へ来てもらい、料金や作業内容を指摘されて相談に至った例が複数あり、契約前に複数社の見積もりを比べられなかったことが問題点の一つに挙げられています。

比べる手順を次にまとめます。同じ条件で並べると、金額の差が作業の範囲の違いなのか、単価の違いなのかを読み分けやすくなります。

  • 同じ写真と同じ説明を、2社以上に伝える(出入りしている場所、フンの場所、建物の階数)
  • 見積書は、封鎖・追い出し・高所作業・清掃・保証に分けて書いてもらう
  • 金額の差は、作業の範囲の差か、同じ作業の単価の差かに分けて見る
  • 足場や高所作業が必要と言われた箇所は、2社目にも必要性を聞く
  • 訪問した日に契約せず、期限を決めて返事をする
  • 断るときは、見積書を持ち帰って検討したことと、返事の期限を伝える

参考:国民生活センター|報道発表資料 ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意(2024年4月24日、PDF)

契約後に不審に思ったときの相談先とクーリング・オフ

自宅で勧誘を受けてその場で契約した場合などは、訪問販売に当たる可能性があります。特定商取引法のガイドによると、訪問販売では、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録で、申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます。事業者が事実と違うことを告げたり、威迫したりして、クーリング・オフを妨げた場合は、8日を過ぎても行えます。

クーリング・オフをした場合は、役務がすでに提供されていても対価を支払う必要はなく、建物などの現状が変更されていれば、無償で元に戻してもらえると説明されています。足場や封鎖工事が行われたあとでも、この考え方があります。通知は、特定記録郵便や書留など、記録が残る方法が薦められています。

相談先は消費者ホットライン188です。郵便番号などを入力すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。相談は無料で、通話料は相談窓口につながった時点から発生します。相談の準備は、188へ相談するときの資料と伝え方にまとめています。

契約後に不審に思ったときの相談先とクーリング・オフ:確認項目
状況できること準備・連絡先
契約書面を受け取って8日以内クーリング・オフの通知(書面または電磁的記録)通知の控えと送付の記録を残す。迷ったら188へ
8日を過ぎた国民生活センターは、期間を過ぎても解約できる場合があると説明し、契約の大切な部分について事実と違うことを告げられたときの取消しにも触れている契約書面、見積書、広告の画面、やり取りの記録をそろえて188へ
作業後に高額を請求された納得できないときは、その場での支払いを避ける納得した金額を後日支払う意思は示しつつ、188へ相談する
契約前でも不安がある見積もりを断る。持ち帰って他社と比べる188で最寄りの消費生活センター等を案内してもらう

参考:消費者庁|特定商取引法ガイド・訪問販売

コウモリ駆除の相談が増える季節に、急かされないための準備

国民生活センターの資料によると、コウモリ駆除サービスの相談は年々増える傾向があり、例年6月ごろから増え始めて、夏(8〜9月)にピークになります。浜松市は、侵入口の封鎖を、まだ飛べない幼獣のいる6〜8月と、冬眠の前後の時期を避けて行うよう案内しています。相談が増える季節と、封鎖を避けたい時期が重なるため、日程を理由に急がされたときは、理由を聞く価値があります。

作業日の理由と、封鎖前後の確認の方法を聞いて、見積書にも書いてもらいます。時期の考え方は、コウモリ対策の時期と封鎖日の相談にまとめています。

  • その日に作業する理由は何か。幼獣がいる可能性や冬眠の状況を、どう確認したか
  • 作業の前に、コウモリが建物の中に残っていないことを、どう確かめるか
  • 作業のあと、出入りがなくなったことを、いつ、どう確認するか

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている