イタチの追い出しは捕獲に当たるのか|許可なしでできる範囲

環境省は、鳥獣保護管理法では、野生の鳥獣を狩猟による場合を除いて原則として捕獲・殺傷・採取することが禁止され、被害がある場合などに許可を受けて捕獲できると説明しています。条文では、捕獲または殺傷を「捕獲等」と呼んでいます。屋根裏に住みついたイタチも野生動物なので、つかまえる、殺すといった行為は、許可の枠組みの中で行うことが前提です。

一方で、追い払いは捕獲でも殺傷でもありません。高槻市は、捕獲をせずに、においや音、光を使って鳥獣を追い払う場合は、市への手続きは必要ないと案内しています。福井市のQ&Aは、まず追い払いを検討し、追い払いで対応できないときに捕獲許可のもとで捕獲できるという順番を示し、長浜市は、侵入口を見つける、追い出す、塞ぐという順番を案内しています。

線を引くところは、出ていってもらうことと、つかまえることです。追い出しの途中で、手や道具で捕まえる、薬剤で殺す、出口をなくして閉じ込めるといった結果になる方法は、追い払いの範囲を超えるおそれがあります。京都市は、行政機関による捕獲や駆除は行っておらず、忌避剤などを使って各自で対処するよう案内しています。次の表は、公的資料の記述から当サイトが行為別に整理したもので、公式な区分表ではありません。2026年10月3日に確認しました。

イタチの追い出しは捕獲に当たるのか|許可なしでできる範囲:確認項目
行為許可の要否の目安確認した資料注意
においや音・光で出ていってもらう捕獲を伴わなければ、市への手続きは不要と案内する自治体がある高槻市出口を残す。製品は表示どおりに使う
追い出したあとに侵入口を塞ぐ許可を求める記述は確認できず長浜市、農林水産省中に残った個体を閉じ込めない。不在を確かめてから塞ぐ
捕獲器・わなで捕まえる許可が必要環境省、高槻市この記事では設置方法を扱わない
手や道具で捕まえる・殺す捕獲等に当たり、許可が必要環境省、鳥獣保護管理法第8条咬まれたり引っかかれたりするおそれがある
毒餌・毒薬で殺す毒薬を使う猟法は原則禁止鳥獣保護管理法第36条、環境省家庭の被害対策で使える方法として案内する資料は確認できず

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

イタチを追い出すだけなら許可は必要ですか?

比較ガイド

捕獲せずに、においや音、光で追い払う場合は、市への手続きは必要ないと高槻市が案内しています。ただし、つかまえる、殺す、閉じ込めるといった結果になる方法は追い払いの範囲を超えるおそれがあり、捕獲には許可が必要です。

追い出す前に確かめること|頭数・幼獣・侵入口の数

追い出す前に確かめたいのは、子がいる可能性、頭数、侵入口の数です。堺市は、イタチの繁殖期を4月頃から8月頃、出産を年1回5〜6頭と案内し、天井裏で子育てをして断熱材をほぐして巣を作る例が増えているとしています。親が出ていっても子が巣に残っていれば、封鎖したあとに子が出られなくなるおそれがあります。

繁殖の時期は、資料ごとに書き方が違います。次の表にまとめました。自然の中での習性を書いた資料が多く、住宅の屋根裏で同じ時期になるとは限りません。表のあとに、時期と状況による判断の流れを、当サイトの整理として載せています。

幼獣がいるかを考えるときの手がかり

子がいるかどうかは、外から確かめにくいものです。夜の足音や鳴き声が毎晩同じ場所で続く、断熱材がほぐされたような痕跡がある、といった状況は、巣がある可能性を考える材料になります。聞こえた時刻と場所を数晩記録しておくと、時期と照らして判断しやすくなります。記録の取り方は 夜間の天井の音を記録する方法 が参考になります。

頭数と侵入口の数の確かめ方

農林水産省のマニュアルは、今も生息しているかを確認する方法として、足跡トラップやセンサーカメラを紹介しています。足跡トラップは、ベニヤ板やトタン板、石灰などを通りそうな場所に置いて足跡を記録する方法で、センサーカメラは通過を自動で記録します。屋根裏での設置は危険が伴うため、地上や軒下から見える範囲にとどめ、難しければ業者の調査に任せます。甲賀市は、侵入口の手がかりとして、引っかき傷や、獣の汚れによる黒ずみを挙げています。侵入口が1か所に見えても、数晩の記録で別の経路がないかを確かめます。

追い出す前に確かめること|頭数・幼獣・侵入口の数:確認項目
資料時期の記述読み取り方
堺市(2021年2月更新)繁殖期は4月頃から8月頃。年1回5〜6頭を出産する天井裏での子育ては4〜8月が目安になる
国土交通省 太田川河川事務所(ニホンイタチ)3〜5月に交尾し、約1か月後に出産。授乳期間は40日前後。5月頃に生まれた仔は8月頃に母親と別れる9月以降は子が独立している可能性が上がるが、自然の中の習性の記述で、住宅では一致しない場合がある
国立環境研究所(シベリアイタチ)4〜5月に交尾し、6〜8月に育児をする。産仔数は5〜66〜8月は子育ての目安になる
国立環境研究所(ニホンイタチ)交尾期は4〜5月。九州では年2回繁殖する地域によって年2回の繁殖例が書かれている
  • 4〜8月に、同じ場所の足音や鳴き声が夜ごとに続く:子がいる前提で、自分では封鎖まで進めず、市の窓口か業者に状況を伝えます。
  • 9月以降で、出入りの場所と時刻が記録できている:子が独立している可能性が上がりますが、年2回の繁殖例もあるため、窓口や業者にも時期を確認します。
  • 侵入口が1か所に絞れ、地上から出入りを確認できる:追い出し、不在確認、封鎖の順に自分で進められるかを検討します。
  • 侵入口が複数ある、屋根の上や高所にある:自分で作業せず、業者の現地調査を頼みます。

参考:堺市|イタチでお困りの方へ

忌避剤・光・音の位置づけと限界|追い出しの手段を並べる

自治体のイタチの案内ページには、追い出しの手段として、においを出すもの、煙、光が並んでいます。大阪府は、木酢液、漂白剤、お酢、動物忌避剤、ダニ・ゴキブリ用のくん煙剤、点滅ランプを挙げ、堺市はこれに蚊取り線香を加えています。大分市は、市販の動物用忌避剤、木酢液、塩素系漂白剤の散布や、浸したものを置く方法と、くん煙剤を案内しています。大阪府のページは2026年4月23日の更新です。

ただし、各自治体は追い出しを一時的な手段として扱っています。甲賀市は忌避剤の効果は直ぐになくなると書き、京都市は一時的に立ち去っても戻る場合があるため侵入口を塞ぐことが効果的だと案内しています。農林水産省の総合対策編のコラムも、慣れが生じる光・音・においの対策は、効果がないか、あっても一時的だと説明しています。この記述はイノシシやシカを例にしたもので、イタチの試験結果ではありません。

においと煙を使うときは、製品の表示を先に読む

薬剤は、製品に表示された対象動物、使用場所、使用量、使用上の注意に従って使います。この記事では、希釈や混合、使用量は示しません。大阪府は、くん煙剤には医薬品に指定されているものがあるため、使用上の注意をよく読むよう案内し、イタチ用の忌避剤は売っていないようだが、他の動物用でも効果があると説明しています。大分市は、塩素系漂白剤は脱色や金属腐食があるため、使う場所の選定に注意するよう書いています。表示にない使い方になりそうなときは、メーカーや市の窓口に確認してください。

光は火災に、音は慣れに注意する

大阪府は、点滅ランプとアルミホイルを使う方法について、電球が熱を持つため燃えやすいものを近くに置かないよう書いています。堺市は、蚊取り線香の方法について、火の取扱いに十分注意するよう書いています。火や熱を伴う方法は、屋根裏では火災のリスクが高いため、避ける選択肢があります。音や超音波の機器は、イタチへの効果を案内している自治体が、今回確認できませんでした。

忌避剤・光・音の位置づけと限界|追い出しの手段を並べる:確認項目
方法自治体や公的資料での扱い限界と注意
においを出すもの(動物用忌避剤、木酢液、漂白剤、お酢など)大阪府、堺市、大分市、大阪市西淀川区が追い出しの方法として案内している効果は一時的とする案内がある(甲賀市、京都市)。漂白剤は脱色や金属腐食に注意(大分市)
煙(ダニ・ゴキブリ用などのくん煙剤)大阪府、堺市、西淀川区が案内。大阪府は、煙を嫌がってイタチが出てくると説明している医薬品に指定された製品があり、使用上の注意をよく読む(大阪府)
光(点滅ランプなど)大阪府、堺市が案内している電球が熱を持つため、燃えやすいものを近くに置かない(大阪府)。慣れで効果が薄れる(農林水産省)
音・超音波機器イタチを対象に案内する自治体は、今回確認できず農林水産省は、光・音・においは慣れが生じ、効果がないか一時的だと説明(イノシシ・シカを例にした記述)
コーヒーなど身近な物公的資料では、イタチへの効果を確認できず効果の根拠が確認できないため、侵入口の封鎖の代わりにしない

参考:大阪府|イタチでお困りの方へ

不在を確かめてから封鎖する順番|追い出し・確認・封鎖・清掃

農林水産省のマニュアルは、侵入場所が確認できたら塞ぐ作業になるが、中にいないことを確認することを忘れてはいけないと述べています。足音が止まっただけでは、眠っているのか、別の場所にいるのか、子が残っているのかを区別できません。足音の停止だけで封鎖に進まないことが、この順番の要点です。

何日間出入りがなければ封鎖してよいかという日数は、確認した資料に書かれていませんでした。自分で数字を決めず、侵入口の数や時期を伝えて、市の窓口や業者に確認してください。農林水産省は、一般の人が点検・封鎖をするには建築知識が必要で、見落としや事故のリスクがあるため、被害が出ている場合は専門の防除業者に依頼するのが無難だと述べています。全体の流れは、後ろの一覧のとおり6段階で整理できます。

封鎖する場所と材料

農林水産省のマニュアルは、侵入は地上近くの床下と軒など上部が狙われ、床下は通風口からが最も多く、上部は軒の破損部分、瓦屋根の隙間、増築した継ぎ目などだと説明しています。塞ぐ資材は、金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊されるおそれがあるため使わないとしています。イタチは3cm程度の穴や隙間でも通るため、小さな隙間まで塞ぐ範囲に含めます。

床下換気口を塞ぐ場合は、空気の通り道を確保する必要があります。考え方は 換気口の破損を見つけたときの侵入防止 にあります。

  • 記録する:音の時刻と場所、フンや汚れの写真、侵入口らしい場所を残します。
  • 追い出す:出口を残し、製品は表示どおりに使います。子がいる時期は自分で進めません。
  • 出入りを確かめる:地上や軒下から見える範囲で、足跡や出入りの有無を数晩見ます。
  • 封鎖する:不在を確認した侵入口を、金属や板など丈夫な材料で塞ぎます。
  • 清掃する:フン、尿、汚れた断熱材は、衛生上の注意に従って扱い、量が多ければ業者に任せます。
  • 再点検する:新しい音やフンが出ないか、別の侵入口がないかを見ます。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

やってはいけないこと|捕獲・毒餌・閉じ込め・火の使用

追い出しの途中でやってしまいがちな行為を、避ける理由と代わりの行動に分けました。法律の条文は、2026年10月3日にe-Gov法令検索で確認しています。第8条は、鳥獣の捕獲等を原則として禁止し、許可を受けた場合や狩猟による場合を例外としています。第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法などによる捕獲等を禁止しています。罰則の内容は イタチの駆除は違法? にまとめています。

やってはいけないこと|捕獲・毒餌・閉じ込め・火の使用:確認項目
行為避ける理由代わりにできること
許可なく捕獲器やわなで捕まえる許可なしの捕獲等に当たる。高槻市は、標識を付けない捕獲器の設置も違反になると案内している追い出しと封鎖に絞る。捕獲が必要なら、窓口で許可を相談する
毒餌・毒薬で殺そうとする法第36条が毒薬を使う猟法を禁止。環境省は、人の生命や身体への危害を防ぐためと説明している薬剤で殺す方法は使わず、侵入口の封鎖と清掃を優先する
中の確認なしに侵入口を塞ぐ中に残った個体を閉じ込めるおそれがある。農林水産省は不在の確認を求めている出入りを記録し、不在を確認してから塞ぐ
ネズミ用の罠でイタチを狙う京都市は、ネズミ用の罠にイタチなど他の野生鳥獣が入った場合は、殺傷せず放すよう案内しているネズミ対策は別に進め、イタチは追い出しと封鎖で対応する
屋根裏で火を使う堺市の案内にも、火の取扱いへの十分な注意が書かれている。火災の危険がある火を使わない方法を選ぶか、業者に相談する

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

追い出した後のフン・断熱材の清掃

鈴鹿市は、屋根裏や軒下の侵入口を塞ぐ場合、糞尿などが堆積していて清掃と消毒が必要になることもあると案内し、専門業者への相談を勧めています。大東市は、イタチが巣を作る際に、家の断熱材(グラスウール)を剥ぎ取って巣材にすることがあり、夜中の足音、糞尿のにおい、ノミや病気の被害が出るとしています(2021年4月更新のページ)。

厚生労働省のハンドブックは、糞尿が乾燥して中の病原体が空気中を漂うことがあるため、直接触れたり吸い込んだりしないよう注意し、早くこまめに処理するよう案内しています。追い出した直後の屋根裏には、フンや尿、ほぐされた断熱材が残っている可能性があります。少量のフンの扱いは 害獣のフン処理と消毒の目安 にあります。断熱材の交換の要否は、写真を撮って、見積もりで範囲を決めます。

参考:鈴鹿市|よくある質問:タヌキ、イタチ等に困っています

イタチが戻ってくる原因|塞ぎ残しと別の侵入口

京都市のQ&A(2026年4月版)は、忌避剤を使って一時的に立ち去っても戻ってくる場合があるため、動物の侵入口と思われる隙間を金網や板などで防ぐことが効果的で、イタチは3〜4cmの隙間でも侵入する場合があると案内しています。戻ってくる理由として、まず疑うのは、追い出しだけで終えたこと、または塞いだ場所以外に入口が残っていることです。

侵入口は建物の1か所とは限りません。大阪府は、古い民家や早い時期に設置された公共下水道と接続している住宅では、下水管から進入する場合があると案内しています。大阪市西淀川区は、屋根裏へは雨どいの中を登っていることがあるため、排出口を金網などで蓋をすると有効だと述べています。農林水産省のコラムは、増改築や給湯器などの設備設置の際に侵入口ができやすいと述べています。部位ごとの点検は イタチは屋根裏にどこから入る? にまとめています。

餌も戻る理由になります。大分市は、イタチの主食はネズミで、ドバトや昆虫、ソーセージや卵なども食べると説明し、鈴鹿市は、収穫残渣やペットフードなどの餌になる物を隠すよう案内しています。ネズミがいる家では、ネズミ対策も同時に進めないと、イタチが寄ってくる理由が残ります。

参考:京都市|野生鳥獣・虫等に関する相談Q&A集 PDF(2026年4月)

自分でやらず相談した方がよい状態|窓口と業者の使い分け

市の窓口が担う範囲は、確認した自治体の案内では、捕獲許可の相談と、一部の捕獲器の貸出までです。大東市と高槻市は許可を受けた人に、奈良市は従事者証の手続きをしたうえで捕獲器を貸し出し、堺市も貸出を案内していますが、対象や在庫は自治体ごとに違います。追い出し、封鎖、清掃は、京都市が業者への依頼(費用は自己負担)を案内しているように、所有者が手配する形が中心です。

業者へ依頼するときは、現地調査で、侵入口の数と位置、封鎖の材料、清掃・消毒の範囲を図や写真で示してもらいます。調査の頼み方は 屋根裏にイタチがいる?調査の頼み方 にあります。国民生活センターは、害虫駆除の事業者への依頼について、複数社から見積もりを取って比較する前提で話を聞くこと、他社と比較する機会を奪う事業者とは契約しないことを勧めています(2025年3月の注意喚起。対象は害虫駆除)。賃貸住宅なら、依頼の前に管理会社や大家に相談するのも一法とされています。

参考:国民生活センター|【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル(2025年3月4日)