ハクビシンの鳴き声は?自治体の資料にある声と、確認できていないこと
世田谷区が2026年8月付で公開している「ハクビシン・アライグマに関するQ&A」は、ハクビシンの鳴き声を「にゃ〜 にゃ〜」「ぎゃ〜 ぎゃ〜」と紹介し、主に幼獣が発するとされると添えています。今回確認した省庁・自治体の資料のなかで、鳴き声そのものを具体的に書いていたのは、この記載が中心でした。
この例は、夜中に高い声が聞こえたときにハクビシンを疑う材料にはなります。ただ、猫やほかの野生動物の声と聞き分けられる、という裏づけではありません。声を録音しても、声だけで種類を決める使い方はせず、足音や天井のシミ、フンと合わせて、自治体や調査を頼む担当者に渡す記録にします。
子の声は、家をねぐらや子育ての場にしたときに出る
農林水産省の中型獣類編マニュアルは、ハクビシンが家屋をねぐらや出産・子育ての場に使うと、足音や子の鳴き声による騒音、排泄物による汚染が起きると説明しています。世田谷区のQ&Aも、ハクビシンが一か所に棲みつくのは出産と子育てのためで、それ以外は場所を転々と変えるとしています。
出産の時期は、農林水産省が3月から11月と推定し、東京都は一年中繁殖が可能、世田谷区は特に春先が多いと書いています。季節で「この時期は鳴かない」と決めず、聞こえた日付と時刻を残して、判断材料にします。
威嚇や争いの声は、公的資料で確認できていません
事業者のサイトには、威嚇、縄張り争い、求愛などの場面ごとに声を書き分けるものがあります。ただし擬音は掲載ごとに異なり、今回確認した省庁・自治体の資料では裏づけが取れませんでした。そのため、声の種類で動物を見分ける表は作らず、声は、時刻と場所を添えた補助的な記録として扱ってください。
| 聞こえる音 | 公的資料で確認できたこと | 記録のしかた |
|---|---|---|
| 高い声(子の声の例) | 世田谷区のQ&A:「にゃ〜」「ぎゃ〜」は主に幼獣が発するとされる。農林水産省:子の鳴き声が騒音になる | 時刻、続いた時間、聞こえた部屋。動物の種類は決めない |
| 威嚇・争いの声 | 確認できず | ほかの動物の気配など、聞こえた状況をメモする。声だけで決めない |
| 連続する足音 | 農林水産省:活動は夜間に偏る。東京都:屋根裏の大きな音を、住みつきの可能性がある項目に挙げる | 時刻、移動の向き、何日続いているか |
参考:世田谷区|ハクビシン・アライグマに関するQ&A(PDF、2026年8月付)
ハクビシンの鳴き声はどんな音ですか?
世田谷区のQ&Aは「にゃ〜」「ぎゃ〜」を例に挙げ、主に幼獣が発するとしています。ただし猫など他の動物の声と聞き分ける基準は、公的資料で確認できていません。声は記録として残し、種類は決めません。
屋根裏の足音は夜に偏る|時間帯・重さ・歩き方で記録する
農林水産省のマニュアルは、ハクビシンの活動時間帯が夜間に偏り、飼育されている個体も日中は寝ているため、生来の夜行性と言えると説明しています。屋根裏は日中の休憩場所に使われるため、足音の記録は夜から明け方にかけてを中心にすると、ほかの動物と照合しやすくなります。
ただし、板橋区は夜行性でも、夕方や朝方など陽のある時間帯に活動することがあると案内しています。夜の音がないからハクビシンではない、と決めず、聞こえた時刻をそのまま記録します。
重さ:体重の資料と、足音の大きさの限界
ハクビシンの成獣の体重は、東京都の資料が2.0〜5.5kg、農林水産省が3〜4kg程度としています。大阪府の資料にあるクマネズミ(120〜200g)やドブネズミ(200〜400g)と比べると、数倍以上重い動物です。東京都の被害を防ぐためのページも、屋根裏で大きな音がすることを、侵入や住みつきの可能性がある項目に挙げています。
とはいえ、足音の大きさは、天井の構造、聞こえる部屋の位置、断熱材の有無でも変わります。国立環境研究所のデータベースは、ニホンイタチの雌を115〜175gと記載しており、小さな動物でも音は出ます。大きさは、ほかの記録と合わせる材料にとどめてください。
移動:屋根・軒・天井裏のあいだを行き来する
農林水産省のマニュアルによると、ハクビシンは四肢が短く、長い尾でバランスを取りながら足場の悪い場所も移動でき、柱を登り、電線の上も歩けます。屋根や軒から天井裏へ入る動きがあるため、音が一か所で止まらず、方向をもって動くかを記録すると、侵入口を調べる手がかりになります。
続き方:毎晩か、時々か
板橋区は、ハクビシンのねぐらが複数あり、それらを転々と移動すると説明しています。毎晩同じ時刻に続くのか、数日おきに戻ってくるのかで、棲みついているのか、通過しているのかの見方が変わります。何日続いているかを、記録の最初に書いておきます。
ネズミ・イタチ・アライグマ・猫との違い|大きさ・活動時間・痕跡の比較表
音だけで動物を当てることはできませんが、公的資料にある体の大きさと活動時間を並べると、どの候補を残すかを考える助けになります。次の表は、今回確認した資料の記載だけをまとめたもので、音の聞こえ方そのものを比べる表ではありません。資料で確認できなかった欄は「確認できず」としています。
表を見ると、ハクビシンとアライグマは夜間に動き、天井裏に糞尿を残す点が重なります。違いは姿や足跡、シミの出方で確認します。イタチとハクビシンの違いでは、顔・体つき・家の痕跡を並べて比べています。猫については、世田谷区のように猫・ネズミ対策を保健所が担う自治体もあるため、窓口を確認します。
| 候補 | 体の大きさ(資料の記載) | 活動の時間帯 | 音以外の手がかり |
|---|---|---|---|
| ハクビシン | 成獣の体重2.0〜5.5kg(東京都)、3〜4kg程度(農林水産省) | 夜間に偏る(農林水産省)。夕方や朝方に動くこともある(板橋区) | 天井裏の同じ場所に糞尿が溜まる。5本指の足跡で、爪跡は不明瞭(東京都) |
| 家ネズミ(クマネズミ・ドブネズミ) | クマネズミは体長18〜22cm・120〜200g、ドブネズミは22〜25cm・200〜400g(大阪府) | ほとんど夜間。日没後数時間と夜明け前が最も盛ん(大阪府) | 糞は長さ1cmほどの細長い米粒状(町田市) |
| イタチ類 | ニホンイタチは雄290〜650g・雌115〜175g(国立環境研究所) | 確認できず | シベリアイタチは3cm程の穴からも入り、糞尿や騒音の被害がある(農林水産省) |
| アライグマ | 成獣の体重3.5〜11.0kg(東京都) | 夜間が中心だが、昼間も活動する(農林水産省) | 糞尿のシミは壁に沿って現れる例(農林水産省)。尾に縞がある |
| 猫 | 確認できず | 確認できず | 町田市は、タヌキやネコも天井裏などに住み着くことがあるようだと記載 |
音と合わせて確認する痕跡|ためフン・天井のシミ・足跡
音は建物の構造で聞こえ方が変わるため、同じ時期に見つかる痕跡と並べて記録します。町田市の資料は、ハクビシンの糞が天井に溜まる例として、種が混じった長さ5〜15cmほどの棒状のものを、ネズミの1cmほどの細長い米粒状の糞と並べて紹介しています。一方で、種が混じっていない場合は、動物の判別が難しくなるとも書いています。
農林水産省のマニュアルは、家屋の糞尿のシミについて、アライグマは壁に沿って、ハクビシンはポツンと現れる例を示しています。ただ、雨漏りなど別の原因でもシミはできるため、天井のシミを動物と漏水に分けて伝える方法も参考にしてください。糞やシミは、素手で触らず、掃除機で吸わず、写真に残します。
| 一緒に見つかったもの | 公的資料での説明 | 伝えるとよいこと |
|---|---|---|
| 同じ場所に積もる糞 | 町田市:天井の一か所に糞が堆積した例。種が混じった棒状の糞 | 場所、積もり方、色、大きさの目安(定規を添えた写真) |
| 天井のシミ・水滴 | 町田市:天井に尿が染み出す、天井が腐って落ちることがある | シミの位置と広がり方、雨の日との関係、においの有無 |
| 柱や雨どいの足跡 | 農林水産省:ハクビシンは柱や雨どいに足跡が残る例。東京都:5本指で爪跡は不明瞭 | 足跡の場所と高さ。触らず、全体と近接の2枚を撮る |
| 強いにおい | 世田谷区:溜め込んだ糞尿による悪臭やしみ汚れを、被害の例に挙げる | においが強まる時間帯、場所、日ごとの変化 |
| ベランダや雨どいのフン | 東京都:雨どいやベランダの一角にまとまった糞があることを、注意の項目に挙げる | 場所と日付、前日との量の違い |
夜の音を記録して相談へ渡す方法|一晩のメモの項目
江東区の申請案内は、足音などの騒音被害だけの場合は、写真の代わりに被害状況の記載で申請できるとしています。音の相談では、文章で状況を残すこと自体が資料になります。最初の一晩で完璧な記録を目指さなくても、気づいた日から続けて残せば十分です。夜間の天井の音の記録の作り方に、一晩のメモの書き方をまとめています。
録音する場合も、天井裏へ入って録るのではなく、寝室や廊下など室内の安全な場所にスマートフォンを置く形にします。録音は、声か足音かを自分で判断するためではなく、調査する人が後で聞き直すための材料です。屋根裏や床下へ入って確かめようとはしないでください。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 役に立つ理由 |
|---|---|---|
| 日時と続いた時間 | 10月3日 23:40〜0:10、約30分 | 毎晩続くのか、時々なのかを、調査する人が判断しやすい |
| 音の種類 | 連続する足音、高い声、物を引きずる音、一度だけの音 | 声と足音を分けておくと、調べる場所を絞りやすい |
| 場所 | 寝室の天井の北側、廊下の上など | 音の位置が毎回同じか、動くかが分かる |
| 移動の向き | 北から南へ、台所の上で止まった | 侵入口や通り道を調べる手がかりになる |
| 音以外の変化 | におい、天井のシミ、ベランダのフン | 音と痕跡を結びつけて伝えられる |
音だけで自治体に相談できる?区市ごとの扱いの違い
音の被害を自治体がどう扱うかは、確認した範囲でも違いがあります。同じ東京都内でも、足音や鳴き声を被害として明記する区と、鳴き声が聞こえるだけでは対象外とする区があります。居住地の窓口の最新の案内を確認する前提で、次の表を見てください。
音の記録は、区の窓口に出す書類にも、調査を頼む業者に渡す資料にもなります。区の事業の対象外と言われても、被害が続くなら、建物の所有者・管理者とともに専門業者の現地調査を検討します。調査を頼む前の準備は現地調査を頼む前に伝えることにまとめています。
| 自治体 | 音の扱い(2026年10月時点の掲載) | その他の条件の例 |
|---|---|---|
| 江東区 | 居住用建築物の内部の足音と鳴き声による騒音を、生活環境被害の一つに挙げる。足音だけの申請は、被害状況の記載で写真を省略できる | 所有者等の申請。現地調査で侵入の痕跡を確認できなければ、捕獲器は設置せず終了 |
| 横浜市 | 「天井裏から毎晩のように動物が歩き回る音がする」を、相談の例に挙げる(住居内への侵入被害が対象) | 庭に現れるだけの場合は対象外。掲載時点で今年度分は予算上限により終了と記載 |
| 世田谷区 | 職員の聞き取りでハクビシン・アライグマと思われると確認できれば、目撃していなくても捕獲作業の対象 | 明らかに別の動物と思われる場合は対象外 |
| 文京区 | 庭や道路で見かける、鳴き声が聞こえる等は対象外 | 家屋に侵入され糞尿被害がある、または庭の果樹に被害があることが要件 |
音がしても自分で捕まえられない理由と、相談を考える目安
環境省は、鳥獣保護管理法では、鳥獣を狩猟以外の方法で捕獲・殺傷することが原則として禁止され、被害がある場合などに、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて認められると説明しています。ハクビシンも野生の哺乳類のため、天井裏にいても、許可なく箱わなを仕掛けて捕まえることはできません。出入り口を塞いで中に閉じ込める形になる作業も避けてください。
世田谷区のQ&Aも、自分で買って設置した罠にハクビシンがかかった場合、区の捕獲事業では引き取れないと案内しています。罰則や許可の手続きはハクビシン駆除の法律で、追い出しと封鎖の順番はハクビシンを屋根裏から追い出す方法で整理しています。
音の被害でまず取れる行動は、記録を作ること、天井裏や床下に入らないこと、動物に近づかないことです。体調に不安があるときは、診断を自己判断せず、医療機関や保健所に相談してください。






