床下のにおいを分ける|尿・腐敗・カビ・下水のにおいと、感じる場所の記録

環境省の悪臭防止法の資料は、特定悪臭物質のうち、アンモニアを「し尿のような臭い」、硫化水素を「腐った卵のような臭い」、メチルメルカプタンを「腐った玉ネギのような臭い」と説明しています。住宅の床下のにおいがどの物質に由来するかは、においだけでは決められません。ただ、感じたにおいを言葉で残すと、相談したときの手がかりになります。

においを感じた部屋と、床のどのあたりか、時間帯、雨の後や暑い日、換気扇を回したときに強くなるかを、日付つきで書き留めます。窓を開けた日と閉めた日の違いも書いておくと、調査担当者が原因を絞りやすくなります。強まる条件には公的資料の決まった答えはなく、観察の記録として残す項目です。

床下のにおいを分ける|尿・腐敗・カビ・下水のにおいと、感じる場所の記録:確認項目
におい言葉の例疑う原因の例一緒に見ること
尿のようなツンとしたにおいアンモニア臭、トイレのようなにおい動物の尿やためフン、浄化槽や排水まわり床下換気口の周りの足跡・毛・フン、野良猫やタヌキの出入り
腐った卵や玉ネギに近いにおい硫黄のようなにおい、腐敗臭汚水や腐敗物に由来するにおい(排水系、浄化槽、動物の死骸の可能性)排水口の封水、浄化槽の状態、強いにおいの出どころの位置
土や木が湿ったようなカビ臭カビ臭い、湿った土のにおい床下の湿気とカビ雨の後や梅雨に強まるか。水まわりの床下か
下水のようなにおいどぶ臭、排水口のにおい排水トラップの封水切れ、排水管の傷み長く使っていない排水口、台所・浴室・洗面所のトラップ

参考:環境省|悪臭に関する資料(悪臭防止法の解説・特定悪臭物質)

読者の疑問

床下からアンモニア臭がするのは、ネズミやネコのせいですか?

比較ガイド

動物の尿の可能性はありますが、排水や浄化槽、湿気が原因のこともあります。換気口の周りの足跡・毛・フンと、においが強まる条件を記録して、原因を絞ります。

アンモニア臭の原因候補|動物の尿、排水・浄化槽、湿気を比べる

原因の候補を比べる表を先に示します。「においと条件の目安」は観察の手がかりとしてまとめたもので、公的資料が断定している内容ではありません。公的資料で確認できた事実は、表のあとの小見出しにまとめています。

動物の尿・ためフンが疑われるとき

新潟市は、タヌキには決まった場所にフンをする「ためフン」の習性があり、住宅の床下などへ入り込んで定住してしまうケースもあると紹介しています。福井市の案内には、イタチは天井裏に入ることがあり、肛門付近の臭腺から、危険を感じると悪臭を放つこと、アナグマは床下に住み着くことがあり、床下の通風口をしっかり修理することが対策に挙げられています。イタチのにおいの出方はイタチのにおいはどこから?一時的な悪臭と残るフン尿を分けて確認するで整理しています。

ネコについて、環境省の住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドラインは、飼い主のいない動物への無責任なエサやりが、ふん尿による被害を増やす要因になると指摘し、置きエサはカラスや害虫の発生、悪臭の原因になると説明しています。床下の尿のにおいが続くときは、庭やベランダの置きエサ、ペットフードの置き方も見直します。

排水・浄化槽が疑われるとき

TOTOの浴室の取扱説明書は、排水経路のトラップにたまる水(封水)が下水管の臭気や虫の侵入を防いでおり、封水筒が外れていたり、長く使わず水が蒸発したりすると、下水管からにおいが上がると説明しています。環境省の浄化槽Q&Aは、使い方を誤ったり維持管理が不適切だったりすると悪臭が発生し、汚泥やスカムがたまりすぎても悪臭の原因になると説明しています。

アンモニア臭の原因候補|動物の尿、排水・浄化槽、湿気を比べる:確認項目
原因の候補においと条件の目安外から確認できること相談先の例
動物の尿・ためフン尿のようなツンとしたにおい。同じ場所で続く、暑い日に強まる換気口の周りの足跡、毛、フン、掘り返した跡害獣調査(現地調査)、賃貸なら管理会社
排水管の漏れ・排水トラップ下水のようなにおい。水を使った後に強まる排水口の封水、水まわりの床の湿り、水道メーターのパイロット(給水側)水道・設備業者、管理会社
浄化槽の不具合汚水のようなにおい。槽の周辺で強い槽の周りのにおい、マンホールやブロアの上に物が置かれていないか、清掃・点検の記録浄化槽保守点検業者、市町村の浄化槽担当課
カビ・湿気土やカビのにおい。雨の後や梅雨に強まる換気口がふさがれていないか、基礎の湿り、水まわりの床下工務店・床下の点検業者、管理会社

参考:新潟市|タヌキによる生活環境被害

床下換気口と基礎の周りで確かめる痕跡|足跡・毛・フン

建築基準法施行令第22条は、最下階の居室の床が木造の場合、外壁の床下部分に、壁の長さ5m以下ごとに面積300cm2以上の換気孔を設け、ねずみの侵入を防ぐための設備をすることを求めています(床下をコンクリートで覆う場合などは例外です)。つまり、床下換気口は、空気を通しながらネズミなどを入れない作りが基準になっています。その設備が壊れたり外れたりしていると、動物の入り口になります。

福井市は、アナグマが床下に住み着く対策として、床下の通風口をしっかり修理することを挙げています。外周を歩いて、次の項目を地上から見える範囲で確認します。見つけたものは触らずに、定規や硬貨を横に置いてスマートフォンで撮影すると、大きさが伝わります。

位置や記録の渡し方は床下周辺の物音や痕跡。潜る前に調査へ渡す位置と建物情報、換気口の破損は換気口の破損を見つけたら。空気の通り道を保つ侵入防止の相談が参考になります。

  • 換気口の金網や設備が、壊れたり、外れたり、ずれたりしていないか
  • 換気口の下や周りの地面に、足跡、掘り返した跡、毛が残っていないか
  • 基礎のひび割れや、配管が基礎を貫通する部分のすき間はないか
  • 換気口の近くに、フン・尿の跡、強いにおいがないか
  • 植木鉢や物置、荷物で換気口をふさいでいないか

参考:e-Gov法令検索|建築基準法施行令(第22条 居室の床の高さ及び防湿方法)

排水管の漏れ・浄化槽を疑うときの確認

排水系のにおいは、動物の尿のにおいと混同しやすいため、水まわりの確認を並行して行います。ここでは、床下に入らずにできる確認と、その限界を整理します。

給水管の漏れは、水道メーターのパイロットで見る

東京都水道局は、水を使っていない状態で水道メーターのパイロット部分を確認し、回転(点滅)していれば、メーターから蛇口までのどこかで漏水していると案内しています。この確認で分かるのは給水側の漏れで、汚水や雑排水の排水管、浄化槽の不具合までは分かりません。漏水箇所によって連絡先が異なり、東京都水道局の漏水修繕の依頼先の案内では、道路から水道メーターまでは一部を除き水道局が修理し、メーターから蛇口までは利用者が自分で水道工事店へ依頼するとされています。お住まいの地域の水道局の案内に従ってください。

排水口・トラップの封水を確認する

浴室の排水口では封水筒が外れていないか、長く使っていない台所・洗面所・浴室の排水口で水が減っていないかを確認します。TOTOの浴室の取扱説明書は、封水筒を正しく取り付け、排水トラップに水を流し込むよう案内しています。長く使わない排水口の確認順は長く使わない排水口のにおいと虫。封水切れを確かめる順番にまとめています。

浄化槽がある家では、点検と清掃の記録を見る

環境省の浄化槽Q&Aによると、浄化槽管理者は保守点検と清掃を法律で定められた回数で行い、その記録を3年間保存する必要があります。清掃は年1回以上(全ばっ気型は半年に1回以上)です。保守点検の依頼先は浄化槽保守点検業者で、連絡先は市町村・保健所の浄化槽担当課か浄化槽協会に聞けると案内されています。最後の点検・清掃の日付を調べ、業者に伝えます。

参考:東京都水道局|漏水は早期発見・早期修繕を!

床下に入らずに確認できる範囲と、入らない理由

床下の確認は、換気口の外観、基礎のひび、周囲の地面、室内の床でにおいが強い場所までにとどめます。点検口から床下に入ることは勧めません。厚生労働省の労働災害事例には、木造個人住宅のシロアリ駆除作業中に床下で感電し、亡くなった事例が掲載されています。床下は湿り気があり、配線や配管が通る暗く狭い場所です。タヌキやアナグマなどが居着いている可能性もあります。

床下の状態をカメラで調べる方法もあります。見える範囲と死角の読み方は壁や床下のカメラ調査で何が分かる?映像の範囲と死角の読み方で扱っています。

  • 室内で、においが強い部屋と床の位置、窓を開けた日との違いを記録する
  • 外周の換気口、基礎、配管の貫通部の外観を写真で記録する
  • 台所・浴室・洗面所・トイレの床の湿りと、床の沈みやきしみを確認する
  • 水道メーターのパイロットを、水を使っていない状態で見る
  • 浄化槽がある場合は、点検・清掃の記録を探す

参考:厚生労働省|職場のあんぜんサイト 労働災害事例(木造住宅の床下での感電、No.100814)

湿気やカビが疑われるときは、換気と水まわりから見直す

住宅金融支援機構の「マイホーム維持管理の目安(一戸建て・木造住宅)」は、土台や床組は地盤面に近く、腐朽やシロアリ等の被害を最も受けやすい部位であり、木部の乾燥を保つために床下の換気を良好にすることが大切だと説明しています。床下換気孔の周りに物を置いてふさがないこと、浴室や洗面所など水まわりの床下は湿りがちなので換気を心掛けることも注意事項です。

同じ資料は、土台・床組の点検項目として腐朽、さび、蟻害、床の沈み、きしみを挙げ、点検の目安を4〜5年ごととしています。カビのにおいが主なら、換気口のふさがり、水まわり付近の湿り、床の沈みやきしみを見ます。湿気と害虫対策の全体は床下の湿気と害虫対策。換気・漏水・地面の状態を分けて調べるに整理されています。湿気と動物の尿が重なっている場合もあるため、カビ臭と決めたあとも、外周の痕跡確認は続けます。

参考:住宅金融支援機構|マイホーム維持管理の目安【一戸建て(木造住宅)】(PDF)

相談先の分け方|水道・設備業者、害獣調査、管理会社

原因が一つとは限らないため、相談先は見つけた手がかりで分けます。下の表は、本文の確認結果をもとにした相談先の整理です。どの相談先でも、においの言葉、強まる条件、外周の写真の三つを渡すと、現地調査の判断が早くなります。

賃貸住宅や分譲マンションの1階では、床下は建物の一部のため、自分で業者を呼ぶ前に管理会社へ連絡します。連絡文の作り方は賃貸の害獣被害を管理会社へ報告。調査を頼みやすい連絡文の作り方にあります。動物の対応と清掃を終えたあとににおいが残る場合は、害獣駆除後もにおいが残る。追加の消臭を頼む前の確認順を確認してください。

相談先の分け方|水道・設備業者、害獣調査、管理会社:確認項目
見つかった手がかり最初の相談先伝えること
水を使っていないのに水道メーターのパイロットが回る、床や水まわりが濡れている水道局の案内に従い、水道工事店などの設備業者漏れを疑う場所、メーターの状態、水を使った時刻
浄化槽の周りが臭う浄化槽保守点検業者、市町村の浄化槽担当課最後の清掃・点検の日付、浄化槽の電源が切れていないか
換気口の周りに足跡・毛・フンがある、尿のにおいが続く害獣調査(現地調査)、市町村の鳥獣担当課写真、日時、においが強まる条件
賃貸住宅・分譲マンションの1階で、床下から臭う管理会社・管理組合(立入りや費用負担の確認)においの記録、場所、写真
雨の後や梅雨にカビ臭が強い、換気口がふさがれている工務店・床下の点検業者、管理会社換気口の状況、湿りやすい水まわりの位置