賃貸の害獣駆除は、業者より先に管理会社・貸主へ連絡する
賃貸の部屋で天井裏の音やフンに気づいたとき、すぐ自分で駆除業者へ頼んでよいのか迷います。国民生活センターは、害虫駆除サービスのトラブルについての注意喚起の中で、賃貸住宅ならば、事業者へ依頼する前に管理会社や大家等に相談するのも一法だと助言しています。あわせて、事業者に連絡する場合も、複数社から見積もりを取って比較・検討する前提で話を聞くことが大切だとしています。
管理会社へ先に連絡する理由は三つあります。建物に手を加える工事には貸主の承諾が関わること、管理側に指定業者や手配の窓口がある場合があること、費用を誰が負担するかを後で確認しやすくなることです。大阪市も、ネズミや衛生害虫の相談は各区の保健福祉センターで受け付けるものの、駆除は土地の所有者または管理者が自らの責任で行うもので、市では薬剤の配布や駆除は行わないと案内しています。この案内は賃貸に限った説明ではありませんが、建物の所有者や管理者を通して対応を進める考え方は、賃貸でも参考になります。
参考:国民生活センター|【広告の格安料金に要注意!】作業後に高額請求する害虫駆除トラブル(2025年3月4日)
大家さんに言わずに穴を塞いでよいですか?
外壁や設備に手を加える前に、管理会社・貸主へ相談してください。共用部分か専有部分か、許可が必要な工事かも確かめます。必要のない修繕や過度な修繕は、費用負担の問題になるおそれがあります。
賃貸のネズミ被害を管理会社へ伝える連絡文
連絡では、事実と希望を分けて書きます。「昨日から寝室の天井で夜に音がします。台所で粒状のものも見つかりました。写真を添付します。建物の調査を希望しています。手配する窓口と、こちらで行ってよいことを教えてください」のように、いつ・どこで・何を見たか、写真の有無、してほしいことを入れると、次の対応を相談しやすくなります。文面の作り方は、賃貸の害獣被害を管理会社へ報告する連絡文の作り方でさらに詳しく紹介しています。
ネズミの場合は、フンや食品の傷、壁際の黒い汚れ、夜の物音が連絡に使える情報です。神奈川県の案内によると、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミは鳥獣保護管理法が適用されません。ただし、わなや薬剤を置く場所、天井裏や外壁に手を入れるかどうかは、建物の管理に関わります。わなを置いたり薬剤を使ったりする前にも、管理会社へ相談します。薬剤を使う場合は、製品の表示に従います。
自治体の相談窓口を使える場合もあります。大阪市は、各区の保健福祉センター生活環境業務担当で、ネズミを捕まえる捕そかごを貸し出していると案内しています。賃貸住宅では、設置する場所や期間を管理会社に伝えてから使うと、行き違いを減らせます。
| 連絡文に入れる項目 | 書き方の例 | 入れる理由 |
|---|---|---|
| いつから・どこで | 昨日から、寝室の天井付近で夜に足音のような音がする | 調査する場所と時間帯の手がかりになる |
| 見たもの | 台所の床に粒状のフン、袋の端のかじり跡(触らずに撮影した) | 被害の種類と、広がりの目安を伝えられる |
| 写真・動画 | フンの位置が分かる全体写真、近くから撮った写真、音が出る時間帯のメモ | 口頭よりも状況が正確に伝わる |
| 希望 | 建物の調査を希望している。手配する窓口と、こちらでしてよいことを知りたい | 手配する人の確認につながる |
賃貸の害鳥駆除|ベランダのハトは捕まえず、管理会社と自治体へ
「害鳥駆除」と検索される被害の代表が、ベランダや室外機まわりに来るハトです。大阪市と大阪府は、ドバトを含む野鳥は許可なく捕獲できず、迷惑でも勝手に捕まえたり、卵やヒナを取ったりしてはいけないと案内しています。野鳥の捕獲や卵の採取は、捕獲場所の市町村長の許可が必要とされています。賃貸でも同じで、借主が自分で捕まえたり、巣を壊したりすることは避けます。
自治体が案内する自分でできる対策は、手すりにテグスを張ってとまれなくすること、ベランダをこまめに掃除して清潔に保つこと、エサを与えないことです。大阪府は、マンションや賃貸住宅で手すりに穴を開けたり釘を打ったりできない場合の方法として、割り箸3本程度を束ねた太さの木片を手すりにくくりつけ、手すりの上面から5〜6センチの位置にテグスを張る例も紹介しています。ただし、手すりやベランダに手を加える前に、契約や管理規約で認められているかを管理会社に確認します。防鳥ネットを付けたいときの承諾の取り方は、防鳥ネットを付けるときの管理者の承諾と確認点にあります。
巣材が運ばれている段階か、卵やヒナがいるかで、できることが変わります。大阪市と大阪府は、すでに巣作りをしていてヒナや卵がある場合は、巣立ってから巣材を取り除くよう案内しています。卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つとされています。卵やヒナのいる巣には触れず、管理会社と市町村の鳥獣担当へ状況を伝えます。卵やヒナがあるときの確認先は、巣に卵やヒナがあるとき、撤去を頼む前に管理者と自治体へ確認することにまとめています。
ベランダの使い方は、契約と管理規約で確かめる
国土交通省のマンション管理・再生ポータルサイトによると、区分所有者が排他的に使える権利である専用使用権は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、専用庭、屋上テラスなどに設定されることが想定されていますが、どの部分に設定されるかは個々のマンションで異なり、管理規約で確認する必要があります。賃貸のアパートやマンションでも、ベランダに置いてよい物や掃除の範囲は、契約書や管理規約で決まっていることがあります。
| ベランダの状況 | 自治体の案内にある考え方 | 賃貸での連絡先 |
|---|---|---|
| 手すりやひさしに群れでとまり、フンで汚れる | テグスを張ってとまれなくする。こまめに掃除し、エサを与えない | 手すりの加工は管理会社に確認する。掃除の範囲は管理規約で確かめる |
| 室外機の下や裏などに、巣材が置かれ始めた | 巣を作らせない工夫をする。卵やヒナがいない段階かを確認する | 管理会社に写真を送り、対応を相談する |
| 巣に卵やヒナがいる | 巣立ってから巣材を取り除く。許可のない捕獲や卵の採取は禁止されている | 触らずに、管理会社と市町村の鳥獣担当へ連絡する |
| 対策をしても被害が減らない | 有害鳥獣の捕獲許可について、自治体の窓口に相談する | 許可の申請は土地の所有者か管理者、または依頼を受けた業者が行うと大阪市が案内。管理会社と相談してから進める |
参考:大阪市|ドバトについて
修繕の連絡と、費用の判断は分けて考える
民法は、賃貸人(貸主)は賃貸物の使用と収益に必要な修繕をする義務を負い、ただし賃借人(借主)の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になったときはこの限りでないと定めています(第606条)。また、賃借物が修繕を要するときは、借主は遅滞なく貸主に通知しなければなりません(第615条)。壁や天井の傷み、侵入口のような修繕が必要な箇所を見つけたときは、この通知の考え方に沿って、記録が残る形で連絡します。
国土交通省の相談対応事例集は、借主は原則として修繕義務を負わず、貸主に通知する義務があると説明しています。貸主が相当の期間内に必要な修繕をしないときなどは、借主が自ら修繕できる場合があります(民法607条の2)。ただし、必要のない修繕や過度な修繕をすると費用負担の問題が生じ、貸主から損害賠償を請求される可能性もあるため、破損個所、状況、必要性、緊急性を貸主に通知して相談することが重要だとされています。
害獣被害の費用がどちらの負担になるかは、侵入原因、建物や設備の状態、契約内容などで変わり、確認した資料には一律の基準が書かれていませんでした。この記事だけで、貸主負担か借主負担かを断定することはできません。原因別の考え方は、賃貸の害獣駆除費用は誰が負担?大家と入居者の分かれ目で整理しています。
| 条文・資料 | 内容 | 連絡で使う場面 |
|---|---|---|
| 民法606条 | 貸主は使用・収益に必要な修繕をする義務を負う。借主の責めに帰すべき事由で必要になった場合は除く | 原因が建物のすき間や老朽化か、借主の使い方かで、考え方が分かれる |
| 民法615条 | 修繕を要するとき、借主は遅滞なく貸主に通知する。貸主がすでに知っているときは除く | 被害に気づいたら、早めに記録の残る形で連絡する |
| 民法607条の2 | 貸主が通知を受けて相当の期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときは、借主が修繕できる | 自分で手配する前に、貸主へ状況と必要性を伝えて相談する |
| 賃貸住宅標準契約書 第9条 | 借主は修繕を要する箇所を貸主に通知して協議する。借主の責めに帰すべき事由による修繕の費用は借主、その他は貸主が負担 | 実際の契約書の特約が違わないかを確認する |
業者の手配・入室・工事の承諾を、誰が決めるか整理する
室内だけと思っていても、外壁や共用部分の工事が必要になる場合があります。業者へ訪問を頼む前に、管理側の指定業者がいるか、見積書の宛名、立ち会い、写真の共有方法を確認します。階段や廊下などの共用部分で被害を見つけたときは、連絡の仕方が変わることがあります。場所を示す番号や写真を添える方法は、マンション共用部で被害を見つけたときの管理者への連絡にまとめています。
賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)では、貸主は、防火や建物の構造の保全などの管理上特に必要があるとき、あらかじめ借主の承諾を得て室内に立ち入ることができ、借主は正当な理由がある場合を除いて拒否できないとされています。火災の延焼防止などの緊急の必要がある場合は、承諾を得ずに立ち入ることもでき、借主の不在時に立ち入ったときは、立入り後に通知する決まりです。これは国土交通省が示すひな形であり、実際の契約書の定めを確認する必要があります。調査の日程や立ち会いの有無は、管理会社と事前に決めておきます。入室の範囲と当日の判断は、賃貸の訪問調査に立ち会うときの入室範囲と判断で整理しています。
| 確認すること | 聞き方 |
|---|---|
| 依頼する人 | 管理会社が手配しますか、借主が相談しますか |
| 入室・立ち会い | いつ、誰の立ち会いで調査しますか |
| 建物の工事 | 穴の封鎖や部材交換の承諾は、誰に取りますか |
| 費用 | 調査費・工事費は、いつ誰が判断しますか |
| 見積書の宛名 | 見積書は誰宛てで、誰が内容を確認しますか |
| 共用部分 | 外壁・屋根・ベランダなど、共用部分の作業は誰が決めますか |
自分で業者を呼ぶ前に確認する、費用と契約のリスク
国民生活センターは、賃貸アパートの寝室で害虫が出たため、明け方で大家には連絡せず、インターネットで探した「約500円〜」と書かれた業者に依頼したところ、高額な作業料金を請求された相談事例を紹介しています。害虫の事例ですが、広告の金額と、作業後の請求額がかけ離れる構図は、害獣駆除の相談事例にも見られます。
自分で先に手配した費用を後で貸主に請求できるかは、契約や緊急性などで変わり、必ず返してもらえるとは限りません。国土交通省の事例集も、必要のない修繕や過度な修繕をすると、費用負担の問題が生じ、損害賠償を請求される可能性もあると注意しています。費用が発生する手配の前に、管理側へ状況を伝え、返答を記録に残します。複数社から見積もりを取る前提で、契約書面に作業内容と金額が書かれているかを確認します。
訪問販売に当たる契約では、クーリング・オフ(契約の解除)ができる場合があります。提示された契約書に作業内容が「一式」としか書かれていない、クーリング・オフの記載がないといったときは、支払う前に消費者ホットライン188へ相談してください。
返事がないとき、話が進まないときの記録と相談先
連絡した日時と方法を残し、困りごとの変化を添えて、再度連絡します。メールやメッセージなら送信した画面を保存し、電話なら日時と話した相手を控えます。音が出る時間帯やフンが増えたかなどの変化は、日付つきの写真やメモで残します。緊急連絡先が契約書などにある場合は、確認してください。
国土交通省の相談対応事例集は、賃貸住宅のトラブルで当事者間の交渉による解決が難しいとき、まず消費生活センターや地方公共団体の相談窓口へ相談することが考えられるとしています。そのうえで、裁判外紛争解決手続(ADR)や裁判など、各種の専門機関に相談する方法もあります。消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。
ネズミや衛生害虫については、大阪市のように、各区の保健福祉センターで防除方法の相談を受け付けている自治体もあります。害鳥は、市町村の鳥獣担当が窓口になることがあります。お住まいの自治体の案内を確認してください。





