タヌキ・アナグマは許可なく捕獲できない|鳥獣保護管理法の位置づけ

鳥獣保護管理法は、鳥獣と鳥類の卵を、狩猟や許可を受けた場合などを除いて、捕獲等(捕獲又は殺傷)してはならないと定めています。環境省は、生態系や農林水産業に被害等が生じている場合には、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて捕獲できると案内し、許可の権限は、多くの都道府県で一部が市町村長に移されていると説明しています。タヌキとアナグマの被害対応は、この許可を受けて行う捕獲の側に当たります。

環境省の狩猟鳥獣の一覧(獣類20種類)には、タヌキとアナグマの両方が入っています。ただし、狩猟は、狩猟免許を取り、都道府県に狩猟者登録をして、定められた期間・区域・猟法で行う制度で、家の床下の被害対応とは別の制度です。条文では、許可を受けない捕獲等や、狩猟期間外・区域外の狩猟鳥獣の捕獲に、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金が定められています。

狩猟と許可捕獲は別の制度

環境省は、狩猟と許可捕獲の違いを表で示しています。今回読んだ自治体のうち、福井市、北九州市、仙台市、山形市は、被害への対応として許可を受けた捕獲の手続きを案内しており、窓口の名称は自治体ごとに違います。

  • 狩猟:狩猟期間に、法定猟法で狩猟鳥獣を捕獲する。狩猟免許と、毎年度の狩猟者登録が必要
  • 許可捕獲:被害防止などの目的で、許可を受けて行う。申請先は都道府県知事等で、許可された期間・区域・方法に限られる

アライグマとは別の制度

アライグマ、ヌートリア、クリハラリスは、環境省が特定外来生物に指定しており、外来生物法で、飼養(運搬を含む)や放出などが原則として禁止されています。環境省の特定外来生物の一覧(哺乳類25種類)に、タヌキとアナグマは入っていません。在来種には、外来生物法ではなく鳥獣保護管理法が関わります。アライグマの場合はアライグマ駆除の法律と許可に整理があります。

タヌキ・アナグマは許可なく捕獲できない|鳥獣保護管理法の位置づけ:確認項目
項目タヌキ・アナグマアライグマ(参考)
在来か外来か日本に昔からいる在来の野生鳥獣外来種
環境省の特定外来生物の一覧載っていない載っている
狩猟鳥獣の一覧(獣類20種類)タヌキ・アナグマとも載っている載っている
生きたままの運搬や放出外来生物法の規制の対象ではない。捕獲した個体の扱いは、許可の条件に従う外来生物法で、運搬・放出などが原則禁止
被害のときの捕獲の根拠鳥獣保護管理法の許可(市区町村へ移されている場合あり)京都市のように、自治体が外来生物法に基づいて捕獲する例がある

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

タヌキを自分で捕まえてもよいですか。

比較ガイド

許可なく捕獲することはできません。被害があるときは、自治体に捕獲の許可を申請する手続きがあり、狩猟免許が必要になる場合もあります。まず侵入口の封鎖や誘引物の片づけを進め、捕獲を考えるときは鳥獣担当課に相談してください。

業者に頼める作業と頼めない作業|床下・物置の相談で考える

今回読んだ自治体の案内は、タヌキなどが床下や天井裏に入ったときに、追い払いや誘引物の片づけ、侵入口の封鎖を先に挙げ、それでも被害が止まらない場合の選択肢として、許可を受けた捕獲や業者への依頼を挙げています。北九州市は、タヌキ(又はアナグマ、アライグマなど)が床下や天井裏に棲み着いた場合に、追い出しと侵入口の閉鎖を案内し、効果がなければ、駆除処理業者に依頼するか、市の許可を得て自分で捕獲できると書いています。

業者に頼む作業は、侵入口の調査と封鎖、清掃・消毒のように許可が関わらない作業と、捕獲のように許可が関わる作業に分けて考えます。鈴鹿市と京都市は、侵入口の封鎖や、糞尿の清掃・消毒が必要な場合の作業を、専門業者や工務店などに相談するよう案内しています。

「駆除」と頼むと、どの作業が含まれるか

「駆除」という言葉は、捕獲、追い出し、封鎖、清掃を一まとめにして使われることがあります。見積書では、捕獲を伴うのか、追い出しだけなのか、封鎖だけなのかを分けてもらい、捕獲を伴う場合は、許可の取得者と手続きの行を確認します。「一式」の見積書の分け方が参考になります。

業者に頼める作業と頼めない作業|床下・物置の相談で考える:確認項目
作業業者に頼めるか根拠・確認点
現地調査(侵入口・痕跡の確認)頼める床下の通風口、軒、基礎周りなどを、写真つきで見てもらう。見積書に調べた範囲を書いてもらう
侵入口の封鎖・補修頼める(害獣防除の会社、工務店、リフォーム会社など)京都市は業者を案内。農林水産省の資料は、侵入場所が分かったら塞ぐが、中に動物がいないことの確認を忘れないよう注意
清掃・消毒・消臭頼める鈴鹿市は、侵入口を塞ぐ場合に、清掃・消毒が必要になることがあると案内
追い払い(忌避)製品の表示どおりに使う前提で相談できる新潟市と北九州市は、まず追い出しを案内。薬剤は製品表示に従い、混合や希釈をしない
捕獲(箱わななど)許可が前提。許可の取り方は自治体で違う山形市は、業者が市に捕獲の許可を申請する形の補助事業。仙台市は、依頼を受けて捕獲する場合に依頼届を求める
毒餌・毒薬の使用頼めない環境省は、劇薬・毒薬を使用する猟法を、危険猟法として禁止している
許可のない捕獲・殺傷頼めない鳥獣保護管理法の罰則の対象

参考:北九州市|よくある相談と対策【タヌキなど】(2024年9月25日更新)

自治体の鳥獣担当課へ先に相談すること|窓口・許可・補助

今回読んだ自治体のページで、タヌキの相談先として保健所を挙げているものは確認できませんでした。新潟市は区役所の区民生活課(中央区は窓口サービス課)、福井市は有害鳥獣対策室、北九州市は鳥獣被害対策課、仙台市は区役所・総合支所の野生鳥獣担当窓口、鈴鹿市は農林水産課が案内先です。窓口の名前は自治体ごとに違うため、市区町村名と「有害鳥獣」「鳥獣被害」で探します。

窓口へ伝えるときは、被害の場所、見つけた時期、写真があるとやり取りが早く進みます。害獣の現地調査を頼む前に伝えることに、資料のまとめ方があります。補助は自治体ごとに有無と条件が違い、山形市は、交付決定の前に実施した作業を補助の対象外としています。業者に依頼する前に、補助の有無と申請の順番を確認します。

自治体に電話で聞くこと

許可と費用の話は、自治体ごとに違います。次の6点を聞いておくと、業者の見積もりを読みやすくなります。

  • タヌキ(アナグマ)の被害で、捕獲の許可を受けられるか。市区町村が受け付けるのか、都道府県の許可なのか
  • 許可を受けるのは自分か、依頼する業者か。依頼を受けて捕獲する場合の届出は必要か
  • 狩猟免許が必要か。必要でない場合の条件(敷地内など)はあるか
  • 箱わなの貸出や購入の補助、業者に頼む費用の補助はあるか
  • 自治体が特定の業者を紹介するのか、協会などの窓口を案内するのか
  • 捕獲した個体の扱い(引き取りなど)は、どうなるか
自治体の鳥獣担当課へ先に相談すること|窓口・許可・補助:確認項目
自治体案内の要点(2026年10月3日に読んだ内容)相談先
新潟市無許可の捕獲は違法。床下に居座られたら、追い払いのあと侵入口を塞ぐ。自己防除で解決しないときは、業務協定を結ぶ県のペストコントロール協会を紹介(電話相談は無料、現地調査を要する見積もりから経費が発生)最寄りの区役所の区民生活課(中央区は窓口サービス課)
福井市市は捕獲を行わず、捕獲檻の貸出もない。追い払いが難しいときは捕獲許可を受けられる。自分での対応が難しければ駆除業者の依頼を検討有害鳥獣対策室
北九州市先に追い出しと侵入口の閉鎖。効果がなければ、駆除処理業者に依頼するか、許可を得て自分で捕獲。市は特定の業者を紹介できず、協会を案内鳥獣被害対策課
仙台市市が許可を受け付ける14種にタヌキが含まれ、アナグマは一覧になく、一覧にない鳥獣は宮城県知事の許可と案内。依頼を受けて捕獲する場合は依頼届区役所・総合支所の野生鳥獣担当窓口
京都市行政機関による捕獲・駆除は行わない。追い出しと侵入口の封鎖を自分で行い、難しければ業者や工務店へ(費用は自己負担)Q&A集の連絡先一覧に従う
鈴鹿市侵入口を塞ぐと、糞尿の清掃・消毒が必要になる場合がある。専門業者への相談を案内農林水産課
山形市タヌキ・ハクビシンの箱わなによる捕獲を有害鳥獣駆除業者に頼む費用の2分の1(上限1万5千円)を補助。業者が市に許可を申請。令和8年度分は受付終了鳥獣被害対策課

参考:仙台市|鳥獣捕獲等許可の申請について

対応を公式に明記している業者の確かめ方

タヌキ・アナグマを頼めるかどうかは、会社ごとに違います。公式ページを2026年10月3日に読んだ3社(害獣駆除110番、ダスキン、ハウスプロテクト)では、サービス一覧や料金表にタヌキ・アナグマの項目がある例は確認できませんでした。害獣駆除110番はトップページの見出しにタヌキの名前を含みますが、サービス内容と料金のページの項目は、ネズミ、イタチ、ハクビシン、アライグマ、モグラ、害鳥、コウモリです。ダスキンの一覧で獣はネズミだけ、ハウスプロテクトの見出しはネズミ・イタチ・ハクビシンです。

一社の公式ページに書かれていないことは、対応しないという意味ではありません。逆に、他のサイトの記事に動物名があっても、会社自身のページで確認できるとは限りません。会社の対応を確かめる材料は、会社の公式ページ、環境省の認定鳥獣捕獲等事業者の一覧、電話での質問の3つです。

環境省の認定事業者の一覧を使うときの注意

認定鳥獣捕獲等事業者は、法人が都道府県知事の認定を受けることができる制度で、環境省のQ&Aは、主に指定管理鳥獣捕獲等事業などの公的な捕獲事業の担い手を想定していると説明しています。認定を受けても許可が下りやすくなるわけではなく、認定の範囲で、個人ではなく法人として許可の申請ができる、という位置づけです。認定した都道府県でみると、タヌキを対象に挙げる事業者がある都道府県は15、アナグマは14です。一覧に載っていないことは、依頼先がないという意味ではなく、自治体の窓口に聞く材料になります。

電話で聞く3つの質問

公式ページで対応を確認できないときは、見積もりを頼む最初の電話で、次の3点を聞いておくと対応の範囲が見えてきます。

  • タヌキ(アナグマ)の相談を受けたことがあるか。調査と封鎖だけの依頼もできるか
  • 捕獲が必要になったとき、許可は誰がどの窓口で受けるのか。わなの設置と回収は誰が行うのか
  • 見積書で、調査・追い出し・捕獲・封鎖・清掃・保証を別の行にしてもらえるか
対応を公式に明記している業者の確かめ方:確認項目
確かめ方見る場所読み方(2026年10月3日)
公式のサービス一覧・料金表動物名が項目として載っているか読んだ3社では、タヌキ・アナグマを項目にしている例を確認できず
環境省の認定鳥獣捕獲等事業者の一覧「捕獲方法及び対象とする鳥獣の種類」の欄令和8年8月31日現在の185事業者のうち、24事業者がタヌキ、20事業者がアナグマを対象に挙げる。認定は任意の制度
自治体への確認許可の窓口、協会や業者の案内北九州市は特定の業者を紹介できず、協会を案内。新潟市は協会を紹介
電話での質問会社の窓口タヌキ・アナグマの相談の経験、調査・封鎖だけの依頼の可否、許可の取得者を聞く

参考:環境省|認定鳥獣捕獲等事業者一覧

床下・物置の侵入防止で比べる項目

農林水産省の野生鳥獣被害防止マニュアル(中型獣類編、令和6年3月)は、中型獣の侵入は地上近くの床下と軒など上部が狙われ、床下は通風口からが最も多いと説明しています。侵入場所が分かったら塞ぐが、中に動物がいないことの確認を忘れないこと、塞ぐ資材は金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性があるので使わないこと、とも書かれています。見積書では、塞ぎ方の書かれ方を見比べます。

アナグマの穴と物置まわり

農林水産省の資料では、アナグマは林内の斜面に巣穴を作る傾向があり、都市化した地域の小規模な緑地や、人家に近い林縁にも繁殖用の巣穴を作る場合があるとされています。同じ資料は、直径5cm程度の小さな穴が点々とあるときは、アナグマが餌を探した痕跡の可能性があるとも説明しています。物置の下や庭の斜面の穴は、建物の床下だけでなく、敷地の境界や隣接する緑地も含めて見てもらうよう相談します。

床下・物置の侵入防止で比べる項目:確認項目
見る項目見積書・説明で確かめること根拠
侵入口の位置と数床下通風口、基礎のすき間、軒、増築の継ぎ目などを、写真と位置で示しているか農林水産省:床下は通風口からが最も多く、上部は軒の破損部分や瓦屋根の隙間など
中に動物がいないことの確認封鎖の前に、出入りがないことをどう確認するか農林水産省:塞ぐ前に中にいないことを確認する
材料金属や板など丈夫な資材か。樹脂ネットや薄い合板でないか農林水産省:樹脂ネットや薄い合板は壊される可能性がある
掘られる場所地面際や基礎の下を掘られても抜けられない固定になっているか農林水産省:掘る習性の種には、柵の裾を固定することが重要(畑の柵の説明を、建物まわりの確認項目に当てはめた)
通風口の扱い床下の通風口を塞ぐ場合、修理か封鎖か。換気を保つ方法があるか農林水産省:床下は通風口からの侵入が最も多い
清掃・消毒の範囲糞尿の堆積の清掃・消毒を含むか。別の行か鈴鹿市:清掃・消毒が必要になる場合がある

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

ためフンや穴の記録を相談資料にする

自治体にも業者にも、見つけたものを写真と位置で伝えられると、調査の範囲を決めやすくなります。農林水産省の資料は、ため糞が生活エリアの境界に作られ、掃除してもすぐ作られること、タヌキはイヌ科で足跡の指が4本であることを説明しています。種類を絞る手がかりになりますが、写真だけでは断定できないため、「可能性」として伝えます。見分け方はアナグマとタヌキの見分け方にあります。

ためフンや糞尿には、素手で触らないでください。農林水産省の資料は、野生動物は人獣共通感染症の病原体を保有している可能性があるため、手袋を着用し肌を出さない服装で、糞尿などに直接触れないことが重要だと説明しています。マダニが媒介する感染症にも注意が必要で、発熱などの初期症状が出たら医療機関を受診するよう勧めています。片づけの手順は害獣のフン処理と消毒にまとめています。

ためフンや穴の記録を相談資料にする:確認項目
見つけたもの記録のしかた手がかり(出典の説明)
ためフン場所の全景と近景を撮り、大きさが分かる物を横に置く。日付をメモ同じ場所に繰り返し作られる。生活エリアの境界に作られる(農林水産省)
足跡柔らかい地面や泥の上を、真上から撮るイヌ科は指が4本(農林水産省)
穴大きさ、位置(地面、基礎の際、物置の下)、周囲の掘り返しを撮る直径5cm程度の小さな穴が点々とあれば、アナグマの餌探しの可能性(農林水産省)
床下・基礎の出入り口通風口、基礎のすき間、軒の破損を、外側から撮る。中には入らない床下は通風口からの侵入が最も多い(農林水産省)
毛が抜けた個体触らず、離れた場所から日時と場所をメモ疥癬症の可能性。近づいたり触れたりしない(新潟市・福井市)

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

状況別に見る最初の連絡先

状況によって、最初の連絡先と次の一手が変わります。表は、今回読んだ自治体の案内を状況別に並べたものです。業者の見積もりを受け取る段階では、作業の行を分けてもらい、捕獲が含まれていれば許可の取得者を書面で確かめます。

状況別に見る最初の連絡先:確認項目
状況最初の連絡先次の一手
庭にためフンや穴があるが、建物には入られていない自治体の鳥獣担当課誘引物の片づけ、物理柵、記録。捕獲は許可が前提
床下や物置の下に居座っている自治体の鳥獣担当課と、封鎖を含む調査の見積もり侵入口の調査と封鎖。捕獲が必要なら許可の取得者を確認
家の周りに穴を掘られる(アナグマの可能性)自治体の鳥獣担当課(許可の窓口が市か県かを確認)穴と斜面の写真、敷地の境界の確認、封鎖と掘り返し対策の見積もり
毛が抜けて弱った個体が敷地内にいる自治体(新潟市は、敷地内で衰弱して動けないときに相談を案内)触らない、ペットを近づけない

参考:新潟市|タヌキによる生活環境被害