害鳥の種類|ハト・カラス・ムクドリなど、鳥ごとの被害の違い
「害鳥」は、被害を出す鳥を指す日常の言葉です。鳥獣保護管理法の条文を確認しても「害鳥」という区分は見当たらず、法律上は、ハトもカラスもツバメも、野生の鳥は同じ「鳥獣」として扱われます。迷惑かどうかではなく、どの鳥が、どこで、どんな被害を出しているかで、取れる対策と相談先が変わります。
住まいの周りで相談が多いのは、ハト、カラス、ムクドリです。千葉市は、相談の多い動物としてこの3種を取り上げ、被害を分けて案内しています。ハトはベランダへの飛来と巣、カラスはごみの食べ散らかしと繁殖期の威嚇、ムクドリは夕方のねぐらの騒音とフンです。スズメ、ツバメ、ヒヨドリは、巣の場所、フン、果樹や野菜の食害などで困りごとになります。
下の表は、公的な資料で確認できた範囲をまとめたものです。地域や建物によって、被害の出方や巣を作る時期は異なります。鳥の種類が分からないときは、写真と時間帯を記録しておくと、相談のときに状況を伝えやすくなります。
| 鳥の種類 | 主な困りごと(公的資料で確認した範囲) | 巣・繁殖の目安 | 狩猟鳥獣の指定(環境省の46種) |
|---|---|---|---|
| ハト(ドバト) | 手すりやひさしに群れで来てフンで汚れる。巣にダニや羽虫が出ることがある(大阪府) | 早春から初冬まで何度も子育てする。卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つ(大阪府) | ドバトは含まれない。キジバトは含まれる |
| カラス | ごみを食べ散らかす。巣の近くで人を威嚇・攻撃することがある(大阪府) | 4〜7月に街路樹や鉄塔などに巣を作る(千葉市) | ハシブトガラス・ハシボソガラスは含まれる |
| ムクドリ | 夕方に駅前や街路樹へ数百〜数万羽が集まる。騒音、フン、悪臭(千葉市) | 繁殖期は3月下旬〜7月。繁殖期以外は集団ねぐらを作る(千葉市) | 含まれる |
| スズメ | 稲を食べる害鳥とされる一方、育雛期は毛虫を食べる益鳥でもある(三鷹市) | 人家の瓦のすき間や木の洞などに巣を作る(三鷹市) | 含まれる |
| ツバメ | 軒先の巣からフンが落ちる。落ちるのは子育て期間の2週間程度(日本野鳥の会) | ヒナは約2週間で巣立つ(大阪府) | 含まれない |
| ヒヨドリ | 主な被害は果樹と野菜の食害(農林水産省) | 繁殖期は5〜9月。庭木の枝に巣を作る(農林水産省) | 含まれる |
害鳥とは、どの鳥のことですか。
法律上の「害鳥」という区分はありません。ハト、カラス、ムクドリ、スズメ、ツバメ、ヒヨドリなど、被害を出す野鳥が一般にそう呼ばれます。どれも野生の鳥獣で、捕獲や卵の採取は原則として許可が必要です。
害鳥の捕獲と法律|許可が必要な行為と、許可なくできる行為
環境省は、鳥獣と鳥類の卵について、狩猟として捕獲する場合を除き、捕獲・殺傷・採取を原則として禁止していると説明しています。被害が生じている場合などは、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて行えます。多くの都道府県では許可の権限の一部を市町村長に移しているため、申請先は地域で異なります。
「カラスやムクドリは狩猟鳥獣だから、自分で捕ってよい」とはなりません。環境省の説明では、狩猟には狩猟免許、都道府県への狩猟者登録、法定の猟法、区域と期間の制限が必要で、猟期は北海道以外で原則11月15日から翌年2月15日です。自宅の被害対策として、個人が自由に鳥を捕まえられる制度ではありません。ドバトやツバメは46種に含まれません。
爆発物や毒薬を使う方法は、条文(第36条)で「危険猟法」として原則禁止されています。この記事では、罠や毒薬の使い方は扱いません。
罰則は第83条にあります。許可なく狩猟鳥獣以外の鳥獣(ドバト、ツバメなど)を捕獲したり、鳥類の卵を採取したりした場合は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。狩猟期間外などでの狩猟鳥獣の捕獲も同じ範囲です。団体の案内には古い表記が残っている場合もありますが、現在の条文は「拘禁刑」です。
| 行為 | 許可なくできるか | 確認した根拠・補足 |
|---|---|---|
| 追い払い、手すりへのテグス張り、巣を作りそうな場所の整理など、捕獲を伴わない対策 | できる | 大阪府はテグス法などを案内。千葉市は、傷つけないように追い払うよう案内 |
| 卵やヒナのいない空の巣の撤去 | できる | 大阪府は、卵やヒナがいなければ撤去できると案内 |
| 卵やヒナのいる巣の撤去(動かす・捨てる) | 許可が必要。待てるなら巣立ち後 | 大阪府は、許可がなければ法に触れるおそれがあるとして、巣立ち後の撤去を案内 |
| 卵の採取・割る・捨てる | 許可が必要 | 条文は卵の採取・損傷を禁止(第8条)。大阪府もドバトの卵を取り捨てないよう案内 |
| 鳥の捕獲(手づかみ・網・箱罠・かご罠など) | 許可が必要(狩猟として行う場合を除く) | 環境省は、被害がある場合などに許可を受けて捕獲できると説明 |
| 毒薬・爆発物を使った駆除 | 原則禁止(危険猟法) | 条文第36条。例外は環境大臣の許可などに限られる |
害鳥の巣の撤去|卵やヒナのいない空の巣だけ撤去できる
巣を見つけたら、作業の前に、巣の中を確認します。大阪府は、卵やヒナがいない巣は撤去できる一方、卵やヒナがいる巣は撤去できないと案内しています。撤去で卵やヒナを傷つけたり死なせたりすることが明らかな場合は、許可がなければ法に触れるおそれがあるため、巣立ちまで見守り、巣立ち後に撤去します。巣の中の確認や、管理者・自治体への連絡の順番は、卵やヒナのいる巣の扱いで詳しく整理しています。
ハト|卵がかえるまでと巣立ちまでの日数
大阪府は、ハトの卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つと案内しています。巣作りの初期なら取り除けますが、ヒナや卵があるときは、巣立ってから巣材を取り除きます。ハトは何度も子育てをするため、空の巣を片付けたあとも、巣を作らせない対策を続けます。
ツバメ・スズメ・カラス|巣の扱いと見守り方
日本野鳥の会は、都道府県知事の許可がなければ、ツバメの卵やヒナのいる巣を壊すことは違法になると案内しています。フンが落ちるのは子育て期間の2週間程度で、巣の下にフン受けを置く方法も紹介されています。スズメが屋根のすき間に作った巣も、卵やヒナの有無を先に確認します。カラスの巣は、繁殖期に近づかず、巣のある場所の管理者へ相談します。
害鳥駆除を自分でする方法|清掃・テグス・ごみの出し方でできること
自分でできる対策の中心は、鳥を捕まえることではなく、鳥が安心して来られない状態を作ることです。大阪府は、ハトが手すりにいったんとまって安全を確かめてから降りる性質に合わせ、手すりの上にテグスやワイヤを張る方法を案内しています。千葉市は、ハトはフンがあると安心してしまうため、フンをすぐに掃除し、見かけたら傷つけないように追い払うよう案内しています。
ハトの対策|テグスとフンの掃除、巣を作らせない
大阪府の案内では、釣り用のテグス(3号から8号)などを、手すりの上面から5〜6cmの位置に、たるまないように張ります。千葉市は、人にうつる病気を持っていることもあるため、直接ハトやフンに触れないよう案内しています。
- 手すりの上にテグスやワイヤを張り、とまれないようにする
- フンはこまめに掃除し、素手で触れない
- 室外機の下や裏、ベランダの隅など巣を作りそうな場所を片付け、巣作りの初期なら取り除く
- 餌やりをしない。置き餌やこぼれ餌を見直す
カラスの対策|ごみの出し方と、巣の近くでの身の守り方
大阪府は、カラスは主に視覚で餌を探すため、生ごみを新聞紙で包むなど外から見えないようにし、ネットや蓋のある容器で覆うよう案内しています。ネットの端に錘を付けると、めくられにくくなります。巣のある木には近づかず、通るときは帽子や傘で頭を守ります。棒などで追い払うと、攻撃性が増すことがあるとされています。捕獲しても、食べ物が多ければ他から流れ込むため、減らすのは難しいと説明されています。
ムクドリの対策|夕方のねぐらは清掃と管理者への連絡が中心
千葉市は、ムクドリは昆虫や木の実を主に食べ、残飯をあさることが少ないため、生ごみの管理だけでは遠ざけられないと説明しています。木の剪定やネットでの被覆、嫌がる音声の放送は、近くへ分散したり、慣れて効果が薄れたりすることがあります。全国的にも抜本的な解決策が見つかっておらず、千葉市では汚れた場所の清掃が現状の対応です。公共施設や街路樹のねぐらは、施設の管理者へ連絡します。
自分でできる範囲の限界|高所・広範囲・巣がある場合
ここまでの対策には限界があります。高い場所や広い範囲、すでに巣がある場所、ムクドリのような規模の大きいねぐらは、個人の作業では届きにくくなります。手すりや壁にネットや金具を付けるときは、マンションでは管理者の承諾が前提です。
害鳥駆除を業者に頼む作業|依頼できる内容と、頼めないこと
業者に頼む作業は、フンの清掃・除菌、防鳥ネットや防鳥ピンの設置、高い場所での作業に分かれます。プログラントは、ハト・害鳥の主な施工として、フン清掃、防鳥ネット、防鳥ピン、侵入防止対策を挙げています。ダスキンのハト飛来防止サービスは、ベランダ用のバードネットで鳥が入る空間をふさぐ方法で、取付具を接着剤で付けるため穴を開けないと説明しています。
頼めない、または条件が付く作業もあります。ダスキンは、巣に卵やヒナがいる場合は対応できないことがあり、ベランダの形状によっては施工できない場合があると記載しています。巣がある場合は、業者を呼ぶ前に、巣の中の状態の確認と、管理者への連絡を済ませます。
捕獲が必要になる場合は、申請の窓口や手順が自治体ごとに異なります。千葉市は、県の自然保護課に相談して許可を得るか、専門の駆除業者に依頼するよう案内しています。業者から「許可を取れます」と説明されたときは、誰の名義で申請するのか、許可の内容を書面で見せてもらえるのかを、契約の前に確認します。
害鳥駆除の見積りと費用|確認する項目と、公式の料金表示の読み方
この記事では、独自の相場は示しません。害鳥駆除の料金は、被害の場所、高さ、ネットを張る面積、フンの量などで変わり、公式ページの料金表示も、1回あたり、面積あたり、初期対応など、単位が事業者ごとに違うためです。ハトの料金の見方は、鳩駆除の費用が決まる条件でも詳しく扱っています。
例として、2026年10月7日に確認した公式ページの表示を挙げます。ダスキンは、ハト飛来防止サービスを「1回あたり63,800円(税抜58,000円)以上」とし、ネット費用(20m²まで23,100円)、施工費用(5m²まで13,200円、追加は1m²あたり2,640円)、簡易清掃・除菌費用に分けて表示しています。プログラントは、ハト・害鳥の初期対応料金を「16,500円~」とし、フン害の確認と防鳥対策の確認を内容に挙げています。金額は税込の表示で、含まれる作業が違うため、並べても比べられません。
掲載時点の表示であり、実際の見積りとは異なることがあります。見積書では、次の項目を分けて書いてもらい、複数社で見比べます。
| 見積書の項目 | 確認すること | 公式ページで確認できた例 |
|---|---|---|
| ネット・ピンなどの資材 | 資材の種類、数量、面積(m²)の単位 | ダスキンは、ネット費用を20m²単位で表示 |
| 施工費 | 1回あたりか、面積あたりか。最低額に含まれる範囲 | ダスキンは、5m²までの金額と、1m²追加ごとの金額を表示 |
| 清掃・除菌 | 汚れ度合いや床面積で金額が変わるか。含まれるか別料金か | ダスキンは、汚れ度合いと床面積で別料金を表示 |
| 高所作業・足場 | 高い場所の作業が別料金か | プログラントは、高所作業を料金が変わる要因に挙げている |
| 巣の撤去・処分 | 卵やヒナのある巣を扱えるか。扱えないときの日程 | ダスキンは、卵やヒナがいる場合は対応できないことがあると記載 |
| 追加費用の条件 | 土日・夜間、駐車料金など、当日に追加が出る条件 | ダスキンは、土日・祝日・夜間の追加費用や駐車料金の負担がありうると記載 |
賃貸・マンションの害鳥駆除|ベランダと共用部の連絡先と費用負担
分譲マンションのベランダは、自分の部屋の延長に見えても、標準管理規約の考え方では、共用部分のうち特定の区分所有者だけが使える「専用使用権」のある部分です。国土交通省のQ&Aは、専用使用権を設定する部分はマンションごとに違うため、管理規約を確認するよう案内しています。ネットや金具を付ける前に、管理規約と管理会社へ確認します。
標準管理規約(令和7年改正・単棟型)は、共用部分の管理を管理組合の責任と負担で行うと定める一方、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは、専用使用権を持つ人が行うとし、解説は例としてバルコニーの清掃を挙げています。ハトのフンの掃除が「通常の使用に伴う」作業にあたるかは管理規約の読み方によりますが、バルコニーの清掃は使っている人の作業とされています。手すりや壁の補修、共用部分に及ぶ防鳥工事の費用は、管理規約と管理組合の判断を確認します。
分譲マンション|管理会社か管理組合へ先に連絡する
連絡先は、管理会社の窓口か、管理組合の理事長です。鳥が来る場所、頻度、写真、希望する対応を伝え、ネットやピンを付けたいときは、承諾を先に求めます。連絡文の例や、隣室・空室が原因のときの考え方は、鳩被害をマンション管理会社に相談する手順にまとめています。
賃貸住宅|貸主か管理会社へ連絡し、自己判断で業者を呼ばない
国土交通省の民間賃貸住宅の相談対応事例集は、賃貸物の使用に必要な修繕は原則として貸主が義務を負い、借主に故意・過失があるときは借主が負うこともあると説明しています。室内の軽微な修繕でも、借主は原則として貸主へ通知する義務があるとされ、契約内容によって例外があります。修繕についての考え方ですが、鳥の被害でも、まず貸主か管理会社へ状況を伝え、ネットの取り付けや業者の手配は、費用の負担を確認してから進めます。
| 場所 | 最初に連絡する先 | 確認すること |
|---|---|---|
| 分譲マンションのベランダ・共用廊下 | 管理会社の窓口、または管理組合の理事長 | 管理規約で専用使用権の範囲を確認する。ネットや金具の取り付けは、承諾を得てから |
| 賃貸住宅のベランダ・共用部 | 貸主または管理会社 | 賃貸借契約書の特約を確認する。業者を手配する前に、作業の可否と費用の負担を確認する |
| 戸建て・自己所有の店舗 | 所有者本人。捕獲や巣の扱いは市区町村・都道府県 | 卵やヒナのいる巣は撤去しない。捕獲許可の窓口は地域で異なる |
| 公共施設・街路樹・公園 | その場所の施設管理者(千葉市の例) | 自治体によって窓口が違う。千葉市は、民有地の相談先に環境保全課を案内している |
害鳥駆除の相談先と契約前の注意|次に読む種類別の記事
相談先は、困りごとで選びます。巣や捕獲の許可は市区町村または都道府県の鳥獣担当、公共の場所に鳥が集まっているときはその場所の管理者、業者の見積りや契約に不安があるときは消費生活センターです。国民生活センターは、害虫・害獣駆除の相談が増加傾向で、2023年度は2022年度同期と比べて約1.5倍になったと公表しています。
同じ公表では、ネットの格安料金と、実際に提示された金額がかけ離れる事例が多いとされ、極端に安い価格の表示に注意すること、複数の見積りを比べる時間を与えない事業者とは契約しないことが助言されています。おかしいと思ったときの全国共通の相談先は、消費者ホットライン188です。
種類別の相談記事です。鳥の種類や被害の場所に合うものから読むと、地域の相談先や業者を比べる前に、何を記録しておくかが分かります。
- ハトがベランダに来るときの利用状況と巣の確認|手すりや室外機まわりのフンと巣を記録し、管理者へ相談する方法
- カラスの被害を相談するときの分け方|ごみ荒らし、威嚇、集まる場所のどれかで、相談先が変わります
- ムクドリが夕方に集まるときの記録と相談方法|ねぐらの場所と時間帯を記録して、管理者へ伝えます





