鳩の駆除に関わる法律は鳥獣保護管理法(ドバトとキジバトの扱いの違い)

鳩の駆除に関わる法律は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)です。条文(第8条)は、鳥獣と鳥類の卵について、捕獲、殺傷、採取、損傷をしてはならないと定めています。例外は、都道府県知事などの許可を受けて行う場合(第9条)や、狩猟として狩猟鳥獣を捕獲する場合などです。「駆除」と呼んでいても、ハトの捕獲や卵の処分は、原則として許可が必要な行為です。

対象になるのは野生の鳥です(第2条は鳥獣を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定義)。街で見かけるハトにも庭木にとまるハトにも、同じ法律が関わりますが、種類によって狩猟の扱いが違います。

ドバト(カワラバト):狩猟鳥獣ではなく、被害防止は許可捕獲

街で群れているハトの多くはドバトで、人に飼われていたハトが野生化したものです(大阪府の案内)。環境省が示す狩猟鳥獣46種の一覧に、ドバト(カワラバト)は入っていません。狩猟としては捕獲できず、被害防止のための捕獲は許可を受けて行います。名古屋市、大阪市、熊本市は、市が捕獲を許可できる鳥獣にドバトを含めています。

キジバト:狩猟鳥獣でも、住宅の被害対策は別の手続き

キジバトは狩猟鳥獣46種に入っています。ただし狩猟には、狩猟免許、都道府県への狩猟者登録、法定猟法、定められた期間と区域といった条件があります。庭やベランダのキジバトを自分の判断で捕まえてよいという意味ではありません。名古屋市、大阪市、熊本市は、被害防止で捕獲を許可できる鳥獣にキジバトも含めています。見分け方は、ベランダのハトはドバトかキジバトかで確認できます。

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

読者の疑問

鳩の駆除に資格は必要ですか?

比較ガイド

確認した自治体のページには、ハト駆除のための特定の民間資格を求める記載はなく、求められていたのは捕獲許可の申請と許可証でした。狩猟免許は狩猟のための免許で、許可捕獲とは別です。業者に頼むときは、許可の申請者と許可証の有無を確認します。

違法になる行為・ならない行為の一覧表(追い払い・巣・卵・捕獲・毒餌)

線引きの基本は、ハトを捕獲・殺傷するか、卵を採取・損傷するかです。熊本市は、捕獲せずに追い払いで対処する場合は許可は不要と案内しています。反対に、捕まえる、卵を取る、卵やヒナのいる巣を撤去するといった行為は、許可が必要な行為です。次の表は、自治体の公式案内と条文をもとに、行為ごとにまとめたものです(2026年10月3日確認)。

自治体の案内には細かな違いがあるため、作業の前にお住まいの市区町村の案内で確認してください。捕獲を伴わない防鳥ネットの注意点は、ベランダの防鳥ネットで確認することにあります。

違法になる行為・ならない行為の一覧表(追い払い・巣・卵・捕獲・毒餌):確認項目
行為許可なくできるか確認した根拠・補足
追い払い・寄せ付けない工夫(手すりのテグス、巣を作りそうな場所の整理など)できる。捕獲を伴わない熊本市は、捕獲せず追い払いで対処するなら許可は不要と案内。大阪府はテグスの張り方を案内
卵やヒナのいない空の巣の片付けできる熊本市は、ヒナや卵がなければ自分で許可なしに撤去できると案内。撤去後は再び巣を作られない工夫が必要
卵やヒナのいる巣の撤去(移動・廃棄を含む)許可が必要。待てるなら巣立ち後熊本市は、巣立ちを終えてから撤去し、やむを得ない場合は捕獲許可申請をするとしている。大阪府は卵は16〜18日でかえり、ヒナは約30日で巣立つと案内
卵の採取・割る・捨てる許可が必要条文は、鳥類の卵の採取又は損傷を禁止(第8条)。大阪府は、ドバトの卵を取り捨ててはいけないと案内
ハトの捕獲(手づかみ・網・箱罠・かご罠など)許可が必要環境省は、狩猟による場合を除いて鳥獣の捕獲は原則禁止で、被害が生じている場合などに許可を受けて行えると説明
自作の罠での捕獲許可がなければ違法ドバトは狩猟鳥獣ではないため、罠の種類にかかわらず、許可なく捕獲すれば第8条違反。許可を得ても、方法は申請と許可の内容に従う(第9条の条件)
毒餌・毒薬・薬剤による駆除禁止(危険猟法)条文は、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法による鳥獣の捕獲等を禁止(第36条)。違反は罰則の対象(第83条)
飼うために捕まえる・持ち帰る許可なくできない大阪市は、野生鳥獣を許可なく捕まえたり飼ったりすることはできないと案内
足環が複数付いたハト野鳥ではなく、飼い主のいるハト新潟県は、色付きの足環が複数付いたハトは個人の所有物(ペット)と案内

参考:熊本市|鳥類の捕獲について

鳩の捕獲許可は誰がどこに申請するか(都道府県と市町村の窓口)

環境省の説明では、捕獲許可の権限者は、国指定鳥獣保護区内や希少鳥獣などの場合は環境大臣、それ以外は都道府県知事です。ただし、多くの都道府県では、許可権限の一部を市町村長に移しています。ハトの捕獲許可を市区町村に申請するのか、都道府県に申請するのかは地域で決まるため、まずお住まいの市区町村の鳥獣担当に確認します。市役所の対応範囲と担当課の探し方も参考にしてください。

許可が出る条件:防除しても被害が減らないとき

熊本市は、生活環境が悪化し、防除対策を行っても被害が軽減できない場合に、市の許可を得て捕獲できるとしています。名古屋市は、捕獲以外の方法では被害が防止できない場合に、例外として捕獲と卵の採取が許可されると説明しています。まず追い払いや寄せ付けない工夫を試し、その状況と被害を記録しておくことが前提になります。

許可証の携帯と、許可に付く条件

許可を受けた人や従事者は、捕獲等をするとき、許可証または従事者証を携帯し、職員や警察官などから求められたら提示しなければなりません(第9条)。許可には条件を付けることができ、条件に違反すると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(第84条)。

鳩の捕獲許可は誰がどこに申請するか(都道府県と市町村の窓口):確認項目
自治体(ページの日付)申請先申請のしかた・条件
名古屋市(2026年5月22日更新)市の緑政土木局農政部。市長が許可できる鳥獣57種にドバトとキジバトを含む被害を受けている本人が申請して自分で捕獲する「自己捕獲」と、業者に申請と捕獲を頼む「業者捕獲」がある。業者捕獲は有料。2026年4月からオンライン申請も受付、許可証の交付は窓口
大阪市(2026年2月13日更新)大阪市動物管理センター分室申請手数料は無料。郵送の許可申請は受け付けない。申請は捕獲を実施する本人が行い、第三者に頼む場合は依頼書を添える。被害状況調査書や捕獲実施計画書も用意
熊本市(2026年3月12日更新)市の農業支援課鳥獣対策室個人用と、依頼を受けた専門業者等用で書類が異なる。許可証の発行まで1週間〜10日程度。許可期間の満了後30日以内に実績を記入して返納

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

自作の罠で鳩を捕まえてよいか(狩猟免許と許可捕獲の違い)

結論は、許可を受けずに自作の罠で捕まえることはできません。環境省は、鳥獣の捕獲を、狩猟による場合を除いて原則として禁止し、被害が生じている場合などに許可を受けて認めると説明しています。段ボールで作った罠でも、市販のかご罠でも、許可なく捕獲すれば同じです。罠の作り方や仕掛け方は、この記事では扱いません。

混同しやすいのが、「狩猟」と「許可捕獲」の違いです。狩猟は、狩猟免許を取り、毎年度の猟期前に登録して、狩猟鳥獣を決められた期間と猟法で捕獲する制度です。ドバトは狩猟鳥獣ではないため、狩猟免許があっても、狩猟としては捕獲できません。被害防止のための捕獲は、許可捕獲の手続きが必要です。

狩猟免許と許可捕獲は別の制度

条文(第39条)は、狩猟免許を、狩猟鳥獣を網やわななどで捕獲する者に求めるもので、許可を受けて行う場合は除くと定めています。許可の要件(捕獲できる鳥獣の種類、数、期間、区域、方法など)は許可権限者が定めるため、申請者に求める条件も含めて申請先に確認します。熊本市は、依頼を受けた専門業者等が申請する場合、捕獲に用いる道具(わなや網)の写真または図面の提出を求めています。

毒餌・毒薬による駆除は、危険猟法として禁止

第36条は、爆発物、劇薬、毒薬を使用する猟法その他の危険猟法で鳥獣の捕獲等をしてはならないと定めています。法に定める例外(特別の許可を受けた場合など)を除き、禁止です。環境省も、毒薬を使用する猟法などは危険な猟法として禁止されていると説明しています。ハトへの毒餌や薬剤は、手段として検討しないでください。

自作の罠で鳩を捕まえてよいか(狩猟免許と許可捕獲の違い):確認項目
項目狩猟許可捕獲(有害鳥獣捕獲など)
対象狩猟鳥獣(46種。鳥類のひなと卵は除く)鳥獣と卵。狩猟鳥獣以外も含む
捕獲の事由問わない鳥獣による生態系等の被害防止、特定計画に基づく個体数調整など
手続き狩猟免許の取得と、毎年度の猟期前の狩猟者登録許可権限者(都道府県知事等)への申請
時期法令で定められた狩猟期間許可の有効期間内(年中いつでも可能)
方法法定猟法(網・わな猟、銃猟)方法は問わないが、危険猟法などには制限がある

参考:環境省|狩猟制度の概要(狩猟鳥獣)

罰則の条文と、許可なく捕獲した場合の扱い

罰則は第83条にあります。第8条に違反して、狩猟鳥獣以外の鳥獣(ドバトなど)の捕獲等や、鳥類の卵の採取等をしたときは、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。狩猟鳥獣(キジバトなど)を、狩猟可能区域以外や狩猟期間外に捕獲した場合や、危険猟法の禁止に違反した場合も、同じ範囲の刑が定められています。

条文には、未遂も罰する規定(第83条第2項)と、犯罪に使った物や捕獲した鳥獣・卵で犯人が所有するものを没収する規定(第83条第3項)もあります。自治体のページには、古い表記で「懲役」と書かれたものもありますが、e-Gov法令検索の条文では「拘禁刑」と表示されています。実際にどの刑が適用されるかは、個別の事情で決まります。

  • 第8条:鳥獣と鳥類の卵の捕獲等・採取等の禁止(許可と狩猟は例外)
  • 第9条:捕獲等の許可。許可証の携帯と提示、許可に条件を付けられること
  • 第36条:危険猟法の禁止。第83条・第84条:罰則

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

業者に頼むときに確認する許可と資格

ハトの捕獲を業者に頼む場合も、許可の仕組みは同じです。名古屋市は、業者捕獲では愛知県ペストコントロール協会の加盟業者が申請と捕獲を行い、この場合は有料になると案内しています。熊本市は、依頼を受けた専門業者等が申請する場合の書類(依頼書、申請者名簿、道具の写真など)を示し、大阪市は、被害者から依頼を受けた捕獲従事者が申請する形を案内しています。

「資格」については、確認した自治体のページに、ハト駆除のための特定の民間資格を求める記載はありませんでした。求められていたのは、許可申請の書類と許可証です。狩猟免許は狩猟のための免許で、許可捕獲とは別の仕組みです。見積もりの前に、次の点を聞いてください。業者の見比べ方は、業者を選ぶときの確認リストも参考になります。

  • 許可の申請者は誰か(依頼者本人か、業者か)。許可証の写しを見せてもらえるか
  • 許可の有効期間、区域、捕獲の方法が、作業内容と合っているか
  • 作業する人が、許可証または従事者証を持っているか
  • 捕獲を伴わない防鳥ネットやワイヤーの施工と、捕獲を分けて見積もっているか
  • 捕獲後の処理を誰が行うか(熊本市は、捕獲した鳥類の処理は個人の責任で対応するよう案内)
  • 卵やヒナの有無をどう確認し、巣立ちを待てる場合の提案があるか

参考:名古屋市|有害鳥獣の駆除

餌やりを規制する自治体条例(東京都板橋区・大田区の例)

法律とは別に、ハトへの餌やりそのものを規制する自治体条例があります。東京都板橋区は、2024年10月に「ハト等への給餌による被害防止条例」を制定し、2025年4月1日に施行しました。大田区は、2022年4月1日に「ハト・カラスへの給餌による被害防止条例」を施行しています。どちらも、公共の場所での給餌と、給餌による被害を公共の場所に生じさせることを禁止しています。

大田区は、自宅で給餌した結果、道路にハトやカラスの被害を生じさせることや、犬や猫のえさをハトが集まると分かっていて放置することも、被害を生じさせる行為に含めています。条例のない自治体でも、大阪府は、えさを与えないよう呼びかけています。条例の有無や内容は自治体ごとに違うため、お住まいの市区町村で確認してください。庭やベランダの餌の見直しは、ハトが集まる庭とベランダの餌の見直しが参考になります。

餌やりを規制する自治体条例(東京都板橋区・大田区の例):確認項目
項目板橋区(2025年4月11日更新のページ)大田区(2025年6月24日更新のページ)
施行日2025年4月1日2022年4月1日
対象ハト等野生のドバト、ハシブトガラス、ハシボソガラス
禁止される行為公共の場所でのハト等への給餌。給餌による被害を公共の場所に生じさせること公共の場所(道路・公園等)での給餌。給餌による被害を公共の場所に生じさせること。区内全域では給餌をしないよう努める
違反したとき指導・勧告を経て、正当な理由なく命令に従わない場合は5万円以下の過料被害を生じさせた場合は指導を行い、従わない場合は過料5,000円を科す場合がある

参考:板橋区|「東京都板橋区ハト等への給餌による被害防止条例」を制定しました

足環のある鳩(レース鳩)は飼い主のいる鳩として扱いが別になる

足環が付いたハトを見かけたら、野鳥のドバトと区別します。新潟県の案内では、色付きの足環が複数付いたハトの多くは、レースバト(いわゆる伝書バト)で、個人の所有物(ペット)であり、野鳥ではありません。日本には日本鳩レース協会と日本伝書鳩協会があり、ほとんどのレースバトはいずれかの協会会員が飼育していて、足環から飼い主に連絡できるとされています。

鳥獣保護管理法が対象にするのは野生動物(第2条)なので、飼い主のいるハトは、野鳥の捕獲許可とは別に扱われます。足環の見方と連絡の順番は次のとおりです。

  • 飼い主の氏名・電話番号が書かれた足環が付いていれば、直接飼い主に連絡して指示を受ける(新潟県の案内)
  • 連絡先が書かれていない、飼い主に連絡が取れないときは、足環の記号・番号を読み、所属の協会に連絡する
  • 「JAPAN」または「JPN」で始まる足環は日本鳩レース協会、「NIPPON」で始まる足環は日本伝書鳩協会の会員が所有するハト
  • 金属の足環が1つだけ付いている場合は、野鳥の可能性が高い。野鳥は許可なく捕まえたり飼ったりしない

参考:新潟県|足環のついている鳥を見つけたら