カラスは狩猟鳥獣でも、個人が自由に捕獲・駆除できない理由

カラス(ハシブトガラス・ハシボソガラス・ミヤマガラス)は、環境省が示す狩猟鳥獣46種に含まれています。ただし、狩猟鳥獣であることは、誰でも捕まえてよいという意味ではありません。鳥獣保護管理法は、狩猟による捕獲を除き、鳥獣や鳥類の卵の捕獲・殺傷や採取・損傷を原則として禁止しています。環境省の説明では、狩猟をするには狩猟免許を取り、狩猟をする都道府県に狩猟者登録をし、区域・期間・猟法の制限を守る必要があります。

猟期は、北海道以外で11月15日から2月15日(都道府県により延長・短縮あり)とされ、日の出前・日没後の銃猟や、住居が集合している地域での銃猟も禁止されています。さらに、鳥類の捕獲にわなを使う方法は、狩猟では禁止猟法です。港区も、カラスは狩猟鳥だが狩猟は狩猟期間内でしかできず、それ以外の期間の捕獲は、有害鳥獣駆除の許可を受けた場合に限られると説明しています。

カラスは狩猟鳥獣でも、個人が自由に捕獲・駆除できない理由:確認項目
比べる点狩猟許可捕獲(有害鳥獣捕獲など)
目的問わない被害の防止、学術研究など、法で定める目的
対象狩猟鳥獣46種(鳥類のひなと卵を除く)鳥獣と卵(狩猟鳥獣以外も含む)
手続き狩猟免許の取得と、毎年度の狩猟者登録許可の申請(申請先は都道府県知事等)
時期狩猟期間(北海道以外は11月15日〜2月15日)許可された期間
方法法定猟法(網・わな・銃)。鳥類へのわなは禁止法定猟法以外も可。危険猟法などは制限あり。許可に条件が付くことがある

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

カラスは自分で捕まえたり殺したりしてもよいですか?

比較ガイド

許可なくカラスを捕獲・殺傷することは、鳥獣保護管理法で原則として禁止されています。狩猟鳥獣でも、免許・登録・猟期・区域の制限があり、住宅の被害対策として自由に行える方法ではありません。

毒餌・無許可の罠・卵やヒナのいる巣の撤去が違法になる行為

違法になりやすい行為は、大きく4つに分けられます。毒餌などの危険猟法、許可のない捕獲、卵やヒナを含む巣の撤去、狩猟の制限を超える捕獲です。条文上の罰則は、許可なく狩猟鳥獣以外を捕獲・採取した場合、狩猟期間外や区域外で狩猟鳥獣を捕獲した場合、危険猟法を使った場合のいずれも、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。鳥類のひなは狩猟鳥獣に含まれず、卵とあわせて、猟期中でも許可なく取ることはできません。

毒餌が違法になる理由は、条文にあります。爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法は危険猟法とされ、鳥獣の捕獲に使うことが禁じられています。例外は、環境大臣の許可を受けた場合などに限られ、個人の判断で毒を置く方法ではありません。毒餌は対象のカラスだけを選べず、他の動物が食べるおそれもあるため、この記事では手順を示しません。

罠も、市販の道具が手に入るかどうかと、使ってよいかは別です。許可なくカラスを罠で捕獲することは、鳥獣保護管理法で禁止されています。農林水産省のマニュアルは、カラスでは小屋型の捕獲わなが多く用いられるとしたうえで、被害が発生しているからといって野生の鳥類を自由に捕獲することはできないと整理しています。鳩についての同様の整理は、鳩の駆除と法律|違法になる行為と許可が必要な場面にもあります。

毒餌・無許可の罠・卵やヒナのいる巣の撤去が違法になる行為:確認項目
行為法律上の扱い確認した資料
毒餌・毒薬・爆発物でカラスを捕獲・殺傷する危険猟法として禁止。例外は環境大臣の許可を受けた場合など、法が定める場合に限るe-Gov(第36条・第37条)、環境省
許可なく、罠などでカラスを捕獲・殺傷する原則禁止。「うるさい」「迷惑」だけでは捕まえられないe-Gov(第8条)、東京都、千葉市
カラスの卵の採取、ヒナの捕獲・処分許可が必要千葉市、鳥取県、東京都
卵もヒナもいない巣だけの撤去許可は不要。撤去は巣のある場所の管理者が行う千葉市、鳥取県、大田区
猟期外に、狩猟としてカラスを捕獲する禁止。猟期は北海道以外で11月15日〜2月15日e-Gov(第83条)、環境省
住居が集合している地域で銃猟する禁止環境省

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

カラスの巣の撤去は卵・ヒナの有無で変わる:私有地の巣は誰が撤去するか

千葉市のQ&A(2025年6月24日更新)は、威嚇されるなどの被害が出た場合、巣の中に卵やヒナがいなければ巣を撤去できるとしています。撤去は土地所有者や施設の管理者が行い、個人宅などの民有地は、土地所有者が民間業者へ直接依頼する整理です。卵やヒナを処分する場合は事前の許可が要り、千葉県自然保護課に相談して許可を得るか、専門の駆除業者に依頼するよう案内されています。

鳥取県も、巣のみの場合は許可なく取り除け、卵やヒナがある場合は事前に捕獲の許可が必要なので、市町村に相談するとしています。地面に落ちたヒナについては、大田区が、委託業者が捕獲するので環境政策課へ知らせるよう案内しています。場所ごとの連絡先は自治体で違うため、カラスの駆除は市役所に頼める?巣の場所別の連絡先と対応範囲で整理しています。

巣の状態別の扱い

巣の状態によって、できることが分かれます。次の整理は、千葉市・鳥取県・大田区の公式ページの説明をまとめたものです。卵やヒナのある巣を取り除く手順は、扱いません。

  • 卵もヒナもいない巣:許可は不要。巣のある場所の管理者(私有地は所有者)が撤去する
  • 卵がある・ヒナがいる巣:事前の許可が必要。許可なしでは撤去できない
  • 地面に落ちたヒナ:触らず、自治体の窓口に知らせる(大田区は委託業者が捕獲)

撤去の時期は窓口や業者に確認してから決める

東京都のQ&Aは、巣を作った直後に撤去すると、数日のうちに作り直されることがよくあると説明しています。一方で、卵が入ったあとの巣には、許可の問題が関わります。撤去する時期は、自分で決めず、場所の管理者や窓口、業者に確認してから決めます。

参考:千葉市|カラス被害に関するQ&A

有害鳥獣捕獲の許可を申請できるのは誰か:申請者・窓口・前提条件

有害鳥獣捕獲は、鳥獣による生活環境、農林水産業、生態系の被害が出ているか、そのおそれがある場合に、被害を防ぎ軽くするために行うものです。東京都と大阪市は、原則として、被害を防ぐ対策をしても防げないときに行うと説明しています。川崎市は、許可の例として、人や家畜に被害がある場合、親鳥が人を威嚇・攻撃する場合、農作物に被害を及ぼす場合を挙げ、不許可の例として、鳴き声がうるさい、見かけて不快、集団で怖い、を挙げています。

大阪市の説明では、許可は被害者、または被害者から依頼を受けた捕獲従事者が申請し、許可を受けたうえで申請者本人が捕獲します。申請は捕獲を実施する本人が行い、郵送では受け付けず、手数料は無料で、第三者に頼む場合は依頼書を添えます。許可権限は、環境省の説明では都道府県知事で、多くの都道府県が一部を市町村長に移しているため、窓口は自治体で違います。千葉市と農林水産省は、一度捕獲しても周辺から別のカラスが集まりやすく、捕獲だけでは被害が減りにくいと説明しています。

  • 申請の前に、ごみ・巣材・エサやりなどの防除対策を行い、効果を記録する(東京都・大阪市の前提)
  • 被害の内容を、人や家畜への被害、威嚇・攻撃、農作物の被害など、具体的に説明できるようにする
  • 窓口の例:大阪市は動物管理センター分室、川崎市は動物愛護センター、東京都23区内は環境局自然環境部計画課
  • 許可の基準は都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められているため、窓口で確認する

参考:大阪市|有害鳥獣の捕獲許可の手続き

カラス駆除の報奨金は誰に支払われるか:自治体の捕獲報償金の仕組み

「カラスを駆除したら報奨金がもらえる」と聞くことがありますが、公式の要綱を読むと、対象は被害を訴えた住民ではなく、捕獲を行った人です。静岡市の有害鳥獣捕獲報償金交付要綱(2026年3月18日更新)は、市長が、捕獲許可に基づき有害鳥獣を捕獲した者に報償金を交付すると定め、カラスは1羽につき500円としています。ここでいう捕獲許可から、市長が狩猟免許を持たない人に出す許可は除かれています。狩猟期間中の狩猟鳥獣の捕獲(アライグマとハクビシンを除く)は対象外で、許可期間の満了後30日などの期限までに、報告書と写真などを出す手続きがあります。

岡山市の捕獲奨励金のページ(2025年11月25日更新)も、鳥獣による農林水産物の被害防止のため、対象鳥獣の捕獲者に奨励金を交付する制度として案内しています。対象にはハシブトガラスとハシボソガラスが含まれ、有害捕獲の奨励金と、狩猟捕獲の奨励金に分かれ、窓口は各区役所の農林水産振興課です。このページには、住民が業者へ駆除を頼む費用の補助についての記載は確認できませんでした。金額、対象、申請者は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体の要綱や担当課で確認してください。

カラス駆除の報奨金は誰に支払われるか:自治体の捕獲報償金の仕組み:確認項目
確認する点(確認日 2026年10月3日)静岡市の要綱岡山市のページ
誰に支払われるか捕獲許可に基づき有害鳥獣を捕獲した者対象鳥獣の捕獲者(補助事業者)
カラスの金額1羽につき500円ページに金額の記載はない(要綱は別資料)
対象外・区分狩猟期間中の狩猟鳥獣の捕獲は対象外(アライグマ・ハクビシンを除く)有害鳥獣捕獲奨励金と、狩猟捕獲の捕獲促進奨励金に分かれる
申請の流れ報告書、捕獲の状況が分かる写真、位置図などを、許可期間の満了後30日などの期限までに提出各区役所の農林水産振興課で受け付ける。有害鳥獣捕獲奨励金の申請時期は2月28日まで

参考:静岡市|静岡市有害鳥獣捕獲報償金交付要綱

法律に触れずにできるカラス対策と、威嚇される時期の身の守り方

捕獲に頼らない対策は、ごみ・エサやり・巣材・巣作りしやすい木の4点が基本です。大阪市は、生ごみを紙で包んで外から見えないようにする、ごみ出しの時間を守る、防鳥ネットを使う、カラスにエサをやらない、針金ハンガーなどの巣材を外に出したままにしない、と案内しています。集積所の具体的な対策はカラスのゴミ対策|集積所のネット・ボックスと自治体制度、畑や果樹の被害はカラス対策を畑でするなら|テグスと防鳥網の張り方で扱っています。

巣の近くで威嚇される時期の身の守り方も確認しておきます。東京都は繁殖期をおよそ3月下旬から7月上旬とし、大阪市は、市内で威嚇の報告や相談が多いのは5〜6月だと説明しています。大田区はカラスが人の後頭部を狙うとして傘や帽子で頭を守るよう案内し、東京都は傘などの棒状の物を肩にかついで頭の上に上げる方法を示しています。大田区は、追い払う行動が威嚇を激化させるため避けるよう求めています。巣やヒナには近づかず、巣をのぞいたり石を投げたりしないでください。時期ごとの注意はカラスの繁殖期はいつ?威嚇される時期と身の守り方にもあります。

法律に触れずにできるカラス対策と、威嚇される時期の身の守り方:確認項目
困りごと法律に触れずにできる対策許可や管理者の相談が要る場面
ごみ集積所が荒らされる生ごみを包む、時間を守る、防鳥ネットや容器を使う、エサやりをしないネットの貸与は自治体の清掃担当、集積所の管理は管理者・管理会社
巣の近くで威嚇される帽子・傘で頭を守る、巣とヒナに近づかない、追い払わない巣の撤去は場所の管理者。卵やヒナがある巣は許可の相談
庭木に巣を作られた針金ハンガーを片づける。枝を剪定して見通しを良くする。卵もヒナもいない巣だけなら所有者が撤去できる卵やヒナがいる巣は、許可の窓口(千葉市の例では県の自然保護課)か専門業者に相談
畑・果樹が食べられる防鳥網やテグスで物理的に防ぐ。収穫残さを置かない防除でも被害が防げないときの捕獲許可は、市町村等の窓口で相談

参考:大阪市|カラスについて

私有地の巣や捕獲を業者に頼むときの確認事項と費用の見方

千葉市のQ&Aは、民有地の巣の撤去は土地所有者が民間業者へ直接依頼するとし、駆除業者に心当たりがなければ千葉県害虫防除協同組合を案内しています。港区は、私有地の場合は土地の所有者・管理者に対応を依頼し、有害鳥獣駆除が可能な業者の情報を提供すると説明しています。東京都のQ&A(2026年10月3日確認)は、巣の撤去は造園業者や害虫駆除業者が実施し、費用は巣の場所や高さで変わるとして、およそ1件あたり2万円から3万円程度と記載しています。これは東京都のページに載る目安で、地域や条件が違えば変わります。同じQ&Aは、区や市によっては巣の撤去や撤去費用の補助を行っているところがあるとしており、大田区は、私有地の巣について、所有者の了解を得たうえで区の環境政策課の連絡先で撤去すると案内しています。業者に頼む前に、お住まいの区市町村の環境担当に制度の有無を確かめてください。

見積もりでは、巣のみの撤去なのか、卵やヒナのある巣の処分を含むのかを先に確認します。卵やヒナの処分には許可が要るため、誰が許可を受けるのか、受けていない場合の作業はどうなるのかを、書面で聞いてください。撤去後に巣を作りにくくする対策、高所作業の費用、処分費が別かどうかも、害獣駆除の費用の「一式」を分けて読む方法の考え方で、項目ごとに確認できます。

  • 卵やヒナがある巣の場合、許可は誰が申請し、取得済みか
  • 見積もりに、巣の撤去・処分・清掃・再発防止が別項目で入っているか
  • 作業の日程を、状況の確認後にずらせるか
  • 同じ場所に再び巣を作られたときの対応(再訪の条件・費用)はどうなるか

参考:東京都環境局|カラスに関するQ&A