ベランダは誰が管理する場所か|標準管理規約の専用使用権と通常の管理
国土交通省のマンション標準管理規約は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭、屋上テラスを「バルコニー等」とし、区分所有者が専用使用権を持つ共用部分として扱っています。専用使用権は、共用部分の一部を特定の区分所有者が排他的に使える権利です。自室の外側にあっても、自分だけの判断で外壁や手すりに手を加えてよい場所とは限りません。
管理の役割も分かれています。標準管理規約の第21条は、敷地や共用部分の管理は管理組合が責任と負担で行い、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものは専用使用権者が行うとしています。コメントでは、通常の使用に伴う保存行為の例としてバルコニーの清掃が挙げられ、計画修繕などは管理組合が行うとされています。標準管理規約はひな型なので、実際は自分のマンションの管理規約と使用細則が基準です。
| 場所 | 標準管理規約での位置づけ | 鳩対策での担当の考え方 |
|---|---|---|
| ベランダ(バルコニー) | 共用部分に専用使用権が設定される | フンの清掃は専用使用権者。ネットなどの設置工事は、規約・使用細則に沿った承諾を管理組合に確認 |
| 室内(住戸の中) | 専有部分 | 区分所有者や居住者が管理。室内への侵入経路が疑われるときは、管理会社へ連絡 |
| 共用廊下・屋上・外壁・共用階段 | 共用部分 | 管理組合が管理。居住者は場所と写真を管理会社へ連絡 |
| 隔て板・避難ハッチなど避難に使う設備 | ベランダに設けられる避難設備(東京都防災ホームページの説明) | ネットや金具が妨げない配置か、工事前に管理者へ確認 |
参考:国土交通省|マンション標準管理規約(令和7年改正・単棟型)(PDF)
マンションのベランダの鳩は、管理会社に頼めば駆除してもらえますか?
管理会社は窓口で、鳩の捕獲や駆除をしてくれるとは限りません。野生の鳥の捕獲は鳥獣保護管理法で許可が必要です。まず管理会社に状況を伝え、清掃や防鳥ネットなどの対策と費用負担を相談します。
鳩駆除は管理会社に頼める?分譲と賃貸で変わる相談先と費用負担
分譲マンションでは、管理会社に連絡しても、共用部分の工事や費用の判断は管理組合に諮ることになる場合が多いため、管理会社は窓口の役割にとどまることがあります。賃貸では、貸主と管理会社が窓口で、借主が工事を手配する前に連絡して承諾を得ます。
国土交通省の事例集は、賃貸住宅の必要な修繕は原則として貸主が義務を負い、借主に故意・過失がある場合は借主が義務を負うこともあると説明しています。借主が自分で直してよいかについても、原則として貸主の承諾が必要で、修繕が必要なときは貸主へ通知する義務があるとされています。鳩のフン掃除は普段の管理、ネット設置は貸主への相談と整理して連絡します。連絡の準備は、賃貸で害獣被害が起きたときに管理会社へ伝えることも参考になります。
| 住まい | 最初の連絡先 | 費用負担の考え方 | 確認する書類 |
|---|---|---|---|
| 分譲(自分が区分所有者) | 管理会社、管理組合の理事会 | 清掃は専用使用権者。ネット設置の可否と費用は、管理規約・使用細則と管理組合の判断 | 管理規約、使用細則、理事会の決定 |
| 分譲を借りている・貸している | 借主は貸主または管理会社。貸主は管理組合 | 貸与先にも規約・使用細則を守らせる決まり(標準管理規約第19条)。工事前に管理組合へ確認 | 賃貸借契約書、管理組合への届出 |
| 賃貸(管理会社あり) | 管理会社を通じて貸主へ | 入居中の修繕は原則として貸主の義務。借主に故意・過失があれば借主の負担になりうる。ネット設置は承諾が先 | 賃貸借契約書、特約 |
| 共用部分で被害が出ている | 管理会社、管理組合 | 管理組合が責任と負担で管理する場所。居住者は場所・日時・写真を伝える | 管理規約、管理委託契約 |
| 隣の住戸や空室が原因に見える | 管理会社(個人間の交渉は避ける) | 管理組合や貸主が確認する。立入りは規約上の手続きによる | 管理規約、使用細則 |
| 卵やヒナが見える | 管理会社への連絡と、市区町村の野生鳥獣の担当 | 撤去には許可の問題が加わる。巣立ちを待つかを管理者と自治体に確認し、費用の負担は承諾後に決める | 巣の場所と写真、管理規約 |
管理会社へ伝える内容と連絡文の例
連絡では、場所、頻度、時間帯、写真、希望する対応の5つを伝えると、管理会社が確認しやすくなります。部屋番号とベランダの位置は書きますが、写真には他の住戸の生活空間が写り込まないようにします。位置の記録の取り方は、ベランダにフンらしきものを見つけたときの位置の記録と相談文が参考になります。共用部分の被害も、場所と日時を書いて同じ要領で連絡します。
伝える項目
次の項目を、日付つきのメモと写真にまとめておくと、管理組合へ取り次いでもらうときにも使えます。
- 場所:○号室のベランダの手すり、室外機の裏、天井まわりなど
- 頻度と時間帯:朝夕に毎日、昼だけ、夜もいる、など
- 状態:フンの量、巣材の有無、卵やヒナが見えるか(触らずに、見える範囲で)
- 写真:全体、フンの位置、巣材の位置を、日付が分かる形で
- 希望する対応:ネット設置の可否、清掃の方法、共用部分の点検、業者手配の進め方
連絡文の例(分譲・管理会社宛)
お世話になっております。○号室の(氏名)です。(日付)ごろから、ベランダの手すりと室外機の裏に鳩のフンが毎日増えており、写真を添付します。小枝のようなものも見え、巣を作り始めている可能性があります。卵やヒナは、見える範囲では確認できていません。つきましては、バルコニーに防鳥ネットや手すりのテグスを設置してよいか、設置する場合の手続きと費用の負担、共用部分の点検の有無を教えてください。業者への依頼は、承諾をいただいてから進めたいと考えています。
連絡文の例(賃貸・貸主または管理会社宛)
お世話になっております。○号室の(氏名)です。ベランダに鳩が毎日来てフンが増えており、写真を添付します。清掃は私のほうで続けます。ネットの設置を考えており、穴を開けない固定方法でよいか、貸主様の承諾が必要か、費用はどちらが負担するかを教えてください。承諾をいただくまで、工事は行いません。
ネットや剣山を付ける前に必要な承諾|外観・避難経路・防水
標準管理規約のコメントは、バルコニー等の専用使用権には、通常の用法に従って使うことや、管理のために必要な範囲で他の者の立入りを受けることがあるという制限が伴い、工作物の設置禁止や外観変更の禁止などは使用細則で物件ごとに定めるとしています。鳩よけのネットや剣山が使用細則の対象かどうかは、マンションごとに違います。
避難経路・防水・躯体の確認
規約の別添「区分所有者が行う工事に対する制限の考え方」は、あらかじめ定められた場所への設置ではない、バルコニーに物品を固定する工事について、避難上の支障がないか、防水層や排水に悪影響がないか、躯体にボルトなどを打ち込まないかを確認する点として挙げています。東京都防災ホームページは、ベランダやバルコニーに、火災時などに蹴破って移動できる隔て板や、避難用のはしごを収納した避難ハッチが設けられていると説明しています。ネットや金具がこれらをふさがないかも、管理者と確認します。
賃貸では原状回復と承諾の記録
賃貸の場合、国土交通省の原状回復ガイドラインは、借主の故意・過失や通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧することを原状回復としています。承諾を得ずに穴を開けたり固定したりすると、退去時に話し合いになる可能性があるため、承諾は書面かメールで残します。確認の観点は、防鳥ネットの承諾と端の隙間の確認にもあります。
| 確認する点 | 理由 | 管理会社に聞くこと |
|---|---|---|
| 外観 | 使用細則で、工作物の設置や外観変更が制限される場合がある | ネットの色や形、設置してよい面、事前に申請する書式 |
| 避難経路 | 隔て板や避難ハッチの利用を妨げない配置が必要 | 隔て板・ハッチの周辺の開口を残すか、ネットの開閉をどうするか |
| 防水・排水 | 防水層や排水口に悪影響が出ると、他の住戸にも影響する | 固定位置、排水口まわりの扱い、清掃のための入り方 |
| 固定方法 | 躯体にボルトなどを打ち込む工事は、制限されることがある | 穴あけの可否、接着や挟み込みで固定できるか |
| 撤去と原状回復 | 賃貸では、退去時の撤去や原状回復が問題になりうる | 退去時の撤去義務、費用の負担、承諾を書面でもらえるか |
隣室・上階・空室が原因になっているとき
自分のベランダにフンがあっても、原因は隣室の置き餌、上階の洗濯物の隙間、空室になった住戸の室外機の裏の巣など、別の場所にあるかもしれません。大阪府は、ドバトが繁殖力が強く天敵も少ないため増えやすく、餌を与えると近隣のトラブルにつながるとして、餌を与えないよう呼びかけています。原因が分からない段階で特定の部屋に直接伝えるのは避け、管理会社に事実だけを伝えます。
空室や不在の住戸を確認したいとき、標準管理規約の第23条は、管理を行う者が、管理に必要な範囲で他の者が管理する専有部分や専用使用部分への立入りを請求でき、請求された側は正当な理由なく拒否してはならないと定めています。立入りを求めるのは管理組合や管理会社の役割で、居住者が自分で入ってはいけません。餌やりが疑われるときの整理は、ハトが集まる庭とベランダの置き餌を見直す方法にあります。
高層階でも鳩は来るのか|何階までという数値を出典なしに書かない
「何階まで鳩が来るか」を示した公的な数値は、今回確認した資料では見つかりませんでした。大阪市と大阪府は、ドバトが雨の降り込まない棚状の場所にねぐらや巣を作り、人の出入りが少ないベランダの隅やエアコン室外機の下・裏を好むと説明しています。農林水産省の資料も、ドバトの巣の場所として、ビルや橋、マンションのベランダなど雨のかからない所を挙げています。階数ではなく、場所の条件が手がかりになるという整理です。
アサンテのページには、都市の高層化が進むにつれて、ハトが安全な高所にすみつくようになったという説明があります。事業者のページの中には特定の階数を挙げるものもありますが、根拠が示されていないため、この記事では階数の目安を書きません。高層階でも、室外機の裏、手すり、ひさし、配管まわりにフンや小枝がないかを確認し、見つけたら位置と日付を記録して管理会社へ伝えます。
参考:大阪市|ドバトについて
管理会社が動かないときの次の相談先
管理会社に連絡しても返事がない、管理組合の議題に上がらないといったときは、まず連絡の履歴を日付つきで整理します。共用部分の工事や費用の判断が必要な内容は、理事会(理事長)に議題として届けてもらうよう、書面かメールで依頼します。
国土交通省のマンション管理・再生ポータルには、日常の管理組合運営や建物・設備の維持管理に関する相談窓口として、公益財団法人マンション管理センターの東京本部と大阪支部が掲載されています。管理規約の読み方や管理の進め方で迷うときの手がかりになります。鳥の扱いは市区町村の野生鳥獣の担当、業者との契約の問題は消費者ホットライン188と、相談の内容で窓口が変わります。
| 状況 | 次の相談先 | 渡す情報 |
|---|---|---|
| 管理会社から返事がない | 管理組合の理事長・理事会(書面やメールで議題を依頼) | 連絡日、内容、写真、希望する対応 |
| 規約の読み方や、管理の進め方が分からない | マンション管理センターの相談窓口(マンション管理・再生ポータルに掲載) | 管理規約、使用細則、被害の状況 |
| 賃貸で、貸主や管理会社が対応しない | 貸主への書面での連絡。契約の相談は、居住地の自治体や消費生活センターの案内を確認 | 賃貸借契約書、連絡の履歴、写真 |
| 卵やヒナがある、鳥の扱いに迷う | 市区町村の野生鳥獣の担当、都道府県の担当部署 | 巣の場所、見える状態、写真 |
| 見積もりや契約で、高額・急かされるなどの問題 | 消費者ホットライン188 | 見積書、契約書、請求書、やり取りの記録 |
承諾を得てから業者を比べる|費用と見積もりの確認
ネットなどの工事に承諾が出たら、業者を2社以上で比べます。管理会社が指定業者を案内することもあるため、指定の有無、居住者が別の業者を選んでよいか、工事の保証や事故の責任を誰が負うかを聞きます。見積書は、ネットの面積、固定方法、清掃・消毒、足場や高所作業の有無を項目別に出してもらいます。公開料金の読み方は、鳩駆除の費用の単位と見積もりの比べ方にあります。
業者を選ぶときは、鳩駆除業者の選び方で、契約相手、保証の対象、卵やヒナのある巣の手続きの説明を確認します。卵やヒナが見える場合は許可の問題が加わるため、巣立ちを待つかどうかを管理会社と自治体に確認してから、工事の日程を決めます。




