ツバメの巣の撤去が違法になるとき:卵・ヒナ・巣だけの扱いの違い

鳥獣保護管理法は、野生の鳥獣とその卵を、許可なく捕獲・殺傷したり、採取・損傷したりすることを原則として禁じています。ツバメも例外ではなく、卵やヒナが入った巣を取り除けば、卵を損傷し、ヒナを殺傷することになります。条文上の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。自治体や団体のページには「懲役」と書かれていることがありますが、現行の条文の表記は拘禁刑です。

一方、巣そのものを取り除くことは、卵やヒナがいなければ許可が要りません。大阪府は、巣を撤去する前に必ず巣の中を確認し、卵やヒナがいなければ撤去できる、いる場合は巣立ちまで見守って巣立ち後に撤去する、と案内しています。鳥取県も、巣のみの場合は許可なく取り除けるとしています。次の表は、巣の状態ごとの扱いを、公式ページの説明に基づいて整理したものです。卵やヒナのいる巣を取り除く手順は、この記事では扱いません。

ツバメの巣の撤去が違法になるとき:卵・ヒナ・巣だけの扱いの違い:確認項目
巣の状態許可の要否撤去の扱い確認した資料
作り始めで、卵もヒナもいない許可は不要巣の中を確認し、卵やヒナがなければ撤去できる大阪府、鳥取県
卵がある(産卵・抱卵中)卵の採取・損傷には許可が必要許可がなければ撤去できない。巣立ちまで見守る環境省、大阪府、神奈川県
ヒナがいるヒナの捕獲・殺傷には許可が必要許可がなければ撤去できない。巣立ちまでの日数は資料で幅がある(大阪府は約2週間、神奈川県は17〜22日)大阪府、神奈川県
巣立ち後の空の巣許可は不要許可なく取り外せる。次の子育てに使われていないかを確認する神奈川県、日本野鳥の会
中が見えない(高所・奥まった場所)判断できない空と決めつけず、確認できるまで作業しない大阪府(必ず巣の中を確認する)

参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

読者の疑問

ツバメの巣を壊すと罰せられますか?

比較ガイド

卵やヒナがいる巣を許可なく壊すと、鳥獣保護管理法違反となり、条文上は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。卵もヒナもいない巣だけの撤去は、許可なく行えます。

作り始めのツバメの巣は撤去できる?時期の目安と確認のしかた

神奈川県は、ツバメの繁殖期間を4〜7月としています。抱卵は13〜14日、ヒナは17〜22日で巣立つため、卵を産んでから巣立つまでは、長くても約1か月です。日本野鳥の会は、ツバメは春から夏に繁殖し、2回子育てすることもあると説明しています。巣立ちのあとも、次の子育てに巣が使われる可能性は考えておく必要があります。

鳥取県は、巣は1日や2日でできるものではなく、困る場所に作り始めたときは早めに撤去すれば別の場所へ移るため、軒下や車庫などを日常的に点検するよう案内しています。作り始めの巣は、卵もヒナもいなければ許可なく撤去できます。ただし、撤去の前に巣の中を確認することが前提です。高い場所で中が見えないときは、無理に脚立で近づかず、確認できる人に頼みます。

撤去の前に確認すること

確認は、巣の近くに長く立たず、日を変えて行います。東京都は、野鳥撮影の注意として、営巣中の鳥の撮影は大きなストレスとなり、繁殖に影響するおそれがあるため、巣に近づかない配慮を求めています。巣の中を確かめるときも短時間で済ませ、記録は離れた位置から巣の場所と日付を残す程度にとどめます。

  • 離れた位置から、親鳥が巣へ出入りしているかを数日間見る
  • 巣の中をのぞける場所なら、短時間で卵やヒナの有無を確かめ、確認した日付をメモする
  • 中が見えない巣は「未確認」として扱い、確認できる人や窓口に相談する
作り始めのツバメの巣は撤去できる?時期の目安と確認のしかた:確認項目
段階目安撤去の考え方
巣作り巣は1〜2日ではできない(鳥取県)。繁殖期は4〜7月(神奈川県)卵がなければ撤去できる。先に巣の中を確認する
抱卵13〜14日(神奈川県)撤去できない。巣立ちまで見守る
ヒナの育雛17〜22日(神奈川県)。大阪府は約2週間撤去できない。巣立ちまで見守る
巣立ち後2回子育てすることもある(日本野鳥の会)空だと確認できれば撤去できる。次の巣作りに備えて再発防止も行う

参考:神奈川県|ツバメを見守ってください

ツバメの巣の撤去の許可は誰に相談する?都道府県・市区町村の窓口

環境省は、鳥獣や鳥類の卵を捕獲・採取するには環境大臣または都道府県知事の許可が必要で、多くの都道府県ではその権限の一部を市町村長に移していると説明しています。許可の基準は、知事が策定する鳥獣保護管理事業計画に定められており、詳細は都道府県の担当部局に確認するよう案内されています。つまり、ツバメの許可の窓口と基準は、お住まいの地域で違います。

神奈川県は、生活被害が発生し、卵やヒナを含めて巣を除去したい人は、卵やヒナについて捕獲許可の申請が必要で、捕獲場所の市町村によって問い合わせ先が異なると案内し、県が訪問して捕獲を実施することはないと書いています。鳥取県は、ツバメの卵の採取等は知事、ヒナは市町村長が許可権限を持つとしています。同じツバメでも、卵とヒナで窓口が分かれる県があります。

許可を申請する前に、巣立ちまでの1か月ほどを待てないのか、フン受けなどの対策で足りないのかを整理しておくと、窓口との話が進みます。許可が出るかどうかや条件は窓口が判断するため、この記事では見通しを示しません。卵やヒナのある巣の確認や管理者への連絡は、巣に卵やヒナがあるときに管理者と自治体へ確認したいことにもまとめています。

ツバメの巣の撤去の許可は誰に相談する?都道府県・市区町村の窓口:確認項目
自治体(確認日 2026年10月3日)撤去の作業許可・相談の窓口の案内
大阪府(2022年1月24日更新)巣の撤去は行っていない各地域の農と緑の総合事務所みどり環境課、または動物愛護畜産課野生動物グループ
神奈川県(2026年7月21日更新)県が訪問して捕獲を実施することはない卵やヒナを含めて除去したい場合は捕獲許可を申請する。窓口は捕獲場所の市町村で異なる
東京都(都民の声・令和5年8月分)ツバメの巣の撤去は行っていない巣立ち後に撤去するよう案内。抱卵から巣立ちまで約1か月
鳥取県(2025年11月27日掲載)確認した範囲では記載なし卵の採取等は知事、ヒナは市町村長が許可権限を持つため、それぞれ申請する
広島市(2025年2月16日更新)卵やヒナのいる巣は取り除けない問い合わせ先として、区の地域起こし推進課・農林課と、農政課鳥獣対策担当を掲載

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

ツバメの巣の撤去で市役所や業者に頼めること・頼めないこと

市役所や県は、ツバメの巣を撤去する作業そのものを行わない例が目立ちます。東京都は撤去を行っていないと答え、大阪府も巣の撤去は行っていないとしています。窓口で相談できるのは、許可が要る状態かどうか、許可の申請先、巣立ち後の扱いといった点です。巣立ち後の撤去・清掃・再発防止は、自分で行うか、管理者や専門業者に頼むことになります。

業者の料金は、ここでは独自の相場を示さず、公式ページの表示を1例だけ、確認日付きで挙げます。特定の事業者をすすめる意図はありません。イエコマの鳥の巣撤去のページ(2026年10月3日確認)は、定価として1か所8,800円(税込)、2か所目以降は1か所につき1,650円を加算し、別に出張料3,300円と表示しています。初めて利用する人向けの初回価格も表示されていますが、同じページでは、提携会社の会員サービスの価格であり、申し込むと会員サービスの案内があると説明されています。

同じページの注記には、戸建て専門で、賃貸物件・集合住宅・ビル・店舗・工場などは受け付けないこと、巣の中に卵やヒナがある場合は受けられないこと、ダニやノミの駆除・消毒は行わないこと、作業で出たごみは回収しないことが並んでいます。価格だけを見ると、頼める建物の種類や作業の範囲の違いが分かりません。見積もりの内訳の読み方は、害獣駆除の費用の「一式」を分けて読む方法にまとめています。

ツバメの巣の撤去で市役所や業者に頼めること・頼めないこと:確認項目
頼む先頼めることの例頼めない・確認が要ること
都道府県・市区町村の担当窓口許可が必要かどうかの確認、申請先の案内、巣立ち後の扱いの相談巣の撤去作業は行わない例が多い(大阪府・東京都)
管理会社・管理組合・大家共用部分の撤去や業者手配の判断、フン受けや掲示の承諾入居者が自分で撤去や設置をしてよいかは、規約や契約で違う
専門業者巣立ち後の巣の撤去、清掃、すき間や壁面の再発防止卵やヒナのある巣は受けない例がある。賃貸・集合住宅・店舗を受けない事業者もある
自分(所有者・占有者)作り始めの巣の撤去、フン受けの設置、巣立ち後の空の巣の取り外し高所作業、巣の中が見えない場所の作業、卵やヒナの扱い
  • 卵やヒナがあった場合の対応(作業日の延期、許可の要否と誰が受けるか)を、先に聞く
  • 巣材の撤去、清掃、消毒、再発防止の工事が、別々の項目になっているかを見る
  • 高所作業や点検口の工事が、追加料金になる条件を確かめる
  • ダニ対策が含まれるか、含まれないなら誰が行うかを確認する

参考:イエコマ|鳥の巣撤去(サービスページ)

ツバメの巣を撤去しない選択:フン対策・フン受けの置き方と時期

ツバメの巣を人が壊す主な理由は「フンが汚い」ことだと、日本野鳥の会は説明しています。同会は、フンが落ちるのは子育て期間中の2週間程度で、防ぎたい場合はフン受けを置くよう案内しています。広島市も、子育て中は卵やヒナのいる巣を取り除けず、糞に困る場合は巣の下に台を設置するなど工夫するよう案内しています。

日本野鳥の会が示す方法は、巣の真下の地面に浅い段ボール箱を置いて新聞紙を敷き、ときどき取り替える方法と、巣の直下にフン受けを固定する方法です。直下に付けるときは巣から50cm以上離すとよく、大きくて頑丈なものは天敵のカラスの足場になるおそれがあるため注意が必要とされています。設置の時期は、親鳥の警戒心が強い巣作り中や抱卵中は避け、ヒナが孵化してからです。

店先・玄関先でフンを減らす工夫

店先や玄関先では、フンが落ちる範囲だけを守る方法が現実的です。巣の位置を変えられなくても、落下範囲に台を置く、通路を一時的に迂回させる、子育て中であることを張り紙で知らせる、といった工夫があります。いずれも、ツバメの出入りをふさがないことが前提です。

  • 巣作り中と抱卵中は、親鳥を警戒させるためフン受けを置かない
  • ヒナが孵化したら、巣から50cm以上離してフン受けを置き、ときどき取り替える
  • フン受けを大きくしすぎない(カラスの足場になるおそれがある)

ツバメの減少と、見守るという選択

日本野鳥の会は、ツバメは近年減少傾向にあると説明しています。神奈川県も、県内では生息地や個体数が著しく減少している減少種に区分されているとして、見守りを呼びかけています。撤去できる状態でも、フン対策で済ませる選択肢があることを、家族や管理者と共有しておくと、判断がぶれにくくなります。

参考:日本野鳥の会|ツバメをまもろう(フン対策・カラス対策・法律)

アパート・マンション・店舗でツバメの巣を見つけたら:管理者との合意の取り方

ツバメの巣が共用廊下の天井や軒、バルコニーの上など、建物の一部に作られたときは、撤去できるかどうかの前に、その場所を誰が管理しているかを確認します。さいたま市のよくある質問は、野鳥の糞害への対応は原則としてその場所の管理者が行うと案内しています。国土交通省のマンション管理・再生ポータルは、バルコニーなどに専用使用権が設定されることがあるものの、どの部分に設定されているかはマンションごとに異なるため、管理規約などを確認するよう説明しています。

賃貸の場合は、入居者が巣を撤去したり、フン受けや防鳥ネットを付けたりする前に、管理会社または貸主に伝え、承諾を得てから進めます。連絡の考え方は賃貸で害獣被害が起きたとき、管理会社へ伝えることに、共用部分で見つけたときの伝え方はマンション共用部で被害を見つけたときの連絡にあります。店舗は、テナントなのか建物の所有者なのかで、判断する人が変わります。大阪府の質問集は、店先にツバメが巣を作ってフンに困る例に、卵やヒナがいれば巣立ちまで見守るよう答えています。

  • 管理会社・貸主・管理組合へ、巣の場所、写真、日付、卵やヒナの有無(不明を含む)を連絡する
  • フンの被害を具体的に伝える(通路、手すり、洗濯物、商品など)
  • フン受けの設置や撤去は、管理者の承諾を得てから行う
  • 卵やヒナがある間は撤去を頼まず、巣立ち後の撤去と再発防止を先に相談する
  • 許可が必要と考える場合は、誰が申請するのかを管理者と窓口の双方に確認する

参考:さいたま市FAQ|野鳥の糞害に困っています。どうしたらよいでしょうか。

ツバメの巣の撤去後に再び巣を作られないための対策

巣を撤去できるのは、卵もヒナもいないときです。そのあとに同じ場所へ巣を作られたくなければ、次の繁殖期の前に対策をします。広島市は、巣作り前の対策として、進入路をふさぐこと、進入路にテープや紐を垂らすこと、空になった古い巣を取り除いて壁面にビニールやアルミ箔などを張り、巣を作りにくくすることを挙げています。ツバメも、巣作りしにくいと感じれば他の場所を探す、と説明されています。

巣を作らせない工夫は、卵やヒナがいない時期に行うことが前提です。巣立ちが済んで空の巣だと確認できてから、撤去・清掃と再発防止をセットで進めます。豊島区は、スズメやムクドリなどの野鳥の巣でヒナが巣立って空き巣になると、5〜7月ごろにトリサシダニが這い出して人を吸血することがあると説明しています。野鳥の巣の近くで小さな虫に刺されるときの確認は野鳥の巣の近くから小さなダニにまとめています。清掃のときは、使い捨て手袋とマスクを着けて糞に直接触れないよう、東京都が案内しています。

  • 撤去の前に、卵やヒナがいないことを確認して記録する
  • 撤去した場所の壁面や進入路を、広島市の例のように、巣を作りにくい状態にする
  • 次の繁殖期に入る前に、同じ場所を点検する日を決める

参考:広島市|毎年、玄関先にツバメが巣をかけて困っています。(よくある質問と回答)