野良猫の駆除は違法?動物愛護管理法第44条の罰則
結論から言うと、野良猫を駆除する、つまり殺したり傷つけたりすることは、動物愛護管理法で禁じられています。同法第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者を、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に処すると定めています。以下は、2026年10月3日にe-Gov法令検索で確認した条文に基づきます。
確認した条文には、「駆除」や「野良猫」という言葉は出てきません。一方で、愛護動物の殺傷、虐待、遺棄を、それぞれ罰則つきで禁じています。条文は「みだりに」という限定を付けていますが、被害や迷惑を理由に自分で駆除してよいと明記した規定は、確認できませんでした。具体的な場面での判断は、自治体の動物愛護担当や、弁護士などの専門家に確認する必要があります。
罰則の種類や数値は、法改正で変わることがあります。現行の条文は拘禁刑と表記していますが、公的機関の案内にも、懲役と表記された引用が残っていることがあります。古い資料の数値は使わず、現行の数値は法令の本文で確認してください。
| 行為 | 条文 | 罰則(2026年10月3日確認) |
|---|---|---|
| 愛護動物をみだりに殺す、または傷つける | 第44条第1項 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金 |
| 愛護動物への虐待(外傷が生ずるおそれのある暴行を加える、みだりに給餌や給水をやめて衰弱させる、など) | 第44条第2項 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 愛護動物の遺棄 | 第44条第3項 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
参考:e-Gov法令検索|動物の愛護及び管理に関する法律(2026年10月3日確認)
野良猫を駆除するのは違法ですか?
動物愛護管理法第44条は、猫を含む愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりした者に、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金を定めています。猫は飼い主がいなくても対象で、被害に困っている場合を例外とする規定は確認できませんでした。
猫は所有者がいなくても愛護動物|野良猫と飼い猫は見分けにくい
愛護動物の範囲は、第44条第4項に書かれています。第1号に、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるが並び、猫は所有者の有無にかかわらず含まれます。第2号は、そのほかに人が占有している哺乳類、鳥類、爬虫類を挙げています。
飼い主のいない猫、迷い猫、外に出ている飼い猫は、見た目では区別がつきません。首輪やマイクロチップがなくても、飼い主がいる猫かもしれません。長野市が貸し出すTNR用の捕獲器の案内は、捕獲した猫が首輪を付けているなど所有者がいる場合は、手術などを行わず、捕獲した場所に戻すよう求めています。
動物愛護管理法は、飼い主側の責任も定めています。第7条は、動物が人に迷惑を及ぼさないよう努めることを所有者や占有者に求め、第37条は、犬や猫がみだりに繁殖するおそれがある場合に、生殖を不能にする手術などの措置を所有者に義務づけています。被害の相手が近所の飼い主かもしれないという視点も持っておきます。
野良猫とノネコ(狩猟鳥獣)の違い|自己判断でノネコとして扱う危険
「野良猫 野生動物」「野良猫 駆除 対象」と検索する人は、野生の鳥獣と同じように扱えるのではと考えることがあります。環境省の狩猟制度の概要は、狩猟鳥獣の獣類20種の一つとして「ノネコ」を挙げています。一方、環境省の奄美野生生物保護センターは、ノネコを、人家から離れた山の中で野生化した猫として説明し、希少な在来動物が襲われる被害を問題にしています。
環境省の別の資料は、ノネコの捕獲を進めるために、マイクロチップなどでノネコと飼い猫を区別できることが重要だとしています。識別の仕組みが重視されていることから、見た目だけで判断するのは難しいと考えられます。住宅の庭に来る猫を、住民が自分の判断で「ノネコだから捕獲してよい」と扱える根拠は、確認した資料にはありませんでした。
狩猟鳥獣に載っているからといって、誰でも自由に捕獲できるわけではありません。環境省の概要は、狩猟には狩猟免許の取得と都道府県への登録が必要で、猟期や猟法も定められていること、爆発物、劇薬、毒薬を使う猟法や、人の生命や身体に重大な危害を及ぼすおそれのあるわなは禁止されていることを示しています。野生の鳥獣や卵を扱う許可の考え方は、巣に卵やヒナがあるときでも整理しています。
| 項目 | 野良猫(飼い主のいない猫) | ノネコ |
|---|---|---|
| 環境省資料などでの説明 | 飼い主のいない猫。猫は愛護動物として、動物愛護管理法の対象になる | 人家から離れた山の中で野生化した猫(環境省奄美野生生物保護センター) |
| 狩猟鳥獣の一覧 | 「野良猫」という区分は載っていない | 「ノネコ」が獣類の一つとして載っている |
| 捕獲に関わる手続き | 自治体の引取り制度(第35条)はあるが、排除目的の捕獲や引取りは行わない自治体がある | 狩猟には免許、登録、猟期、猟法の制限などがあり、庭先で自己判断で行えるものではない |
| 環境省などの対応例 | 地域猫活動、不妊去勢手術などの被害対策 | 奄美大島では、環境省・県・市町村が計画を作り、森林域で捕獲を行っている |
野良猫を捕まえて遠くに放す・保健所へ持ち込む|遺棄と引取り制度の関係
駆除ができないなら、別の場所へ移すか、保健所に引き取ってもらえばよいのでは、と考える人もいます。この2つの扱いを、遺棄と引取り制度に分けて確認します。
捕まえて遠くへ放す行為と遺棄
第44条第3項は、愛護動物を遺棄した者を、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。環境省も、犬やネコの遺棄は犯罪だと明記しています。猫を捕まえて、離れた公園や山に放す行為は、猫を捨てることと同じ結果になるため、遺棄にあたると判断されるおそれがあります。長野市は、TNR用の捕獲器について、捕獲した場所と異なる地域へ猫を移す目的や、駆除する目的での利用はできないと明記しています。
保健所・動物愛護センターへの持ち込みと、引取りを断られる場合
第35条は、都道府県や指定都市、中核市などが、犬や猫の引取りを行うと定めています。所有者が分からない猫についても、拾った人などから引取りを求められたときは、同じ規定が準用されます。ただし、引取りを断れる場合があり、施行規則第21条の3は、周辺の生活環境が損なわれるおそれがないと認められる場合と、引取りを求める相当の事由がないと認められるとして自治体の条例や規則に定める場合を挙げています。
実際の運用は自治体ごとに異なります。千葉市は、排除目的で捕獲した飼い主のいない猫の引取りも、捕獲も行っていないと案内し、長野市も、檻で捕獲した猫の引取りには応じていません。保健所に持ち込めば処分してもらえると考えて捕獲するのは、制度の趣旨とも合いません。第35条第4項は、引き取った猫について、殺処分がなくなることを目指して、飼い主への返還や、飼養を希望する人への譲渡に努めると定めています。
| してはいけない行為・誤解されやすい行為 | 関係する条文・制度 | 確認できた行政の扱い |
|---|---|---|
| 毒物や薬品を混ぜた餌を置く、けがをさせる仕掛けを設ける | 動物愛護管理法第44条第1項(殺傷)。狩猟でも、劇薬・毒薬を使う猟法や危険なわなは禁止(環境省) | 猟法の制限は環境省が示している。住宅の庭で個人が行う方法として認められた記載は確認できなかった |
| 捕まえて遠くの公園や山へ放す | 第44条第3項(遺棄)。環境省も、遺棄は犯罪と明記 | 長野市は、捕獲した場所と異なる地域へ移す目的での捕獲器の利用を認めていない |
| 排除のために、保健所や動物愛護センターへ持ち込む | 第35条(犬及び猫の引取り)、施行規則第21条の3(引取りを断れる場合) | 千葉市は排除目的の捕獲と引取りを行わず、長野市は檻で捕獲した猫の引取りに応じない |
| 他人の飼い猫を傷つける | 第44条、刑法第261条、民法第709条 | 長野市は、所有者がいる猫は元の場所に戻すよう案内している |
| 自己判断で「ノネコ」として猫を捕らえる | 鳥獣保護管理法の狩猟制度(免許、登録、猟期、猟法の制限) | ノネコは、環境省資料で、人家から離れた山の中で野生化した猫として説明されている |
野良猫の罠・捕獲器の扱い|TNR用は自治体や団体と連携して使う
「野良猫 罠」「野良猫 罠にかかった」と検索する場面は、2つに分かれます。猫を排除するために罠を使いたい場合と、設置した覚えのない捕獲器に猫が入っていた場合です。前者は、罠でけがをさせれば第44条第1項、遠くへ放せば第3項にかかわります。環境省の狩猟制度の概要も、人の生命や身体に重大な危害を及ぼすおそれがあるわなを危険猟法として禁じ、獣類を捕獲するためにとらばさみを使う方法を禁止猟法に挙げています。罠の作り方は、猫を傷つけたり遺棄につながったりする行為の入口になるため、この記事では扱いません。
自治体が貸し出すTNR用の捕獲器は、目的が決まっています。長野市は、市内で生活する猫に、繁殖制限手術を行うための貸出であり、野生動物の捕獲や駆除の目的、捕獲した場所と異なる地域へ移す目的には使えないとしています。捕獲した猫に首輪などで所有者がいると分かった場合は、手術を行わず、捕獲した場所に戻すとも案内しています。
TNRは、屋外で暮らす猫を捕獲器で捕まえ、動物病院で繁殖制限手術と耳先の切除を受けさせて、捕まえた場所に戻す活動です。長野市は、地域住民が主体となってTNRと給餌や排せつ物の管理を行う活動を、地域猫活動と説明しています。1人で始めず、自治体や活動団体、動物病院と連携して進めてください。
捕獲器に猫が入っていたとき
設置した覚えのない捕獲器に猫が入っていた場合は、猫を傷つけたり、その場から連れ去ったりせず、設置した人や、自治体の動物愛護担当へ連絡して確認します。首輪などから飼い猫と分かれば、飼い主へ連絡します。
他人の飼い猫だった場合|刑事上・民事上の問題
野良猫だと思っていた猫が、近所の飼い猫だったという場合があります。他人の飼い猫を傷つけた場合は、動物愛護管理法第44条に加えて、刑法第261条(他人の物を損壊し、または傷害した者を、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料に処する)や、民法第709条(故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者の損害賠償責任)が問われる可能性があります。適用は個別の事情によるため、弁護士などの専門家に確認してください。
反対に、近所の飼い猫がフン尿で被害を出している場合は、飼い主に責任が問われる場面もあります。民法第718条は、動物の占有者が、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うと定め、動物の種類と性質に従い相当の注意をもって管理していたときは、この限りでないとしています。ただし、感情的に抗議する前に、被害の記録をそろえ、自治体の窓口や自治会を通して穏やかに伝える方法を考えます。近所でも被害があるときの情報共有も参考にしてください。
法律の範囲でできる野良猫の被害対策|侵入防止・清掃・地域猫活動・相談
駆除ができなくても、被害を減らす方法はあります。千葉市は、各自の侵入防止策と、地域での餌やトイレの管理、不妊手術によって数を増やさないことが解決につながるという考え方を示しています。同市は、すでに増えた猫に急に餌やりをやめると、猫が場所を変えてごみあさりなどを起こし、かえって状況が悪化する可能性も指摘しています。
庭での具体的な手順は、野良猫の対策を庭で進める手順にまとめています。猫を傷つけない方法でも、効果が出るまで時間がかかったり、猫が慣れて効かなくなったりすることがあります。複数の方法を組み合わせ、貸出制度などで試しながら続けてください。集合住宅では、ベランダのフンらしきものの記録と連絡の方法も使えます。
| 困りごと | 法律の範囲でできること | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 庭や花壇のフン尿 | フンの片付け、においの残った土の入れ替え、ネットや砂利で入れなくする | 自治体の動物愛護担当・保健所。猫よけ器の貸出があれば利用する |
| 発情期の鳴き声やマーキング | 不妊去勢手術で軽減を目指す地域猫活動を検討する | 動物愛護センター・保健所、動物病院 |
| 近所の餌やりで猫が集まる | 被害の記録を取り、行政に相談する。餌と片付けのルールを地域で決める | 保健所・動物愛護センター、自治会 |
| 集合住宅のベランダや共用部分 | 写真と日時を残し、管理会社や管理組合へ連絡する | 管理会社・管理組合 |
| 飼い猫かもしれない猫が原因 | 首輪などの目印と被害を記録し、飼い主が分かれば穏やかに伝える | 自治体、自治会 |
参考:千葉市|よくある質問「野良猫に庭を汚されたり、車を傷つけられ困っている。駆除してほしい。」(2025年10月20日更新)
野良猫の殺処分・法案・環境省|よくある疑問と業者への依頼
「野良猫 殺処分」と検索する人もいます。第35条第4項は、都道府県知事等が引き取った犬や猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものには所有者への返還に、所有者がいないと推測されるものなどには飼養を希望する者への譲渡に努めると定めています。野良猫の駆除を目的とした捕獲や持ち込みを、法律が前提にしているわけではありません。
「野良猫 駆除 法案」「野良猫 駆除 環境省」については、2026年10月3日に確認した動物愛護管理法の条文に、野良猫を駆除の対象とする規定は見当たりませんでした。法改正の予定や議論は、環境省や国会の公開情報で、最新の状況を確認してください。
猫の被害対策を請け負うとうたう事業者に依頼しても、法律上の線引きは変わりません。侵入防止の工事や清掃は相談できますが、猫を傷つける、遠くへ放すといった内容を前提にした依頼は避けてください。契約で困ったときは、請求や契約でトラブルになったときも参考にしてください。






