野良猫の駆除は保健所や市役所に頼める?捕獲・排除は行わないと案内されている

千葉市は、よくある質問の回答(2025年10月20日更新)で、市では排除を目的として捕獲した飼い主のいない猫の引取りは行っておらず、捕獲も行っていないと説明しています。長野市の保健所も、TNR用の捕獲器を貸し出す際に、駆除の目的や捕獲した場所と異なる地域へ移す目的では使えず、檻で捕獲した猫の引取りにも応じないと案内しています。

日立市は、自宅に野良猫がいて困るという問い合わせに対し、自活できないケガをした成猫や生まれたばかりの子猫は茨城県動物指導センターへ相談するよう案内しています。健康な成猫は市では対応せず、忌避剤の散布や柵の設置などを各自で行う内容です(2024年1月24日更新)。窓口の名称や担当は違っても、駆除を引き受けないという点は、確認した自治体で同じでした。

ただし、行政が何もしてくれないという意味ではありません。猫よけ器の貸出、不妊去勢手術費用の助成、餌やりのマナーの周知、地域猫活動の支援など、被害を減らす取り組みは、確認した自治体の公式ページで案内されています。

参考:千葉市|よくある質問「野良猫に庭を汚されたり、車を傷つけられ困っている。駆除してほしい。」(2025年10月20日更新)

読者の疑問

野良猫の駆除を市役所に頼むことはできますか?

比較ガイド

確認した千葉市・長野市・日立市の公式ページでは、排除を目的とした捕獲や引取りには応じない(日立市は健康な成猫には対応しない)と案内されています。市役所に頼めるのは、猫よけ器の貸出、手術費の助成、地域猫活動の相談などで、制度の有無は自治体ごとに違います。

保健所・動物愛護センター・市役所の役割分担|野良猫の相談はどこへ

環境省の動物愛護管理法の概要は、犬及び猫の引取りと、道路や公園などで見つかった負傷動物等の収容を、都道府県、政令指定都市、中核市が行うものとして整理しています。窓口は、保健所の動物愛護担当であったり、独立した動物愛護センターであったりと、名称が自治体ごとに違います。

猫よけ器の貸出のような被害対策は、実施の有無も担当も自治体ごとに違います。最初に電話で「野良猫の被害の相談はどの課ですか」と聞くのが近道です。次の表は、公式ページで確認できた担当と案内の例です。

保健所・動物愛護センター・市役所の役割分担|野良猫の相談はどこへ:確認項目
窓口の種類公式ページで確認できた担当案内されている内容
特別区(新宿区)保健所衛生課管理係超音波式猫よけ器の貸出(1世帯1回)と、貸出前の事前予約の受付
特別区(大田区)保健所生活衛生課猫よけ器の貸出、自治会・町会等が行う地域猫活動への手術費助成などの支援
中核市(長野市)保健所食品生活衛生課の動物愛護センター猫の超音波忌避装置とTNR用捕獲器の貸出、繁殖制限手術の助成、地域猫活動の相談
政令指定都市(千葉市)保健福祉局の動物保護指導センター排除目的の捕獲・引取りは行わず、各自の侵入防止策と、地域での餌・トイレの管理、不妊手術を案内
政令指定都市(広島市)健康福祉局の動物愛護センター所有者不明の猫の引取りは原則行わない。複数住民の生活環境に支障がある場合は、猫侵入防止器の貸出や地域猫活動を案内
一般の市(日立市)市民生活環境部の環境推進課、保健福祉部の健康づくり推進課猫よけ器の貸出と餌やりのマナーの周知。ケガをした成猫や生まれたばかりの子猫は茨城県動物指導センターへ

参考:環境省|動物愛護管理法の概要

行政が野良猫を捕獲・駆除しない理由|動物愛護管理法の位置づけ

動物愛護管理法第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者を、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に処すると定めています。同条第4項は、愛護動物として牛、馬、豚、犬、猫などを挙げており、猫が含まれます。以下の条文は、2026年10月3日にe-Gov法令検索で確認した内容です。

第44条には、被害や迷惑を理由に野良猫を駆除してよいという例外は書かれていません。虐待(同条第2項)と遺棄(同条第3項)も、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。長野市は、TNR用の捕獲器を駆除目的には使えないと案内するページに、第44条の殺傷と遺棄の罰則を抜粋して載せています。千葉市は、猫を排除するのではなく、地域で餌やトイレを管理し、不妊手術で数を増やさないことが解決策だと説明しています。

引取りの制度も、駆除ではなく命の扱いを前提に書かれています。第35条第4項は、引き取った犬や猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものは返還に、所有者がいないと推測されるものなどは飼養を希望する者への譲渡に努めると定めています。

参考:e-Gov法令検索|動物の愛護及び管理に関する法律

所有者不明の野良猫を保健所が引き取る制度と条件|環境省の統計も確認

拾った人などが、所有者のいない猫の引取りを自治体に求められる仕組みはあります。第35条第3項は、所有者の判明しない犬や猫の引取りを拾得者などから求められた場合にも、引取りの規定を準用すると定めています。ただし、施行規則第21条の3は、周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合などに、自治体が引取りを拒否できるとしています。頼めば必ず引き取られる制度ではなく、自治体が事情を見て判断します。

広島市の動物愛護センターは、所有者不明の猫の引取りは原則行っていないと案内しています(2026年8月25日更新)。例外として相談を受けるのは、自活できない子猫で母猫の育児が明らかに行われていない場合と、重度の外傷や著しい衰弱で自力で動けない場合で、どちらも事前の電話相談が必要です。母猫は一時的に離れることがあるため、1日程度様子を見るよう求めています。

環境省が公表している令和6年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)の統計では、全国の自治体が引き取った猫は22,010頭でした。所有者不明の猫13,688頭のうち、幼齢の個体(主に離乳していない個体)が11,062頭で、約8割を占めます。所有者不明の猫の引取りの多くを、離乳前の子猫が占めていることが分かります。

所有者不明の野良猫を保健所が引き取る制度と条件|環境省の統計も確認:確認項目
区分頭数(令和6年度)補足
飼い主から引き取った猫(成熟個体)6,612頭飼い主が手放す場合の引取り
飼い主から引き取った猫(幼齢の個体)1,710頭幼齢は主に離乳していない個体
所有者不明の猫(成熟個体)2,626頭一部、県や市の条例に基づく収容を含む
所有者不明の猫(幼齢の個体)11,062頭一部、県や市の条例に基づく収容を含む
引取り数の合計22,010頭上の4区分の合計
負傷した猫の収容7,394頭負傷動物等の収容数(猫)。引取り数とは別の集計

参考:環境省|犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(令和6年度、統計資料)

猫よけ器の貸出は自治体で条件が違う|貸出期間・台数・窓口を比べる

大田区、新宿区、長野市は、猫よけ器の貸出を、購入前に効果を試すための制度と位置づけています。長野市は、敷地の構造や猫の個体差によって効果がない場合があると説明しています。大田区は、超音波が子どもや他の動物にストレスを与えることがあるため、設置する場所と向きに配慮するよう求めています。

次の表は、2026年10月3日に開いた各自治体の公式ページの掲載内容です。他の自治体に当てはまるとは限らないため、お住まいの自治体の制度は、保健所や環境担当課の公式ページか電話で確認してください。

借りる前に確認すること

大田区、新宿区、長野市、日立市のいずれも、在庫に限りがあるため、事前の電話や予約を求めています。窓口では氏名と住所を確認できる書類を求められるため、運転免許証やマイナンバーカードなどを持参します。

  • 電池を借りる側が用意する自治体がある(大田区・長野市・日立市は乾電池を自己負担と案内)
  • 使える場所は、自宅や自分で管理する敷地内に限られる(新宿区・日立市)
  • 道路や他人の敷地に向けた設置は避ける(日立市は道路等に向けて設置しないよう案内)

貸出だけで解決しないとき

貸出の期間は2週間から1か月ほどです。新宿区は、効果が出るまで数日かかることがあり、効果には個体差があると案内しています。効果が出ないときは、長野市が説明するように、敷地の構造や猫の個体差が影響していることがあります。新宿区は、猫よけ器だけでなく、さまざまな方法を組み合わせて試すと効果的だとしています。庭での具体的な対策や、日立市の制度の詳細は、日立市の猫よけ器の無料貸出と市の対応範囲にまとめています。

猫よけ器の貸出は自治体で条件が違う|貸出期間・台数・窓口を比べる:確認項目
自治体貸出期間・台数・費用対象と窓口公式ページの更新日
大田区1か月・2台まで・無料(乾電池は自己負担)被害に困る区民・区内事業所、または飼い主のいない猫対策を行う自治会・町会等。生活衛生課の窓口、事前に電話で在庫を確認2025年2月10日
新宿区貸出日から1か月間。1世帯1回まで、再貸出なし区内在住者または区内の土地・建物の管理者。保健所衛生課管理係の窓口、フォームで事前に予約2026年8月13日
長野市原則、貸出日から最長2週間・1世帯1台・無料(乾電池は自己負担)保健所動物愛護センターの窓口、事前に電話で予約2026年2月25日
日立市受取日の翌日から14日以内・1回1台・無料(電池代は自己負担)。同一世帯・事業者につき年度1回まで市内に居住する人、または市内に事業所・管理物件を持つ人。環境推進課、事前に連絡2026年6月1日

参考:新宿区|超音波式猫よけ器の貸し出しについて(2026年8月13日更新)

不妊去勢手術の助成と地域猫活動の支援の例|長野市・大田区

被害を根本から減らすには猫の数を増やさないことが大切だと、複数の自治体が案内しており、手術費用の助成や、地域で活動する団体への支援を行う自治体があります。次の表は、長野市と大田区の公式ページの掲載内容で、金額や条件は各ページの更新日時点のものです。

助成には手術の前に申請する必要がある自治体があり、長野市も申請は手術前に行うと定めています。ほかの自治体の例は、高知市の不妊去勢手術の補助と地域猫活動、飯塚市の捕獲器の無料貸出、津市の不妊去勢手術の補助でも確認できます。

不妊去勢手術の助成と地域猫活動の支援の例|長野市・大田区:確認項目
自治体制度公式ページの内容公式ページの更新日
長野市猫の繁殖制限助成(飼い主のいない猫)オス10,000円・メス13,000円。獣医師による耳先の切除が必須で、申請は手術前。申請者は長野市在住であること2026年10月1日
長野市TNR用の捕獲器の貸出市内に生息する猫のTNRが目的。駆除や別地域への移動には使えず、保健所は檻で捕獲した猫の引取りに応じない2026年5月8日
大田区自治会・町会等が行う地域猫活動への支援認定を受けた自治会・町会等に、手術費の助成(上限は1匹あたりおす13,000円・めす21,000円、医療措置費等を含む)と、清掃活動支援金(月額3,000円)2026年4月1日

参考:長野市|猫の繁殖制限助成(2026年10月1日更新)

さくら耳の野良猫は何のしるし?地域猫活動の仕組みと見分け方

三重県は、不妊手術済みのしるしに耳先をさくらの花びらの形にカットした猫を「さくらねこ」、その耳を「さくら耳」と説明しています。長野市も、手術した猫は耳の先端をカットし、外観から手術済みと分かるようにするとしています。環境省のガイドラインは、識別方法として、V字カット、耳ピアス(ビーズ)、マイクロチップを挙げており、方法は地域や団体で違う場合があります。

環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」は、地域猫を、地域住民の認知と合意が得られている特定の飼い主のいない猫と定義しています。餌やりの場所は決められ、排泄物の処理や周辺の清掃が行われ、不妊去勢手術で数が増えるのを抑えます。猫を排除するのではなく、地域で管理して一代限りの命を全うさせる取り組みです。活動には、周辺住民の理解と、自治会としての合意が欠かせないとされています。

耳先がカットされた猫は、手術を受けて世話をする人や団体がいる可能性があります。捕まえて保健所へ持ち込む対象として扱うものではなく、被害がある場合は、世話をしている人を探して餌やりとトイレの管理を相談するのが基本です。長野市は、近所で話し合って給餌している人を探し、自治会に回覧を頼む進め方を案内しています。

さくら耳の野良猫は何のしるし?地域猫活動の仕組みと見分け方:確認項目
見かけた猫の様子考えられる状況相談の方向
耳先がカットされている不妊去勢手術を受けた猫で、世話をする人や団体がいる可能性がある餌やりとトイレの管理について、世話をしている人、自治会、自治体の窓口へ
耳の形は普通で、決まった場所に餌が置かれている手術の有無が不明で、繁殖が続くおそれがある餌の置き方を記録し、自治体の窓口で地域猫活動や条例の案内を確認
首輪などのしるしがある飼い猫の可能性がある。長野市はTNR用の捕獲器で首輪など所有者がいると分かる猫を捕獲したとき、手術をせず捕獲した場所に戻すよう案内被害の事実を自治体の窓口に伝え、飼い主への連絡方法を相談

参考:三重県|飼い主のいない猫への無料不妊手術等を実施しました(さくらねこ・さくら耳の説明)

野良猫の被害を相談する前にまとめる記録|日時・場所・被害・餌やりの有無・写真

長野市の保健所には、外にいる猫の糞尿、発情による鳴き声、繁殖で困っているという相談が多く寄せられると公式ページに書かれています。大田区も、苦情で最も多いのはふん尿の被害だと案内しています。行政の窓口は現場を毎日見られないため、被害がいつ、どこで、どの程度起きているかを記録して伝えると、利用できる制度を選んでもらいやすくなります。

記録は、スマートフォンのメモと写真を一か所にまとめる形で十分です。数日から数週間続けて残すと、被害が続いているかどうかが分かります。猫や餌を置く人に近づいたり、他人の敷地に入って撮影したりする必要はありません。表の項目を、日付順に書き足していきます。

野良猫の被害を相談する前にまとめる記録|日時・場所・被害・餌やりの有無・写真:確認項目
記録する項目書き方の例気をつけること
日時「10月3日 朝6時ごろ」のように日付と時間帯を書く数日分を続けて残す
場所住所、敷地内の位置(玄関前・花壇・駐車場)、地図の印他人の敷地には入らずに撮る
猫の様子頭数、毛色、耳先のカットの有無、首輪の有無近づいたり追い払ったりしない
被害の内容フン尿、鳴き声、ごみの散乱、車の傷など。片付けにかかった手間片付ける前に写真を撮る
餌やりの有無置き餌や容器の有無、餌を置く様子を見た日時と場所人物を断定せず、見た事実だけを書く
試した対策と変化猫よけ器、ネット、清掃の日付と、その後の変化いつ何をしたかを日付で残す

参考:長野市|猫によるお困りごと対策~地域猫活動のすすめ~(2026年2月14日更新)

自治会・マンション管理組合を通じて相談する|地域で進めるときの順番

環境省のガイドラインは、地域猫活動を猫の問題ではなく地域の環境問題として捉えるものとし、自治会としての合意が重要だと述べています。大田区の支援制度も、自治会・町会等が申請の主体です。個人の窓口相談だけでなく、地域や建物の単位で進めると解決しやすくなります。

集合住宅や借家では、敷地内の餌やりや猫トイレの設置に、土地や建物の管理者の了解が欠かせません。大田区は、給餌の場所や時間は管理者の了解のもとに行うよう求め、他人が所有・管理する土地や建物での無断給餌は不法侵入などにあたる違法行為だと案内しています。共用部の場合はマンション共用部で被害を見つけたときの連絡、賃貸の場合は賃貸の被害を管理会社へ報告する連絡文が参考になります。

相談を進める順番

次の順番で進めると、地域の話し合いと自治体の制度をつなげられます。近所にも被害が出ているかを確かめるときは、近所でも被害がある場合の情報共有の方法のように、決めつけず事実を中心に話します。

  • 自分の記録(日時・場所・被害・写真)を一枚にまとめる
  • 管理組合、管理会社、大家、自治会に同じ内容を伝える
  • 自治体の窓口で、猫よけ器の貸出や助成などの制度の有無を確認する
  • 地域猫活動を始める場合は、自治体の窓口に進め方と支援を相談する

地域の窓口を調べる

地域ごとの窓口の違いは、大阪の害獣相談はどこへ?大阪市・堺市・東大阪市の案内のように、自治体別に整理された記事も参考になります。

参考:環境省|住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(平成22年2月、PDF)