ハクビシン駆除を自分でする範囲|できる・許可が要る・任せるの3つに仕分ける

「自分で駆除する」と一言で言っても、作業は性質の違うものが混ざっています。餌を片づける、枝を切るといった作業は許可なしで進められますが、わなで捕まえる作業は許可が要り、毒薬を使う方法は禁止されています。さらに、屋根や屋根裏の作業、ためフンの清掃は、法律ではなく安全の面から専門に任せる方がよい作業です。

次の表は、公的資料の記載をもとに、この記事で作業を3つの区分に仕分けたものです。区分の名前は当記事の整理で、資料が「この作業は自分でやってよい」と保証しているわけではありません。製品や道具は、必ず説明書に従って使ってください。

ハクビシン駆除を自分でする範囲|できる・許可が要る・任せるの3つに仕分ける:確認項目
作業区分理由と根拠となる資料の記載
庭木の果実、生ごみ、ペットの食べ残しの片づけ自分でできる東京都・世田谷区・横浜市が、餌になるものを放置しないよう案内している
屋根にかかる枝の剪定(地上から届く範囲)自分でできる世田谷区・文京区が、枝を伝って屋根へ上がれないよう剪定を勧めている。高い枝は無理をしない
地上近くの通風口・破損部のすき間の補修自分でできる(中を確認してから)農林水産省は、床下の通風口からの侵入が最も多いとし、丈夫な金属や板での補修を挙げている
市販のくん煙剤などでの追い出し製品表示に従えば可能(限界あり)東京都は、追い出せる可能性はあるが、逃げた個体が別の家に入るおそれがあり根本的な解決にならないとしている
箱わななどでの捕獲許可が必要環境省は、野生鳥獣の捕獲を原則禁止し、許可を受けた場合などに認めると説明している
毒餌・毒薬を使った駆除してはいけない環境省は、毒薬を使用する猟法を危険猟法として禁止している
屋根・軒など高所の点検と封鎖専門に任せる目安農林水産省は、侵入口は床下だけでなく軒の破損部分や瓦屋根の隙間など上部も狙われるとする。同書のイタチのコラムも、一般の人の点検・封鎖には建築の知識が要り、見落としや事故の危険があるとしている
屋根裏のためフン・尿の清掃、断熱材や天井板の交換専門に任せる目安農林水産省は、糞尿を扱うときの手袋・衣類・機材の洗浄消毒などを求め、寄生虫や感染症に注意を促している

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

読者の疑問

ハクビシンは自分で駆除してもよいですか?

比較ガイド

餌の管理や枝の剪定、地上の補修など寄せつけない対策は自分でできます。捕獲には許可が必要で、毒薬は禁止です。わなを買う前に、居住地の自治体へ相談してください。

自分でできる対策|餌・枝・庭の見直しとハクビシン対策グッズ

ハクビシンは雑食で、甘い果実やトウモロコシ、生ごみ、ペットの食べ残し、小動物まで食べます。世田谷区は、庭木の果実や家庭菜園の作物を早めに収穫し、収穫後の葉やつるも片づけること、生ごみは収集日の朝に出すことを勧めています。農林水産省の中型獣類編は、被害対策では「食べさせない」「安心できない」環境づくりを優先し、餌場や休息場所をそのままにして捕獲に頼る対策は、増やす手助けをしながら減らそうとするようなものだと述べています。まず餌を断つのは、費用がほとんどかからない第一歩でもあります。

対策グッズは、種類によって公的資料での扱いが違います。ホームセンターなどで買えるものを、資料にある記載と注意点に分けて表にしました。「効くかどうか」は場所や個体で変わるため、グッズ1つで解決する前提で買わないようにします。

餌になるものを減らす(庭木の果実・生ごみ・ペットフード・池)

東京都は、餌資源をなくす対策として、農地・家庭菜園をネットや電気柵で守ること、庭木の果実や放棄された作物を残さないこと、ペットの食べ残しやお供え物を外に放置しないこと、池の魚を金網で覆うことを挙げています。庭に果樹がある家では、実を落ちたまま放置しないことが、ハクビシンを呼ぶ原因になりえます。

町田市の資料は、庭の動物の糞に果物の種が混じっていたり、果物の甘い香りがしたりすれば、ハクビシンの可能性が高いとしています。同じ資料に、酸っぱい果物には寄ってきにくい傾向があるとの記載もありますが、傾向であって保証ではありません。

屋根へ登る経路を断つ(枝・雨どい・庭木)

農林水産省は、ハクビシンは爪が小さく、分厚い肉球を押し付けて柱を登り降りするため、雨どいのようなつるつるした素材でも登れると説明しています。電線の上も歩けるため、枝や雨どいを切っても通行をゼロにはできません。

世田谷区は、枝が屋根にかかる前に定期的に剪定するよう案内しています。町田市の資料も、庭の草木が茂ると動物が隠れやすくなるため手入れが必要としています。地上から安全に届く範囲だけを自分で切り、脚立や屋根上の作業が必要な枝は、造園業者などに任せてください。

自分でできる対策|餌・枝・庭の見直しとハクビシン対策グッズ:確認項目
対策グッズ・方法公的資料での扱い注意点
忌避剤(木酢液・竹酢液など)練馬区は有効な場合があるとし、世田谷区は刺激臭を嫌う対策として挙げる東京都は、追い出しても別の家で被害が出るおそれがあり、数を減らす根本策にならないとしている。町田市は強い匂いが近隣に及ぶことがあると記す
くん煙式・くん蒸式の殺虫剤東京都・横浜市・世田谷区が、屋根裏から追い出す方法として紹介東京都は、密閉空間でないと煙が行き渡らず効果が出ないことがあるとする。使用は製品表示の使用場所と方法に従う
電球などで明るくする世田谷区のQ&Aが、屋根裏を明るくして嫌がる環境をつくる方法として挙げる効果の根拠は資料に示されていない。侵入口の封鎖の代わりにはならない
ネット・金網・電気柵東京都は、庭や菜園への侵入予防として挙げる。農林水産省は、電気柵は線の間隔を10cm以下にする必要があるとする農林水産省は、物理柵だけでは登る動物(アライグマ・ハクビシンなど)には通用しないとする。電気柵は草による漏電の管理が要る
音やラジオなどで脅かす方法確認した省庁・自治体の資料では、効果を示した記載を確認できず効果を前提にした対策にしない。まず餌と侵入口を見直す

参考:東京都環境局|被害を防ぐために(アライグマ・ハクビシン)

許可が必要なことと、してはいけないこと(法律の要点)

環境省は、鳥獣保護管理法のもとで、狩猟による場合を除き、鳥獣の捕獲や殺傷は原則として禁止され、生態系や農林水産業への被害がある場合などに、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲できると説明しています。許可には、都道府県が定める捕獲の基準があり、多くの都道府県では権限の一部を市町村長に移しています。ハクビシンも、農林水産省が示す狩猟鳥獣の一つですが、狩猟には免許と登録、期間、猟法の制限があり、免許のない人が自由に捕れるわけではありません。

町田市の資料は、アライグマやハクビシンを箱わなで捕獲しようとする場合、許可を得るには原則としてわな猟免許が必要で、住宅内に被害がある場合などは例外もあるとしています。世田谷区のQ&Aは、自分で買って設置したわなにハクビシンがかかった場合、許可のない捕獲は禁止されているため区の事業では引取れないとしています。罠を買ってから相談するのではなく、買う前に相談します。許可の詳しい手続きは、居住地の自治体の窓口で確認します。

  • 許可なく箱わななどで捕獲しない。わなを買う前に自治体へ相談する
  • 毒餌などの毒薬で駆除しない(毒薬を使う猟法は危険猟法として禁止されている)
  • 捕獲した個体を、別の場所へ運んで放さない(水戸市は放置や放獣を禁止としている)
  • アライグマだった場合は、特定外来生物のため、生きたまま持ち帰ったり運んだりしない

参考:町田市|アライグマ・ハクビシンに気をつけましょう(敷地や屋根裏に侵入する動物を捕獲するには?、PDF)

屋根裏・高所作業とためフン清掃の注意

自分でやってしまいがちなのが、屋根裏を覗いてフンを片づけ、屋根に上がって穴を塞ぐ作業です。農林水産省の中型獣類編は、ハクビシンにはノミやダニがつき、それらが媒介する病気や、動物自身や糞尿を通じて広がる感染症があるため、過度な接近は注意が必要とし、ペットにうつる病気もあると述べています。

世田谷区は、屋根裏に箱わなを置く場合について、見回りと餌の交換が難しく、回収時に捕まえた動物が暴れて危険なため、ほとんどの場合は屋外の侵入経路に置くと説明しています。区の委託業者の運用でも、屋根裏を避ける理由があることを、頭に入れておきます。

屋根・軒・高所は、地上から見るところまで

農林水産省の中型獣類編は、建物への侵入は床下の通風口だけでなく、軒の破損部分、瓦屋根の隙間、増築した継ぎ目など上部も狙われると説明しています。同じマニュアルのシベリアイタチの家屋侵入を扱うコラムは、一般の人が点検・封鎖するにはある程度の建築の知識が必要で、見落としや事故の危険があるとしています。ハクビシンでも上部の侵入口は高所になるため、脚立で届かない屋根や軒の作業は行わず、地上や室内から見えるすき間を写真で記録するところまでにとどめます。

ためフンと尿の清掃は、素手で触らない

ハクビシンは寝る場所で排泄し、糞尿が積もって天井板が落ちた例も農林水産省の資料に載っています。町田市は、天井に尿が染み出した例と、天井が腐って落ちた例の写真を掲載しています。広い範囲の汚れや、断熱材に染みた汚れは、自分で拭ける範囲を超えます。

どうしても自分で触れる場所の片づけが必要なとき、農林水産省は、手袋を着け、肌を出さない服装にして、糞尿・血液・唾液などに直接触れないこと、作業に使った衣類と道具を洗浄・消毒することを求めています。消毒薬の種類や使い方は、製品の表示に従ってください。清掃の範囲は駆除後の清掃で確認することも参考になります。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

自分で進める順番と記録のつけ方

自分で対策を進めるなら、手順を決めて記録を残します。あとで自治体や業者へ相談するとき、何を試して、どう変わったかが分かる記録は、調べる範囲を絞る助けになります。次の表は、自分で行う範囲に限った当記事の進め方の例です。

音の記録は夜間の天井の音を記録する方法が使えます。記録の様式は自由ですが、日付、時刻、場所、写真の番号を揃えておくと、見返しやすくなり、封鎖後の経過も同じ形で続けられます。

自分で進める順番と記録のつけ方:確認項目
順番やること記録しておくこと
1. 状況の記録音、天井のシミ、においの変化を室内から確認し、屋根裏には入らない日付、時刻、場所、写真の番号
2. 餌と通り道を減らす果実・生ごみ・ペットの食べ残しを片づけ、屋根にかかる枝を剪定する片づけた日、剪定した枝の位置
3. 地上から侵入口を探す通風口、軒下、雨戸の戸袋、増築のつなぎ目などを地上から見るすき間の位置、大きさ、写真
4. 追い出し(行う場合)中に動物がいる前提で、くん煙剤などを製品表示どおりに使う。夜行性のため日暮れ後が効果的とする自治体もある使った製品、日時、その後の音の変化
5. 足音が止まったか確認数日にわたり、夜の音が止まったかを記録して確かめる音の有無、時刻
6. 封鎖は中を確認してから中に動物がいないと確かめ、丈夫な金属や板で地上の侵入口を塞ぐ。高所は専門へ塞いだ場所、材料、日付、塞ぐ前後の写真

参考:横浜市|野生動物による生活被害について

失敗しやすい点|閉じ込めと塞ぎ残し

自分で行う対策の失敗は、いくつかの型に集まります。どれも公的資料が注意を促している点で、特に「中にいるのに塞いだ」と「一部だけ塞いだ」は、被害を悪化させる原因になります。

動物が中にいる状態で塞いで、閉じ込める

農林水産省は、侵入口が確認できて塞ぐ段階でも、中に居ないことを確認することを忘れてはいけないとしています。追い出しの途中で出入口を塞ぐと、中の動物が別の出口を壊したり、屋根裏から出られなくなったりする危険があります。数日の間、夜の足音が止まっているかを確かめてから進めるのが基本です。

農林水産省は、ハクビシンが家屋を出産・子育ての場に使うと、足音とともに子の鳴き声が騒音になると説明し、天井裏で子を運ぶ母親の写真も載せています。子の声が聞こえるときは、親子が離れたり、子が取り残されたりするおそれがあるため、自分で追い出しや封鎖を進めず、自治体か専門業者へ相談する方が安全です。これは公的資料の記載を踏まえた当記事の判断です。

一部のすき間だけ塞いで、別の場所から入られる

農林水産省は、ハクビシンは6cm×12cmのすき間があれば入れるとし、練馬区は直方形なら8cm四方、円なら直径10cmほどのすき間をくぐり抜けられるとしています。町田市は直径8cmほどの穴から入れると説明しています。資料ごとに数値が違うため、指が入る程度の穴も含めて点検する方が安全です。

横浜市は、点検する場所として、基礎の通風孔、屋根と屋根が重なっている空間、雨戸の戸袋の底、増築のつなぎ目を挙げています。農林水産省は、ねぐらを1頭が複数持つとしており、1か所を塞ぐだけでは別のねぐらや別の入口に移るおそれがあります。材料は害獣の侵入口を塞ぐ材料も参考にします。

追い出しだけで終わらせる

東京都は、くん煙剤などで追い出しても、逃げた個体が別の家に入ってそこで被害を起こすおそれがあり、数を減らす根本的な解決にならないとしています。追い出しは、餌の管理と侵入口の封鎖とセットで行う作業と考えます。忌避剤の考え方は害獣の忌避剤だけで解決するかにまとめています。

参考:町田市|アライグマ・ハクビシンに気をつけましょう(どこから屋内に侵入してくる?、PDF)

自治体・業者へ切り替える目安と、費用を抑える分担

自分で進める作業と、任せる作業を分けると、費用も抑えやすくなります。捕獲は、自治体の箱わな事業があれば活用します。区の事業の対応と条件はハクビシン駆除を市役所・区役所に頼めるかで比べています。封鎖と清掃は住宅側に残る例が多いため、見積書を項目ごとに分けてもらい、相見積もりの比べ方で確認します。

分担の組み合わせは、被害の程度で変わります。足音がまだ少なく、天井にも変化がなければ、餌の管理と地上の点検を自分で行い、様子を記録します。音が続く、シミが出た、屋根に侵入口がありそうといった状態になれば、調査から専門に任せる段階です。屋根を歩く音だけの場合は、屋根裏への侵入と分けて考えます。

  • 自分で進める例:餌と枝を整え、地上から見える侵入口を記録して、結果を観察する
  • 自治体に頼む例:箱わなの設置・回収と、捕獲の許可の窓口の相談
  • 業者に頼む例:屋根・軒の点検と封鎖、屋根裏のフンの清掃・消毒、断熱材や天井板の交換

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)