ハクビシンの体の大きさと通れる隙間|資料ごとの数値
ハクビシンの大きさは、資料ごとに書き方が異なります。農林水産省のマニュアルは、鼻先から尾の先まで1m程度で、尾は頭から胴体と同じくらい長く、体重は3〜4kg程度としています。東京都の外来種対策マニュアルは体長(成獣)40〜60cm、体重2.0〜5.5kgと記載し、国立環境研究所のデータベースは頭胴長がメス61cm・オス66cm、尾長40cm、体重3kgとしています。体長が尾を含むかどうかも資料で違います。
通れる隙間は、農林水産省が6cm×12cmの隙間があれば侵入できるとし、東京都は8cm四方の隙間にも入り込むとしています。町田市は直径8cmくらいの穴から侵入できる例を示し、酒田市や板橋区は頭が入れば通り抜けると案内しています。数値は計測条件や個体差で変わるため、この数値より小さいから安全とは言えません。
表の数値は、ハクビシンが通れる目安であり、補修の設計寸法ではありません。通風や排水の役目をもつ開口は、塞ぐと別の問題が出るため、寸法だけで判断せず、現地で確認します。
| 資料 | 書かれている内容(2026年10月時点の掲載) | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| 農林水産省 中型獣類編マニュアル(令和6年3月) | 6cm×12cmの隙間があれば侵入できる。体重は3〜4kg程度 | 長方形の隙間の寸法。細長い隙間も対象になる |
| 東京都 外来種対策マニュアル | 8cm四方の隙間にも入り込む。体重は2.0〜5.5kg | 正方形で示した目安 |
| 町田市 アライグマ・ハクビシンの資料 | 直径8cmくらいの穴から侵入できる。ネズミは1〜2cmの隙間でも入る | 劣化した穴や、屋根の組み合わせの隙間からの侵入例を紹介 |
| 酒田市・板橋区 | 頭が入るところから通り抜ける | 寸法ではなく、頭が入るかどうかで見る考え方 |
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)
ハクビシンはどのくらいの隙間から入れますか?
農林水産省は6cm×12cm、東京都は8cm四方の隙間を例に挙げ、酒田市などは頭が入れば通り抜けると案内しています。資料で数値が異なるため、数値より小さい隙間を放置してよいとは言えません。
屋根へ上がる経路|庭木・雨どい・電線・側溝
屋根裏へ入る前に、まず屋根や軒へ上がる経路があります。農林水産省のマニュアルは、ハクビシンが分厚い肉球を押し付けて柱を上り下りするため、雨どいのようなツルツルした素材でも登れると説明しています。東京都は、柱に登ることや電線を伝い歩きすることを挙げ、酒田市は、屋根へ上がる手段として庭木から飛び移る方法が多いと案内しています。
一方、酒田市は垂直な外壁は登れないと案内し、世田谷区は平らな壁を登ると書くなど、壁の登りやすさは資料によって書き方が違います。どちらかに決めず、庭木・雨どい・電線・柱・物置や塀のように、屋根と地面をつなぐものを全部候補に挙げて、確認する前提にします。
庭木の枝と物置・塀
家屋への侵入経路になる木の枝は、東京都の資料が切るよう案内し、板橋区や文京区も屋根に登れる庭木の枝の剪定を挙げています。隣家の木や共有の木は勝手に切らず、位置を写真に残して所有者や管理者に相談します。屋根を歩く姿を見たときの記録も、経路の確認に使えます。
雨どい・柱・電線
雨どいや柱、電線は、建物の所有者以外が管理する設備を含みます。引込線や電柱に物を取り付けたり、雨どいに詰め物をしたりせず、どこを通るかを地上から写真に残し、設備の管理者や施工業者へ確認してください。
側溝・水路から家へ
東京都の資料は、ハクビシンが水辺を好み、河川や用水路、側溝を移動経路に使うとしています。家の周りの側溝や水路が敷地につながる場所を、庭木や雨どいと一緒に略図へ書き込んでおくと、あとで調査を頼むときに経路を説明しやすくなります。
侵入口になりやすい場所|部位別の確認表
農林水産省のマニュアルは、侵入は地上近くの床下と、軒など上部が狙われ、床下は通風口からが最も多いとしています。上部は、軒の破損部分、瓦屋根の隙間、増築した継ぎ目などです。横浜市は、基礎コンクリートの通風孔、屋根と屋根が重なっている空間、雨戸の戸袋の底、増築部分の接続部分を、追い出し後の点検箇所に挙げています。
町田市は、築40年以上の建物からの相談が多く、劣化して穴があいたところだけでなく、建物の構造上ある隙間からの侵入例もあったと書いています。新しい建物でも、継ぎ目や取り合いの部分は確認の対象に入れます。
| 部位 | 資料に挙がる例 | 地上から見る点 |
|---|---|---|
| 床下の通風口(基礎) | 農林水産省:床下からの侵入は通風口が最も多い。酒田市:網や柵が壊れたり、錆びてもろくなったりしている場合がある | 網や柵の破れ、外れ、曲がり。周りの地面の乱れ |
| 軒 | 農林水産省:軒の破損部分は狙われる | 穴、剥がれ、板の浮き、黒ずみ |
| 屋根の重なり・瓦 | 横浜市・酒田市:屋根と屋根が重なっている空間。農林水産省:瓦屋根の隙間 | 重なり部の奥行きと、隙間の影 |
| 増築の継ぎ目 | 農林水産省・世田谷区・酒田市:増築した継ぎ目や、接続部分にできた空間 | 古い部分と新しい部分の境目のずれ |
| 外壁の穴・継ぎ目 | 世田谷区:外壁の継ぎ目。酒田市:朽ちた外壁の穴 | 割れ、浮き、板の腐り |
| 雨戸の戸袋 | 横浜市:雨戸の戸袋の底 | 戸袋の底の穴、板の傷み |
侵入口の手がかり|足跡・爪跡・汚れの見つけ方
侵入口の手がかりとして、農林水産省は、ハクビシンが柱や雨どいに足跡を残す例と、糞尿のシミを挙げています。東京都の見分け方の資料は、ハクビシンの指は5本ですが、爪跡は不明瞭と説明し、世田谷区のQ&Aは、足跡はネズミより歩幅が広いと案内しています。見つけたら、触らずに全体と近くの写真を2枚撮り、場所と日付をメモします。
農林水産省は、ハクビシンは爪が小さく、柱などを登るときに爪を引っ掛けず、分厚い肉球を押し付けて上り下りすると説明しています。柱の爪痕の有無だけで、アライグマかハクビシンかを決めることはできません。侵入口の位置から、動物の種類を決めないことも大切です。
足跡を確かめる方法と、その限界
酒田市は、通風口が疑わしいときに、穴の下の地面に石灰などの白い粉をまき、足跡が付くかで確認する方法を案内しています。農林水産省のマニュアルは、足跡トラップやセンサーカメラで生息を確認する方法を紹介しています。
どちらも、粉や機材を敷地外や共用部に置くと、近隣や管理者の迷惑になることがあります。粉の種類や扱い方に不安があるときは、自治体や専門業者に確認し、設置は建物の所有者・管理者の承諾の範囲にとどめます。
床下から上がる経路を確認する
農林水産省のマニュアルは、ハクビシンが夏場は涼しい床下を、気温が下がると暖かい天井裏を、日中の休憩場所にすると説明しています。酒田市は、通風口から入った個体が壁の内側を通って天井裏へ棲みつく例を紹介しています。屋根裏の音がするときも、地面に近い通風口を同時に確認する必要があります。
床下へ人が入って確かめることは、換気・水・電気設備の危険があります。床下周辺の物音や痕跡でも触れているとおり、まず外周から通風口の網や枠を写真で見る範囲にとどめます。中を調べる必要があれば、建物の構造を理解した調査担当に頼みます。
地上から確認する順番|5つの手順
登らずに地上から確認する順番にします。屋根や軒に登るのは、転落の危険があり、屋根材を傷めることもあります。見える範囲だけを記録し、見えない部分は未確認と書いておくと、調査を頼むときに範囲を相談できます。軒や屋根のすき間を地上から確認する方法も参考になります。
| 順番 | 見る場所 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 1 | 庭木・物置・塀と屋根の距離 | 屋根や軒に届く枝、物置の高さ。位置を写真と略図に |
| 2 | 雨どい・柱・電線の通り | 汚れや足跡のある高さと場所 |
| 3 | 床下の通風口(地面近く) | 網の破れ、外れ、錆び。全体と近接の写真 |
| 4 | 軒・外壁・増築の継ぎ目(地上から見上げる範囲) | 穴、剥がれ、ずれの位置。スマートフォンのズームで拡大 |
| 5 | 屋根の重なり・瓦(地上から見える範囲) | 見えない箇所は、未確認として残す |
中にいる状態で塞がない理由と、補修の時期
相模原市は、建物の周りを調べて侵入口を特定し、動物が建物の中にいないことを確認してから侵入口をふさぐよう案内し、天井裏に侵入した動物は食べ物を探すために外へ出ると説明しています。農林水産省のマニュアルも、塞ぐ作業では中に居ないことの確認を忘れてはいけないとしています。見つけたその日に塞がず、不在の確認が先です。
中に動物が残ったまま出入り口を塞ぐと、動物が出られなくなり、傷つくおそれがあります。野生鳥獣を許可なく捕獲・殺傷することは法律で禁止されているため、不在の確認方法や進め方は自治体の窓口や専門業者に確認してください。追い出しから封鎖までの流れはハクビシンを屋根裏から追い出す方法にまとめています。
塞ぐ材料について、農林水産省は、金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は破壊される可能性があるので使わないとしています。ただし、通風口などは換気の役割があるため、換気口の破損を見つけたときの考え方のように、空気の通り道を残す設計が必要です。補修の時期の判断は侵入口を塞ぐ時期の確認も合わせて見てください。





