テンとはどんな動物?大きさ・毛色・食べ物・暮らし方

テンは、イタチ科の野生の哺乳類です。農林水産省のマニュアルは、ニホンテンを二つの亜種に分け、ホンドテンが本州・四国・九州・淡路島に、ツシマテンが対馬に自然分布すると説明しています。頭胴長は40cm前後、尾長は20cm前後で、夏は顔が黒く体が茶褐色、冬毛は顔が白く体が明るい黄色になります。国立環境研究所のデータベースは、毛色の変異が大きく、鮮やかな黄色の個体(キテン)から黒褐色のもの(スステン)までいるとし、体重を1.1〜1.5kgとしています。

食べ物は、果実類、昆虫類、小型の脊椎動物を中心とした雑食で、季節の餌の量に応じて変わります。登る力が強く、太い木を垂直に登ることも、細い枝を渡ることもできます。森林の中でも、林縁部への依存度が高いため、中山間地域も生息地になっています。活動する時間帯(夜行性かどうか)は、今回確認した公的資料に明確な記載がなく、音や姿の時間帯だけでほかの動物と区別しないでください。

テンとはどんな動物?大きさ・毛色・食べ物・暮らし方:確認項目
項目内容出典
分類・自然分布イタチ科。ホンドテンは本州・四国・九州・淡路島、ツシマテンは対馬に自然分布する農林水産省
大きさ頭胴長40cm前後、尾長20cm前後。国立環境研究所は頭胴長45cm、尾長19cm、体重1.1〜1.5kgとしている農林水産省、国立環境研究所
毛色夏は顔が黒く体は茶褐色、冬は顔が白く体は明るい黄色。個体による変異が大きい農林水産省、国立環境研究所
食べ物果実類、昆虫類、小型の脊椎動物などを食べる雑食農林水産省
繁殖交尾期は7〜8月、出産期は4〜5月、産仔数は2〜4。妊娠は着床遅延を含めて8〜9か月国立環境研究所
暮らし方単独で生活する。樹洞のほか、中山間地域では家屋の屋根裏や物置も利用する国立環境研究所、農林水産省

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

読者の疑問

テンはどんな動物ですか?ハクビシンやイタチとどう違いますか?

比較ガイド

テンはイタチ科の動物で、頭胴長は40cm前後、尾長は20cm前後です。農林水産省の資料には、足跡のパッドが半月形で4cm以下、フンが石の上や天井裏に見られる例など違いが示されていますが、決め手にならないため、写真を残して相談します。

テンはどこにいる?本州〜九州に加えて、北海道・佐渡の事情

テンが自然に分布するのは、本州・四国・九州と淡路島(ホンドテン)、対馬(ツシマテン)です。生息環境について国立環境研究所は、広葉樹の森林のほか、樹木があれば人家周辺にも見られるとしています。環境省の外来種リスト第2版は、国内の別の地域から持ち込まれた外来種として、北海道・佐渡島・口之島での分布を載せ、北海道には毛皮を目的とした養殖のために、佐渡島にはノウサギの天敵として導入されたと書いています。

北海道では在来のクロテンと分布が分かれる

環境省のリストによると、北海道では石狩低地帯を境に、東側に在来のクロテン、西側にニホンテンと分布が分かれています。同じ北海道でも、地域によって動物が違うため、「テン」を見かけたときの種類の確認は、道や振興局、市町村に相談してください。法令の狩猟鳥獣の欄に挙がっているのは、学名がMartes melampusのテンで、クロテンは別の種です。

対馬では亜種のツシマテン

ツシマテンは、狩猟鳥獣の欄で「ツシマテンを除く」とされている亜種で、狩猟の対象にはなりません。農林水産省のマニュアルは、ツシマテンが対馬に自然分布すると説明しています。対馬で見かけたテンの扱いは、自己判断せず、長崎県や対馬市の窓口に確認してください。

参考:環境省|我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト 第2版 動物(PDF、2026年9月公表)

屋根裏・物置での被害の出方と、フン・足跡の確認

農林水産省のマニュアルは、テンの被害として、ぶどう・かき・イチゴの食害、鶏舎への侵入によるニワトリや卵の被害を挙げています。家屋については、中山間地域で屋根裏や物置を利用する例があると説明し、写真でも物置を使うテンが紹介されています。屋根裏や壁の隙間を利用するアライグマ、ハクビシン、テンなどは、建物への依存度が高く、空き家や管理が行き届かない建物が増えると、休み場所が広がるとしています。ただし、全国的な被害統計には種ごとの集計値が示されておらず、被害の規模は分かっていません。

痕跡から種類を絞るときは、足跡とフンを見ます。農林水産省のマニュアルのフローチャートでは、テンの足跡は、5本指で指が独立して丸く、中心のパッドが半月形で、大きさが4cm以下の例として示されています。フンは、細めで片側の先端が細くなる形で、石の上や天井裏で見られる例が示されています。同じ半月形のパッドでも5cm以上はアナグマの例で、一つの特徴だけでは分けられません。

屋根裏・物置での被害の出方と、フン・足跡の確認:確認項目
痕跡や行動テンハクビシンアナグマ
足跡の指と形5本。指が独立して丸い5本。指が独立して丸い5本。指が独立して丸い
足跡の中心のパッドと大きさ半月形で4cm以下円形半月形で5cm以上
フンの形細めで、片側の先端が細くなる細めで、片側の先端が細くなる細めで、片側の先端が細くなる
フンが見つかる場所の例石の上、天井裏水の中、天井裏、ため糞草の上、土の窪
家屋・小屋の利用中山間地域で屋根裏や物置を利用する例がある天井裏などを、ねぐらや出産・子育ての場に使う主に地面の巣穴を使う。林内の斜面や草地の例が示されている

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

テンの駆除に関する法律|狩猟鳥獣でも、無許可の捕獲はできない

テンは、鳥獣保護管理法施行規則の別表で、狩猟鳥獣の獣類に挙げられています。環境省は、狩猟を行うには、狩猟免許を取得したうえで、狩猟をする都道府県に登録し、区域・期間・猟法などの制限を守る必要があると説明しています。狩猟期間は、北海道以外が毎年11月15日から翌年2月15日まで、北海道が10月1日から翌年1月31日までで、都道府県によって期間の延長や短縮、捕獲の禁止、数の制限があります。

被害を防ぐための捕獲は、狩猟ではなく、許可捕獲の仕組みで行います。環境省によると、許可の権限者は、大臣許可の対象を除いて都道府県知事で、多くの都道府県では権限の一部を市町村長に移しています。許可捕獲は年間を通して可能ですが、許可された期間・区域・方法に限られ、基準は各都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められています。毒薬を使う猟法は、危険猟法として法第36条で禁止されています。

テンの駆除に関する法律|狩猟鳥獣でも、無許可の捕獲はできない:確認項目
方法必要なもの注意
狩猟として捕獲する狩猟免許、都道府県への狩猟者登録区域・期間・猟法の制限がある。北海道以外の期間は11月15日〜2月15日が原則で、都道府県が延長や短縮をする場合がある
被害防止のため許可を受けて捕獲する環境大臣、都道府県知事または市町村長の捕獲許可と許可証許可された期間・区域・方法に限る。基準は都道府県の計画で異なり、申請先は窓口で確認する
許可も狩猟の条件もなく捕獲するなし条文上は禁止。狩猟期間外の捕獲などは、第83条で一年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金が定められている
亜種のツシマテン狩猟鳥獣から除かれている対馬での扱いは、長崎県や対馬市に確認する

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

追い出しと侵入口の封鎖の進め方|ハクビシン・イタチ向けの対策がどこまで当てはまるか

被害を防ぐ基本は、餌場と潜み場所を減らすことと、家屋や施設の侵入経路を特定して隙間を塞ぐことだと、農林水産省のマニュアルは説明しています。飼育されている小型のオス(体重約1kg)が5cm角のワイヤーメッシュを通り抜けたため、家屋・鶏小屋・柵などの隙間は5cmより小さくするのがよいとされています。ハクビシンの侵入で挙げられる6cm×12cm(農林水産省)や8センチメートル四方(東京都)と比べると、テンはより小さな隙間でも通れる可能性があります。

封鎖の材料や順番は、ハクビシンなどの案内が参考になります。農林水産省は、侵入場所を確認したら塞ぐ作業になるが、中にいないことを確認するのを忘れてはいけないとし、材料は金属や板など丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は壊されるおそれがあるので使わないとしています。横浜市は、追い出しに成功しても、足音が聞こえなくなったあとに、通風孔、屋根の重なり、戸袋の底、増築部分の空間を点検するよう案内しています。順番の整理は害獣の追い出し・封鎖・清掃の工程表も使えます。

追い出しと侵入口の封鎖の進め方|ハクビシン・イタチ向けの対策がどこまで当てはまるか:確認項目
対策ハクビシン・アライグマ・イタチ向けの案内テンについて言えること
侵入口の封鎖自治体が、通風孔、屋根の重なり、戸袋の底、増築部などを点検して塞ぐよう案内している農林水産省は、テンも家屋の隙間を塞ぐ対策が必要とし、隙間は5cmより小さくするとしている。封鎖の前に不在の確認が要る
くん煙剤などでの追い出し東京都と横浜市が、アライグマ・ハクビシンに使える例として紹介しているテンへの効果や使い方を示した公的資料は、今回確認した範囲にない。製品の対象動物の表示を確認し、自治体や業者に相談する
物理柵タヌキ・アナグマなど、掘ったり破いたりする動物が主な対象登ることを優先するテンには、効果は期待できないと農林水産省は書いている
電気柵アライグマ・ハクビシンなど登る動物には、上部に通電線を設ける方式があるテン用に、最下段を5cmとして5cm刻みで3段以上とする例がある。農地や鶏舎向けで、屋根裏の侵入対策とは別
周囲の樹木や物置枝を切り、屋根に届く木を整理するよう自治体が案内しているテンは2mの幅跳びが可能とされ、家屋の周り2mの範囲で利用できる樹木や物置をなくす・離す必要がある
捕獲自治体の捕獲事業が、アライグマ・ハクビシンを対象にする例があるテンは狩猟か許可が必要。福井市は、それ以外の小型野生動物には檻の貸出をしていない

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

いつ対策する?春の子育て期は封鎖を急がない

国立環境研究所のデータベースは、テンの交尾期を7〜8月、出産期を4〜5月、産仔数を2〜4としています。春から初夏に屋根裏や物置で音がする場合は、子育て中の可能性があります。出産のあと、子がどのくらいで巣を離れるのかは、今回確認した資料に記載がないため、季節だけで封鎖の日を決めず、音や痕跡が止まったことを確認してから進めます。

ハクビシンの子育て中の考え方はハクビシンを屋根裏から追い出す方法にあり、動物ごとの繁殖期と対策時期の目安は害獣駆除の時期の月早見表で確認できます。イタチの場合の進め方は屋根裏にイタチがいるときの調べ方にまとめています。

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・ホンドテン

フンの清掃と衛生|自分でしない方がよい範囲

フンや足跡は、触らずに写真に残すのが基本です。農林水産省のマニュアルは、野生動物が人獣共通感染症の病原体を保有している可能性があるため、糞尿・血液・唾液・鼻汁に直接触れないよう、手袋を着用して肌が露出しない服装にし、作業に使った衣類や機材は洗浄・消毒するよう案内しています。マダニにも注意が必要で、SFTSなどの感染症があり、発熱・倦怠感・消化器症状などの初期症状が出たら、医療機関を受診するよう勧めています。

屋根裏の断熱材や天井板まで汚れが及んでいる場合は、範囲を写真で記録し、清掃・消毒・補修を専門業者に頼むかどうかを、現地調査で相談します。清掃の範囲の考え方は害獣駆除のあとの清掃にまとめています。診断や治療の判断は自分で行わず、体調に不安があるときは医療機関に相談してください。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(アライグマ、ハクビシン、タヌキ、アナグマ等、令和6年3月版)

相談先|市町村・都道府県・専門業者の使い分け

テンの被害は、まず市町村の鳥獣担当窓口に相談するのが入口になります。環境省によると、捕獲許可の権限者は都道府県知事で、多くの都道府県では権限の一部を市町村長に移しているため、申請先は自治体で異なります。福井市のQ&Aは、アライグマ・ハクビシン・ヌートリア以外の小型野生動物による被害について、まず追い払い(侵入口をふさぐ、誘引物を撤去する、忌避剤などを使う)を検討し、それで対処できないときに、捕獲許可のもとで捕獲できると案内しています。種類の判別は県の自然環境課が相談先とされ、自分での対応が難しい場合は、駆除業者への依頼が案内されています。

専門業者に現地調査を頼むときは、現地調査を頼む前に伝えることの項目に加えて、動物の種類が確定していない(テンのほか、イタチやハクビシンの可能性もある)ことと、捕獲が必要になった場合に許可の手続きを誰が行うかを確認します。依頼先の種類の違いは害獣駆除の依頼先6つの違いで比べられます。相談の入口で伝える内容は、次の項目にまとめます。

  • 被害の場所(屋根裏・物置・鶏舎・果樹)と、音や痕跡が始まった時期
  • 見た目の特徴(大きさ、毛色、尾の長さ)と、撮影できた写真
  • 足跡・フンの写真(定規などと並べ、素手で触らない)
  • 侵入口の候補の位置(地上から見える範囲)
  • 住んでいる地域(北海道・佐渡・対馬は、種類の確認が必要)

参考:福井市|福井市野生動物に関する相談Q&A集(令和8年8月、PDF)