イタチの出産・子育ての時期|国立環境研究所の記載
国立環境研究所の侵入生物データベースによると、ニホンイタチの交尾期は4〜5月で、産仔数は1〜8頭(平均3〜5頭)、九州では年2回交尾します。雌は一定の行動圏を持ち、土穴などを巣にします。西日本で建物に入る例が多いシベリアイタチ(旧称チョウセンイタチ)は、4〜5月に交尾し、6〜8月に育児をします。産仔数は5〜6頭で、育児は雌のみで行い、春に生まれた子は秋には分散すると記載されています。
出産の正確な日や、屋根裏で子育てをする時期は、地域や個体で違い、データベースにも記載がありません。赤ちゃんは春から夏にいる、と見当を付けつつ、いつまでいるかは現地の物音や出入りの様子で慎重に判断します。屋根裏で子育てをするのはイタチだけではないため、下の表では、屋根裏を使う他の動物も参考に並べました。
| 動物 | 時期(資料の記載) | 産仔数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ニホンイタチ | 交尾期は4〜5月。九州では年2回 | 1〜8頭(平均3〜5頭) | 雌は土穴などを巣にする(国立環境研究所) |
| シベリアイタチ(旧称チョウセンイタチ) | 4〜5月に交尾、6〜8月に育児 | 5〜6頭 | 育児は雌のみ。春に生まれた子は秋に分散(国立環境研究所) |
| (参考)アライグマ | 4月中旬が出産のピーク。子は6月上旬に野外活動を始める | 1〜7頭 | 屋根裏や壁の隙間で出産。子は自力で動けず、母親がくわえて移動(農林水産省) |
| (参考)ハクビシン | 出産期は3〜11月と推定される | 1〜4頭 | 家屋の天井裏を出産・子育ての場にする(農林水産省) |
参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・チョウセンイタチ
イタチの赤ちゃんを見つけたら、触ってもよいですか?
触らず、離れて見守ってください。野生鳥獣を許可なく捕まえたり飼ったりすることは法律で禁止され、ノミ・ダニや病原体、攻撃の心配もあると自治体や公的資料が説明しています。
赤ちゃんだけに見えても親が戻る可能性|まず離れて見守る
埼玉県は、タヌキやキツネの子供を拾わないよう案内しています。近くには親がいて見守っていて、人間がいると親は近づけないので、離れるよう求めています。野生鳥獣の子供に、餌の取り方など野生で生き抜く術を教えられるのは親だけで、人間が育てて野生に返すことは困難だとも説明しています。すでに拾ってしまった場合は、速やかに元の場所に戻すよう案内しています。イタチについては、同じページに記載がありませんが、野生動物の子に対する考え方として参考になります。
国立環境研究所は、シベリアイタチの育児は雌のみが行うと記載しています。母親が餌を探しに出ている間は、子だけが巣に残る状態になると考えられ、赤ちゃんだけに見えても、親が離れているだけの可能性があります。見つけた状況ごとの動き方を、次の表にまとめます。連絡先の名前は、自治体で違います。
| 見つけた状況 | まずすること | 避けること | 連絡先の考え方 |
|---|---|---|---|
| 庭や物置の隅などで、小さな個体が動いている。ケガはなさそう | 触らず、距離を取って見守る。犬猫や子どもを近づけない。日時と場所を記録する | 抱き上げる、持ち帰る、飼育する | 様子が変わらないときは、市区町村の環境担当や県の鳥獣担当へ |
| 屋根裏や壁の中から、動物の物音がする | 侵入口を塞がない。日時、場所、音の種類を記録する | 追い出す、出入り口を塞ぐ、天井を自分で開ける | 市区町村の窓口、または調査を頼む専門業者へ |
| ケガをしている、動かない、弱っている | 触らず、そっとしておく。ペットを遠ざける | 保護して連れ帰る | 県の自然環境担当や、市町村の窓口へ(救護の可否は自治体で異なる) |
| 死んでいる | 素手で触らず、場所を確認する | 素手で運ぶ | 敷地内は自治体の案内に従う。道路や公園は管理者へ連絡 |
触らない・持ち帰らない理由|鳥獣保護管理法とノミ・ダニ・感染症
触らない理由は、法律と、人の健康と、赤ちゃん自身のためと、3つあります。かわいく見える小さな個体でも、野生動物として扱います。
法律|許可なく捕獲・飼育できない
環境省は、鳥獣保護管理法では、鳥獣は狩猟による場合を除いて、原則として捕獲、殺傷、採取が禁止され、被害の防止などの目的で許可を受けた場合に限って捕獲できると説明しています。群馬県は、許可なく捕まえたり飼ったりして保護することは法律で禁止されているとし、保護した期間が長くなるほど、野生に戻ることが困難になると案内しています。和歌山県も、善意で保護しても、個人が許可なく飼育することはできず、罰則を受ける場合があるとしています。持ち帰って育てることも、これに当たります。
条文では、無許可の捕獲等に、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(第83条)。イタチの駆除に関する法律の全体は、イタチの駆除は違法?鳥獣保護管理法で個人ができることで整理しています。
ノミ・ダニ・感染症・攻撃のおそれ
農林水産省のマニュアルのコラムは、住宅に入るイタチの被害として、糞尿による悪臭、足音による安眠妨害、ノミ・ダニによる咬傷を挙げています。国立環境研究所は、シベリアイタチが日本顎口虫、太平肺吸虫、宮崎肺吸虫などの寄生虫を媒介することを影響として記載しています。岩手県は、野生の鳥獣は病原体を持っていることがあり、保護しようとする人に攻撃してくる場合もあるため、自力での保護はせず、県に連絡するよう求めています。
咬まれたり引っかかれたりした場合や、体調に不安があるときは、医療機関に相談してください。触らずに離れて見るのが、人にとっても動物にとっても安全です。
屋根裏で子育て中に侵入口を塞がない理由|閉じ込めを避ける
農林水産省のマニュアルは、侵入場所が確認できたら塞ぐ作業になるが、中に居ないことを確認することを忘れてはいけないと書いています。塞ぐ資材は金属や板などの丈夫なものにし、樹脂ネットや薄い合板は壊されるおそれがあるので使わないとしています。この「中に居ないことの確認」が、子育ての時期は特に難しくなります。外から見て出入りがなくなっても、奥に子が残っているかどうかは分かりません。
横浜市は、アライグマやハクビシンが天井裏に入った場合の案内で、足音などが聞こえなくなった後に建物を点検し、必要に応じて専門業者に修繕を依頼するよう求めています。大阪市西淀川区は、イタチの案内で、追い出す方法を試した後に、できるだけ侵入経路の穴を塞ぐよう書いています。どちらの案内にも、子がいる場合の注意は書かれていません。子がいる可能性があるときは、親だけを追い出す方法や、出入り口を塞ぐ作業を自分で選ばず、窓口か専門の担当者に先に相談してください。
| 状況 | 避けたいこと | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 春から夏に、屋根裏の物音が続く | 子の有無を確認しないまま、出入り口を塞ぐ。追い出し用の薬剤を使う | 日時と音を記録し、窓口や専門の担当者に、子がいる可能性を最初に伝える |
| 親らしい動物が出入りしているが、子の有無が分からない | 1回出ていく姿を見ただけで、もう居ないと判断して塞ぐ | 奥の確認を、調査できる担当者に任せる |
| 足音や物音が聞こえなくなった | すぐに自分で屋根に上って塞ぐ | 点検と封鎖を、専門業者に相談する(屋根の作業は転落の危険がある) |
| 隙間を見つけたが、動物の有無が分からない | 樹脂ネットや薄い合板で、一時的にふさぐ | 金属や板など丈夫な資材での修繕を、専門業者に相談する |
弱っている・死んでいる赤ちゃんを見つけたら|連絡先の考え方
ケガをしたり弱ったりした野生鳥獣を見つけたときの案内は、都道府県で違います。共通しているのは、むやみに触れず、そっとしておくことです。群馬県は、傷病鳥獣は原則見守りとし、野生鳥獣は多少のケガや病気なら自然に回復する力を持っていると説明しています。和歌山県は、傷ついた野生動物は、人が触れようとすると、それだけで死亡したり、攻撃したりすることがあるため、必要のない接触を控えるよう案内しています。
死んでいる動物を見つけたとき、和歌山県は、自宅や田畑なら、埋められる場所があれば埋める、そうでなければ燃えるごみとして出す、いずれも素手で触れないと案内しています。公園や道路では、それぞれの管理者に連絡するよう求めています。扱いは自治体で違うため、まず市町村の環境担当に確認してください。大阪の例は、動物の死骸を見つけたらどこへ連絡?大阪の道路・敷地・野鳥で分けるにあります。屋根裏や壁の中で死んでいる可能性があるときは、自分で取り出さず、調査と清掃を相談します。
救護の対象は自治体で異なります。次の表は、各県の公式ページに掲載された内容を、2026年10月3日に確認してまとめたものです。掲載は更新されることがあるため、連絡の前に最新のページで確認してください。
| 自治体 | 掲載内容の要点 | 読み取り |
|---|---|---|
| 岩手県(幼傷病野生鳥獣の救護) | ケガや衰弱の鳥獣には絶対に触れず、県に連絡。救護の対象から除くものに、獣類のイタチなどを挙げる | イタチは救護の対象外。自力で保護しない |
| 群馬県(傷病鳥獣) | 傷病鳥獣は原則見守り。救護対象外の一覧に、ハクビシン、アライグマ、ネズミ・モグラ類などを挙げ、イタチの記載は一覧にない | 許可なく捕まえて飼うことは法律で禁止 |
| 埼玉県(傷病野生鳥獣保護) | すぐに保護しない。保護の対象としないものに、雛及び出生直後の幼獣、特定外来生物、深刻な生活被害を及ぼす鳥獣などを挙げる | 幼獣は対象外。環境管理事務所に相談 |
| 京都府(傷病鳥獣の救護) | 救護対象から除く野生動物に、タヌキ・ハクビシン・アナグマ及びヒナ・幼獣を挙げる | 幼獣は対象外。窓口は振興局等 |
| 和歌山県(傷病野生鳥獣救護) | むやみに触れず、そっとしておく。保護した鳥獣を、個人が許可なく飼育することはできない | 死亡した動物は、場所ごとに案内が分かれる |
巣立ち後の封鎖と清掃を相談する段取り
国立環境研究所は、シベリアイタチの春に生まれた子が、秋には分散すると記載しています。子が成長して家族が出ていった後に、封鎖と清掃を進める段取りが目安になりますが、出ていったことの確認が欠かせません。農林水産省のマニュアルのコラムは、住宅に入るイタチの対策は、捕獲や薬剤では不十分で、建物に入れるすべての穴や隙間を封鎖する方法しかないとしています。シベリアイタチは3cmほどの穴や隙間から入るため、侵入ポイントは、屋根の重なり、入母屋屋根の両隅、床下換気口、給湯器などの配管引き込み部を、すべて確認する必要があります。封鎖の範囲で業者を比べる基準は、イタチ駆除業者の選び方で整理しています。
同じコラムは、一般の人が点検・封鎖するには、ある程度の建築知識が必要で、見落としや事故のリスクがあるため、被害が出ている場合は専門の防除業者に依頼するのが無難としています。増改築や給湯器などの設備を設置するときに、新しい侵入口ができる場合が多いので、施工業者に隙間ができないよう要望するだけでも、新たな侵入口の防止に効果が大きいとも述べています。糞尿による悪臭やノミ・ダニの被害もあるため、封鎖とは別に、清掃や天井材の確認を、見積もりの別項目で入れてもらいます。調査の頼み方は、屋根裏にイタチがいる?音・姿・痕跡を照合する調査の頼み方で確認できます。封鎖箇所の数え方や、清掃・断熱材で費用が加わる場面は、イタチ駆除の費用相場にまとめています。
| 段階 | 内容 | 担当の目安 |
|---|---|---|
| 1 記録 | 物音や出入りの日時、場所、子がいる可能性を記録する | 自分 |
| 2 相談 | 窓口に、子育て中の可能性と、許可や手続きの要否を確認する | 自分と窓口 |
| 3 退出の確認 | 奥まで調べ、中に動物が居ないことを確認する | 調査できる専門業者(自分で上らない) |
| 4 封鎖 | 金属や板など丈夫な資材で、すべての侵入口を塞ぐ | 専門業者。増改築のときは施工業者にも要望 |
| 5 清掃・補修 | 糞尿やノミ・ダニへの対応、天井材や断熱材の確認 | 専門業者。見積もりでは封鎖と別項目 |
| 6 再発の確認 | 音や痕跡が再び出ていないかを見る。保証の範囲を確認する | 自分と業者 |
相談するときに伝える情報|写真・日時・建物の状況
窓口や調査担当者に次の情報を伝えると、赤ちゃんの状態と建物の状況を、同じ順番で確認できます。写真を撮るときは、近づきすぎず、触れず、ペットや子どもを近づけません。咬まれたり引っかかれたりした場合は、傷の状態を医療機関に相談してください。足跡など痕跡の撮り方は、イタチの足跡の撮り方とハクビシン・ネズミとの違いにあります。
- 見つけた場所(庭、物置、屋根裏、壁の中など)と日時
- 個体の数、大きさ、動いているか、ケガや弱りがあるか(離れて見た範囲で)
- 近くに親らしい動物がいたか、物音が続いているか
- 建物の種類(持ち家か賃貸か)、点検口や軒の状態、侵入口らしい隙間の位置
- 触れたか、咬まれたか、ペットが近づいたか




