テンの外見|毛色の違い・大きさ・尾・耳の目印

国立環境研究所の資料によると、ホンドテンは頭胴長45cm、尾長19cm、体重1.1〜1.5kgで、耳がはっきり外に出ていることが他のイタチ類との区別点とされています。農林水産省のマニュアルは頭胴長40cm前後、尾長20cm前後とし、オスの方がメスより重いと書いています。環境省は、全長約65cmでイタチより大きい、と図示しています。資料によって数字が少し違うため、体の大きさだけで決めないでください。

毛色は季節と個体で変わる

毛色について、農林水産省は、夏は顔が黒く体が茶褐色、冬毛は顔が白く体が明るい黄色になるとしています。国立環境研究所は、胸にオレンジの斑があり鮮やかな黄色の個体(キテン)から、黒褐色の個体(スステン)まで、毛色の変異が大きいと記しています。島根県の案内も、夏は褐色、冬は黄色か灰褐色と説明しています。「黄色い動物がテン」「茶色ならイタチ」と決めつけると、見誤りやすい点です。

テンの外見|毛色の違い・大きさ・尾・耳の目印:確認項目
資料大きさ毛色・耳などの特徴
国立環境研究所頭胴長45cm、尾長19cm、体重1.1〜1.5kg毛色の変異が大きい(キテン〜スステン)。耳がはっきり外に出る
農林水産省頭胴長40cm前後、尾長20cm前後。オスの方が重い夏は顔が黒く体が茶褐色、冬は顔が白く体が明るい黄色
環境省全長約65cmでイタチより大きい夏毛は暗い黄褐色、冬毛は明るい黄褐色(イタチより明るい色)。頭部は夏に黒、冬に白
島根県記載なし夏は褐色、冬は黄色か灰褐色。森林に住む木登りの上手な動物

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・ホンドテン

読者の疑問

テンに似た動物は何ですか?

比較ガイド

同じイタチ科のイタチ(チョウセンイタチ・メスのイタチ・オコジョを含む)と、ハクビシンが混同されやすい動物です。環境省の資料では、テンは全長約65cmでイタチより大きく、ハクビシンは顔に白い縦線があり、尾が長く後半が黒いとされています。

テンに似た動物との違い|イタチ・チョウセンイタチ・ハクビシン・オコジョの比較表

環境省の狩猟鳥獣の見分け方は、テン、イタチ(オス)、シベリアイタチ(チョウセンイタチ)を狩猟鳥獣、イタチ(メス)とオコジョを誤認されやすい非狩猟鳥獣として、大きさと顔・毛色を並べています。同じ資料は、誤認捕獲は違法であり、判別に自信が持てないときは捕獲をやめるよう呼びかけています。

ハクビシンは、環境省の図では顔に白い縦線があり、鼻がピンク色、尾は長く後半が黒いとされ、東京都は胴長50〜60cm位と整理しています。テンと間違えやすいのは、夜に屋根の上や木の上で見かけたときの体の長さや尾の印象です。イタチとハクビシンの比べ方はイタチとハクビシンはどう違う?、ニホンイタチとチョウセンイタチはニホンイタチとチョウセンイタチの違いで詳しく確認できます。

テンに似た動物との違い|イタチ・チョウセンイタチ・ハクビシン・オコジョの比較表:確認項目
動物大きさ毛色・顔の特徴テンとの違いを見る点
テン全長約65cm夏毛は暗い黄褐色、冬毛は明るい黄褐色。頭部は夏に黒、冬に白基準になる動物。季節で顔と体の色が変わる
イタチ(オス)全長約40〜60cm全身が茶褐色で腹面は淡褐色。口元が白い全長はテン(約65cm)より小さい。口元の白さも手がかり
イタチ(メス)オスの1/2〜2/3程度オスより濃色の傾向。口元が白いさらに小さい。非狩猟鳥獣
シベリアイタチ(チョウセンイタチ)イタチよりやや大きいイタチよりやや淡色。口元からあごの境に白斑。尾が長い口元の白斑の位置と、尾の長さを見る
オコジョ全長約20cm(イタチ・ミンクの半分以下)冬毛は白く、尾の先端1/3のみ黒い。腹部が白い大きさはオコジョ<イタチ<テンの順。山岳部に生息(筑波大学)
ハクビシン胴長50〜60cm位(東京都)顔に白い縦線、鼻がピンク色。尾は長く後半が黒い顔の模様と尾の黒さで区別。足跡のパッドは円形

参考:環境省|狩猟鳥獣の見分け方(誤認捕獲の防止のために)

テンの足跡の見分け方|指の数・パッドの形・大きさと歩幅

農林水産省のマニュアルのフローチャートでは、足跡の指が5本で、指が独立して丸く、中心のパッド(足底球)が半月形のものは、大きさが4cm以下ならテン、5cm以上ならアナグマとされています。パッドが円形ならハクビシンです。指が4本ならタヌキかキツネ、指が長ければアライグマかヌートリアなので、テンの足跡は「小さな5本指で、パッドが半月形」と覚えると整理しやすくなります。

筑波大学菅平高原実験所の資料は、雪や泥に残るイタチ科の足跡を比べています。テンはイタチの足跡に似ていますが、イタチよりずっと大きく、4.5×4.5cmくらい(イタチは約2.5×2.5cm)で、足跡の間隔は50cmくらい(イタチは約30cm)とされています。シャクトリムシが跳ぶような走り方で、前足がそろい、その上に少しかかって後足が残るのが基本で、バリエーションもあります。島根県は、直径3cmの丸い跡が2つ対になり、約30cm間隔で並ぶものをテンの足あととしています。

資料で数字が違うときの考え方

足跡の大きさは、地面の柔らかさや歩き方、測る場所で変わります。数字が資料に近いかどうかより、形の特徴を先に見て、大きさは写真に定規を添えて「目安」として残してください。

  • 指は5本か(4本ならタヌキ・キツネ系)
  • パッドは半月形か、円形か
  • 前後の足跡の並びは、直線的か、重なる走り方か
  • 同じ場所に足跡が複数あるときは、最もはっきりした1つを撮る
テンの足跡の見分け方|指の数・パッドの形・大きさと歩幅:確認項目
資料テンの足跡の記載比べる動物の記載
農林水産省指5本、指は独立して丸い、パッドは半月形、大きさ4cm以下アナグマは5cm以上。ハクビシンはパッドが円形
筑波大学4.5×4.5cmくらい、歩幅は約50cm。前足がそろい後足が重なる走り方イタチは約2.5×2.5cm、歩幅は約30cm
島根県直径約3cmの丸い跡が2つ対になり、約30cm間隔記載なし

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(令和6年3月版)

テンのフンの特徴|形・大きさ・見つかる場所

農林水産省のフンのフローチャートは、フンの形が細めで片側の先端が細くなるものを、ハクビシン・アナグマ・テンの3種に分けています。テンは石の上や天井裏、ハクビシンは水の中や天井裏でのため糞、アナグマは草の上や土のくぼみで見つかることが比較的多いとされますが、その場所に必ずあるとは限らないこと、時期や食べ物で色や形が変わることが注記されています。

筑波大学の資料では、テンのフンは太さ約1cm、長さ約5cmで螺旋状、イタチと似ますが、テンは果実などの植物質も食べるため、黒っぽいものの果実を食べたときはその色になるとされています。イタチのフンは太さ約0.7cm、長さ約4cmで、螺旋状にねじれ、一方の先がとがることが多く、肉食性でネズミ類が主な食べ物です。

フンの大きさは個体や食べ物で変わるため、写真に大きさの目安を入れて残してください。触る前の注意はベランダや屋根裏にフンらしきもの、種類ごとの比較は害獣のフンの見分け方にあります。

テンのフンの特徴|形・大きさ・見つかる場所:確認項目
手がかりテンイタチハクビシン
形螺旋状で、片側の先端が細い螺旋状にねじれ、一方の先がとがることが多い細めで片側の先端が細い(農林水産省)。タヌキ・イヌ・ネコの糞に似る(筑波大学)
太さ・長さ太さ約1cm、長さ約5cm太さ約0.7cm、長さ約4cm今回の資料に数値の記載なし
見つかりやすい場所石の上、天井裏今回の資料に記載なし水の中、天井裏、ため糞
中身の手がかり果実などの植物質も含む主にネズミ類(肉食性)雑食性で、食べ物により色々

参考:筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所|アニマルトラッキング(足跡・糞の見分け方、2020年4月初版、PDF)

テンの食べ物と行動|果実・小動物・樹上と屋根裏

農林水産省のマニュアルによると、テンは雑食性で、果実類、昆虫類、小型の脊椎動物が主な食べ物で、季節に手に入りやすいものへ食性を柔軟に変えます。国立環境研究所は、食べ物として齧歯類、鳥類、両生爬虫類、昆虫類、土壌動物、果実類を挙げています。被害として、ブドウ・カキ・イチゴの食害や、鶏舎に入ってニワトリや卵を襲う例が報告されていますが、全国の被害統計に種ごとの集計はなく、規模ははっきりしていません。

食べ跡の手がかり

農林水産省は、ブドウは袋を破ってその場で皮ごと食べるため皮がほとんど残らず、カキくらいの大きさの実は持ち去って別の場所で食べることが多い、と書いています。果実の食べ跡だけでテンと決めず、足跡やフンと合わせて見てください。

木登りと屋根裏の利用

テンは、森林の中でも境界林や林縁部への依存度が高く、中山間地域も生息地になります。登る力に優れ、太い木を垂直に登り、細い枝を渡り、木から木へジャンプできます。巣穴や休息場所には樹洞を使いますが、中山間地域では家屋の屋根裏や物置を使うことがあります。

繁殖期と春の物音

国立環境研究所は、単独で生活し、交尾期は7〜8月、出産期は4〜5月で、産仔数は2〜4と記しています。出産期が4〜5月とされるため、春に屋根裏の物音が続くときは、子育ての可能性も考えて対応を決める必要があります。屋根裏の動物への対応は、屋根裏にイタチがいる?も合わせて確認してください。

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(令和6年3月版)

テンはどこにいる?見かける地域と環境

国立環境研究所によると、ホンドテンは本州・四国・九州に自然分布し、亜種のツシマテンが対馬に分布します。農林水産省も、ホンドテンは本州、四国、九州、淡路島に、ツシマテンは対馬に分布すると整理しています。生息環境は広葉樹の森林で、樹木があれば人家周辺にも見られます。筑波大学の資料は、イタチは平地から低山帯、テンは森林帯、オコジョはさらに高い山岳部に生息するため、場所による推測も重要としています。

北海道や佐渡島にいるテンは、もともと生息していたのではなく、人が持ち込んだ個体群です。国立環境研究所は、北海道では毛皮生産のため東北地方から導入された個体が放逐されたもので、在来のエゾクロテンとの競合・交雑のおそれがあること、佐渡島では1959〜1963年に放逐されたことを記しています。北海道や佐渡島で見かけた場合は、種類や扱いを自治体の鳥獣担当に確認してください。

テンはどこにいる?見かける地域と環境:確認項目
地域・環境資料の記載見かけたときの手がかり
本州・四国・九州・淡路島ホンドテンが自然分布(国立環境研究所、農林水産省)広葉樹の森林や林縁。樹木があれば人家周辺にも
対馬ツシマテンが自然分布狩猟鳥獣の一覧では、ツシマテンは除かれている(環境省)
北海道南部・佐渡島人が持ち込んだ個体群(国立環境研究所)北海道ではエゾクロテンとの競合・交雑のおそれ
中山間地域の集落屋根裏や物置を使うことがある(農林水産省)山や林縁に近い住宅、空き家、物置
高い山岳部オコジョの生息域(筑波大学)森林帯のテンとは生息場所が違う

参考:国立環境研究所|侵入生物データベース・ホンドテン

種が分からないときの記録と相談の仕方|決めつけずに調べる

山間部や林縁の住宅で屋根裏の被害が出たとき、足音や物音だけでテンと決めると、対策が合わないことがあります。農林水産省のマニュアルは、痕跡で判断がつかないときや、いまも住んでいるかを確かめたいときは、ベニヤ板やトタン板、石灰を通りそうな場所に置く足跡トラップや、センサーカメラを使うとよいとしています。

対策も種類で変わります。同マニュアルは、物理柵は登る動物(アライグマ、ハクビシン、テン)には効果が期待できないこと、飼育していた体重約1kgのオスのテンが5cm角のワイヤーメッシュを通り抜けたため、建物や鶏小屋のすき間は5cmより小さくするとよいこと、野生個体が1mm以下のワイヤーを渡り2mの幅跳びをしたため、電柱の支線や家屋の周り2mの範囲の樹木・物置に注意が必要なことを書いています。種を取り違えると、封鎖の幅や柵の種類がずれます。

テンは狩猟鳥獣(ツシマテンを除く)で、捕獲には狩猟免許と登録、または許可が必要です。メスのイタチやオコジョは非狩猟鳥獣で、環境省も誤認捕獲は違法と明記しています。捕獲道具を置く前に、種の見立てと許可の要否を市区町村の鳥獣担当に確認してください。追い出しや封鎖の進め方はハクビシンを屋根裏から追い出す方法が参考になりますが、テンにそのまま当てはめず、確認できた範囲だけ使います。

種が分からないときの記録と相談の仕方|決めつけずに調べる:確認項目
記録する項目残し方絞り込めること
足跡指の数、パッドの形、大きさの目安を、定規を添えて真上から撮るテン・アナグマ・ハクビシンなどの候補
フン触らず、形・大きさ・見つかった場所(天井裏か石の上か)を写真で残すテンかイタチかハクビシンか、食べ物の傾向
姿毛色、尾、耳、顔の模様が写る写真や動画を撮る季節による毛色の違いを含めた絞り込み
時間帯と季節物音がする時間、春から初夏かどうかをメモする子育ての可能性、夜行性かどうか
周辺環境山や林縁か、近くに空き家・物置・果樹があるかを書くテンが使いやすい環境か

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編(令和6年3月版)