ハクビシンの繁殖期はいつ?資料ごとの記載を並べて確認する
ハクビシンの繁殖は、特定の季節に集中するわけではないと説明されています。農林水産省のマニュアル(令和6年3月版)は、日本では繁殖期を1月〜9月、出産期を3月〜11月と推定し、ほとんど年間を通して繁殖すると書いています。妊娠期間は約2か月で、1度に1〜4頭が生まれます。
資料によって数字が少しずつ違うのは、資料ごとに根拠とする調査が違うためと考えられます。国立環境研究所の侵入生物データベースは出産期を3〜12月、東京都は一年中繁殖が可能で年に1回、旧版の農水省マニュアルは夏から秋に多い傾向としています。どの資料も、特定の月に限らず子育てが行われうる、という点では一致しています。
| 資料 | 繁殖期・出産期の記載 | 産仔数・回数 | その他の記載 |
|---|---|---|---|
| 農林水産省 中型獣類編(令和6年3月版) | 繁殖期は1〜9月、出産期は3〜11月と推定。ほとんど年間を通して繁殖 | 1度に1〜4頭。妊娠期間は約2か月 | 子は生後1か月ごろからねぐらを出て、母親について歩く |
| 国立環境研究所 侵入生物データベース | 出産期は3〜12月 | 産仔数は1〜4頭 | 母仔を中心とした家族単位で生活する |
| 東京都環境局 | 一年中繁殖が可能 | 年に1回。1度に約1〜4頭 | 昼間は樹上のうろ、納屋、家屋や寺社の屋根裏で休む |
| 農林水産省 旧版(平成20年版) | 1年中産む。夏から秋に多い傾向 | 年に1回。平均2〜3頭 | 子を産む年齢は生後10か月以降 |
| 板橋区 リーフレット | 年に1回、不定期に出産 | 平均2〜3頭 | 夜行性。ねぐらは複数あり、転々と移る |
参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編 2-2 ハクビシン(PDF)
ハクビシンの繁殖期はいつですか?
農林水産省のマニュアルは、繁殖期を1〜9月、出産期を3〜11月と推定し、ほとんど年間を通して繁殖するとしています。国立環境研究所は出産期を3〜12月としており、季節には幅があります。
発情期はある?繁殖期と子の成長の目安
「発情期」として月を細かく示した公的資料は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。上の表の「繁殖期は1〜9月と推定」が、実質的にそれにあたると読めます。交尾が行われる月を細かく示す資料も確認できなかったため、「いつ交尾するか」ではなく、「いつ子がいるかもしれないか」で考えるのが実用的です。
農水省のマニュアルによると、子は生後1か月ごろからねぐらを出て母親について出歩くようになり、生後3か月で成獣と同程度の体重になります。子別れの時期は明確ではなく、母親と同じ大きさになっても、一緒に行動する様子が観察されています。旧版のマニュアルは、子を産む年齢を生後10か月以降としています。親を見かけても、近くに子がいる可能性を残しておきます。
ハクビシンの活動時間|夜行性の一日の動きと昼間の居場所
農水省のマニュアルは、ハクビシンの活動時間帯は夜間に偏っており、飼育されている個体も日中は寝ているため、生来の夜行性と言えると説明しています。国立環境研究所は、昼間は樹洞、岩穴、人家の屋根裏などで休憩し、夜になると樹上で果実や種子を食べるとしています。愛知県の資料は、行動域が30〜100haに及ぶとしています。
寝場所は1頭が複数持ち、明確な縄張りがないため、他の個体と共同、または時間をずらして使うことがあります。埼玉県の資料も、縄張りはなく、餌場と寝場所を共有し、生活環境がよければ複数頭が同じ場所で暮らせると説明しています。1頭の姿を見ただけでは、頭数は決められません。
屋根裏の足音は、夜に集まりやすい
屋根裏は日中の休憩場所に使われるため、足音や物音の記録は、夜を中心にすると、ほかの動物と照合しやすくなります。音の時刻、聞こえる場所、続いた長さを毎回メモします。音の聞き分けはハクビシンの鳴き声と屋根裏の足音で、記録の作り方は夜間の天井の音を記録するメモで確認できます。
| 場面 | ハクビシンの動き | 家で見つかる手がかり | 記録のしかた |
|---|---|---|---|
| 日中(休息) | 樹洞、屋根裏、床下、物置、寺社の屋根裏などで休む | 音は静かでも、天井のシミ、フン、においが残ることがある | シミやフンの位置を、日付つきで撮影する |
| 夜間(採食・移動) | 果樹、畑、生ごみ置き場へ出る。電線、雨どい、柱、樹木を伝って移動する | 屋根や軒先の足音、庭の果実の食べ跡、夜の目撃 | 音がした時刻と場所を、毎回メモする |
| 夏 | 涼しい床下を、日中の休憩場所に使うとされる | 床下や通風口まわりの音、汚れ | 通風口と基礎まわりの写真を撮る |
| 気温が下がる時期 | 暖かい天井裏(1階と2階の間や、屋根の下)を使うとされる | 天井裏の足音、天井のシミ | 音の時刻と、天井のどのあたりかを記録する |
| 冬 | 活動が下がって半休眠になる。行動域は狭くなり、集落の生ごみに頼る | 音は減るが、生ごみがあさられる | 生ごみ置き場やペットフードの状況を見直す |
冬は冬眠する?半休眠と行動域の変化
農水省のマニュアルは、気温の下がる冬には、ハクビシンは活動を低下させて半休眠状態になると説明しています。同じマニュアルでは、アナグマが11月から4月にかけて巣穴で冬眠するとされているのに対し、ハクビシンについて完全な冬眠をするとは書かれていません。冬に音が減っても、いなくなったとは限りません。
埼玉県の資料は、ハクビシンの行動域が冬は狭くなり、集落に依存した生活になると説明しています。畑に餌がなくなるため、集落内の生ごみなどを利用するからで、ごみをなくすことも有効な対策だとしています。旧版マニュアルが紹介する埼玉県の事例でも、冬に生ごみをあさる個体が確認されています。冬は、生ごみ、ペットフード、落果の片づけが、食べ物の面から効く時期です。ねぐらの点検は、冬の害獣対策|屋根裏の音の原因と侵入口の点検も参考になります。
子育て期の屋根裏|追い出し・封鎖で気をつけること
ハクビシンは、樹洞や家屋の天井裏などを、ねぐらだけでなく、出産と子育ての場としても使います。繁殖がほぼ一年中あり得るため、屋根裏に「子育ての時期だけ」があるとは言えません。農水省のマニュアルは、侵入場所を塞ぐ作業では、中にいないことを確認するのを忘れてはいけないと注意しています。
塞ぐ前の確認と、資材・侵入口の目安
塞ぐ資材は、金属や板などの丈夫なものを使い、樹脂ネットや薄い合板は破られるため使わないとされています。侵入は、床下の通風口、軒の破損部分、瓦屋根のすき間、増築した継ぎ目などが多いと説明されています。子がいるのに出入り口を塞ぐと、中に閉じ込めることになるため、音、気配、においなどで、中に動物がいないかを確かめてから進めます。順番はハクビシンを屋根裏から追い出す方法、月ごとの考え方は害獣駆除の時期と繁殖期の目安で確認できます。
子連れの個体を、自分で捕まえたり移したりしない理由
法律面では、野生の鳥獣の捕獲・殺傷は、狩猟を除いて原則として禁止されており、被害があるときに許可を受けて行うと、農水省の関連制度編が説明しています。子連れの個体も同じ野生の鳥獣のため、自分で捕まえたり、別の場所へ移したりせず、自治体の窓口や調査を頼む相手に相談します。
時期ごとの対策の可否|できること・待つこと
次の表は、公的資料にある動きを、時期や状況ごとの対策に結びつけたものです。封鎖や追い出しを「この月ならよい」と決めるものではありません。同じ月でも、幼獣がいるかどうかは建物ごとに違います。地上から見える範囲の点検と記録は、時期を問わず進められます。
| 状況・時期 | 進められること | 待つ・避けること | 根拠にした記載 |
|---|---|---|---|
| 果実が熟す収穫期 | 熟す前の収穫、落果の回収、被害が出る前の柵の設置 | 熟した実や落果を放置する | 農水省、埼玉県のマニュアル |
| 屋根裏に足音がする(繁殖はほぼ通年) | 音・フン・シミの記録、地上からの侵入口の確認、窓口への相談 | 子がいるかが分からないまま、出入り口を塞ぐ。屋根裏に自分で入る | 農水省のマニュアル |
| 夏(床下を使うとされる) | 通風口や基礎まわりの点検 | 中の確認をせずに通風口を塞ぐ | 農水省のマニュアル |
| 気温が下がる時期(天井裏を使うとされる) | 軒や屋根のすき間を、地上から点検する | 足音が減っただけで、いなくなったと判断する | 農水省のマニュアル |
| 冬(半休眠・集落に依存) | 生ごみとペットフードの管理、侵入口の地上点検 | 音が減ったことを理由に、確認なしで封鎖する | 埼玉県、農水省 |
相談するタイミング|記録を持って頼む
次のような状況なら、自分で屋根裏や屋根に上がらず、早めに相談します。夜の足音が数日続く、天井にシミが広がる、フンの量が増える、子の鳴き声のような音がする、といった場合です。農水省のマニュアルも、家屋に入られたときの被害として、足音や子の鳴き声による騒音、排泄物による汚染を挙げています。
相談先は、お住まいの市区町村の担当課、または現地調査ができる専門業者です。東京都は、アライグマ・ハクビシンの被害にあったら、まず各区市町の環境部署や清掃部署などに問い合わせるよう案内しています。地域で窓口が違うため、ハクビシン駆除は市役所・区役所に頼めるかも参考にしてください。調べてもらうときは、害獣の現地調査を頼む前に伝えることの項目に、時刻と場所を入れて整理します。子育て中の可能性があれば、最初に伝えます。




