ネズミは夏と冬でどう変わる?暑さ・寒さの性質を整理

ネズミの季節の話は、寒さに関する記載が中心です。中野区、目黒区、市川市、新潟市はいずれも、ネズミは寒さに弱いため冬期や夜に家の中へ侵入してくると案内しています。一方で、住み着いて家の中だけで生活するのではなく、ほとんどの場合は屋内と屋外を出入りしているとも説明しています。

下の表のとおり、寒さに強いドブネズミは冬でも屋外の植え込みなどにいるため、冬に侵入が増えるのは、クマネズミのように寒さに弱い種類が中心だと考えられます。この解釈は、資料の記載を並べた推論です。種類の見分けはドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの違いで確認できます。

ネズミは夏と冬でどう変わる?暑さ・寒さの性質を整理:確認項目
種類寒さ・湿度に関する記載主な居場所(資料の記載)
ドブネズミ寒さに強く、水気を好む(市川市)土の中、植え込み、下水管、ビルの低層階、台所など水回り(市川市、千葉市)
クマネズミ寒さに弱く、乾燥に強い(市川市)。多湿を嫌うようだとされる(仙台市)家屋の天井裏や壁の中、ビルの高層階(市川市、千葉市)
ハツカネズミクマネズミに類似した場所に多く、屋外にも多いとされる(大阪府)雑草地から侵入し、住宅やビル内に住み着くこともある(大阪市)

参考:市川市|ネズミについて

読者の疑問

ネズミは暑さに弱いですか?

比較ガイド

暑さに弱いと書いた公的資料は確認できませんでした。確認できたのは、複数の自治体が寒さに弱いと案内していることと、仙台市がクマネズミを乾燥に強く、寒さと多湿に弱いと説明していることです。夏にネズミがいなくなるとは考えない方が安全です。

ネズミは暑さに弱い?夏はどこにいるのか

検索では「ネズミ 暑さに弱い」といった言葉も見られます。ここでは、公的資料で確認できたことと、確認できなかったことを分けて整理します。

暑さに弱いという記載は確認できなかった

今回確認した東京都や自治体の資料に、ネズミが暑さに弱いと書いたものは見つかりませんでした。確認できたのは、クマネズミが乾燥に強く、寒さと多湿に弱いという仙台市の記載です。夏の高温や湿度がネズミの動きにどう影響するかを直接示した資料は、確認できていません。

夏にどこにいるかは資料で分からない部分が多い

夏の居場所を直接述べた資料も確認できませんでした。分かるのは、種類ごとの生息場所と、屋内外を出入りするという一般的な記載です。夏は植え込みやごみ置き場、雑草地など屋外にいる時間が長くなる可能性がありますが、これは推測で、資料が示しているわけではありません。中野区は、ごみ置き場の対策と雑草の刈り取りを、地域環境の整備として案内しています。

夏に増える困りごと|イエダニと死骸

夏について公的資料が具体的に述べているのは、被害の側面です。中野区は、イエダニが気温の上がる初夏から初秋にかけてネズミの巣内で大量に発生し、ネズミが死んだときに巣から離れて人を刺すことがあると説明しています。大阪市は、腐敗した死骸からウジやハエが発生しにくいよう駆除薬は冬期に使うよう案内し、岡山市は、暑い時期は薬剤を食べて隠れた場所で死んだネズミが腐敗し、悪臭の原因になるため冬期に使うよう案内しています。

参考:中野区|ネズミの被害にご注意を(2026年8月26日更新の表示を確認)

寒くなると家に入りやすい理由|10〜11月ごろから

東京都のよくある質問は、寒くなる10〜11月ごろに暖かい民家に侵入するため苦情相談が多くなり、外が暖かくなる3月ごろから少なくなると言われていると説明しています。新潟市は、ネズミは寒さが苦手なことと、エサの確保のために冬の時期になるとよく住居に侵入してくると案内しています。

家の中には、暖かく安全な場所があります。東京都は、内壁と外壁の間は断熱材が入り、雨風や外敵から守られているため暖かく、営巣に絶好の場所だと説明しています。クマネズミは冷蔵庫やテレビなど放熱板のある家電の後ろにも巣を作るとされ、冬はこうした場所を中心に音や痕跡が増えやすくなると考えられます。

ただし、家の中に餌がない場合の動きも資料にあります。市川市は、家の中にエサがないと、家の中の巣と外のごみ置き場などのエサ場との間で出入りを繰り返すと説明しています。冬に被害が増えるのを寒さだけの問題にせず、餌の管理も一緒に見直します。

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 資料「ねずみについてよくある質問&回答集」(PDF)

自治体の相談件数で見る季節の変化|東京都の月別データ

季節の変化を数字で確かめられる資料として、東京都が公表している月別のねずみ被害相談件数の平均があります。平成11年度から15年度の5年間の平均で、都内の区市町村や保健所に寄せられた相談を月ごとに集計したものです。下の表は、グラフに示された数値を月のまとまりで並べたものです。

東京都は、このグラフを見ると10月、11月をピークに冬場の相談件数が夏場に比べて1.5〜2倍程度多く、若干の季節変動が認められるものの、年間を通じて相談件数は多い状況で推移しているとまとめています。夏の月でも1,000件を超えており、夏はネズミがいなくなる季節ではありません。

この数値には限界があります。平成11〜15年度という古い時期の平均で、相談件数が急増した平成13年度を含む時期にあたります。現在の件数や、他の地域の季節変動を示すものではないため、山の形の目安として読んでください。他の自治体では、大阪市が12月から2月を「ネズミ防除強調期間」として市内一斉の防除を呼びかけ(2019年のお知らせ)、札幌市は春と秋の繁殖期の前に駆除すると効果的と案内しており、時期の考え方は自治体で異なります。

自治体の相談件数で見る季節の変化|東京都の月別データ:確認項目
月月別の相談件数(5年間の平均・件)読み取れること
4月・5月・6月1,051・1,100・1,147春から初夏は1,000件台前半で推移している
7月・8月1,017・1,030年間で最も少ない時期。それでも1,000件を超える
9月1,314秋に入り増え始める
10月・11月2,201・2,572年間のピーク。11月は7月の2倍以上
12月・1月・2月1,770・1,428・1,678夏より多い状態が続く
3月1,172外が暖かくなり、相談が少なくなる

参考:東京都保健医療局|東京都ねずみ防除指針 資料「ねずみについてよくある質問&回答集」(PDF)

季節ごとの点検箇所|春・夏・秋・冬の一覧表

季節ごとの点検は、その季節に何が起きやすいかと、その時期にしやすい作業を分けて考えると進めやすくなります。下の表は、資料にある点検ポイントと季節の記載を、季節別に整理したものです。右の列に根拠となる資料の記載を示しました。

高所や天井裏の点検は、転落や設備の損傷の危険があります。東京都の読本は、天井裏や高所などの危険な場所は専門業者に依頼した方がよい場合もあるとしています。地上と室内から見える範囲は自分で、見えない範囲は相談で、と分けるのが現実的です。天井裏や床下など場所ごとに増える作業と見積もりの単位は、ネズミ駆除の一軒家の相場で比べています。

季節ごとの点検箇所|春・夏・秋・冬の一覧表:確認項目
季節点検する場所見るもの根拠となる資料の記載
春(3〜5月)天井裏、押入れの奥、冷蔵庫や家電の後ろ、物置冬の間にできた巣材、フン、かじり跡。繁殖期の前に確認する3月ごろから相談が少なくなる(東京都)。春と秋の繁殖期の前に駆除すると効果的(札幌市)
夏(6〜9月)外壁の通気口、戸袋、配管の貫通部、屋根まわり、植え込み、ごみ置き場、雑草侵入口のすき間、屋外の隠れ場所、イエダニの発生源になる巣や死骸点検ポイントと環境整備を案内(中野区)。イエダニは初夏から初秋に増える(中野区)
秋(10〜11月)台所・食品棚、ペットフード、仏壇の供え物、窓や網戸食品の保管、窓の開けっぱなし、網戸の破れ10〜11月に相談が増える(東京都)。窓の開けっぱなしや網戸の破れが点検ポイント(中野区)
冬(12〜2月)天井裏、壁の中、家電の後ろ、暖かい場所音の時間帯と場所、新しいフン、かじり跡、配線の傷大阪市は12〜2月を防除強調期間としている。薬剤は冬期の使用を案内する自治体がある

参考:中野区|ネズミの被害にご注意を(2026年8月26日更新の表示を確認)

夏のうちにできる侵入口対策|補修の材料と電気まわりの注意

薬剤の使用を避けるよう案内する自治体がある夏は、侵入口の補修に力を回しやすい時期です。東京都の読本は、侵入経路さえ見つかれば修繕は手近な材料で比較的簡単にできると説明し、面積が広い場合は木やブリキ板、金網、小さなすき間には不燃性のパテやモルタル、金属たわし、亀甲金網を使うとしています。クマネズミは約1.25cmのすき間があれば通り抜けられるとされます。

注意が必要なのは電気まわりです。東京都は、電気配線が壁を貫通して配電盤につながる部分の防そ修繕は危険なので電気の専門家に依頼するよう案内し、岡山市も分電盤やブレーカーの近くの穴は自分でふさがないよう呼びかけています。広い範囲や高所は専門業者に頼む方がよい場合があります。補修の手順は防鼠金網ですき間を直す前に、配管まわりは配管の周りを塞ぐ前の確認も参考にしてください。

夏の薬剤の使い方にも注意が必要です。大阪市、岡山市、新潟市、目黒区は、殺そ剤を食べたネズミがどこで死ぬか分からず、隠れた場所で腐敗して悪臭や虫の原因になるため、夏場の使用は避けるよう案内しています。夏に痕跡を見つけた場合も、まず侵入口と餌の対策を優先し、薬剤の使い方は製品の説明書と自治体の案内に従います。

  • 戸袋の中のすき間:丸めた亀甲金網や金属たわしを詰める
  • 屋根の下の垂木と外壁のすき間:金網を折って差し込むか角材を入れる
  • 通気口:格子が壊れていれば全体に金網をかぶせる。格子の幅が広すぎる場合は取り替える
  • 配管の貫通部:不燃性のパテやモルタルで埋める。応急措置は金属たわし
  • 基礎のすき間や壁のひびわれ:モルタルや不燃性のパテで埋める

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)

冬に音や痕跡が増えたときの相談|記録と窓口

冬に天井裏から音がする、フンが増えた、食品がかじられたといった変化は、ネズミが暖かい場所に入ってきたサインかもしれません。対応は、記録、窓口への相談、必要に応じた業者への依頼の順に整理すると迷いません。業者に頼んだ場合の作業日数や再訪問の考え方は、ネズミ駆除の調査から経過確認までの流れでまとめています。

まず音と痕跡を記録する

音がする時間帯と場所、フンやかじり跡の位置を記録します。記録の方法は、壁際の黒い汚れ(ラットサイン)の記録や天井裏のネズミを疑ったときで確認できます。冬は他の動物も屋根裏に入るため、冬の害獣対策も参考になります。

相談先は区市町村・保健所

相談先は、お住まいの区市町村や保健所の、ねずみ昆虫等の防除を所管する部署です。東京都の読本は、特別区は区役所・保健所、市町村は市役所・町村役場に相談するよう案内しています。ただし、自治体が駆除そのものを行わない例は多く、中野区は区の事業としての駆除や費用助成を行っていないと案内しています。

業者に頼む場合の確認点

専門の業者に頼む場合は費用が自己負担となります。東京都は、ネズミ駆除の費用は周囲の環境、住宅構造、作業条件などによって異なるとし、見積書を作成してもらい、納得できるまで説明を聞くことが必要としています。また、事前の生息調査、環境的防除の指導、防除後の効果判定ができる業者を、選ぶ際の確認点として挙げています。金額の目安は事業者や地域で異なるため、この記事では示しません。

参考:東京都福祉保健局|都民のためのねずみ防除読本(平成24年4月発行、PDF)