天井裏の羽音を聞いたら最初にすること|蜂の可能性があるうちの安全の分かれ道

天井裏からの羽音は、蜂、鳥、コウモリのどれでも起こりうるため、最初は種類を決めず、蜂の可能性があるものとして安全側に動きます。蜂の場合は、近づいて確かめるほど危険が増え、鳥やコウモリの場合は、急に追い出したり封鎖したりすると、法律や繁殖期の制限に触れることがあります。どの候補でも共通して、天井裏に上がって確かめない、出入り口に近づかない、の2点から始めます。

広島市は、ハチの駆除について、市では行わず、原則として巣ができた場所の所有者または管理者に対応してもらうと案内しています。駆除をした方がよい場合の目安として、屋根裏など建物内部の巣(多くがスズメバチで、まれにミツバチ)では、ハチが出入りしている通気口や壁面などから、スズメバチで概ね4m、ミツバチで概ね1mを「危険性が高い範囲」として表に示しています。

蜂の可能性があるときにしないこと

次の4点は、蜂が否定できない間は避けます。最後の項目は、今回確認した自治体の案内に、見えない巣の出入り口をふさぐ作業や室内側からの薬剤散布を一般向けに勧めるものがなかったため、素人判断で行わないという意味です。

  • 出入り口に近づく、のぞき込む、棒でつつく。広島市が示す4m・1mの範囲に入らない。
  • 天井裏に上がって巣を確かめる。所沢市は、巣が屋根裏などにあり直接確認できない場合は専門業者に依頼するよう案内している。
  • 巣に触れようとする、ハチを追い払う、大声を出す、あわてて走って逃げる。所沢市は、落ち着いて行動するよう呼びかけている。
  • 出入り口をふさぐ、室内側から薬剤をまく。巣の位置が見えない状態では、素人判断で行わない。

刺されたときや体調が悪いとき

所沢市は、ハチに刺されたら、あわてずに刺された場所から離れ、医療機関を受診するよう案内しています。いわき市は、息苦しさ、口の乾き、冷や汗、発疹、吐き気、めまいなどの全身症状が出たときは直ちに医療機関を受診し、必要と判断したら迷わず救急通報するよう呼びかけています。

参考:広島市|ハチの駆除について(見積もり・除去後の飛来)

読者の疑問

天井裏の羽音は、蜂とコウモリのどちらですか?

比較ガイド

時間帯が手がかりになります。昼間に多数のハチが通気孔などから出入りするなら蜂、夕暮れから日没後に羽音や鳴き声があるならコウモリが候補です。ただし、音だけでは決められないため、外から出入り口を確認します。

羽音の種類と聞こえる時間帯の違い|昼の蜂・朝夕の鳥・日没前後のコウモリ

羽音といっても、ブーンという低い連続音、バサバサというはばたき、ヒナのような声、キー・キーという鳴き声が混ざります。ただし、音の聞こえ方そのものを細かく示した公的資料は多くないため、この記事では、資料に書かれている活動の時間帯、時期、出入り口の特徴を軸に比べます。

表のとおり、昼間に出入りが続くのは蜂や鳥、夕暮れから夜に出入りするのはコウモリ、と時間帯で分かれやすい傾向があります。ただし、スズメバチが夜に巣の中で音を立てるかどうかは今回の資料では確認できていません。「夜に聞こえるから蜂ではない」とも言い切れないため、時間帯は候補を絞る材料にとどめます。

羽音の種類と聞こえる時間帯の違い|昼の蜂・朝夕の鳥・日没前後のコウモリ:確認項目
候補資料に書かれていること活動の時間帯・時期出入り口の特徴・痕跡
スズメバチ(キイロスズメバチなど)8月以降は働きバチが大変多くなり、屋根裏の通気孔などから多数が出入りして気づくことがある(川口市)キイロスズメバチの活動は5月から12月上旬(川口市)。ハチの活動が低下するのは夜間か朝早く(広島市)巣の出入り口は通常1か所で、付近に見張り役のハチがいる(所沢市)。モンスズメバチが天井裏に巣を作ると、巣の下に捨てた餌の残骸などで天井にシミができて見つかることがよくある(川口市)
ミツバチ4月以降、床下や屋根裏の通気孔などから多数の小さなハチが出入りして気づく。刺される危険は低いが、蜜が屋根裏に垂れて天井が腐ることがある(川口市・広島市)4月頃から(川口市)通気口や壁面に、小さなハチが多数出入りする
クマバチ飛ぶ姿や羽音は重量感があるが、危害を加えない限り人を攻撃しない(川口市)記載なし木造の家の梁などに丸い穴を開けて巣を作り、巣の下の床にオガクズのようなものが落ちる(川口市)
鳥(スズメ・ムクドリ・ドバト)スズメは人家の屋根や壁のすき間、ムクドリは戸袋など建物のすき間に巣を作り、ムクドリでは鳴き声・悪臭・ダニが問題になる(農林水産省)スズメの繁殖期は3〜9月、ムクドリは4〜7月、ドバトは4〜10月で、暖かい地方では一年中(農林水産省)屋根や戸袋、通気口の付近で、親鳥が出入りする
コウモリバタバタと飛ぶ羽音や、天井裏でキー・キー鳴く声が生活被害として挙げられている(前橋市)夕暮れに活動し、春から秋が活動期。冬は冬眠する(前橋市)出入りしている穴にフンが堆積し、夜間の出入りが確認できる。6mmほどのすき間から出入りできる(東京都ペストコントロール協会)

参考:川口市|ハチの巣の形・特徴及び巣の駆除について

外から出入り口を確認する方法|距離・時間帯・双眼鏡

出入り口の確認は、外から、安全な距離を保って、時間帯を変えて行います。日本ペストコントロール協会は、ハチの巣を発見したら、ハチの飛来の有無を晴天の日中に遠くからよく見定めるよう案内し、スズメバチの巣には近づかないことが一番の予防対策だと説明しています。所沢市も、巣の形を観察するときに近づき過ぎるのは危険と注意しています。

広島市の4m・1mの範囲は、ハチが出入りしている通気口や壁面からの距離です。その範囲の外から、双眼鏡やスマートフォンの望遠で確認します。梯子や脚立で上って確かめることはしません。

確認した内容の残し方

確認した内容は、後から自治体や調査会社に渡せる形で残します。距離をとって撮影した写真を、日付と時刻と一緒に保存すると、観察を始めた日からの変化も分かります。

  • 日付、時刻、天気。
  • 出入り口と思われる場所を、家の外観写真に印をつける。
  • 出入りしているものの数と、観察した時間。
  • 望遠で撮影した写真や動画。近づいては撮らない。
外から出入り口を確認する方法|距離・時間帯・双眼鏡:確認項目
観察する時間帯見るもの見つかったときの候補
晴れた日の日中軒先、屋根の端、通気口、戸袋の付近に、小さなものが何度も出入りしているか。同じ場所を続けて見る蜂(多数の出入り)、鳥(親鳥の出入り)
春から夏の朝や日中親鳥が巣材や餌をくわえて出入りしているか。屋根や戸袋の中からヒナのような声が聞こえるかスズメ、ムクドリなどの鳥
夕暮れから日没後日が傾いてから暗くなるまでの間に、同じ軒や換気口から小さな影が飛び出すかコウモリ
昼と夕方の両方で出入りがない通気口、軒、外壁の継ぎ目、配管周りなど、建物の外側に出入りできるすき間がないか出入り口が見つからない場合は、調査で内部を確認する

参考:日本ペストコントロール協会|有害生物情報 ハチ駆除

蜂が疑われるときの相談先|自治体と専門業者

蜂の巣の駆除は、広島市や所沢市のように、巣のある場所の所有者または管理者が対応するとしている自治体があります。所沢市は、自分で駆除できない場合は専門業者を案内し、費用は依頼者の全額自己負担としています。大阪府のよくある質問も、駆除は原則として所有者や管理者が行い、スズメバチやミツバチで多数の人が往来する場所で人的被害の発生または発生のおそれがある場合には、市町村で駆除などに対応した事例があるため、市町村の窓口に相談するよう案内しています。

船橋市は、スズメバチの巣のうち、建物の壁などに露出して目で見える巣など一定の要件に当てはまるものを、市が委託する事業者が無料で駆除するとしています。一方、屋根裏、床下、壁の中、戸袋、室外機、換気扇の中など、巣が露出していない場合は対象外で、構造物に穴をあけたり壊したりして駆除することはできないとしています。ただし、委託事業者による殺虫剤処理が可能な場合があるため個別に相談するよう案内し、対象外の場合は民間の専門業者に相談するよう求めています。天井裏の羽音は、自治体によってはこのように支援の対象外になる場所なので、早めに窓口で確認します。

練馬区は、天井裏の通気孔などの小さな穴から出入りして巣を作ることがあるため、通気孔に防虫網をつけたり、小さな穴を見つけたらふさいだりして、巣を作られないようにするよう案内しています。これは、巣ができる前の予防の話で、ハチが出入りしている最中の穴をふさぐ話ではありません。

蜂が疑われるときの相談先|自治体と専門業者:確認項目
相談先伝えること確認すること
自治体の衛生・環境の担当窓口羽音の時間帯、出入り口の場所、見えるハチの大きさと数市で駆除や補助があるか、専門業者の案内があるか。自治体によって扱いが違う
民間の専門業者出入り口の写真、建物の種類、巣が見えない場所かどうか現地調査の範囲、費用の内訳、再訪の有無。調査が無料とされる範囲は、依頼前に確認する
日本ペストコントロール協会の都道府県協会ハチ以外の可能性も含めた相談協会ごとの窓口や、紹介の可否
賃貸や集合住宅の管理会社出入り口の場所と、共用部か専有部か契約上、誰が駆除の手配と費用を負担するか

参考:船橋市|ハチの巣の駆除はどうすればよいですか?

鳥の羽音・ヒナの声が混じるとき|卵やヒナがいる巣の法律上の注意

環境省は、鳥獣や鳥類の卵については、狩猟により捕獲する場合を除いて、原則として捕獲、殺傷、採取が禁止されていると説明しています。被害が生じている場合などには、環境大臣または都道府県知事の許可を受けて捕獲等ができ、多くの都道府県では許可権限の一部を市町村長に移譲しています。環境省は違法捕獲の防止のページで、法律に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は罰則の対象になると注意しています。

大阪府は、野鳥の巣を撤去するときは巣の中を確認し、卵やヒナがいない場合は撤去できるが、卵やヒナがいる場合は撤去できず、撤去によって損傷や殺傷が明白な場合、許可がなければ法に抵触するおそれがあると案内しています。その場合は、巣立ちまで見守り、巣立ち後に撤去します。ツバメの例では、ヒナは約2週間で巣立つとも説明しています。

天井裏の巣は、中が見えず、卵やヒナの有無を確認できないことが多いため、撤去や封鎖を急ぎません。農林水産省によると、スズメの繁殖期は3〜9月で年に1〜3回、ムクドリは4〜7月で年に1〜2回、ドバトは4〜10月(暖かい地方では一年中)で、時期に幅があります。巣の扱いは巣に卵やヒナがある。撤去を頼む前に管理者と自治体へ確認したいことが参考になります。

参考:環境省|捕獲許可制度の概要

コウモリが疑われるときの確認|夕方の出入りとフン

コウモリは、前橋市の資料によると、屋根裏、戸袋、換気口、軒下、瓦の下などを生息場所とし、春から秋の夕暮れに活動して、冬は11月頃から4月頃まで冬眠します。出産期は初夏(7月頃)とされています。東京都ペストコントロール協会は、コウモリは6mmほどのすき間から出入りでき、出入りしている穴にはフンが堆積して夜間の出入りが確認できると説明しています。

浜松市は、コウモリは捕獲することが大変困難で、捕獲には許可が必要だと案内しています。侵入口の封鎖は、コウモリが家にいない時間帯に行い、中に取り残さないよう注意すること、まだ飛べない幼獣のいる時期(6〜8月)や冬眠前後を避けることが示されています。市は原則として捕獲や駆除を行っておらず、自分での対応が難しい場合は専門業者へ相談するよう案内されています。

コウモリが疑われるときは、封鎖を急がず、夕方の出入りの記録を作ります。屋根裏全体の流れは屋根裏のコウモリ|音・フン・侵入口の確認、法律の線引きはコウモリ駆除の法律にまとめています。

参考:浜松市|家にコウモリが住み着いて困っている

羽音の主を決められないときの調査の頼み方

昼と夕方に外から確認しても出入り口が見つからない、あるいは複数の候補が残るときは、天井裏の内部を調べられる調査に頼みます。伝える内容は、羽音の時間帯と季節、外から見た出入りの有無、天井のシミやにおいの有無です。蜂の可能性があるときは、そのことを最初に伝え、現地調査で近づく前の手順を確認します。

調査が無料とされる範囲は、「現地調査・見積もり無料」はどこまで?で確認できます。契約を急がされたときは、その場で決めず、複数の窓口に同じ記録を見せて比べます。

  • 羽音の時間帯と季節のメモ(昼・夕方・夜、春から夏か、など)。
  • 外から確認した出入り口の写真(距離をとって撮影したもの)と、観察した日時。
  • 天井のシミ、においの有無と、気づいた時期。
  • 建物の種類(持ち家、賃貸、集合住宅)と、管理者の連絡先。
  • 自治体の窓口に問い合わせた内容と、案内された先。