ムクドリが家のどこに巣を作るか:戸袋・屋根のすき間・屋根裏

農研機構の資料は、ムクドリが、疎林の樹洞や人家の戸袋など、建物のちょっとしたすき間に、枯れ草、羽毛、獣毛、落ち葉などで巣を作ると説明しています。バードリサーチの生態図鑑も、人家の戸袋や建造物の屋根のすき間、石垣の間などを挙げています。

農研機構は、家の戸袋などで繁殖された場合、繁殖中の鳴き声や悪臭、繁殖が終わったあとのダニの発生が問題になることもあると述べています。「屋根裏」「軒」「換気口」といった個別の場所は、確認した資料に書かれていませんでしたが、「建物のちょっとしたすき間」に含まれる場所として、点検の候補にします。

ムクドリが家のどこに巣を作るか:戸袋・屋根のすき間・屋根裏:確認項目
場所確認した資料での記載確認の手がかり気をつけること
戸袋(雨戸の収納部)農研機構とバードリサーチが記載巣材のはみ出し、雨戸を動かしたときの音、フン繁殖期は、雨戸を動かす前に中の様子を確認する。卵やヒナに触れるおそれがある
屋根のすき間(瓦・棟・破風まわりなど)バードリサーチが記載同じすき間への鳥の出入り、巣材をくわえた姿高所作業になる。脚立や屋根に上がって確認しない
屋根裏個別の記載は確認できず(建物のすき間に含まれる)天井裏の音、天井のシミ、においの変化点検口から身を乗り出さない。巣材や断熱材の状態は、調査で確認する
軒天・換気口・配管の貫通部個別の記載は確認できず(スズメの資料は換気口を挙げている)開口部への出入り、羽根やフンの落下換気口の通気をふさがない。補修の前に、中に鳥がいないか確認する

参考:農研機構|鳥種別生態と防除の概要:ムクドリ(Ver.3.3、PDF)

読者の疑問

ムクドリの卵を放置するとどうなりますか?

比較ガイド

卵は約12日で孵化し、ヒナは約23日で巣立ちます。その間は鳴き声や悪臭が続き、繁殖が終わったあとにダニが出ることもあります。卵やヒナのある巣は許可なく取り除けないため、巣立ちを待って片付けます。

屋根裏の音やフンはムクドリ?スズメ・コウモリ・ネズミとの見分け方

屋根裏から音がしても、ムクドリとは限りません。スズメも軒や瓦の間、換気口に巣を作り、アブラコウモリは天井裏や屋根のすき間に住み、ネズミにも天井裏に住み着くクマネズミがいます。見分けは、時期・時間帯・出入りの場所・落ちているものを組み合わせて考えます。次の表は、確認した資料の記載を並べたもので、これだけで種類を決めるものではありません。

表の「動く時間帯」のように、確かめ方の中心は、時刻と場所を記録することです。屋根裏の音を種類不明のまま整理する方法は天井裏の音の整理の仕方、フンの特徴の比べ方はコウモリとネズミのフンの比較にあります。確実に決めるには、点検口やカメラを使った調査が必要です。

屋根裏の音やフンはムクドリ?スズメ・コウモリ・ネズミとの見分け方:確認項目
見るところムクドリスズメコウモリ(アブラコウモリ)ネズミ
繁殖の時期3月下旬〜7月に年1〜2回4〜8月に年2〜3回7月ごろから繁殖期確認した資料に時期の記載なし
動く時間帯資料に時間帯の記載はない。日中の出入りを自分の目で確認する同左日没後に活動する主に夜間。安全と判断すると昼間も活動する場合がある
出入りに使う場所戸袋、屋根のすき間など、建物のちょっとしたすき間軒や瓦の間、換気口など天井裏、屋根のすき間天井裏に住み着くクマネズミの例がある
落ちているもの・痕跡枯れ草、羽毛、落ち葉などの巣材。繁殖中の悪臭枯れ草、ワラ、ひもなどの巣材5〜10mmの糞が軒先や屋根の下に落ちる。ネズミの糞よりもろい糞の形は種類や餌で違う

参考:東京都ペストコントロール協会|コウモリとネズミの糞の違い

ムクドリの繁殖期と巣立ちまでの期間(工程表)

農研機構の資料とバードリサーチの生態図鑑(執筆は農研機構の研究者)は、ムクドリの繁殖期を3月下旬から7月とし、年に1〜2回繁殖するとしています。卵は薄い青緑色で、1回に4〜7個、雌雄で抱卵し、夜間はメスのみが行います。約12日で孵化し、育雛は雌雄で行い、約23日で巣立ちます。巣立ったヒナは、約1か月は親と家族群で行動します。西東京市は、野鳥全般について、4月から7月にかけて民家の戸袋などに巣を作り、営巣から1か月から1か月半くらいでヒナが巣立つと案内しています。

同じ繁殖期に1〜2回繁殖するため、最初の巣立ちのあとにも、次の産卵が続く可能性があります。巣立ちを確認したあとも、繁殖期の間は、戸袋やすき間が再び使われないかを確認します。次の表は、公的資料の期間をもとに、巣立ち後の作業の順序を並べた当記事の整理です。

繁殖が始まる前に点検する

バードリサーチの資料は、3月にはムクドリが好適な巣場所をめぐって激しく争うと記しています。巣作りが本格化する前の冬のうちに、戸袋や屋根のすき間を点検し、すき間が空いていれば、卵やヒナがいない時期に補修を相談するのが、無理のない順序です。補修の前には、中に鳥がいないことを確認してください。

ムクドリの繁殖期と巣立ちまでの期間(工程表):確認項目
段階目安の時期・期間やることやらないこと
1 巣作り〜産卵3月下旬から音・出入り・巣材を、離れた位置から記録する。管理者に連絡する卵やヒナの有無が分からないまま、戸袋やすき間を開ける・塞ぐ
2 抱卵約12日巣に触れず待つ。許可の要否を自治体に確認する巣の撤去、卵を取り除くこと
3 育雛約23日巣から離れた範囲のフンや落下物だけを、手袋とマスクで片付けるヒナや巣に近づく、追い出す
4 巣立ちの確認巣立ち後、親子の行動は約1か月離れて数日確認し、中が見えない場所は調査を頼む鳴き声が止まっただけで空と判断する
5 巣材の撤去空だと確認できてから巣材を撤去し、袋に入れて処分する巣材を残したまま、入口だけを塞ぐ
6 ダニ対策・清掃巣立ち直後から(豊島区はダニが出る時期を5〜7月と説明)周辺を清掃する。薬剤は製品の表示に従う表示にない使い方、必要以上の散布
7 侵入口の補修巣材撤去とダニ対策のあと入口を特定して塞ぐ。通気・雨戸の動き・排水を妨げないか確認する原因となる入口を確認しないまま、見える穴だけを塞ぐ

参考:バードリサーチ|Bird Research News 生態図鑑 ムクドリ Vol.8 No.2(PDF)

ムクドリの卵・ヒナがいる間にできること・できないこと

大阪府は、野鳥の巣を撤去する前に、必ず巣の中を確認するよう案内し、卵やヒナがいる場合は撤去できず、巣立ち後に撤去するとしています。ムクドリも、卵やヒナの扱いは同じです。西東京市は、ムクドリの巣に卵やヒナがいて撤去したい場合、東京都の鳥獣捕獲許可が必要とし、東京都ペストコントロール協会への相談を案内しています。

熊本市は、市が捕獲許可できる鳥類を一覧で挙げていますが、ムクドリは載っておらず、載っていない鳥は問い合わせるよう案内しています(2026年10月3日確認)。ムクドリが許可の対象になるか、どの条件で許可が出るかは、自治体によって違います。卵やヒナのある巣は、この記事で撤去の手順を扱いません。

待つ間、生活への影響を減らす

鳴き声や悪臭が気になる間は、卵を抱く約12日とヒナを育てる約23日を合わせた約35日が、巣立ちまでの一つの目安になります。経過を記録しておくと、管理者や自治体に相談するときに、状況を説明しやすくなります。卵やヒナのある巣の考え方は、巣に卵やヒナがあるときでも整理しています。

  • 天井や壁のシミ、においの変化を、日付つきの写真で記録する
  • 室内で小さな虫が出る場所と日付を記録する
  • 巣立ちの見込みを、管理者や自治体の担当者と相談する
ムクドリの卵・ヒナがいる間にできること・できないこと:確認項目
状況できることできないこと・注意
卵やヒナがいる離れた位置から記録する。管理者と自治体に連絡する。巣の下に洗濯物を干さない、人が長くとどまらないなど、置き場所や過ごし方を変える巣・卵・ヒナを取り除く。巣の入口をふさぐ、親鳥を追い払うなど、親鳥が巣に戻れなくなる作業をする
卵やヒナがいるか分からない離れて確認する。点検口やカメラで見られる調査を相談する空だと決めて撤去や封鎖をする
巣立ちを確認できた巣材の撤去、清掃、ダニ対策、補修へ進む確認が不十分なまま作業する

参考:大阪府|野鳥が巣を作ったときの対応

ムクドリの巣立ち後の巣材撤去・ダニ対策・清掃

巣立ちを確認できたあとは、巣のみを撤去することに許可は要りません。西東京市は、巣が空の状態なら、野鳥の種類に関係なく誰でも巣を撤去できると案内しています。浦安市は、空の巣は取り外してごみとして処分できるとしています。巣材に触れるときは、素手を避け、手袋とマスクを着けます。

ダニにも備えます。農研機構は、家の戸袋などで繁殖された場合、繁殖が終わったあとにダニが発生して問題になることもあると述べています。豊島区は、スズメやムクドリなどの巣でヒナが巣立って空き巣になると、トリサシダニが這い出して人を吸血する場合があるとし、体長は約0.7〜1mmで、5〜7月に被害が出ると説明しています。駆除の方法として、巣の除去と、周辺へのゴキブリ用エアゾールの散布を挙げていますが、薬剤の濃度や使い方は、製品の表示に従ってください。

巣材の撤去、清掃、消毒をひとまとめにして任せるときは、野鳥の巣の近くから小さなダニの確認項目を見積もりの前に読んでおくと、どこまで含まれるかを聞きやすくなります。かゆみなどの症状は医療機関に相談してください。

参考:豊島区|室内で問題となるダニ(トリサシダニ)

再び入られないための補修:戸袋・軒天・換気口

浦安市は、ムクドリ対策として、防鳥ネットを軒下や戸袋などに張っておくと、鳥が侵入しにくくなる効果があるとしています。ほかに、鳥用の忌避剤、天敵の模型、音や光による威嚇も紹介していますが、音や光はご近所トラブルにつながる可能性があるため、住民間の合意が要るとしています。

農研機構の資料は、果樹園での防除の説明ですが、ムクドリは人に慣れやすく、防鳥機器はすぐに慣れが生じるため、防鳥網を張るのが確実な方法だと述べています。威嚇の機器や模型は、いずれ慣れられて効果がなくなることを前提に使うとされています。住宅でも、追い払いの道具だけに頼らず、入口を塞ぐ補修を軸に考えるのが現実的です。

補修は、巣材を撤去し、ダニ対策をしたあとに行います。巣材を残したまま入口だけを塞ぐと、においやダニが残るためです。工程の順番は、害獣の追い出し・封鎖・清掃の工程表で確認できます。補修箇所ごとの確認点は、次のとおりです。

  • 戸袋:入口やすき間の位置を特定し、防鳥ネットなどで塞ぐ。雨戸の開閉に支障がないかを確認する
  • 軒天・破風:傷んだ穴を補修する。雨水の入りや下地の傷みも合わせて確認する
  • 換気口・換気扇:防鳥網の外れや破れを確認する。通気量が減らないかを確認する
  • 屋根のすき間(瓦・棟まわり):高所作業になるため、屋根工事ができる業者に相談する

参考:浦安市|ムクドリやカラスなどの鳥獣について

ムクドリが毎年来る場合に業者へ相談する目安

ムクドリが毎年同じ家に戻るかどうかは、確認した公的資料に書かれていませんでした。ただ、バードリサーチの資料は、3月に好適な巣場所をめぐる激しい争いが見られると記しているため、条件に合うすき間が残っている家は、翌年も候補になる可能性があります。これは資料からの推測で、断定はできません。

毎年来る、巣立ち後の補修が必要だが高所で自分では難しい、天井裏まで巣材やフンが広がっている、室内に虫が出る、といった場合は、無料調査を含めて業者に相談する目安です。見積書では、巣材撤去・清掃・消毒・補修・高所作業・ごみ処分が分かれているか、卵やヒナの有無をどう確認するか、再発したときの対応を聞きます。読み方は害獣駆除の費用は何で変わる?見積もりの内訳の読み方にまとめています。

夕方に電線や街路樹へムクドリが大群で集まるのは、住宅の営巣とは別の相談です。ねぐらの記録と相談先の分け方は、ムクドリが夕方に集まるときの記録と相談で扱っています。

参考:農研機構|鳥種別生態と防除の概要:ムクドリ(Ver.3.3、PDF)