鳩に超音波は聞こえるのか|公的資料が示す鳥の聞こえる範囲

農研機構(旧・農業技術研究機構)の鳥獣害研究室が作成したリーフレットは、人に聞こえる音の高さをおよそ20〜2万ヘルツ、ふつうの鳥が聞こえるのは200〜8千ヘルツ程度と説明しています。人に聞こえない音は鳥にも聞こえない、というのが結論です。ハトやニワトリは20ヘルツ以下の低い音も聞こえるとされますが、これは超音波ではなく超低周波で、人に聞こえない高い音で鳥だけを追い払うという仕組みは成り立ちません。

農林水産省の「野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編」(令和6年3月版)も、鳥の聞こえる範囲は人より狭く、2万ヘルツ以上の超音波は聞き取れないため、超音波を発しても追い払い効果はないと書いています。省庁と国の研究機関の資料が同じ方向を示している点は、広告の言葉を読むときの基準になります。

ハトが超低周波を聞けること自体は、追い払いに使えることを意味しません。この記事で確認できたのは、超音波に効果がないという記述までで、特定の機種が鳩を遠ざけたという公的な試験結果は見つかりませんでした。音の機器を検討するときは、方式が超音波なのか、人にも聞こえる音なのかを、まず表示で確かめます。

参考:農研機構(旧・農業技術研究機構)鳥獣害研究室|鳥害を防ぐにはまず相手を知ろう(PDF)

読者の疑問

鳩に超音波は効きますか?

比較ガイド

効果は期待できません。農林水産省のマニュアルは、鳥は人に聞こえない2万ヘルツ以上の超音波を聞き取れず、超音波を発しても追い払い効果はないとしています。購入するなら、方式が超音波だけの機器は避けてください。

音・超音波・CD・磁石で確認できること・できないこと

鳥を追い払う器具には、音を使うもの、光や見た目を使うもの、磁石を使うものがあります。農林水産省のマニュアルは、これらの刺激は鳥に実害をもたらさないため、日数がたつと慣れて追い払い効果がなくなると整理しています。設置直後に鳥が離れるのは、見慣れない物を警戒して様子を見るためで、環境の変化への普通の反応だと説明されています。

下の表は、公的資料の記述と、今回確認できなかった点を方法別に分けたものです。CDそのものを吊るす方法を扱った記述は確認できませんでした。光を反射するテープや吹き流しと同じ、見た目で驚かせる方法として読むのが自然です。表の「使うときの考え方」は、資料の内容をもとにした当サイトの整理です。

音・超音波・CD・磁石で確認できること・できないこと:確認項目
方法公的資料で確認できたこと確認できなかったこと使うときの考え方
超音波の機器鳥は2万ヘルツ以上の超音波を聞き取れず、超音波を発しても追い払い効果はない特定の機種が鳩を遠ざけたという公的な試験結果購入の根拠にしない。表示に超音波とあるだけの機器は避ける
録音した鳴き声・警戒声利用期間が1〜2週間なら効果が期待できる場合もあるが、次第に慣れて効果がなくなる住宅のベランダで鳩に長期間効いたという記録数日から2週間ほどの補助に限り、他の対策と組み合わせる
爆音機・大きな音使用期間が長いと慣れが生じる。大きな音のため周囲への影響を考える必要がある住宅地で近隣の理解を得て使えたという事例住宅地では優先しない。使うなら時間帯と周囲への影響を先に決める
CD・反射テープなど光る物光る防鳥テープや吹き流しは、慣れることは避けられないため、必要な期間だけ設置するCDを吊るす方法そのものの試験結果見た目で驚かせる方法として扱い、常時吊るしたままにしない
磁石農研機構の実験で、カラスとスズメを遠ざける効果は認められなかった。ドバトでも同様の実験があると農林水産省が記載磁石の防鳥用品が鳩に効くという公的な根拠使わない。来なくなった場合も、見慣れない物への警戒と考えられている

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編(令和6年3月版)3-2 侵入防止対策(PDF)

鳩対策の音が慣れで効かなくなる理由と、使うなら組み合わせる対策

音や光の機器が効かなくなる流れは、公的資料の記述から追えます。鳥は新しい物を警戒していったん離れ、実害がないと分かると戻ってきます。農林水産省のマニュアルは、追い払い効果の続く期間は、その場所への鳥の執着、周辺にほかの場所があるか、栄養状態などで変わり、一概には言えないとしています。

慣れの実験から分かること

農研機構のリーフレットは、鳥に警戒声を流した実験を紹介しています。警戒声を流した餌台のミカンは7日目までほとんど食べられませんでしたが、その後は声の有無に関わらず食べられました。ハトの実験かどうかは資料から分かりませんが、録音した声は1週間ほどで見抜かれることがある、という具体的な目安になります。

ドバトは、手すりなどにいったん止まって安全を確かめてから降りる習性があり、糞のある場所を安全と判断して集まる、と大阪府は説明しています。糞や餌、巣という居続ける理由が残っている限り、音だけでは鳩が戻る原因を取り除けません。

使うなら期間を区切り、ほかの対策と組み合わせる

農林水産省のマニュアルは、慣れを減らす工夫として、被害が出る直前に設置して必要な期間が過ぎたら片付けること、設置位置や器具の種類を頻繁に変えること、ほかの被害防止対策と組み合わせることを挙げています。音を出した日と時間帯、鳩が戻った日を記録しておくと、効果があったのか慣れたのかを後から判断できます。

清掃やテグス、ネットなどの物理的な対策と組み合わせる方法は、鳩駆除を自分でする方法で段階別に整理しています。忌避剤を使う場合は鳩対策スプレー・忌避剤の使い方も確認してください。

  • 設置する日と外す日を、最初にカレンダーへ書く
  • 音の種類や位置を変えた日と、鳩の来た時間帯を記録する
  • 清掃・テグス・ネットのいずれかを同時に進める

参考:農林水産省|野生鳥獣被害防止マニュアル 鳥類編(令和6年3月版)3-2 侵入防止対策(PDF)

カラス・ムクドリの音・CD対策は鳩と何が違うか

検索では、鳩だけでなくカラスやムクドリの「音」「CD」「超音波」も一緒に調べられています。鳥の聞こえる範囲に関する資料は鳥全般を対象にしているため、ムクドリやカラスだけ超音波が聞こえるという記述は確認できませんでした。違いが出るのは、慣れの出方と、使われる場面です。

カラスは見慣れない物への警戒が強い

農林水産省のマニュアルは、カラスは見慣れない物や普段と違う状況への警戒心が他の鳥より強いため、おどかして追い払う器具も、工夫次第で役に立つ場合があるとしています。神戸市も、カラスは最初は見慣れない物を警戒するが、危険でないと分かるとすぐ元に戻るため、置く物を変える、音を足すなどして慣れさせないことが大切だと案内しています。カラスの被害の分け方はカラスの被害を相談するときの整理にあります。

ムクドリは夕方のねぐらが相談の中心

山形市は、電線や樹木に集団で飛来するムクドリやカラスに対して、防除音を出す機器を貸し出し、数日続けて追い払うと効果が長続きすると案内しています。機器は音量が大きく調整できないため、人に向けて使わないよう注意書きもあります。この貸出は、ねぐらに集まる群れが対象で、ベランダに来る鳩向けのものではありません。貸出の手順は山形市の追い払い機器の貸出、夕方に集まる鳥の記録はムクドリのねぐらの記録と相談にまとめています。

参考:山形市|ムクドリ・カラスによる生活環境被害防止のための防除機器の貸し出しについて

住宅地で音の機器を使うときの騒音トラブルへの配慮

音を出す機器は、鳩より先に人へ影響することがあります。農林水産省のマニュアルは、爆音機について、大きな音を出すため周囲への影響を考える必要があると書いています。山形市の機器も、音量が大きく、調整できません。住宅が近い場所では、効果以前に、使ってよい時間と場所を決めることが課題になります。

集合住宅のベランダや外壁は、共用部分や貸主の持ち物であることが多く、機器の取り付けに管理者の承諾が要る場合があります。承諾の確認や費用負担は、鳩被害をマンション管理会社に相談する進め方に整理しています。音の苦情が一件でも出たら、効果の途中でも使用を止める、と決めておくと、近隣との関係を守れます。

  • 設置の前に、隣戸と管理者へ、音の出る時間帯と期間を伝える
  • 早朝・夜間は音を出さない設定にできるかを、購入前に確かめる
  • 苦情が出たら使用を止め、別の対策へ切り替える
  • 屋外で火を使う追い払いや、人や動物に向けた使用はしない

参考:山形市|ムクドリ・カラスによる生活環境被害防止のための防除機器の貸し出しについて

購入前に製品の表示で確認する項目|対象・範囲・根拠・返品条件

消費者庁は、商品の効果や性能に関する表示が実際より優れているように見せる表示を、景品表示法の優良誤認表示として禁止しています。効果をうたう表示には、裏づけとなる合理的な根拠が求められる仕組みもあります。ここから、購入者は「その表示の根拠を、販売元に尋ねてよい」と考えられます。特定の製品が違反だという意味ではありません。

次の表は、超音波や音の機器を比べるときに、表示で確かめたい項目です。「実績多数」「口コミ高評価」といった言葉は、試験条件を示す情報ではないため、根拠の欄には入れません。返品の条件は購入先によって違い、開封後や使用後も対象かどうかは、注文の前に表示を確認します。

購入前に製品の表示で確認する項目|対象・範囲・根拠・返品条件:確認項目
確認する項目表示で見ること気をつけたい書き方
対象の鳥ハトと明記されているか。使用場所や季節の条件があるか「害鳥全般」「鳥・害獣に対応」だけで、ハトへの試験の記載がない
方式と音の高さ超音波か、人にも聞こえる音か、光やフラッシュとの組み合わせか超音波のみで鳥に効くとする説明。公的資料は聞こえないとしている
効果の根拠試験した鳥の種類、場所、期間、何を効果とみなしたか条件のない「効果を確認」「撃退率」といった数字だけの表示
有効範囲半径や面積が、壁や障害物のある住宅でも同じ条件か「300平方メートル」など広さのみで、測定条件がない
音量・設置条件音量調整、夜間停止、屋外使用の防水、電源近隣への配慮の記載がなく、音量を変えられない
返品・保証開封後の返品可否、返送料、期限、保証が返金か交換か「効果保証」とあるが、返金の条件が書かれていない

参考:消費者庁|表示規制の概要(景品表示法)

音以外の対策へ切り替える目安|清掃・テグス・ネット・相談

大阪府は、ドバトがベランダの手すりやひさしにいったん止まって安全を確かめる習性を踏まえ、手すりの上面から5〜6センチの位置にテグスを張って止まれなくする方法と、糞をこまめに掃除して清潔に保つことを案内しています。音や光のように慣れで効果が落ちる刺激ではなく、物理的に止まれない、降りにくいという条件を作る対策です。

音の機器を2週間ほど試して、同じ場所に毎日鳩が来る、夜もいる、巣材や卵が見えるときは、切り替えの時期です。この2週間は法令や公的資料の定めではなく、判断を区切るための当サイトの目安です。ネットを付ける場合は防鳥ネットの承諾と隙間の確認、屋根や高所が絡む場合は鳩が屋根の上に集まる原因と対策、業者を比べる場合は鳩駆除業者の選び方を参考にしてください。

参考:大阪府|ドバトでお困りの方へ