コウモリは鳥獣保護管理法の対象か|条文で確認する
鳥獣保護管理法(正式名称は鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)は、鳥獣を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定め、捕獲または殺傷を合わせて「捕獲等」と呼んでいます。第8条は、鳥獣と鳥類の卵について捕獲等や採取等をしてはならないと定め、環境大臣や都道府県知事の許可を受けた場合などだけを例外としています。コウモリは野生の哺乳類なので、この条文の対象になります。
例外として、第80条と省令(施行規則第78条)が、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種と一部の海棲哺乳類を適用除外にしています。この3種は申請や許可の手続きなしに捕獲や殺傷ができると京都市のQ&Aも案内していますが、コウモリは適用除外の一覧に入っていません。ネズミ用の製品や考え方を、そのままコウモリに当てはめることはできません。
| 動物 | 鳥獣保護管理法での扱い | 確認できる根拠 |
|---|---|---|
| コウモリ(アブラコウモリなど) | 原則として捕獲等は禁止。許可を受けた場合などが例外 | 法第2条第1項・第8条。省令の適用除外の一覧に含まれていません |
| ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ | 法の適用除外 | 法第80条、省令第78条。京都市のQ&Aも許可手続きは不要と案内 |
| 適用除外に載っていない野生の哺乳類・鳥類 | コウモリと同様に、原則として捕獲等は禁止 | 京都市のQ&A:ネズミ用の罠にイタチなどが入った場合は、殺傷せず放すよう案内 |
参考:e-Gov法令検索|鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
コウモリを殺虫剤で駆除するとどうなりますか?
殺傷は鳥獣保護管理法の「捕獲等」にあたり、許可なしでは行えません。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。追い出し用の忌避剤とは区別し、殺虫剤はコウモリに使わないでください。
してよいこと・許可が要ること・してはいけないこと
京都市のQ&Aは、野生鳥獣を自力で捕まえたり殺したりすることは原則として禁じられているとし、近寄らせない、追い払う対策を求めています。そうした対策を行っても大きな被害が続く場合のみ、有害鳥獣捕獲の申請・許可の手続きを経て、狩猟免許などの資格を持つ人が捕獲できるとしています。この考え方を、コウモリの場合の区分に整理します。
下の表は、当サイトが法令と自治体の案内から整理した区分です。個別の事情で判断が分かれることがあるため、捕獲や殺傷にあたるか迷う作業は、実施する前に窓口へ確認してください。具体的な追い出しの手順はコウモリ駆除を自分でする方法で扱っています。
| 区分 | 行為の例 | 補足 |
|---|---|---|
| してよいこと(捕獲や殺傷にあたらない対策) | 出入りの観察と記録、忌避剤での追い出し、侵入口の封鎖、フンの清掃 | 自治体は追い出しや封鎖を案内。封鎖は取り残しがない状態で行い、浜松市は幼獣のいる時期(6〜8月)と冬眠前後を避けるよう案内 |
| 許可が要ること | 被害を防ぐための捕獲や殺傷 | 環境大臣または都道府県知事(権限の一部は市町村長に移譲)の許可。申請書に方法や期間などを記載 |
| 許可なしではしてはいけないこと | 手や網で捕まえる、罠・粘着シートを使う、殺虫剤や毒餌で殺す、叩く | 第8条違反。第83条で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 避けること(自治体が注意を促す) | コウモリが中にいる状態での封鎖、幼獣のいる時期の封鎖 | 取り残すと死なせてしまい、においや害虫の原因になる(浜松市) |
罠・粘着シート・殺虫剤をコウモリに使ってはいけない理由
鳥獣保護管理法でいう「捕獲等」は、捕獲または殺傷です。罠、粘着シート、手や網で捕まえることは「捕獲」、殺虫剤、毒餌、叩くことは「殺傷」にあたり、どちらも第8条の禁止の対象です。目的が追い出しや被害の防止であっても、結果として捕獲や殺傷にあたる道具は、許可なしには使えません。
第83条第2項は、第8条違反(同条第1項第1号)について、未遂も罰すると定めています。罠を仕掛けたが何も捕れなかった場合に、実際にどう扱われるかまでは、条文だけでは判断できません。許可なしで、捕獲を目的とした罠を設置する選択肢はない、と理解してください。追い出し用の忌避スプレーと殺虫剤の違いは、コウモリ駆除スプレーの使い方と殺虫剤が使えない理由にまとめています。
ネズミ用の罠や粘着シートに別の野生動物が入った場合について、京都市のQ&Aは、殺傷せず放すよう案内しています。コウモリが入ってしまった場合も、自己判断で処理せず、お住まいの自治体の窓口に連絡して指示を受けてください。
コウモリ駆除に違反した場合の罰則と「逮捕」について
鳥獣保護管理法第83条第1項第1号は、第8条に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲等した場合(許可不要者を除く)に、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。コウモリは、省令の狩猟鳥獣の一覧(別表第二)に載っていないため、この条文が当てはまります。
同条第2項は未遂も罰すると定め、第3項は、犯罪に使った物や捕獲した鳥獣で犯人が所有するものを没収するとしています。「逮捕」については、条文に刑罰があることは確認できますが、実際の捜査や処分は個別の事案によるため、この記事では事例や頻度には触れません。迷う作業は、実施する前に窓口へ確認してください。
| 条文 | 確認できる内容(要約) |
|---|---|
| 第2条 | 鳥獣は鳥類または哺乳類に属する野生動物。捕獲等は捕獲または殺傷 |
| 第8条 | 鳥獣の捕獲等、鳥類の卵の採取等は禁止。許可を受けた場合などが例外 |
| 第9条 | 学術研究、鳥獣の保護または管理などの目的で、環境大臣または都道府県知事の許可を受ける。有効期間が定められ、条件が付く場合がある |
| 第17条 | 囲まれた土地や作物のある土地での捕獲等は、土地の占有者の承諾が必要 |
| 第80条・省令第78条 | ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミなどは適用除外 |
| 第83条 | 第8条違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。未遂も罰する。没収の定めもある |
コウモリの捕獲許可の申請先と、個人の被害での扱い
環境省は、捕獲許可の権限者を、国指定鳥獣保護区内や希少鳥獣などでは環境大臣、それ以外では都道府県知事としています。多くの都道府県では、その権限の一部を市町村長に移譲しているとも説明しています。許可の基準は都道府県の鳥獣保護管理事業計画に定められているため、詳細は各都道府県の担当部局に確認するよう案内されています。
個人の住宅被害で許可が出るか
法第9条は、学術研究、鳥獣の保護や管理などの目的で許可を受けるとし、環境省は、生態系や農林水産業に被害が生じている場合などを例に挙げています。個人の住宅のコウモリ被害で許可が出るか、どんな方法や期間が認められるかは、都道府県や権限を移された市町村の基準によります。この記事では判断を示せないため、申請を考えるときは、所在地、被害の状況、これまでに行った対策を整理して窓口に相談してください。
申請書に書く内容(施行規則第7条)
施行規則は、申請書に、申請者の住所や氏名、捕獲等をしようとする鳥獣の種類と数量、目的・期間・区域・方法、捕獲した後の処置を書くことを求め、場所を示す図面も添えるとしています。「何とかしてほしい」という相談ではなく、種類・場所・方法を具体的に説明できることが前提です。
- 捕獲する鳥獣の種類と数量
- 捕獲等の目的、期間、区域、方法
- 捕獲した後の処置
- 捕獲等をする場所を示す図面(銃以外の方法では、その方法を示す図面も)
希少鳥獣にあたる種類と、土地の占有者の承諾
省令の別表第一(希少鳥獣)には一部のコウモリが載っており、希少鳥獣の捕獲等は環境大臣の許可の対象です。住宅に出入りするコウモリの種類を自分で断定せず、観察した状況をそのまま窓口に伝えます。また、第17条は、垣や柵で囲まれた土地や作物のある土地で捕獲等をする場合、あらかじめ土地の占有者の承諾を得るよう定めています。集合住宅や賃貸で外壁や共用部分が関わる場合は、浜松市が案内するように、施設の所有者・管理者への相談が先です。
自治体公式の実例|コウモリの窓口は市区町村で異なる
自治体の案内を並べると、市がコウモリの捕獲や駆除を行わないと明記している例があり、許可の問い合わせ先も異なります。次の表は、2026年10月3日に確認した各自治体の公式ページの記載を要約したものです。自治体名は参考例であり、お住まいの地域の窓口が同じとは限りません。
このように、市が捕獲を行わず、許可は都道府県などに確認する形が見られます。ただし、関西の自治体を含め、窓口の名称や条件は一律ではありません。お住まいの市区町村の担当課に、「コウモリの被害で、捕獲を含む作業をする場合の手続きはどうなるか」と聞いてください。相談の入口はコウモリが軒や換気口に出入りしているときの対策にもあります。
| 自治体(確認した版) | 公式ページに書かれていること | 許可・相談の窓口 |
|---|---|---|
| 浜松市(2026年3月13日更新) | コウモリは捕獲が難しく、捕獲には許可が必要。侵入口の封鎖で対処。市では原則として捕獲・駆除を行わない | 自分で難しい場合は専門業者(有料)。他人の土地は所有者・管理者へ相談 |
| 横浜市(2026年9月9日更新) | 市ではコウモリの捕獲や駆除を行わず、自分で対処。難しい場合は専門業者へ(有料・個人負担) | 捕獲許可は神奈川県の自然環境保全課に問い合わせ |
| 京都市(2026年4月版のQ&A) | イタチ・タヌキとあわせた項目。行政機関による捕獲・駆除は行わない。侵入口を金網や板で防ぐことが効果的とされる | 有害鳥獣捕獲の申請・許可の手続きは農(林)業振興センターに問い合わせ |
| 名古屋市(2026年5月22日更新) | 鳥獣の捕獲は原則禁止。市長が許可できる57種の別表にコウモリは載っていない | 許可の権限は環境大臣や都道府県知事にあり、その一部が市長に移譲されて57種を市長が許可できる、という説明。コウモリの窓口は市の担当課に確認 |
業者に頼む場合も同じ法律が適用される|確かめる質問
第9条第8項は、許可を受けた者のうち国、地方公共団体、認定鳥獣捕獲等事業者などが、従事者証の交付を受けて、その監督の下で捕獲等に従事する者を置けると定めています。また、許可を受けた者や従事者は、捕獲等をするときに許可証や従事者証を携帯するよう求められます(第10項)。業者の名前で作業していても、捕獲等を含むなら、許可と、許可に基づく従事が前提になります。「全部捕まえて駆除します」のような説明を受けたときの確かめ方は、コウモリ駆除の悪徳業者を避けるための確認でまとめています。
追い出し・封鎖・清掃だけの作業であれば、自治体が個人向けに案内している範囲の作業です。一方、捕獲を含むと説明された場合は、許可の有無を具体的に確認します。見積もりの前に、次の質問を投げかけてください。答えが曖昧なとき、契約を急かされるときは、害獣駆除業者の選び方や契約を急かされたときの確認事項も参考になります。
- この作業は、追い出し、封鎖、清掃のどれですか。捕獲や殺傷にあたる作業は含まれますか
- 捕獲を含む場合、許可は誰が申請し、許可証の番号、期間、場所、方法はどうなっていますか
- 罠、粘着シート、殺虫剤、毒餌を使う予定はありますか。使うなら、その根拠は何ですか
- 子育て期や冬眠前後かもしれない場合、内部に残る個体を確かめる方法と、確認できなかったときの扱いはどうなりますか
- 作業の前後の写真と、封鎖した箇所の一覧を書面でもらえますか
子どもがいる時期の閉じ込めを避ける
浜松市は、封鎖はまだ飛べない幼獣のいる時期(6〜8月)と、冬眠前後の時期を避けるよう案内しています。取り残しがあると閉じ込めて死なせてしまい、死体がにおいや害虫の発生源になる、とも注意しています。許可のいらない追い出しや封鎖であっても、時期と取り残しの確認を欠くと、意図しない結果を招くおそれがあります。時期によって工期や費用の扱いがどうなるかを見積もりで確かめる方法は、コウモリ駆除の費用・相場でまとめています。
親が餌を取りに出ている間に封鎖すると、飛べない子が内部に残る状況も起こりえます。意図せず野生動物を死なせてしまう事態は、においや衛生の面でも、野生動物の扱いの面でも避けたい結果です。時期の考え方はコウモリ対策の時期の相談、地面で動かない個体を見つけたときは地面で動かないコウモリを見つけたらを参照してください。





