スズメが巣を作りやすい場所は?屋根・軒下・換気口・雨樋の一覧

農研機構の資料は、スズメが人家の屋根や壁などのすき間、樹洞、巣箱などに、わらくずなどを使って巣を造ると説明しています。日本鳥学会誌の総説(三上、2019年)は、住宅で鳥が営巣する場所として、屋根の上、屋根瓦の下、軒下、換気孔、戸袋、雀口などを挙げ、スズメを建物のすき間の内側に草などを詰めて巣を作る種類の代表としています。

どの場所が多いかは、地域や建物の作りで変わります。加藤ら(2013年)は、東京都豊島区の市街地では電柱の部品のすき間に、埼玉県ふじみ野市の農村部では屋根瓦のすき間に巣が多かったと報告しています。下の表は、読んだ資料に書かれていた場所を整理したもので、頻度の順位ではありません。

スズメが巣を作りやすい場所は?屋根・軒下・換気口・雨樋の一覧:確認項目
場所資料に書かれていた内容地上から見る手がかり
瓦のすき間(軒下・棟・破損した屋根の下)加藤ら(2013年)の農村部の調査では、確認した巣70件のうち屋根瓦のすき間が51件(72.9%)。内訳は軒下36件、棟4件、壊れた屋根の下11件軒先の瓦の下端や棟の合わせ目から、枯草がはみ出していないか
換気口・排気口日本野鳥の会、バードリサーチ、三上(2019年)が、スズメの営巣場所として挙げている屋外フードの網の破れ、フードの縁の枯草、出入りする姿
戸袋清瀬市が野鳥の営巣場所の例に挙げる。三上(2019年)は、入口が大きい戸袋はムクドリがよく使い、スズメによる利用はあまり見ないと述べる2階以上の戸袋、雨戸を長く閉めたままの場所
雨どい加藤ら(2013年)の市街地の調査で、「その他」(壊れた壁のすき間、雨樋、不明など)20件に含まれる。雨樋だけの件数は示されていない雨どいの端、集水器まわりの巣材、軒先との継ぎ目
鉄骨・パイプ・配電盤三上(2019年)は立体駐車場の鉄筋のすき間、バードリサーチは鉄パイプや交通信号機、京都市動物園の資料は配電盤や電柱などのパイプを挙げるカーポートや物置の骨組みの端、柱と梁の継ぎ目
電柱の金具加藤ら(2013年)の市街地の調査では、巣126件のうち105件(83.3%)が電柱の部品のすき間自宅前の電柱の金具(設備の管理者の持ち物)
ベランダ・庭清瀬市が、植木鉢やプランター、洗濯機の裏、軒下の壁面、葉の茂った庭木を野鳥の営巣場所の例に挙げる(スズメに限らない)置いたままの植木鉢、使わない物の裏

参考:J-STAGE|加藤貴大ほか「都市部と農村部におけるスズメの営巣環境,繁殖時期および巣の空間配置の比較」『日本鳥学会誌』62巻1号(2013年、PDF)

読者の疑問

スズメは家のどこに巣を作りますか?

比較ガイド

瓦の下、軒下、棟、換気口、雨どいまわり、鉄骨のすき間など、鳥が出入りできる小さな閉じたすき間です。三上(2019年)は戸袋はムクドリが多いとし、場所は建物の作りで変わります。

スズメの巣の見つけ方:地上から出入りを観察して位置を絞る

立教大学の解説は、スズメが住宅のすき間など狭いところに巣を作るため、巣の中を見る機会はなかなかないと述べています。位置の特定は、鳥の動きから推測する形になります。加藤ら(2013年)の調査も、10日に1回以上の頻度で町を歩き、親鳥がヒナに給餌する様子とヒナの声から、育雛期の巣の位置を特定しています。

観察は、建物から離れた地上の安全な場所で行います。屋根へ登る、はしごをかける、巣のすき間をのぞき込むといった確認は、落下の危険があるうえ、親鳥を驚かせて育雛を妨げるため避けてください。

見るもの:出入りの回数・くわえている物・巣材のはみ出し

日本野鳥の会は、3月ごろにスズメがくちばしにワラや小枝をくわえ、家の屋根や排気口、信号機、電柱など、いろいろなすき間に巣を作ると紹介しています。次の点を、日を変えて何度か確かめると、止まっているだけの鳥と営巣中の鳥を分けやすくなります。

  • ワラや小枝、枯草をくわえて、同じすき間へ入っていくか
  • 虫のような物をくわえて、短い間隔で同じ場所へ出入りするか
  • 京都市動物園の資料が挙げる、すき間の入口からはみ出た巣材の枯草があるか
  • 日本野鳥の会が紹介する、ヒナの「シリッ、シリッ」という声が巣の近くで聞こえるか

記録のしかた:面・高さ・部材で書く

位置は「南側の外壁の、2階の軒先にある瓦の端」のように、面、高さ、近くの部材で書きます。写真は、近づかずに建物全体と鳥の出入りが分かる距離から撮り、日付と時刻を添えます。後で補修や調査を頼むとき、この記録があると作業範囲を話し合いやすくなります。

スズメの巣の見つけ方:地上から出入りを観察して位置を絞る:確認項目
観察で見えたこと言えること言えないこと
巣材をくわえて、同じすき間へ入ったそのすき間を営巣に使おうとしている可能性が高い卵やヒナがいるか、いないか
エサをくわえた親鳥が、短い間隔で出入りするヒナが育っている可能性があるヒナの数や、巣立ちの時期
屋根や換気口に止まるだけで、中へは入らないその場所を休憩や見張りに使っている可能性がある巣がないこと(別の場所にある可能性)
ヒナの声が聞こえない声が出ない時期(孵化の前後)か、巣が空いている可能性がある巣が空であること。加藤ら(2013年)は、声を確認できるのを孵化後6日齢以降と仮定している

参考:立教大学図書館|展示資料「スズメの繁殖生態」(松井晋・笠原里恵、PDF)

換気口・換気扇にスズメの巣があるとき:排気と換気への影響

清瀬市は、野鳥が天敵が少なく風雨を避けられる、遮蔽された場所を好むと説明し、使用頻度が低い換気扇や通気口を営巣場所の例に挙げています。使わない換気口は、入口が小さく、奥が行き止まりで、雨風も避けられるため、鳥にとって条件がそろいやすい場所と考えられます。

巣材が屋外フードの内側にたまると、空気の通り道が狭くなります。パナソニックのレンジフードの案内は、吸い込みが悪いときの確認として屋外フードの目づまりを挙げ、清掃を求めています。三菱電機の換気扇用ウェザーカバーの取扱説明書は、防鳥網や防虫網が油やほこり、虫で目詰まりすると風量低下や異音の原因になるとして、防鳥網は約6か月に1回の点検・清掃を目安にしています。この説明書は産業用の有圧換気扇に組み合わせる部材のもので、家庭の換気口にそのまま当てはまるとは限りません。

ガス機器の排気口付近に巣を見つけたとき

総務省消防庁の防災・危機管理eカレッジは、風呂の排気筒(煙突)内に鳥が巣を作ったり、詰まったり、外れたりすると、不完全燃焼を招く危険があるとして、定期的な点検を呼びかけています。給湯器や風呂釜の排気口付近に巣材が見えたら、自分で取り除いたり、板や袋でふさいだりせず、ガス会社や機器のメーカー、施工店に点検を依頼してください。使用中に頭痛や吐き気などの体調の異変があるときは、機器の使用を止めて換気し、医療機関や緊急通報へ相談してください。

巣を見つけたら、先に卵とヒナを確かめる

東京都環境局に寄せられた事例では、ベランダの換気扇の中にハトが巣を作った相談に対して、巣の中に卵またはヒナがいるかを確認し、いる場合は許可を持つ駆除業者へ依頼し、巣のみなら撤去してよいと回答しています。大阪府も、撤去前に必ず巣の中を確認するよう案内しています。スズメでも考え方は同じです。換気口の奥は見えにくいため、中を確認できないときは無理に外さず、撤去の判断はスズメの巣の撤去はいつできるかで整理した順に進めてください。

換気口・換気扇にスズメの巣があるとき:排気と換気への影響:確認項目
換気口まわりで気づくこと考えられること次の行動
換気扇を回しても、空気の流れが弱い屋外フードや網の目詰まり(巣材を含む)地上から屋外側の網とフードの縁を見る。分かりにくければ施工店やメーカーへ点検を依頼
屋外フードの網が外れている、破れている鳥が入れる状態。三菱電機の説明書は、網を外したままの使用で防雨性能が低下するとしている交換を依頼する。交換部材はメーカーの専用品を使う
フードの縁から枯草がはみ出している営巣している可能性出入りを数日観察し、卵やヒナの有無を確認できる人に相談する
給湯器・風呂釜の排気口の近くに巣材が見える排気がふさがる危険(消防庁の案内)触らずに、ガス会社・メーカー・施工店へ連絡する

参考:総務省消防庁|防災・危機管理eカレッジ ガス安全「都市ガスを安全に使う為のポイント7」

雨どいにスズメの巣があるとき:雨水のあふれと外壁への影響

雨どいの端や集水器のまわりは、軒先とつながる細い空間で、鳥が出入りできることがあります。加藤ら(2013年)の市街地の調査では、雨樋が巣の場所の一つとして「その他」に含まれていましたが、件数の内訳は示されていません。雨どいがスズメの巣の主な場所だと断定できる資料は読めておらず、巣が見つかる場所の一つとして点検の対象に入れる、という位置づけです。

雨どいが詰まると、雨水が外へあふれます。雨といメーカーの維持管理のページ(パナソニックの住宅設備・建材サイトに掲載)は、雨といに土砂や落ち葉などがたまったまま放置すると、雨水が野地板、鼻隠し、外壁、土台などを腐食させる原因になると説明しています。巣材も水の通り道をふさぎうるため、同じ点検の中で確認します。

同じページは、日常の点検を建物の外から目視できる範囲で1年に1回程度、梅雨や台風の前後、雪どけ後に行うことを勧めています。確認項目は、継ぎ目の外れ、変形や破損、金具の外れ、ごみや土砂や落ち葉の詰まりです。高所作業を伴う清掃や補修は、住宅会社、工務店、専門工事業者へ相談し、居住者自身は行わないよう求めています。専門工事店による点検は5年に1回程度が目安とされています。

  • 雨の日に、軒先から水があふれて外壁を伝っていないか見る
  • 雨どいの端や継ぎ目に、枯草や枝のような物が見えないか確認する
  • 巣材らしき物があっても、卵やヒナの有無が分かるまで取り出さない
  • 清掃や補修で高所へ上がる作業は、専門の工事業者に頼む

参考:パナソニック(住まいの設備と建材)|雨とい 維持管理(点検&メンテナンス)について

カーポート・シャッターボックス・物置の巣:鉄骨とすき間の候補

カーポートやシャッターボックスをスズメの営巣場所として名指しした公的資料は、今回読んだ範囲では確認できませんでした。一方で、三上(2019年)は立体駐車場の鉄筋のすき間にスズメが営巣する例を挙げ、バードリサーチは鉄パイプや交通信号機、京都市動物園の資料は配電盤や電柱などのパイプを巣の場所としています。共通点は、鳥が通れる小さな入口があり、奥が行き止まりで、雨風を避けられる構造です。

この共通点から、カーポートの骨組みのパイプの端、柱と梁の継ぎ目、物置や車庫の屋根との境目、シャッターボックスの端やケーブルの通し穴なども、観察の候補にできます。これは資料に書かれた個別の事例ではなく、同じ構造の場所として確認する目安です。シャッターボックスは鳥ではなくコウモリが出入りしていることもあるため、シャッターボックス周辺にコウモリらしき痕跡があるときも参考にしてください。

車の上や土間に、特定の位置へ集中して落ちるフンがあれば、その真上が出入りの場所の手がかりになります。ヒナを育てている時期は、巣の位置を動かしたり、骨組みの穴へ詰め物をしたりしないでください。

参考:J-STAGE|三上修「鳥類による人工構造物への営巣:日本における事例とその展望」『日本鳥学会誌』68巻1号(2019年、PDF)

スズメの巣の中身と大きさ:巣材・卵・産座の目安

バードリサーチの生態図鑑は、スズメの巣を枯れ草、ワラ、ビニル紐などで作り、卵を産む産座には羽毛や獣毛を使うと説明しています。産座の大きさは直径10cmくらいとされています。立教大学の解説も、巣の材料は枯れ草や青葉、鳥の羽根が中心で、ビニール製の紐や包装紙が使われることもあるとしています。巣全体の大きさは入るすき間の形で変わり、一律の寸法を示した資料は読めませんでした。

京都市動物園の資料は、スズメが枯草を詰め込んで使うため、すき間の入口に巣材の枯草が見えること、木の枝に作る場合はボール型になることを挙げています。卵は、バードリサーチが1腹4〜7個、長径17〜21.5mm、短径13.5〜15.5mmで、白灰色の地に灰褐色や灰紫色の斑があると記しています。農研機構は1回の繁殖で4〜8個としており、資料によって幅があります。

清瀬市は、野鳥の卵やヒナを捕獲すること自体が法律違反になり、殺す意思がなくても手に取るだけで該当すると説明しています。巣や卵を見つけても触らず、写真と位置の記録にとどめてください。巣の近くや空き巣から小さなダニが出ることがあるため、気になる症状があるときは野鳥の巣の近くから小さなダニを確認します。

  • 外側:枯れ草、ワラ、ビニール紐、青葉など
  • 内側(産座):羽毛や獣毛。直径10cmくらい(バードリサーチ)
  • 卵:4〜7個とする資料と、4〜8個とする資料がある
  • ヒナ:孵化から約14日で巣立つ(農研機構)

参考:バードリサーチ|Bird Research News 生態図鑑 スズメ Vol.2 No.4(PDF)

場所別の再発防止と補修の依頼先

補修は、卵とヒナがいないことを確かめ、巣立ちが済んだ後に行います。大阪府は、巣を造られたくない場所には、野鳥が侵入できないようにあらかじめ対策するよう案内しています。清瀬市は、植木鉢やプランターの撤去、洗濯機と壁のすき間をふさぐ(またはさらに広げる)こと、雨戸を日中閉めたままにしないこと、換気扇や通気口を網などで保護すること、庭木の剪定を挙げています。

屋根や換気口は、鳥だけでなく雨仕舞や通気の役目も持つため、塞ぐ範囲を誤ると別の不具合につながります。軒や屋根のすき間の見方は軒や屋根のすき間を地上から確認する方法に、換気口の扱いは換気口の破損を見つけたときの相談にまとめています。業者へ頼むときの確認事項は、現地調査・見積もり無料の範囲で予約前に確かめられます。

場所別の再発防止と補修の依頼先:確認項目
場所補修・再発防止の考え方相談先の例
瓦・軒下・棟巣立ちの確認後に、雨仕舞と通気を保てる形で補修する。すき間を一律に埋めない屋根工事店、瓦店、住宅会社
換気口・屋外フード防鳥網付きの部材への交換や、網の補修。通気量を落とさない換気設備の施工店、メーカー
ガス機器の排気口自分で網や板をかぶせない。点検と対策は専門者に任せるガス会社、機器メーカー、施工店
雨どい巣材やごみの除去と、詰まりの再発を防ぐ部材の検討。高所作業は自分で行わない住宅会社、工務店、雨とい工事業者
戸袋・ベランダ雨戸を使う、すき間を網で保護する、植木鉢や洗濯機まわりを見直す施工店、管理会社(集合住宅)
カーポート・物置骨組みの穴や継ぎ目を、強度や排水を損なわない方法でふさぐ施工店、販売店
電柱・信号機建物の所有者が触らず、設備の管理者へ連絡する電力会社、通信会社、道路管理者
  • 賃貸住宅や分譲マンションでは、工事の前に管理会社や管理組合へ連絡する(賃貸で被害が起きたときも参考になります)
  • 補修の依頼書には、観察した出入りの位置と日付、写真を添える

参考:清瀬市|繁殖時期の野鳥にご注意ください